著者
高橋誠著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2011
著者
笠井 淳司 新谷 紀人
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.281-285, 2007 (Released:2007-10-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

ヒトゲノム解読の完了や科学技術の進歩により,生体内において様々な機能未知分子が同定されるようになってきた.これら分子の生理・病態的役割の解明において,分子に対する特異的作用薬(作動薬・拮抗薬)がない場合,当該分子あるいはその機能発現に関わる分子群の遺伝子改変動物,特に遺伝子改変マウスの表現型解析からのアプローチが有用とされている.本研究手法は,マウスの表現型異常の原因を遺伝子の改変に帰することができることから,異常が認められた表現型と遺伝子との直接的因果関連を実証できるだけでなく,予想外の表現型の同定によって,当該遺伝子の新規機能を導き出せる可能性を秘めている.しかし,従来の表現型解析では,主に目的とする表現型のみに注目した研究がなされ,他の表現型が無視される傾向にあったことや,表現型解析を行う場合には多くの実験装置や熟練した技術が必要であることなど,いくつかの問題点があった.これらを考慮し,簡易かつ迅速に遺伝子改変マウスの表現型を抽出し,網羅的に解析する方法として考案されたのがSHIRPA法である.本法は,三段階のスクリーニング系からなり,特に一次スクリーニングは遺伝子改変マウスの行動学的表現型を迅速に評価できる方法として有用である.本稿では,神経ペプチドPACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)の遺伝子欠損マウス(PACAP-KO)における解析結果を例に,SHIRPA一次スクリーニング法の利用の実際を紹介する.
著者
長谷川 次郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.361-362, 1970-02

発表要旨彙報
著者
山口 政之
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.310-311, 2010-07-20
著者
澤井 一彰
出版者
財団法人東洋文庫
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

最終年度である平成23年度は、これまでの研究成果の公表と、今後の新たな研究のための史料調査が活動の中心となった。共著としては、2012年3月に山川出版社から出版予定の『オスマン帝国史の諸相』に、博士論文の一部である「穀物問題に見る16世紀後半のオスマン朝と地中海世界」が採録された。同論文は、16世紀後半の地中海世界における物資流通と国際関係のかかわりを、穀物問題に焦点をしぼることによって解明することを目指したものである。国内における研究発表としては、拡大地中海史研究会において、「16世紀後半の東地中海世界における「穀物争奪戦」-エマール=ブローデル・テーゼの再検討-」と題する報告を行った。博士論文の一部でもある同報告は、モーリス・エマールとフェルナン・ブローデルによって主張されてきたテーゼを再検討したものである。また、羽田正東京大学教授を代表とする基盤研究(S)「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」において、「16世紀後半のオスマン朝における飲酒行為をめぐる諸問題-多元的社会における「価値」を考える-」と「イスタンブルへの穀物供給に見る「伝統」と「近代」」と題した報告を行った。さらに、山川出版社から刊行されている『歴史と地理世界史の研究』には、イスタンブルの歴史を様々な著作を挙げつつ紹介する「イスタンブル歴史案内」が掲載された。今後の研究に向けての史料調査では、2011年8月14日から9月2日までトルコ(イスタンブル)とアイルランド(ダブリン)を、2012年1月15日から2月3日まではトルコ(イスタンブル)とイギリス(ロンドン)をそれぞれ訪れ、現地の文書館や図書館において関連史料の調査収集を行った。以上が、平成23年度の研究実績の概要である.
著者
白石 晃一
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.125-142, 2008-03-31

英国イングランドの中等学校義務教育課程後期段階(第4段階,第10・11学年,14〜16歳)の公民科における地球環境問題学習についての研究である。まず,英国の中等学校公民科教育の実情を教育水準局(Ofsted)報告書(2006年9月)に関する新聞記事に見た。優れた学習指導をおこなっている学校もあるが,4分の1の学校で基準に達していないとのことである。そこで,公民科教育の終点に置かれる「地球環境問題」学習を取り上げ,低水準の学習展開例を市販の学習参考書で確認した。重要語句・重要事項説明の書き写し練習と暗記という学習である。その上で,能動的な学習を提唱する教科書における地球環境問題学習を検討した。地球環境問題学習単元の公民科学習内容における位置づけについて,また学習単元「地球環境問題」の展開について,その学習活動例に注目して,調査した。そして,能動的学習の展開の模索という面で,日本の公民科教育と地球環境問題学習にとって参考になる,との結論をえた。
著者
黒田 有寿茂 石田 弘明 服部 保
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.159-167, 2011-11-30

水湿地に生育する絶滅危惧植物ツクシガヤ(イネ科)の保全に向け、その種子発芽特性と種子保存方法を明らかにするために数種の発芽試験を行った。段階温度法による試験の結果、本種は散布された段階では休眠状態にあり、休眠解除には2〜3週間程度の冷湿処理が必要であること、高温により二次休眠が誘導される性質をもつこと、発芽可能な温度域の下限は20℃付近にあることが示唆された。これらの結果から、本種の種子は秋季に散布された後、冬季に休眠解除され、春季に発芽していると考えられた。前処理の水分条件を変えた試験の結果、数ヶ月の冠水は種子の発芽能力に負の影響を及ぼさないこと、発芽時の水位条件を変えた試験の結果、数cmの冠水は種子の発芽を妨げないことがわかった。これらの水分・水位条件に対する性質は、頻繁に冠水する水湿地で定着するための有効な特性と考えられた。保存条件を変えた試験の結果、本種の種子の大部分は、遮光アルミパックへの抜気封入処理により、少なくとも3年は発芽能力を保持することが確認された。本種の保全に向けては、現存個体群の保護、生育立地の維持と共に、抜気封入処理による種子保存を補完的に進めていくことが有効といえる。
著者
内藤 和明 菊地 直樹 池田 啓
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.181-193, 2011-11-30
被引用文献数
1

2005年の豊岡盆地におけるコウノトリCiconia boycianaの放鳥に続き、2008年には佐渡でトキNipponia nipponが放鳥されるなど、絶滅危惧動物の再導入事業が国内で近年相次いで実施されるようになってきた。飼育下で増殖させた個体の野外への再導入事例は今後も増加していくことが予想される。本稿では、豊岡盆地におけるコウノトリの再導入について、計画の立案、予備調査、再導入の実施までの経過を紹介し、生態学だけでなく社会科学的な関わりも内包している再導入の意義について考察した。再導入に先立っては、IUCNのガイドラインに準拠したコウノトリ野生復帰推進計画が策定された。事前の準備として、かつての生息地利用を明らかにするコウノトリ目撃地図の作製、飛来した野生個体の観察による採餌場所の季節変化の把握、採餌場所における餌生物量の調査などが行われた。豊岡盆地では、水田や河川の自然再生事業と環境修復の取り組みが開始された。予め設定した基準により選抜され、野生馴化訓練を経た個体が2005年から順次放鳥され、2007年からは野外での巣立ちが見られるようになった。コウノトリは多様なハビタットで多様な生物を捕食しているので、再導入の成否は生物群集を再生することにかかっている。このことは、地域の生物多様性の保全を通じて生態系サービスを維持するという地域社会に共通の課題にも貢献することになる。
著者
小松 昭英
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
一般社団法人国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.129-140, 2011-10-01

今や、地球社会は自然資源の枯渇、地球温暖化、自然環境の劣化などの諸問題に当面している。さらに、我国には経済力の相対的低下に加えて、巨大な自然災害にも見舞われ、広域にわたる地域社会の再建が焦眉の急となっている。一方、プロジェクトマネジメントの世界では、プラント建設プロジェクトや情報システム構築プロジェクトに比べて、社会システムを直接対象とする一般的枠組みについて十分に議論されてこなかった。そこで、企業、行政などのプロジェクトドメインに、あらたに企業、行政、住民を対象とする社会ドメインも加え、システムズ・アプローチによる、社会システムのスキームモデル構築について検討する。
著者
脇田 滋 木下 秀雄
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、介護労働者の雇用をめぐる現状を把握し、それを歴史的な発展のなかで位置づけるとともに、ヨーロッパを中心とする先進諸国での立法政策との比較を通じて、日本における問題の解決に向けて、法理論的な課題を明らかにしようとするものである。この目的のもと、平成7年度から平成8年度にかけて2年間にわたって在宅福祉を支えるホームヘルパーを中心に、(1)在宅福祉サービスをめぐる動向、(2)派遣型介護労働者の雇用をめぐる労働条件の実情把握、(3)比較法の視点から派遣型介護労働者をめぐる立法政策の課題を中心に研究を進めた。実態調査としては、京阪神地区以外に、金沢、岡山、福岡、横浜、東京都等の地域福祉における介護従事者についての実態調査に重点をおき、家政婦紹介所関係者、職業安定業務従事者、ホームヘルプ労働者などから「聞き取り調査」を行った。その結果、ホームヘルパーの地位は、(a)常勤の公務員、(b)非常勤の公務員、(c)社会福祉協議会等民間団体による常勤職員、(d)同登録・非常勤職員、(e)有料職業紹介による家政婦に、複雑に分化していることが確認できた。全体として「ホームヘルパは在宅介護のかなめ」と指摘されてきているが、実態は必ずしもそうした指摘にふさわしいものとなっていない。在宅福祉の要であるホームヘルパーの雇用条件を抜本的に改善するためには、日本に特有な非正規雇用による現状を改める必要がある。とくに、雇用管理をめぐる責任とサービス提供の責任との交錯をめぐる検討は皆無に近いので、この点についての本格的な比較研究は今後の大きな課題として位置づけられる。
著者
中島 義和 山田 和雄 甲村 英二 藤中 俊之 吉峰 俊樹
出版者
日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.443-447, 2004-11-30

AVMに対する治療として安全に施行されれば外科的全摘出が現在最も確実なものと考えられる.AVMの全摘出の確認には脳血管造影検査がgold standardと考えられるが,術後脳血管造影検査にて全摘出を確認したにもかかわらず再発する例が存在することが報告されている.今回私どもは,開頭摘出術後の脳血管造影検査にて全摘出が確認された小児AVM例で,その後の経過中にAVMが再発した2例を経験した.このような症例への対応,問題点について文献的考察を加え報告する.<症例1> 男児.初発時年齢5歳.昭和62年3月,頭痛発作が出現.翌日も頭痛継続するため近医を受診したところ,左後頭葉に脳室内出血を伴うAVMが指摘された(Fig. 1).脳血管造影検査で左後大脳動脈分枝をmain feederとするparasplenial AVMが認められた.左内頸動脈後交通動脈分枝部に,4mm大の嚢状動脈瘤も認めた.同年4月同AVMに対し摘出術施行するも全摘には至らず,当科にて同年5月残存AVMの全摘出術を施行した.すなわち,feederである後大脳動脈分枝とchoroidal arteryを確認,凝固しAVMを周囲から剥離すると,脳室壁を走っていたdraining veinが変色したので,この時点でdraining veinを凝固切断し,AVMを全摘出した.
著者
高橋 政美
雑誌
鉄道と電気技術 (ISSN:09159231)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.64-65, 2000-10-31
著者
北吉 均 澤谷 邦男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.674, pp.179-184, 2005-02-25
被引用文献数
2

950MHz帯4W EIRP及び2.45GHz帯RCR STD-1規格で, それぞれ30mまで通信可能な温度センサ付きパッシブ無線タグを開発・試作している.我々は, 無線タグに2分割マイクロストリップ3端子アンテナと受電部のλ/4ショートスタブ共振回路及びラダー昇圧整流回路を用いることを提案している.まず, 2分割マイクロストリップ3端子アンテナを提案し, 従来のダイポール型に比べて無線タグからの応答信号強度を約10dB強くすることができることを示している.また, このアンテナを用いることにより, 従来は利用が難しかった比較的大きな容量性の可変インピーダンス素子を応答用に利用することが可能となり, 無線タグの小電力化と低電圧動作を実現できることを示している.無線タグの受電部は, 入力インピーダンス50Ωで動作し, -20dBmのRF入力を無線タグ応答回路の動作条件である0.6V, 2μAまで昇圧整流することができることを明らかにしている.試作された無線タグのサイズは, 950MHz帯が名刺サイズ, 2.45GHz帯が名刺の1/4の面積である.
著者
鯉渕 道紘 松谷 宏紀 天野 英晴 D.FrankHsu Henri Casanova
雑誌
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.85-92, 2012-01-17

メニーコア並列アプリケーションと高性能計算機の大規模化が進むにつれて性能への通信遅延の影響が大きくなってきている.そのため,高性能計算システムでは高次元スイッチを用いた低遅延トポロジの活用が重要となりつつある.そこで,本研究では,典型的なトポロジにランダムなショートカットリンクを加えたトポロジを探求する.N 台の次数kのスイッチで構成されたトポロジにおいてランダムなショートカットリンクは,直径を理想値である logk N に近づけ,平均距離,トポロジの拡張性,耐故障性をスモールワールド効果により改善する.グラフ解析の結果より,ランダムなショートカットリンクは,規則的にショートカットリンクを付加した場合と比べて,直径と平均距離を最大 8 倍改良することが分かった.また,フリットレベルシミュレーションの結果より,ランダムなショートカットリンクは遅延を 35% 削減し,ハイパーキューブなどの同じ次数を持つ規則的なトポロジと同程度のスループットを達成した.