著者
金 泰勲
出版者
国際基督教大学
雑誌
教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.50, pp.41-53, 2008-03

日本では「過熱する受験競争の緩和」を目的に大学入試の改革が進められてきたが,この10年来,推薦入学の拡大や新たな選抜方法であるAO入試の導入など大学入試における多様化・個性化へ新たな改革の動きが見られる.一方,日本同様に,長い間過度な受験競争に悩んできた韓国でも,近年,大学入試の改革への取組が進んでいる.本稿では,韓国における大学入試の改革がどのような背景に基づき行われたか,受験生の思考力や表現力を高めるためのどのような判定や選抜方法・評価基準を設けられたか,また,大学入試では,生徒の資質能力を養うために,どのような選抜方法で評価しようとするのかについて考察する.
著者
佐藤 正明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.955, pp.158-161, 1998-08-31

家庭用ビデオの規格統一に乗り出した通産省に対し、ビクターはVHSの技術的な優位性を必死になって説明した。通産省はVHSによる規格統一に動くかにみえたが、ソニーの反撃も凄まじかった。まだ発表していない2時間録画機種を切り札に出し、とうとう通産省をベータ寄りに引きつけてしまった。そのうえで、ソニーはVHS連合の7社とそれぞれ個別交渉する形で、VHS陣営の切り崩しを図った。
著者
平井 孝典
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.65, pp.30-47, 2013-11-30

フィンランドのアーカイブズの文化あるいは制度は、1809年9月17日にスウェーデンとロシアとで締結されたフレデリクスハムン講和条約の結果としてフィンランドが大公国となったときに始まったと言われている。実際には、中世以来、多数の「地方アーカイブズ」が発展してきた。本稿では、その条約、ストックホルムからオーボへのドキュメントの移送、1816年の議会公文書館成立などを扱う。
著者
Kazuhiro Shiba
出版者
日本放射線安全管理学会
雑誌
Radiation Safety Management (ISSN:13471511)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-36, 2013 (Released:2013-04-12)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

Huge amounts of radioactivity derived from the Fukushima nuclear accident were scattered in the atmosphere. Various kinds of vegetables in three prefectures in the Tohoku area were contaminated with 131I and 137Cs over the legal limit for shipment. A simple and effective removal method for contaminated farm products was developed to ensure the relief of farmers and the security of consumers. Distribution imaging of radioactivity in the contaminated vegetables, the physical removal of radioactivity from contaminated vegetables and the chemical removal of radioactivity from contaminated vegetables were examined. As a result, there were two types of vegetable contamination, spot type or spread type. The concentration of radioactivity was higher on the outer side than the inner side of a vegetable leaf. More than 80% of radioactivity attaches to the surface of leaves. Radioactivity removal by water washing showed no significant difference between boiling water and cold water. There was no significant difference between hand-washing and running water washing. The radioactivity of vegetables decreased by 70-80% for 131I and more than 80% for 137Cs by reducing agent treatments. In particular, ascorbic acid is promising as a safe and versatile option.
著者
ボッレーガラ ダヌシカ
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

二つの対象物(エンティティ)間の関係Rを定義するためには2種類の方法がある。一つの方法はその関係にあるエンティティのペアを挙げることである(外延的定義,extensional definition)。もう一方の方法は関係Rを語彙パターンで表現することである(内包的定義,intensional definition)。本研究では、この双対となる関係の定義に基づくクラスタリング手法を提案し、それを用い関係抽出を行う。提案するクラスタリング手法の一つの特徴としては語彙パターンとentityペアを「同時に」クラスタリングすることであり、このように「お互い何らかの制約を満たしている二つの量を同時にクラスタリングする」クラスタリングアルゴリズムは統一的にco-clustering(共クラスタリング)アルゴリズムと呼ばれている。本研究もこのco-clusteringアルゴリズムの一種であり、関係の異なる定義の双対性という制約に基づいて実現する点に特徴がある。教師なし学習であるクラスタリングによるので、訓練用データを必要としない。co-clusteringによりentityペアの関係種別クラスタリングに使う特徴量となる語彙パターンも同時にクラスタリングするので、特徴次元を圧縮し安定的なクラスタリングを可能にする特徴をゆうする。Webのような膨大なテキストコーパスからエンティティ間の関係を抽出する際に、膨大な数のエンティティペアと語彙パターンを同時にco-clusteringする必要があるため計算量の小さいアルゴリズムが重要である。本研究ではオーダー0(nlogn)の計算量でco-clusteringできるsequential co-clusteringアルゴリズムを提案し評価した。
著者
原田 紀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.180-188, 1974-03-15

An algorithm finding optimal multipliers for the spectral test of uniform random number generators is developed. Many Multipliers given by this algorithm are shown as the tables. They are available for practical random nurnber generation on binary and decimal computers.
著者
吉田 倫子 篠原 ひとみ 兒玉 英也 成田 好美 杉山 俊博
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.472-480, 2012-01

味覚センサにより,乳腺炎を発症した母親の母乳の味の変化について検討した。母乳育児中で産後2ヵ月まで乳房トラブルのない母親18人(対照群)と,乳腺炎で外来を受診した産後1年以内の母親14人(乳腺炎群)を対象とした。対象から採取された母乳は,味覚センサ(味認識装量SA-402B)を用い,酸味,塩味,苦味,旨味,渋味の5種類の味覚項目について分析した。対照群の母乳の味は,初乳から成乳への移行に伴い苦味の増加(p<0.01),塩味と旨味の減少(p<0.01,p<0.05)がみられ,成乳となってからは変化がなかった。乳腺炎群は対照群と比較すると旨味の増加(p<0.01)と渋味の低下(p<0.01)が認められた。また,患側の母乳は健側に比べて塩味と旨味が増加(p<0.05,p<0.01)し,酸味が低下(p<0.05)していた。そして,治癒後には苦味と渋味が増加(p<0.01,p<0.05)していた。以上より,乳腺炎時の母乳は塩味や旨味が増加し,酸味や苦味,渋味が低下することが考えられる。乳腺炎群の8割の児に授乳を拒否する行動が観察され,児は鋭敏にこのような味の変化を認知していると推定された。
著者
Toshiyuki Masuzawa Yoshiyuki Uchishima Takashi Fukui Yoshihiro Okamoto Ming-Jeng Pan Teruki Kadosaka Nobuhiro Takada
出版者
国立感染症研究所 Japanese Journal of Infectious Diseases 編集委員会
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.111-114, 2014 (Released:2014-03-20)
参考文献数
23
被引用文献数
3 18

A total of 138 animals from 7 species (Apodemus agrarius, Bandicota indica, Crocidura suaveolens, Mus caroli, Mus formosanus, Rattus losea, and Suncus murinus) captured in Taichung, located in central Taiwan, and Kinmen Island, an island off the shore of China, were examined for the presence of Anaplasma phagocytophilum. The presence of the bacteria, which causes human granulocytic anaplasmosis, was examined by nested PCR targeting the16S rDNA. Twelve animals (8.7%) from M. caroli and R. losea, and 25 (18.1%) from A. agrarius, B. indica, M. caroli, and R. losea were infected with A. phagocytophilum and Anaplasma bovis, respectively. Phylogenetic analysis revealed that partial 16S rDNA sequences in the 12 aforementioned animals showed higher similarity to the sequences related to A. phagocytophilum detected in wild rodents (Rattus and Niviventer) from southeast China. The sequences of the other 25 animals belonged to the A. bovis clade. We demonstrated that small wild mammals were infected with A. phagocytophilum and A. bovis in Taichung and Kinmen Island, Taiwan.
著者
熊野 公子
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.278-281, 2011

50年前にイギリスのDr.シシリー・ソンダースがブロンプトン・カクテルを創作し,これを発端に,学問的なターミナルケアが始まりました。単なる経験論でなく,多数例での実践を踏まえて,科学的に検証し始めました。<br> 現在,ターミナルケアから緩和医療へと呼称が変化しています。緩和医療は,あらゆる時期のあらゆる苦痛からの解放を目指します。その対象となるのは,決して癌だけではなく,すべての疾患で,すべての患者に必要なものです。結局,緩和医療は医療の根本そのものであったのです。これを医療の回帰性と呼びます。この回帰性に医師が気付き始め,医学自体の方向性に変化が生じています。<br> 一方,皮膚科は専門領域の外の研究会に出席し,告知,身体的以外の痛み,終末期の家族への対応,などを学ぶべきです。<br> 皮膚科は緩和医療と接するところが少なくないにも拘わらず,皮膚科視野に立った緩和医療の研究は皆無です。今,緩和皮膚科学を考えるべき時です。
著者
堤 英俊
出版者
旭出学園教育研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

<研究局的>ある一人の発達障害生徒(Z君)の自己語りの分析から、特別支援学校中学部に通う発達障害生徒の自己の様態に関する仮説を生成するとともに、その自己語りが生み出される文化的・社会的文脈について考察することを目的とした。<研究方法>保護者・本人の了解のもと、Z君との個別指導の時間の一部で、インタビュー・データを収集した。エピソードを引き出すことを念頭に、本人の特性を踏まえたライフストーリーワーク教材(ワークシート等)を作成した。データ収集は、主にICレコーダーを使って行った。録音データは、文字起こし作業を行った上で分析材料とした。<研究成果>Z君は、以前在籍していた小学校(通常学級)と現在在籍する中学校(特別支援学校中学部)では学習内容の難易度が異なる(小学校の方か難しい)とし、小学校(通常学級)への在籍には「学力(本人の意味する)」による条件があると語った。ただし、現在在籍する中学校(特別支援学校)の同級生の約半数は「学力(本人の意味する)」の条件をクリアしており、少なくとも自分は「ゆるい学校が好き」という理由から現在の中学校を選択し入学してきたと語った。こうした語りから、Z君において小学校通常学級と特別支援学校中学部は、異なる性質を持つ場として認識されつつも、分離した場としてではなく、質的に連続する場として認識されていることが理解できた。そして、その背景要因として、特別支援学校が障害児の学校であることが意図的に伏せられていること、本人の見なす「幼馴染」「いじめっ子」「自分より頭のいい人」「おしゃべり相手」が両校に共通して存在していることなどが関係していることが分かった。
著者
鈴木 敬司
出版者
中央学院大学
雑誌
中央学院大学教養論叢 (ISSN:09135065)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.171-180, 1991-03-31
著者
村上 幸史
出版者
神戸山手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は「個人が成功や幸福を得るための資源には限りがある」という考え方の中でも、特に特定の社会での限定説(「対人的定量観」)と主観的幸福感の関連性について検討を行った。その結果「対人的定量観」を持つ者は主観的幸福感が低く、競争的達成動機も高く、不幸の程度を相対的に判断しやすいことが示唆された。この影響はweb上でニュースを判断する実験を通して、他者の不幸を非難する傾向や喜ぶ(シャーデンフロイデ得点)傾向の形でも示された。このような観点から主観的幸福感を維持する過程は、幸福感を高めることに関する負の影響と考えられる。
著者
浅川 晋 齋藤 雅典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有機栽培・冬期湛水が土壌微生物群集に及ぼす影響を明らかにするため、冬期湛水を含む有機栽培試験水田圃場を対象に、土壌微生物群集を分子生態学的手法により解析した。水田作土中の土壌微生物(細菌、糸状菌、メタン生成古細菌)の群集構成と存在量は有機栽培と冬期湛水により大きな影響を受けなかった。これらは水田生態系の持続性や恒常性を土壌生物性の面から示唆する知見であり、環境保全や生物多様性の保全といった水田の機能を維持するという視点からは望ましいと考えられた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.278, pp.56-62, 1999-10

■京都・木屋町に,連夜250人以上の若者がカレーうどんを食べに集まる店がある。今年で創業30年。京都市民には,すっかりなじみの「味味香(みみこう)」だ。■しかし,この30年,全く同じ商品を出して来たのではない。木屋町の客層の変化に合わせ,味を変えたり,新しい具なども取り入れ,"進化"を続けているのが,繁盛の秘けつだ。
著者
片岡 洋行 齋藤 啓太
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ファイバー固相マイクロ抽出(SPME)法またはインチューブSPME法を用いて皮膚ガス及び皮膚滲出液中の揮発成分や唾液成分を非侵襲的かつ簡便迅速にサンプリング、抽出濃縮した後、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)法との連結により高感度分析する方法を開発した。ファイバーSPME/GC-MS法を用いて、揮発性アルデヒド類や含硫化合物などの体臭成分の分析法を確立し、喫煙や食品摂取の影響を解析した。また、インチューブSPME/GC-MS法を用いて、コルチゾールやテストステロンなどのストレス・疲労関連ホルモン類や8-イソプロスタン及び8-OHdGなどの酸化ストレス関連化合物の自動分析法を確立し、喫煙による酸化ストレスの影響を解析した。これらの方法は、口臭や体臭の診断、疾病診断への応用が期待される。