著者
堀井 直子 前川 厚子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、使用が簡便な肺がん患者用生活調整尺度(短縮版)の開発を目的として行った。堀井ら(2010)による肺がん患者用生活調整尺度(22項目版)について、新たに263名(平均年齢69.8±7.58)を対象に調査を行った。探索的因子分析の因子負荷量を基準に、短縮版に用いる10項目を選択した。短縮版の下位尺度はいずれも内的一貫性を示した(α=0.657~0.805)。また、22項目版と短縮版の間の相関係数(r=0.858~0.922)から基準関連妥当性も支持された。以上より、短縮版は22項目版と同様の構成概念を測定できることが示唆された。
著者
天野 信
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13433695)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.A24-A38, 2007
著者
菊池 彦光 藤井 裕
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

競合的な交換相互作用を有する一次元量子磁性体は新規な物性が期待される。本研究ではダイヤモンド鎖、三本鎖、ジグザグ鎖磁性体の磁性を調べた。ダイヤモンド鎖の新規化合物の強磁場磁化を測定し1/3磁化プラトーの徴候を見いだした。三本鎖磁性体の現実物質アントラライトとセニックサイトの磁気的性質を研究した。アントラライトは非常に複雑な磁気相図を示すのに対し、セニックサイトは低温まで磁気秩序を示さない。両化合物の構造は類似しているにもかかわらず、磁性は顕著に異なる事から量子相転移が基底状態に存在する事が示唆される。ジグザグ鎖磁性体NaCr2O4において新規な機構に基づく巨大磁気抵抗効果を見いだした。
著者
西原 和久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は、本科研費研究の国家意識に関する研究課題の遂行のために、海外には、1)中国の南京大学、2)マレーシアのマレーシア国立大学、3)オーストリアのインスブルック大学に赴いた。とりわけ、中国およびオーストリアにおいては、それぞれの機関で学生・研究者に対して複数の講演を実施し、また当地の関係社会学者とかなり突っ込んだ社会学的国家論の議論ができた。すなわちそれは、グローバル化を価値中立的な概念として提出する意義、グローバル化時代に対応した脱国家的な方向性をもった社会学的な近代国民国家論の展開、そしてそのための現象学に影響を受けた問主観性論をもとにした人際(にんさい)関係構築へ向けた土台作り、の意義を持った。またシンガポール国立大学のブライアン・S・ターナー教授などを名古屋大学に招聘し、講演を中心として情報提供いただいた。彼の『被傷性(傷つきやすさ)と人権(Vulnerability and Human Rights)』に関する理論志向性は、申請者の間身体性論を基盤とする間主観性論の社会学的展開に非常に近く、今後の研究協力を約束できた。なお、直接的には今年度の研究実施計画とは関わらないが、今回の科研費の成果を十分にふまえて、フィリピンにおける国際社会科学連盟の大会での講演、および韓国・慶尚大学における倫理教育学会での招待講演を行うことができた。以上が研究成果であるが、これらを基にして各種の論文作成、著書作成,学会報告などをおこなったことを合わせて記しておきたい。
著者
山本 美智代
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-46, 2005-06-20
被引用文献数
4

身体・知的障害のある同胞をもち,成人に達した29名のきょうだいに聞き取りを行い,きょうだいが同胞の障害をどうやって知り,どのように意味づけ,それに応じてどのように対応して成長してきたのかについてgrounded theory approachを使って分析した.その結果,きょうだいは両親のしつけの内容と,他の子どもの状況とが異なることにより,自分が障害者のきょうだいであるという認識をもち始める.また,社会の偏見を向けられた時から,同胞の障害を恥ずかしいと認識するようになり,高校生頃より同胞の障害について納得のいく意味を探し始める.そして,20歳前後で障害の意味づけや,その意味づけにより自分がとる行動「自分のシナリオ」を作成し,同胞への介護を行い,同胞とよい関係を築くようになる.しかし,中には同胞の障害を恥ずかしいと認識しなかったきょうだいや,納得のいく意味を探さなかったきょうだいもいた.Interviews were conducted with 29 adult siblings of the handicapped and the mentally retarded. They were analyzed using a grounded theory approach to investigate how these siblings learn about, assign meaning to, and cope with their brothers' or sisters' disability and how the situation affected their own personal development. The results suggest that the siblings first realized there brothers or sisters were disabled when they perceived the distinction between how their parents treated them and what the situation was like for other children. When faced with social prejudices, they became embarrassed and more aware of their brother or sister's disability, and from about high school they began to truly understand what it meant. As a result, at around the age of twenty they could understand the disability better and adopted appropriate behavior based on their own situation ; a situation in which they provided care and built strong relationships with their siblings. However, there were some did not think of their disabled siblings as shameful or did not try to better understand the situation.

1 0 0 0 OA 淡窓全集

著者
広瀬淡窓 著
出版者
日田郡教育会
巻号頁・発行日
vol.中巻, 1927
著者
大島 隆幸
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究成果の概要:糖尿病などに代表される生活習慣病の最重要原因は肥満であり、核内受容体型転写制御因子PPAR-gamma は、脂肪細胞の分化制御を介した肥満の倹約因子である。今回我々は、PPAR-gamma のSUMO 化修飾の生理学的意義を明らかにすることを目的に、まずPPAR-gamma2 特異的ノックダウンマウスを作成した。そしてこのマウスは、痩せの大食いと共に、脂肪肝が全く認められないという表現系を示した。
出版者
宮内庁書陵部
巻号頁・発行日
1968
著者
地主 将久 菰原 義弘
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

肺非小細胞癌の自然発癌モデル、ヒト検体を活用して肺非小細胞がんにおけるEGFR-TKIの治療抵抗性に寄与する免疫制御因子を検索したところ、肺腺癌においてM2マクロファージ、MDSCなど免疫抑制系ミエロイド細胞の分化・活性にかかわるシグナル群とEGFR-TKIの治療応答抑制、T790Mなど治療抵抗性遺伝子変異出現率が正の相関を示すことが判明した。さらに、肺非小細胞癌自然発がんモデルに対するCSF-1阻害剤投与により、EGFR-TKIによる効果は相乗的に増強することを解明した。一方PD-1など免疫チェックポイント経路は変化はなかった。肺腺癌における免疫制御経路を同定したうえで重要な成果である。
著者
金 ジョンヒョン 橋田 朋子 苗村 健
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.393-399, 2013

Focusing on the drawing sound as auditory feedback in the act of writing with an ordinary paper and pen, we have studied the effect of emphasized drawing sound. In this paper, we explain availability of emphasized auditory feedback of drawing sound in professional animation studio. In specific, we introduced our proposed system to animation producing process and performed a user study for 6 weeks to confirm its availability. The results from user study showed that animators used our proposed system at a rate of 93.0% during their total day and average of 5 hours a day. Moreover, we obtained the positive feedback in the interview such that they can draw dark and uniformly-thick line in quality by listening to drawing sound.
著者
戸崎 哲彦
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

現存する『柳宗元集』の南宋刊本は、劉禹錫原編三十巻に属する永州公庫本三十三巻本残巻と、北宋・沈晦校刊四十五巻本に属する韓醇詁訓本、眉山百家註本、魏仲挙五百家註本、鄭定重校添註本、劉怡増広音辯本、廖瑩中刪去註氏本に大別され、さらに後者は韓本と劉本と眉本等の三系統に分けられる。前者は正集とは別に序目一巻を備えた三十一巻であり、また編者・作者の文学観と制作時期を反映した編次になっているが、後者は内容分類によって編次を大きく変えている。眉本は魏本・鄭本・廖本へと継承されているが、韓本と魏本には註を異にする複数の覆刻本が存在しており、鄭本では補修部分に今日亡失する多くの版本と註とが用いられている。
著者
岸上 鎌吉
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.15, no.172, pp.41-44, 1903-02-15
著者
古賀 義之 吉田 教明 三牧 尚史 小林 和英
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.318-324, 1999
被引用文献数
4

ワイヤー装着時に歯に作用する複雑な力系に関し, 臨床的な測定法の確立が望まれる.本研究では, 2つのブラケットとその間のワイヤーのような, 線材の両端の回転が, 二次元上で拘束されるような力系について解析した.その力系の理論的な算出には, 線材の曲げ剛性と曲げモーメントの比で表されるオイラーの微分方程式を解くことにより行った.また, 得られた理論式より, 線材両端の回転が拘束される複雑な力系と, 一端だけが拘束される単純な力系を比較することにより, 臨床上有効な矯正力の計測について検討した.その結果, 以下の結論が得られた.1. ブラケット等に加わるモーメントおよび力は, 線材が直線の場合, ブラケットの傾斜角の関数として表すことができる.モーメントに対するブラケットの傾斜角の影響は, 同側の傾斜角が反対側より2倍大きく, 力に対する傾斜角の影響は両側で等しい.2. 傾斜したブラケット等に直線のワイヤーを挿入した時の変形は, ワイヤーのサイズ, 断面形態, 材質によらず同じ形となり, その変形は三次曲線で表すことができる.3. ブラケットにワイヤーを挿入するような場合, 片側のみのブラケットが傾斜している条件では, ワイヤーの性状に関わらず臨床的に力系計測が可能で, 傾斜していない側のアタッチメントがブラケットの場合とリンガルボタンの場合では, 前者の垂直力が2倍大きくなる.
著者
林 浩一 井門 康司
出版者
鳥羽商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,磁性エラストマー部材の振動特性が,磁場印加から受ける影響について調べた.その結果,磁場印加により磁性エラストマー部材の固有振動数や減衰率は変化するが,減衰率の変化は固有振動数変化の主要因ではないことを明らかにした.また,空気流により励起される磁性エラストマー板の振動は,印加磁場強度に応じて周波数の顕著な変化は確認できなかったが,振幅は変化することを明らかにした.
著者
林田 理恵
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-17, 1990-09-20

異言語学習での母語の位置と役割という問題は、文法・翻訳式教授法-直接教授法-認知主義的教授法-コミュニケーション教育という主だった教授法の流れをみていくだけでも、それぞれの方法論の根幹に関わる問題として浮び上がってくることがわかる。昨今、生きた異言語教育とは何かという問題意識から、機能文法、コミュニケーション理論、言語心理学の発達に支えられ、体系としての言語の学習、単なる体系の利用としてのことばの学習から、活動の一環としての学習言語でのコミュニケーション活動(コミュニケーションを成立させるための、そして学習行為を成立させるための様々な心理的内面的要因までも考慮した)全体への学習へとその重点をかえていかなければならないという新しい課題が提出されている。そういった学習言語でのコミュニケーション活動を学習者に首尾よく習得させる上で母語の位置と役割をいかにとらえていけばよいか、異言語と母語による発話形成メカニズムの言語心理学的観点からの対照分析が必要とされている。当論文では、その第1部として、これまでの教授法の流れの中での母語の位置付けをまず概観、検討し、新しい教授法の課題の下での母語の問題の捉え方を提示して、その上で、発話形成メカニズムの操作プロセスにおける、母語と学習言語での異同点の大枠を示す。