著者
笹岡 俊邦 大久保 直 佐藤 朝子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パーキンソン病では黒質線条体ドーパミン神経の変性によってドーパミンが枯渇し、運動障害が起こる。線条体の中型有棘神経に発現する D1、 D2 ドーパミン受容体(D1R、D2R)の運動制御への関与がわかっているが、その分子機構は明らかでない。本研究では Tet-off システムによるコンディショナル D1R 発現マウスを用いて、成熟後に D1R を発現抑制すると運動量の低下が確認された。しかし D1R ノックアウト(KO)マウスが示す過剰な運動量と反対の結果であった。このことはマウスの発育時における D1R 発現の有無がその運動量の低下又は過剰への制御と関係することを示している。
著者
福島 彌六
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.52, no.614, pp.57-65, 1944-02-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9

最近のポルトランド・セメントの成分に就てはその化學的分析の成績を基となし前章にて詳しく論じたので, 茲では全體的に見てその要點を指摘し總括しつゝ成分變動を要約する.1. セメントの灼熱減量は第1囘試料 (現場採集) 1.8-5.1%平均3.20%, 第2囘試料 (工場採集) 0.60-1.8%平均1.2%を表し, 從來の昭和11-13年セメントの1.0%以下に較ぶれば現場のセメントは著しく増加してをり風化したものが多く存在するを認めた. これはセメント包裝用紙の劣化, 輸送の停滯等により風化の機會が多くなつた結果と考へられる.2. 珪酸含有量は第1囘試料19.59-23.04%平均20.95%, 第2囘試料17.63-22.99%平均20.83%を表し, 平均21.0%程と見られるが20%に滿たぬものもあり, 從來の22.0%以上と較ぶれば3-2%程の減少となる. 礬土含有量は第1囘4.67-7.35%, 第2囘7.08-7.86%平均6.05%を表し, 平均6.0%程であり内には6或は1%を超へる高値のものも可成多く從來の礬土が4-6%内に略限られてゐたのに較べて増加したものが多くなつてゐる傾向がある.從來セメントの珪酸, 礬土含有量は各常に略一定してゐたが最近の各セメントは特に礬土につき其量が區々にして低値又は高値なるものが絶へず表れ其多寡に變動が多く見られる様になつた. 此變動は珪酸頻度圖及礬土頻度圖を參照比較すれば一層明瞭である.3. 全石灰は第1囘及第2囘試料にて夫々57.26-63.37%平均61.0%, 61.20-66.23%平均63.51%を表し, 從來の55-56%を常に保つてゐたのに較べて2-4%, 平均3%程の減少と見られる.全石灰含有量にも同様に可成の増減が表れこれは全石灰頻度圖より明瞭である.遊離石灰は從來は0.5-1.5%内にあり平均1.0以下のセメントが大部分と見られてゐたが最近は0.68-5.55%に及び平均2.33%を表し, その内で1.5-3.5%のものが過半數であるに較べて可成増加が目立つてゐる.斯くて最近のセメントの化合石灰量が甚だ減少し, 代つて礬土量が増加したことゝなり, 延いては成分化合物中珪酸石灰鹽類の生成が減少し, 礬土酸石灰鹽を増したことが當然考へられ, セメントの水硬性化合物即ち鑛物組成にも可成變動が與へたと見られる.4. 成分比率に就ては水硬率が共に低下し, 最近は水硬率2.00に滿たざるものも多く現れ, 代つて鐵率が増してゐる. 一般に各成分比率の範圍が從來より廣くなり成分相互の均齊度が喪はれてきた傾がある.5. 現場採集の試料と工場採集のものとを較れば現場のセメントは一般に成績が良好ならず不同がある. 工場採集のセメントは成績が比較的揃つてをり, その一部分には從來に較べて遜色のない品質のものも存在してゐる.6. 計算により求めた水硬性化合物, 即ち鑛物含有量に就いて見ても一般に最近は珪酸石灰鹽が減少し礬土石灰鹽が増加してゐる.3CaO.SiO2は最近のセメントで23.6-56.5%平均40.8%となり從來の40-60%平均50%程と較ぶれば約10%の減少となり, 内には從來餘り見ない40%に滿たざる40-25%程の低値のセメントが約半數を占めてゐた.3CaO.Al2O3, も増加の傾向があり從來此量は略一定してゐたのに較べて最近は各セメントに其多寡に不同が多くなり10%を超へ15%に至る高値のものも現れてゐる.鑛物組成の變動は圖-2を參照することにより明に看取される.7. 石灰, 珪酸, 礬土の三成分に就き化合せざる成分を控除し, 換算した化合量の百分率を表す三元組成圖を見ると, 最近のセメントの三成分組成はCaO 66-70%, SiO2 22-26%, Al2O3 6-11%の比較的廣い範圍内に存在し從來に較べ石灰量減少し礬土量が増加しつゝある傾向が一層明である.8. 一般に最近ポルトランド・セメントは低石灰高礬土質に變動しつゝあり. 之を從來の高石灰低礬土質に較べてむしろ反對の方向を辿つてゐる傾向となりセメントの成分上好しからざる傾向と云へやう.之を要するに, 最近のポルトランド・セメントの質的低下は粗惡炭燃燒に因る遊離石灰及礬土の増加延いては全成分割合の變動に基くものゝ如く, セメントの主要水硬性化合物なる珪酸石灰鹽, 特に3CaO.SiO2の生成を減じ礬土石灰鹽を増したことゝなり, 其結果セメントの品質に致命的なる打撃を與へ最近のセメントの強度低下の主因をなしてゐると考へられる.此事實はまた目下のセメント製造の實情に照らしてみても明である. 即ち原料なる良質石灰石及粘土の採掘, 精選の不如意, 成分の均等配分の不備等と共に, 特に劣質炭の燃燒に伴ふ燒成温度の低下或は炭分の増加による燒成の不完全が製品の成分に直に關係しセメントの品質に惡彩響を及ぼした結果と見られる.此問題を改良し又解決せざればセメントの品質の向上は困難と見るべきであらう.
著者
田中 悟
出版者
佐川官兵衛顕彰会
雑誌
佐川官兵衛顕彰会報
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-5, 2005-08 (Released:2008-09-08)

佐川官兵衛の靖国神社合祀に関する調査報告。
著者
波佐間 逸博
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アフリカ牧畜社会における暴力紛争を文化化していく政治・社会科学的言説を検討することをつうじて、植民地期以来の構造機能主義的な、均質で自己完結的な集団観と、稀少資源をめぐり共約不可能な形で対立する利害集団モデルにもとづいた介入によって、低強度紛争が、かえっていっそう促進されている現実が生じていることを批判的にあぶりだした。また、東アフリカにおいて一般化している集合的暴力にたいする、牧畜社会における人びとの対処方法と、それらが創造され、活用されてきた社会的プロセスを記述、分析することによって、ローカルな共同体が独自に洗練させてきた牧畜世界の共生論理と実践をあきらかにした。
著者
畔上 直樹
出版者
渋沢史料館
雑誌
渋沢研究 (ISSN:09178619)
巻号頁・発行日
no.24, pp.3-19, 2012-01
著者
石森延男 編
出版者
修文館
巻号頁・発行日
vol.尋常 4・5・6学年用 続(写真篇) (カメラの満洲), 1939
著者
西本 敏彦
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.64-69, 1980-02-05 (Released:2008-12-25)
参考文献数
15
著者
丸山 俊朗 半沢 昌彦 森 隆 吉田 多摩夫
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.457-463, 1984
被引用文献数
1

Removal of Cells of <i>Olisthodiscus</i> sp. using alumining sulfate was studied by determining the solubility of Al in seawater under various pH conditions, and examining the direct application of aluminium sulfate to the cell suspension in a jar tester.<br> The solubility of the Al desreased from pH 4.5. The minimum and maximum solubility was at pH 6.3 and pH 8.5 respectively. Above pH 8.5, solubility decreased. A pH buffer. action appeared when pH was 4.5-5.0, 8.5 and 10.<br> The aluminium sulfate requirement and pH conditions for a 100% removal of 2×10<sup>4</sup> cells/ml were 50mg/l (4mg of A1/l) at the most and pH < 5.8 and pH > 9.5, respectively. These pH conditions were dependent on aluminium sulgate content. When 6.5 < pH < 8.5, only 10-30% rate of removal was obtained.<br> From these results, it was suggested that the cell removal mechanism was mainiy due to disruption of cells followed by effective coagulation due to highly positive charged aluminium hydroxide when pH < 5.8, and positive charged magnesium hydroxide when pH < 9.5. The pH change alone or coprecipotation with aluminium hydroxide may not play any important role in the removal mechanism of the cells.
著者
加藤 俊哉 橋爪 一光 笠松 紀雄 冨田 和宏 半澤 儁 籾木 茂 佐々木 一義 玉地 義弘 岡本 一也
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.22-27, 1996-01-25
参考文献数
10
被引用文献数
1

胸部X線写真, 胸部CTにて空洞性病変を疑い, 気管支鏡で空洞を直視し得た肺扁平上皮癌の2例を経験した。空洞形成機序を含め, 若干の文献的考察を加えて報告する。症例1は60歳, 男性。両上肺野に巨大嚢胞が認められ, 喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。気管支鏡検査にて左上葉支入口部より空洞内腔を直視した。症例2は63歳, 男性。胸部異常陰影の精査のため気管支鏡検査施行, 右上葉支入口部より空洞内腔を直視し, 気管支と空洞の交通部から中枢側に癌の直接浸潤が認められた。検査後の喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。剖検では両症例とも空洞壁及びそれに交通する気管支に広範な壊死を伴う癌の浸潤が認められた。両症例とも嚢胞壁に癌が発生し, これが増大, 周囲に浸潤し, 壊死を生じて, 気管支に開通したものと考えられた。
著者
田口 真奈 出口 康夫 赤嶺 宏介 半澤 礼之 松下 佳代
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.91-111, 2010-12-01
被引用文献数
2

The PPF program of the Graduate School of Letters, Kyoto University, is one of pioneering attempts of PPF in Japanese universities. This paper aims to describe the program against its international and national backgrounds, to evaluate it on the basis of, among others, interviews of its participants, and to outline its future prospects. The program started in 2009, and now it is in its second year. It was planned and run by a project team that consisted of staff of the Center for the Promotion of Excellence in Higher Education and the Graduate School of Letters. The authors of this paper are among its members. The program is also authorized and supervised by the committee of Faculty Development of Kyoto University. In 2009, 30 lecturers took part in the program. They were former students of the Graduate School of Letters, and taught as part time lecturers in undergraduate courses of the Faculty of Letters. The program was designed to be an example of mutual FD in which each lecturer was expected to peer review the classroom performances of his or her fellow lecturers. To carry out the task of mutual peer review, lecturers were asked to attend several lectures of their colleagues, discussion meetings that followed immediately after each lecture, and a half-day teaching seminar that was held at the end of the entire lecture series. Our research revealed that most participants positively and highly evaluated this program as a precious opportunity for improving their teaching skills. They also found that the program provided them with mental support and encouragement for their carrier making. Admittedly, follow up studies are needed to assess whether this program really contributed to the development of participants' teaching abilities. It remains a problem how to sustain this program and to incorporate it into a regular graduate school-level curriculum of teaching training.
著者
永野 和男 大谷 尚 岡本 敏雄 吉崎 静夫 藤岡 完治 生田 孝至
出版者
鳴門教育大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

若い学問としての教育工学は,概念規定を性急に行うよりは教育分野におけるさまざまな問題解決を繰り返し,その中で徐々に,その対象や方法を明らかにしていくという方略で発展してきた。しかし,その後,コンピュ-タの普及によって,研究の対象や方法がさらに拡大し,これまでの枠組みだけでは通用しなくなってきている領域もある。そこで,この段階で,それぞれ第1線級で活躍している若手研究者が中心になって,これまでの研究をレビュ-し,研究方法論そのものについてその方向性を明確にしておくことは極めて重要な研究課題であった。研究の方法としては,分担者全員による合宿研究会を企画し,討論を中心として問題点を掘り下げていくという方法をとった。第1年次においては,2回の合宿研究会,教育工学会の自主シンポジウムなどを企画し,その内容についてまとめた記録を中間報告書「教育工学の研究方法を考える」として印刷し,検討資料として教育工学関係の研究者約200名に配布した。また、今年度は,それぞれの研究者集団を授業研究、システム開発、基礎研究の3つのグル-プにわけ、それぞれの研究方法を軸としながら、教育工学が求めている研究者像を明らかにし,その具体的な研究者養成カリキュラムを考えていくという方向で検議を進めていった。これらの討論記録は、中間報告書と最終報告書にまとめ教育工学の研究者約300名に配布した。報告書では、教育工学が単に1つの方法論をもった研究集団ではなく、別々の方法論と対象をもった研究者の集まりであることや、教育工学の研究開発と実践研究との問題、基礎研究と実用研究の問題など幅広い論議がなされているだけでなく、問題解決のための具体的な提案、研究者養成のための内容や方法などの提案もなされており、我が国の教育工学の学術的発展にとってきわめて意義深い成果が得られた。