著者
古賀 健司 櫻井 宏昭 越崎 直人 平澤 誠一 飯塚 飯塚
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

Cu-Au 合金ナノ粒子の気相中熱酸化によって生成された、精密構造制御された2種類のAu-Cu_2O ハイブリッドナノ粒子について、閉鎖循環反応装置による CO 酸化触媒活性の定量測定を行った。その結果、Cu_2O に対して相対的に Au が小さい目玉型形態を示す粒子よりも、Auが相対的に大きいドングリ型形態の粒子の方が、著しく高い触媒活性を示し、触媒活性と構造形態との強い相関を示す予備的な結果を初めて得ることができた。
著者
吉田 昌之 大田 伊久雄 栗原 伸一 大江 靖雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,近年の深刻な景気低迷のなかにあっても,女性の社会進出や単身世帯の増加等を背景とした食の外部化を反映し,市場拡大を続けている弁当類や調理パン,惣菜等の,いわゆる「中食」について,主に消費行動の観点から国内外の現状を調査・分析したものである。3年計画の標題研究のうち初年度は,まず中食先進国の一つであるイタリア(ペルージア)の大学生に対してアンケート調査を行った。その結果,中食の選好要因として「便利さ」はそれほど高くなく,わが国においてそれが重要な購買要因になっているのとは大きな相違があることが分かった。その原因の一つには,親と同居している地元通学の学生が半数近くに達していることなどが考えられた。研究2年目は,わが国の外・中食産業に価格破壊の波を起こしたファーストフード,その中でも最大の売上高で業界の低価格戦略をリードし続けている「マクドナルド」と,それに対してハンバーガーチェーンとしては最大の店舗数を誇り食材へのこだわり路線で健闘している「モスバーガー」の消費者を対象に調査・分析を行った。その結果,マクドナルドでは中学・高校または男性サラリーマンといった外食依存度が高く低価格を指向している消費者が,モスバーガーではOLなど20歳前後の女性が消費の中心となっていることが分かった。そして研究最終年度は,前年度までに行ってきた調査研究を出版物として公開すると同時に,今後中食の有力な販売チャネルとなると考えられるオンライン直販についての調査や,農産物加工食品を農家民宿で販売した場合の経済波及効果などについても研究を行った。更に,家計調査データを用いて,内・中・外食需要の要因分析を行った結果,中食需要の増大要因は,都市化と消費支出であり,価格は大きな阻害要因とはなっていないことが明らかになった。以上のように,計画された3年間の標記研究により,中食のさらなる発展の可能性が裏付けられた。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011-04-20
参考文献数
33

トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり,微生物や昆虫では,エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方,植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから,長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され,高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし,植物中の蓄積量は極微量であり,貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で,トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では,植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
著者
今井 亮三 島 周平 藪内 威志 加藤 英樹 松井 博和
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-152, 2011
参考文献数
33
被引用文献数
1

トレハロースはグルコースがα,α-1,1結合した二糖であり, 微生物や昆虫では, エネルギー源や乾燥等からの生体膜やタンパク質の保護物質として働くことが知られている。一方, 植物においてはトレハロースの検出が困難であったことから, 長い間トレハロースの生合成は否定されてきた。90年代後半に植物から初めてトレハロース生合成遺伝子が単離され, 高等植物中にもトレハロースが存在することが明らかになった。しかし, 植物中の蓄積量は極微量であり, 貯蔵糖やストレス保護物質であることは考えにくい。最近の研究で, トレハロースの生合成が植物の発生やストレス応答において重要な調節機能をもつことがわかってきた。特にトレハロース6-リン酸が植物の糖代謝において重要なシグナル物質であることが明らかになりつつある。本稿では, 植物においてトレハロース生合成が示すユニークな機能を紹介する。
著者
平野 恒夫 長嶋 雲兵 鷹野 景子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本年度は、1)剛体近似の代わりに分子自由度を許す分子性結晶構造予測プログラムMDCPを作成し、テストとしてアルコールなど若干の分子に適用して期待した成果を得た。2)MDCPプログラムの並列化をほぼ終了した。3)ab Initio分子軌道法の分子動力学への導入分子動力学の最大の問題点はいかにして良いポテンシャル関数を手に入れるかという問題である。我々は、力を分子軌道法で求めながら分子動力学の各タイムステップを進めていく方法をとることを考えていたのであるが、まず手始めに、炭酸ガスの分子性結晶の構造を化学式CO_2のみから予測することを試みた。すなわち、炭酸ガス分子の2量体に関する相互作用エネルギーを高精度のab Initio分子軌道法で求めてexp-6型のポテンシャル関数にフィットし、その結果得られたポテンシャル関数を使ってMDCPによる分子性結晶の構造予測をやってみたところ、常圧および高圧での結晶構造、および10万気圧あたりから始まる相変化まで十分な精度で予測出来ることが判明した。なお、本来の目的は、分子集合体についての分子動力学計算において、ポテンシャル関数を使うかわりに、分子動力学の各ステップで量子化学的に力を計算することにあるので、計算が早く、かつ精度がよいという密度汎関数法の適用を考え、予備的な計算を行った。
著者
鈴池 静
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010-03

制度:新 ; 報告番号:甲3096号 ; 学位の種類:博士(公共経営) ; 授与年月日:2010/2/27 ; 早大学位記番号:新5363
著者
恒川 元行
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の成果は、以下の4 点である : (1)ドイツ語辞書記述(独和、和独)の土台となる語彙データ入手手順の確立および語彙調査支援ソフトの開発、(2)5つのテキストを対象にした語彙調査の実施、(3)独自の語彙調査結果を検証・補足する目的での大規模ドイツ語コーパス(ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミーのDWDS コーパス等)の利用法調査、(4)平成21年度科研費基盤研究(C)「ドイツ語テキスト及び文における語彙出現予測分析とその和独辞典・教材への応用」(研究代表者:三重大学人文学部・井口靖教授)への展開。
著者
西村 ミチ江
出版者
日本農村生活学会
雑誌
農村生活研究 = Journal of the Rural Life Society of Japan (ISSN:05495202)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.26-31, 1996-12-01
被引用文献数
1
著者
長岡 伸一 長嶋 雲兵 向井 和男
出版者
愛媛大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

分子の光化学反応は,その分子の励起状態の性格に大きく依存する。励起状態の波動関数の性質とその状態で起こる光化学反にはどのような関連があるのかを研究することは,微視的な電子の動きが結果として現われる反応にどのように影響するかを理解する上で興味深い。そこで本研究では,特定の電子状態に選択的に励起するとどのような光化学反応が起こるかを主に発光分光法を用いて研究することを目的とする。本研究を遂行するために,定常光照射の発光分光測光システム及び時間分解発光分光測定システムを製作した。そのための発光側分光器,光検出器及び制御装置を購入した。励起光源と励起側分光器は,既存のものを用いた。新たに製作した定常 光照射の発光分光測光システムは,従来のものに比べて飛躍的に感度が高く,研究能率が著しく向上した。サリチルアルデヒド関連分子の第一第二励起一重項状態からの発光を観測し,プロトン移動反応の励起状態依存性について議論することができた。また,理論的研究の結果,有機分子の光化学反応への波動関数の節の効果を見い出した。さらに,サリチルアルデヒド関連分子の低位三重項状態とイオン状態のプロトン移動,2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールと2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾキサゾールと2,2'-ビピリジル-3,3'-ジオールの最低励起三重項状態のプロトン移動,カロテノイドの第一第二励起一重項状態からの緩和機構への溶媒効果,ピリジン類のりん光が極めて弱い理由の解明などに関する研究成果を得た。本研究に関して,日本化学会より「化学のフロンティアVII」に選出され,また「若い世代の特別講演者(第6回)」に選ばれた。さらに,アメリカ化学会発行の「The Journal of Physical Chemistry」の特集号に招待論文を執筆した。(95巻10229〜10235頁、1991年)。
著者
Ángel López-Cuenca Sergio Manzano-Fernández Francisco Marín Soledad Parra-Pallares Marina Navarro-Peñalver Salvador Montalban-Larrea Jose M. Andreu-Cayuelas Ana I. Romero-Aniorte Francisco Avilés-Plaza Mariano Valdés-Chavarri James L. Januzzi Jr
出版者
日本循環器学会
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-13-0106, (Released:2013-05-23)
参考文献数
24
被引用文献数
4 5

Background: Beta-trace protein (BTP) and cystatin C (CysC) are novel biomarkers of renal function. We assessed the ability of both to predict major bleeding (MB) in patients with non-ST-segment elevation acute coronary syndromes (NSTE-ACS), compared to other renal function parameters and clinical risk scores. Methods and Results: We included 273 patients. Blood samples were obtained within 24h of admission. The endpoint was MB. During a follow-up of 760 days (411–1,098 days), 25 patients (9.2%) had MB. Patients with MB had higher concentrations of BTP (0.98mg/L; 0.71–1.16mg/L vs. 0.72mg/L, 0.60–0.91mg/L, P=0.002), CysC (1.05mg/L; 0.91–1.30mg/L vs. 0.90mg/L, 0.75–1.08mg/L, P=0.003), higher CRUSADE score (39±16 points vs. 29±15 points, P=0.002) and lower estimated glomerular filtration rate (eGFR; 66±27 vs. 80±30ml·min–1·1.73m–2, P=0.02) than patients without MB; there was no difference in creatinine level between the groups (P=0.14). After multivariable adjustment, both were predictors of MB, while eGFR and creatinine did not achieve statistical significance. Among subjects with eGFR >60ml·min–1·1.73m–2, those with elevated concentrations of both biomarkers had a significantly higher risk for MB. Net reclassification indexes from the addition of BTP and CysC to CRUSADE risk score were 38% and 21% respectively, while the relative integrated discrimination indexes were 12.5% and 3.8%. Conclusions: Among NSTE-ACS patients, BTP and CysC were superior to conventional renal parameters for predicting MB, and improved clinical stratification for hemorrhagic risk.
著者
西田 誠
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

健診において頸動脈の動脈硬化を進行させる可能性のある種々の新規マーカーおよび生活習慣を検討した。腸から吸収される脂質のマーカーであるアポB48は、動脈硬化な相関がなかったが、非肥満者に限ると有意な相関を示し、特定健診で抽出されない集団での動脈硬化評価に有用である可能性を示した。また今回調べた酸化ストレス等のマーカーは危険因子との関連が見られたが、短期間の動脈硬化進行に大きくは寄与しなかった。しかし喫煙は短期間の動脈硬化進行に深く関与することを明らかにし、早期の介入の重要性を示した。
著者
林田 文郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.212-220, 2000-03-15
参考文献数
41
被引用文献数
5 3

岩地湾のアマモは, 水深3∿11mの範囲に生育し, 生育下限の水深12mでの相対照度は11%であった。現存量および葉面積指数は, 7月に最大となり, それぞれ888g。生重量/m^2(水深7m), 約3(水深10m)を示した。生殖株の出現率は6月で最も高く, 水深7mでは36%であった。岩地湾のアマモは, 7∿10mの深所で生育が良く, その主な理由としては, 透明度が極めて高く, また日照時間と日射量のいずれも, 他府県とくらべて高い値を示すという, 自然環境特性によるものと推察される。
著者
中村 博 島野 毅八郎 森田 四郎 五月女 茂 田中 昇
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-25

1.剖椥列.60才,男,昭和34〜37年まで肺結核.47年7月より左視力低下,眼痛あり,両鎖骨下リンパ節腫大.右上肺野陰影拡大.リンパ節病理所見は腺癌を混じえた類表皮癌.コバルト照射,抗癌剤を併用,患者の強い希望で左眼全摘後,癌性心のう炎をおこし9月25日死亡.部倹で肺は陳旧性結核病巣疲痕を混ずる腺癌で,一部類表皮型.眼球は異型の著しい未分化癌と腺癌で原発肺癌の像に一致する.2.非剖検例。76才,男,昭和46年3月より左眼痛.8月全摘,転移性腺癌といわれ,内科で左肺の貨幣状陰影を原発と考え,コバルト照射,抗癌剤併用するも,47年1月より悪化,4月死亡せり.眠症状を初発とする原発性肺癌は稀なものといわれているが,肺癌の増加と共に,頻度も上昇すると考え呈示した.
著者
OTABE Tanehisa
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部美学芸術学研究室
雑誌
JTLA : Journal of the Faculty of Letters, the University of Tokyo, Aesthetics (ISSN:03862593)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.41-53, 2011-03-24

Wie konnte Leibniz'rationalistische Philosophie der Ästhetik zugrunde liegen, die durch Baumgarten als Wissenschaft von der sinnlichen Erkenntnis (scientia cognitionis sensitivae) (Baumgarten, Aesthetica, SS1) definiert wurde? Um diese Frage zu beantworten, geht es im Folgenden darum, Leibniz'Theorie der "petites perceptions", die er über verschiedene Schriften und Aufsätze verstreut dargestellt hat, systematisch zu rekonstruieren, darin eine theoretische Grundlage für die Entstehung der Ästhetik in der zweiten Hälfte des 18. Jh. zu suchen und die Ästhetik jenseits von Kunsttheorie bzw. Kunstphilosophie als eine Suche nach dem "Grund der Seele" zu erweisen.