著者
安永 守利 吉原 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.915-929, 2005-05-01
被引用文献数
17

VLSI実装基板において, 配線上を伝搬する超高速信号の信号品質を向上することが重要な課題となっている.特に, クロック信号はディジタル電子機器の基本同期信号であり, 高い信号品質が望まれる.本論文では, 信号品質を向上させるための新たな伝送線構造である「セグメント分割伝送線」を提案する.セグメント分割伝送線は, 独立した特性インピーダンスをもつ複数のセグメントからなる伝送線である.複数セグメントの特性インピーダンスの不整合により発生する反射ノイズを重畳することにより, 伝送線上の注目点における信号を整形し, 信号品質を向上することが特徴である.セグメント分割伝送線の設計では, 複数セグメントの特性インピーダンスの最適な組合せを求める必要がある.この設計のために, 遺伝的アルゴリズムを適用する.また, その効率的な進化を実現するための新たな交差方法である「部分空間交差法」を提案する.更に, この新たな交差法に基づく遺伝操作を用いたセグメント分割伝送線の設計支援システムを開発する.開発した設計支援システムを用いて実際の実装基板上のメモリモジュール配線を設計し, 従来手法との比較評価を行い, その有効性を示す.
著者
滝澤 紗矢子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

第一に、Oliver Wendell Holmes, Jr. "Common Law" 第6講 'Possession'の中で、ホームズがどのように19世紀後半のアメリカで隆盛していた自然権的思考と対峙し、私的取引に対して競争政策の観点から政府規制を行う道を切り開いたかを、具体的に検討した。第二に、ホームズが、裁判官として、どのように自らの法思想を実現していったのかを、Dr. Miles Medical Co. v. John D. Park & Sons Co., 220 U.S. 373 (1911) におけるホームズ反対意見を通じて具体的に検討し、その今日的意義を確認した。
著者
藏澄 美仁 藤原 三和子 松原 斎樹 上 麻美 長井 秀樹 植木 弥生 古川 倫子 山本 志津恵
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.72, pp.23-34, 1999-01-25
被引用文献数
10

日本人の住宅での生活実態に則した温熱環境評価を行うためには,伝導熱授受量を定量的に把握する必要がある.そこで,床面から人体への伝導熱授受量の姿勢による違いが定量化された.立位と椅座位,正座位,胡座(ござ)位,横座位,立て膝(ひざ)位,投げ足位,側臥(そくが)位の各姿勢別に人体と床面との接触部位と接触面積が体表解剖学上の区分ごとに実測され,姿勢別に伝導熱授受量を算出するたあの重み係数が定義された.気温と床温とを組み合わせた温熱環境条件の下で被験者実験が行われ,人体の熱収支が算出された.人体と床面との接触面積比率が約2.5%を超えるような姿勢では,温熱環境を評価する際に,接触による熱伝導の影響を含めた検討の必要性が示された.
著者
萩原 道雄
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.61, pp.45-48, 2010-06-25

経営倫理の欠如による企業不祥事は後を絶たないが、企業の持続的可能性を実現するためには経営理念に内包される経営倫理の企業構成成員への浸透・定着がなされることが経営における最重要戦略といえよう。社会はもとより地球環境における倫理的な企業は社会の信頼を獲得し社会を牽引する存在となり得るからである。経営倫理の浸透・定着に関して、これまでの視点では、企業構成員の仕事を通じての実現よりむしろ企業構成員に教え込むものされてきた。その教え込むための経営の仕組みが通達、訓示、教育・訓練などである。本稿ではLave=Wenger(1991)の状況的学習論、すなわち「状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」について述べ、正統的に周辺より実践共同体(企業)に参加する新参者が仕事に習熟する過程での実践共同体における内部的相互関係と社会的相互関係から、新参者のアイデンティティの変革と実践共同体の変革が起こり、相互関係的に実践共同体の掟(規範)と社会の掟(規範)の中に新参者(やがては習熟して十全者となる)が取り込まれる、すなわち、倫理が埋め込まれることを考察する。状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」理論のポイント明らかにし、次にこの理論に基づく学習・仕事環境を経営において実現するためのポイントを明らかにする。「状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」の理論においては学習とは正統的に周辺から実践共同体に参加することであり参加が学習であるとする。その理論は経営における、倫理が埋め込まれている、知の創造においての原型を示唆しているのではないかと考え、理論と学習・仕事環境のポイントについてネッツトヨタ南国の事例により検証する。
著者
飯塚 修平 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

ウェブサービスを成長させる手法として,ユーザの反応の違いからパフォーマンスの高いウェブページのパターンを発見するウェブページ最適化が注目を集めている.簡単に実践できる手法である一方,小規模なウェブサイトでは実験のために十分なデータを集めるまでに時間がかかってしまうという欠点がある.そこで本研究では,訪問者数が少ないウェブサイトでも高速に最適なパターンを発見することができる最適化手法を提案する.
著者
保高 徹生 辻 英樹 今藤 好彦 鈴木 安和
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.499-506, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
15
被引用文献数
8 10

プルシアンブルー粒子担持不織布を充填したカートリッジに溶存態放射性セシウム(Cs)含有水を通水し,カートリッジに吸着させ,濃縮することにより,環境水中の溶存態放射性Cs濃度を迅速にモニタリングする技術を開発した.溶存態137Csの濃度を0.005~5 Bq L−1の範囲に調整した水を用いた試験の結果,通水速度が2.5 L min−1の場合,第1・第2カートリッジの137Csの回収率は20 L通水で90% 以上,100 L通水で83% 以上となった.また,通水速度を0.4 L min−1とした場合には,第1カートリッジの回収率が88% 以上に達した.本方法により,20 L濃縮を約10分,100 L濃縮を約50分で行うことが可能となる.また,ゲルマニウム半導体検出器の定量下限は20 L濃縮の4000秒測定で0.03 Bq L−1,100 L濃縮の43200秒測定で0.001~0.002 Bq L−1となり,従来法の前処理方法(20 Lで6時間以上)と比較して濃縮作業の迅速化が可能となる.
著者
宮本 芳城 藤岡 唯志 藤田 政良
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
雑誌
和歌山県農林水産総合技術センター研究報告 (ISSN:13455028)
巻号頁・発行日
no.3, pp.35-42, 2002-03

シュッコンカスミソウの培養過程において効率的にロゼット化しにくい個体を選抜するため、試験管内での選抜法について検討した。 1.シュッコンカスミソウではカルスからの再分化個体では、茎頂培養個体に比べて試験管内およびほ場での生育のばらつきが大きく、変異の拡大に有効であった。 2.茎頂培養個体または茎頂由来カルスからの再分化個体をアンシミドール2.Omg/liter添加した1/2MS培地を用い、20℃、3,000lx、16時間照明下で培養することによって、試験管内での植物体の伸長抑制程度(草丈)が系統の特性と一致し、試験管内での低ロゼット個体の選抜ができた。 3.試験管内で選抜した植物体を栽培した結果、試験管内での伸長抑制程度とほ場移植後のロゼット性程度が一致し、試験管内での選抜が有効であることが検証できた。
著者
永松 啓爾
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1568-1574, 1988-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
著者
小塩 高文 東野 一郎 笹沼 道雄 増岡 俊夫 久田 秀穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.1195-1207, 1966-09

太陽水素ライマンアルファー線(1,216Å)ふく射強度の高度分布を求めるために次のような三つの電離箱をロケットに載せて観測を行なった. 1)各電離箱はNO(10cmHg)気体で充され,LiFの窓を持っている. 2)直流増幅器の入力抵抗は検出器No.1,No.2およびNo.3についてそれぞれ10^8,10^9,および10^10オームである. ロケットは1965年12月13日15時20分に鹿児島宇宙空間観測所より東南55度の方向に打ち上げられ,319kmの高度に達した.ふく射強度の高度分布から吸光係数(μ_p),および吸収率密度(単位体積当り吸収される光子の数α)が求められた.αの最大値の高度は85kmであった.酸素分子の密度分布は高度80,85,90kmでそれぞれ1.1×10^14,4.0×10^13および2.0×10^13particles/cm^3と推定された.高度40kmから70kmにわたって異常なふく射強度がある限られた到来方向で観測された.記録の波形から,この異常ふく射は太陽ふく射とは異なるものであり,その強度は高さの増加につれて減少しているようである.おそらくロケットに伴う衝撃波によるものと考えられる.
著者
藤波楽斎 著
出版者
文星社
巻号頁・発行日
1919
著者
竜岡 久枝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

新生児期以降の乳児期における児とその母親を対象とし、児のお昼寝・夜寝の睡眠パターンの変遷過程と栄養との関連性について明らかにすることを研究目的とした。乳児の睡眠覚醒リズムは生体時計25時間周期のフリーランリズムを経て発達する(Kleitman, 1953)。その後、視交差上核にある体内時計本来の25時間周期は、明暗周期や母親の生活リズム等の環境要因の影響(time cue)を受け、覚醒・睡眠時間が分岐し夜間の睡眠が統合されて24時間周期の1日リズム(サーカディアンリズム)に発達する(Moor, 1985)。その乳児の睡眠覚醒リズムの発達メカニズムは、上記の脳幹網様体賦活系による睡眠-覚醒サイクルや、松果体でのメラトニン分泌の概日リズムの関与が考えられている。メラトニンは生物の概日リズムを形成するホルモンであり、その合成は外界からの光刺激と中枢の内因性リズムによって調整され、概日リズムを形成している(生山,1995)。メラトニンは血漿、唾液、尿等といった生体物質中に存在し、それらは高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフ質量分析、及び放射性免疫検定法により定量可能である。生体試料によっては放射性免疫検定法による報告のみで、測定者への生体侵襲のない測定方法は報告が見あたらない。そこで今回、母親の生体試料中のメラトニン量の測定方法を確立することを課題とした。ELISA法による測定方法について検討したので報告する。メラトニン測定は測定キット(IBL社製)を使用した。生体試料からのメラトニン抽出およびメラトニン誘導体の生成はM.KollmanやH.Kimata等の方法を参考にした。メラトニン標準濃度をサンプルとして既知濃度をトレースし、測定可否を検討した。先行研究から生体試料中のメラトニン濃度は5.2pg/mLであることから、キットの検出限界および検量線から検出限界を測定すると、測定に必要な検出限界は3pg/mL、定量限界は300pg/mLとなった。また、測定に必要なサンプル量は5-10mlとなった。
著者
明石 欽司
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1-43, 2012-12 (Released:2012-00-00)

論説 序論第一章 ボダンの国家・主権理論と『国家論』における「国際関係」・「国際法」の位置付け(以上、八五巻十一号)第二章 主権者間の関係を規律する法規範の存在可能性と「国際法的規範」第三章 ボダンのユース・ゲンティウム(jus gentium: le droitdes gens)観念結論(以上、本号)
著者
Shimono Kohei Fujishima Kazuto Nomura Takafumi Ohashi Masayoshi Usui Tadao Kengaku Mineko Toyoda Atsushi Uemura Tadashi
出版者
Nature Publishing Group
雑誌
Scientific reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
vol.4, 2014-03-19
被引用文献数
30

体の大きさに合わせて神経細胞の大きさを制御するしくみを解明. 京都大学プレスリリース. 2014-03-17.