著者
和田 誠 中岡 慎一郎 笠松 伸江
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.82-91, 2011-03-28

2009年1月から2月の南半球の夏期間に,東京海洋大学の研究練習船「海鷹丸」にプロトン移動反応質量分析計を搭載して,南大洋の大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測を実施した.海鷹丸は昭和基地沖とケープダンレー沖の氷縁域を含む南大洋を航行し,研究観測を実施した.この海域での大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測は初めてである.海水中の硫化ジメチル濃度の観測も行われ,そのデータとの対比が可能となった.大気中の連続観測から,昭和基地沖およびケープダンレー沖の氷縁域では,2ppbを越える高い濃度の硫化ジメチルが観測された.
著者
杉本 雄太郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究では,実世界のモデリングのためのオントロジー構築手法に,線形論理的手法を用いたプロセス記述言語を導入した.この記述言語は,従来の静的な関係を基にするOWLなどの記述言語によるオントロジー構築手法とは異なり,関係をプロセスレベルで記述する.そのため,静的な記述言語では直接的な記述が困難であるような資源の使用や消費,消滅などの概念を,より自然かつ適切に取り扱うことが可能にするものである.また,この線形論理的プロセス記述言語のための推論エンジンのリファレンス実装を行なった.これと並行して,人間の認知推論についても,言語・図形・信念一致・信念相反・信念中立の五種類のアリストテレス的三段論法課題からなるBAROCO論理推論課題集を用いた行動実験を行なった.この一連の行動実験により得られた実験データに対し,認知科学的および行動遺伝学的分析を行なった.また,この実験データを含む(40,000組の人口悉皆的住所リストをもとにした)3,000組を超す双生児サンプルの行動実験データに基づき,大規模双生児行動データベースの構築を行ない,その運用を開始した.なお,この双生児行動データベースはNIRSやfMRI,EEG等の多様な脳神経画像データなども格納できるように設計されており,今後の心理学,行動遺伝学,分子生物学および脳神経科学を同一の双生児サンプルによって統合した行動神経ゲノミクス研究の基盤となるものである.
著者
早崎 将光 菅田 誠治 大原 利眞 若松 伸司 宮下 七重
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.188-199, 2007-06-10
被引用文献数
5

2002年度は,日本国内の気象官署で観測された延べ黄砂日数が過去最高となった年であり,浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率はその前後の年度に比べて低い水準であった。本研究では,近年13年間(1992-2004年度)のSPM環境基準達成率の年々変動とそれに対する黄砂の影響評価をおこなった。年度別の環境基準は,以下の2条件を共に満たす場合に達成と判定される:(1)1日平均SPM濃度の2%除外値が閾値(100μgm^<-3>以下,(2)閾値を超過する高濃度日が連続しない。2002年4月には,顕著な黄砂が広域で観測された。SPM濃度の極大値はそれほど大きくないが(100〜200μgm^<-3>),4月8日から11日まで継続的に観測された。結果として,この大規模黄砂(2002年4月8-11日)が2002年度の環境基準達成率を約40%低下させていた。一方で,2001年度にも大規模な黄砂(2002年3月21,22日)が観測された。この黄砂は極めて高いSPM濃度(>500μgm^<-3>)をもたらしたが,およそ30時間程度で終結した。このため,2001年度の環境基準達成/非達成の地域区分は,黄砂の観測時間帯が日界を跨ぐか否かに依存していた。近年は,晩秋から初冬期におけるSPM高濃度日数が,1990年代と比べて著しく少ない。年間総計の高濃度日数が低下したことで,ただ一度の持続性黄砂のみで2002年度のSPM環境基準達成率が低い水準となったと考えられる。
著者
イリチュ 美佳 青嶋 誠 清水 信夫 田中 一男
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

得られたデータの次元が標本数に比べて遥かに大きいデータ(高次元小標本データ)に、既存の統計手法を適用すると、有効な結果が得られないという問題がある。この問題を解決するための解析手法は、シンボリックデータに対しては、未だ開発されていない。そこで、高次元小標本シンボリックデータに対する解析手法を開発し、データの多様性を考慮した新たな知識発見手法の提案と、実用化に向けた性能評価を行った。
出版者
奈良教育大学
雑誌
天平雲 : 奈良教育大学学生広報
巻号頁・発行日
vol.188, 2008-01-24

第1回大学懇談会~ケーキを食べて仲良くなろう!~/課外活動顧問教員・クラブ部員との懇談会を開催/日研生及び交換留学生の入学式、秋季留学生懇談会を開催/学生と学長との懇談会を開催~プレジデント・コーヒー・ブレーク・アワー~/課外活動共用施設完成/第58回 輝甍祭を終えて/学生が企画するイベント情報/大学からのお知らせ
著者
塩澤 和子
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 言語篇 (ISSN:03877515)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.13-42, 2000-03-30

一般に「段落」は、改行一字下げによる形式上の区分によって示されるが、この「形式段落」が我が国に行われるようになったのは、「明治時代になって欧米のパラグラフの形式が印刷面に導入されて」からで、「早いものでは、明治二十年代にパラグラフごとの改行、その冒頭一字あけの形式が行われるようになった」 ...
著者
保坂 遊 青木 一則
出版者
聖和学園短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

保育所における3歳未満児への造形活動の実態調査より抽出された課題を基に、臨床美術を取り入れたプログラム開発と実践研究を行い、更に保育者養成カリキュラムの具体的なモデルを示した。宮城県内保育士1430名のアンケート調査では、発達の個人差への配慮、活動テーマや具体的内容、評価方法、子どもの満足度に対しての問題意識に有意差が認められた。また感覚を多用する臨床美術を導入したプログラム開発、保育園2カ所での実践を通し、乳幼児の活動に対する意欲向上や変化、保育士の気づきと理解について効果が認められた。更保育者養成における保育表現技術演習のカリキュラム案を作成し、造形表現技術の効果的な教授内容を提案した。
著者
佐藤 哲子 長谷川 浩二 小谷 和彦 小川 佳宏
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

申請者らが構築した肥満・糖尿病・メタボリック症候群のデータベース1050例を対象に、ヒト単球の採取とその機能解析により、単球機能(炎症M1・抗炎症M2マーカーなどの質的異常)と既知の心血管病リスクが強く関連し、さらに糖尿病薬や高脂血症薬によりヒト血中単球機能が改善することを初めて報告した。この研究成果より、肥満・糖尿病・メタボリック症候群における単球機能改善を標的とした早期動脈硬化進展の診断法や心血管病予防・治療戦略の可能性が示唆された。
著者
野々村 敦子 森本 茂昭 河原 能久 野間 京二
出版者
土木学会
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1147-1152, 2005-02
被引用文献数
3

Oxygen levels in eutrophic water bodies can become rapidly depleted at the presence of stable thermal stratification. The anoxic condition induces the release of nutrients and heavy metals from bottom sediments, leading to water quality problems. In Goten reservoir, we installed two sets of jet flow generator. One jet flow generator transports the water near free surface and eject it near the bottom while the other discharges pumped groundwater near the bottom. Field measurement has been carried out to understand the destratification process by the induced flow and the resultant changes in water quality. It is demonstrated that the jet flow generators accelerate the destratification process considerably and that the spatial distribution of water quality in a horizontal plane shows little difference during the process. It is also found that further improvement with the jet flow generators is necessary to increase more effectively the dissolved oxygen concentration near the bottom.
著者
木下 靭彦 川瀬 俊夫 小園 知 田畑 泰彦 横矢 重俊 根岸 秀幸
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1.生吸収性scaffoldの作成.Collagen溶液にPGA繊維を加え、凍結乾燥と熱脱水架橋により、collagen spongeよりも強度と細胞侵入性に優れたPGA/collagen spongeを開発した.さらに、これにUV処理を加えることにより強度の高いPGA/collagen(UV)sponge)を得た.2.骨髄間葉系幹細胞(BMSC)の増殖、分化におけるDexamethasone(Dex)、bFGFの効果.ラットBMSCの単層培養で検討したころ、DexとbFGFはそれぞれALPase活性と細胞増殖を促進し、同時併用はALPase活性に相乗効果とbone noduleの活発な形成を示した.3.生体吸収性scaffoldsにおけるBMSCの増殖、分化能.ラットBMSCをPGA/collagen sponge, PGA/collagen(UV)spongeで三次元培養したところ、(1)両spongeとも培養後の収縮が軽度で、pore構造が良好に保たれ、sponge内部への細胞の侵入が認められた。(2)PGA/Collagen(UV)Spongeではcollagenがより多く残り、ポア内での細胞の接着,細胞外マトリックスの形成が良好であった。(3)細胞増殖とALPase活性はPGA/collagen(UV)sponge群で最も高生く、scaffoldとしての有用性が示唆された.4.BMSCの三次元培養骨の骨形成能.1)各種培地で培養したラットBMSCとβ-TCPの複合体を、同系ラットの背部皮下に移植したところ、Dex+βグリセロリン酸+bFGF添加培養液群で良好な骨形成がみられた。2)上記BMSC/β-TCPの複合体を成犬下顎骨区域切除部に自家移植したが、欠損部の骨連続性を回復できなかった。BMSCの培養期間及び骨形成を促進する生理活性因子の適切な局所導入法の確立が検討課題とされた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.376, pp.56-59, 2006-10

p51と同じポーズ。かかとを付けてつま先は90°に開き、お尻を締める。息を吸いながら両肩を5cm程後ろに引き、吐きながら戻す。耳、肩、腰、くるぶしが一直線になるように立つ両足を肩幅より広く開き、両手を頭の後ろで組む。両ひじをできるだけ後ろに引きながら、5秒かけて鼻から息を吸い、おなかを膨らませる5秒かけて口から息を吐きながら背中を丸め、おなかをへこませる。
著者
坂元 博昭
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、1滴の血液から高効率に血漿分離を行うことを目的とし、毛細管力のみを駆動力とした血漿分離チップの開発を行った。2μmの隙間を微細加工技術により形成させ赤血球と血漿を分離することを企図した。作製したマイクロデバイスへ血液を導入すると3分以内に200ナノリットルの血漿を得ることに成功した。本デバイスは、毛細管力を駆動力とするためシステム全体の小型化およびポータブル装置として最適である。