著者
Heer VYAS Subir DAS Shashank MEHTA
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.642-651, 2011 (Released:2011-10-15)
参考文献数
43
被引用文献数
15 25

Mechanics are exposed to varied work stressors such as hot noisy environments, strenuous postures, improperly designed tools and machinery and poor psycho-social environments which may exert an influence on their health and safety. The study aimed to examine the occupational injury patterns and identify work stressors associated with injury amongst automobile mechanics. A descriptive ergonomic checklist and questionnaire on general health and psycho-social issues were administered to male workers (N=153). The relative risk factors and correlation statistics were used to identify the work stressors associated with occupational injury. 63% of the workers reported injuries. Cuts were the chief injuries being reported. Poor work environment, machinery and tool characteristics, suffering from poor health and psycho-social stressors were associated with injury occurrence amongst automobile repair workers.
著者
ビアルケ(當山) 千咲
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.7, pp.87-105, 2011-03-31

多言語環境に暮らす家族が子どもへの少数言語の継承を望み言語選択をしても、現実にはそれが困難である場合が少なくない。本稿は母語/継承語の保持に重要な影響を与える家庭の言語使用に焦点を当て、母語/継承語の使用を困難にする諸要因の特定を試みた。具体的には、家庭で母語/継承語を使用する生徒の低ドイツ語力が近年問題化しているドイツを取り上げ、3校の母語/継承語補習校(日本語、ポーランド語、ロシア語)の生徒を対象とする質問紙調査のデータを分析した。その結果、生徒の4分の3は高いドイツ語力をもち、半数はドイツ語力も母語/継承語力も高いこと、家庭での母語/継承語使用量は彼らの母語/継承語力と関連しているが、ドイツ語力とは関連していないことが分かった。また少数言語母語話者の親のドイツ語力が高く、その配偶者の少数言語力が低く、子どもがドイツ生まれの場合、特にドイツ語使用にシフトする傾向が明らかになった。
著者
久木野 睦子 久木野 憲司
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.751-757, 1995-08
被引用文献数
2

本研究では,生きたイカ(Sepioteuthis lessoniana)の外套膜を試料として,醤油や食塩水で加熱することによって生じる筋組織構造の変化と物性の変化を調べた.生イカの定速圧縮破断試験では,輪走筋方向に破断した方が輪走筋を横断して破断するよりも破断エネルギーは大きかった.水および各種濃度(0,1,4,22%w/v)の食塩水で加熱したイカの筋組織は,いずれの場合も,筋原線維が顕著に凝縮されている一方で,隣接する筋線維間には著しい乖離の生じていることが観察された.加熱イカ肉を輪走筋方向に破断した試験では水およびいずれの食塩濃度で加熱した場合でも著しい破断エネルギーの低下がみられたが,輪走筋を横断して破断した場合には破断エネルギーの低下はごくわずかであった.一方,醤油で加熱したイカの筋組織は,筋原線維が著しく凝縮するとともに筋線維間も密に密着しており,筋層全体が濃縮された構造が観察された.また,輪走筋方向の破断試験では著しい破断エネルギーの低下がみられたが,輪走筋を横断して破断した場合では生イカよりも有意に高い破断エネルギーが示され,このときの応力-歪み曲線は強い脆性破断の傾向を示していた.
著者
三井 利幸
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.811-817, 2008 (Released:2008-11-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1

主成分分析法による混合物の非分離定量法は,既に主成分回帰分析(PCR)に応用されているが,PCRでは3種類以上の化合物が混合している場合には,混合比の明らかな多数の既知試料で検量線を作成しても精度の良い定量結果を得ることは困難である.それに対し,混合している可能性のある各化合物の純品と未知試料で主成分分析を行い,得られた最終主成分の既知試料の主成分得点を用いて定量する本方法は,複数の化合物が混合している未知試料中の各化合物の混合比を精度良く定量できる方法である.本方法を質量分析の測定値に応用したところ,有機溶媒中の各化合物の混合比を極めて精度良く定量できることが明らかとなった.更に,本方法を回収された有機溶媒の産業廃棄物に応用したところ,迅速に精度良く定量できた.
著者
平井 英明 関本 均 斎藤 高弘 一前 宣正 伊谷 樹一 平井 英明
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

植物根圏はある土壌環境に生育する植物の個有の領域であり、いわばいろいろな表情を見せる植物と土壌の顔である。根圏のpHは植物の栄養条件の嗜好性や選択性によって独特のパターンを示す。また、根圏pHの変化はある栄養環境にさらされた時の植物の一つの応答でもある。したがって、根圏pHは、因果関係の特定はできないが、植物の栄養状態を把握するためのマクロな指標、いわば根圏の「顔色」と位置づけられる。そこで根圏pHに着目し、その変化のパターンを画像として観察し、土壌一植物系の栄養状態を評価する方法を考案した。作物、雑草、緑肥用植物などの硝酸態窒素とアンモニア態窒素の嗜好性を調べた。また、アミノ酸やタンパク質を窒素源とした場合の植物根圏pHの変化、鉄欠乏植物の植物根圏pHの変化、リン酸欠乏および難溶性リン酸塩に対する植物pHの変化について観察した。コムギは硝酸態窒素が多い培地にあってもアンモニア態窒素などのカチオンの吸収能力が高いため、コムギの根圏pHは水耕液供給後、一旦低下した後に再び上昇する。一方、ハクサイは窒素源として硝酸態窒素が多い培地におけるアンモニア態窒素などのカチオンの吸収能力はコムギほど高くないため、根圏pHは常に上昇すると解析した。検定した植物の多くはコムギと同じタイプであること、マメ科植物の根圏pHは低いこと、鉄欠乏やリン酸欠乏によって根圏は酸性化されること、難溶性のリン酸塩に遭遇すると根圏pHは低下することを明らかにした。従来、根色などを「定性的」に評価して、根の健全性を判断してきたが、画像処理を用いることによって[定性的」な判断を「定量化」することができる。画像には多くの情報が含まれるので、画像処理法は現場での土壌・作物の栄養診断技術への活用が期待される。
著者
佐藤 幹雄 佐藤 理夫 尾形 宏樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.245, 2011 (Released:2011-11-07)

福島市の南東地区にある農地で放射線除去の実験を行った。この農地は1年間休耕地だったものだ。実験が進むにつれ放射能の実態が少しづつ明らかになるとともに放射能の手に負いにくさも明らかになる。放射能をできるだけ動かさない形を選んだが、早い結論には表面5cm程度をひき剥がすのが確実のようだ。
著者
藤田 早苗 Kevin Duh 藤野 昭典 平 博順 進藤 裕之
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.273-291, 2011 (Released:2011-10-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本稿では,訓練データの自動拡張による語義曖昧性解消の精度向上方法について述べる.評価対象として,SemEval-2010 日本語語義曖昧性解消タスクを利用した.本稿では,まず,配布された訓練データのみを利用して学習した場合の結果を紹介する.更に,辞書の例文,配布データ以外のセンスバンク,ラベルなしコーパスなど,さまざまなコーパスを利用して,訓練データの自動拡張を試みた結果を紹介する.本稿では,訓練データの自動獲得により 79.5% の精度を得ることができた.更に,対象語の難易度に基づき,追加する訓練データの上限を制御したところ,最高 80.0% の精度を得ることができた.
著者
片岡 杏子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.28, pp.131-142, 2007-03-31

近年,国内の美術館を中心に盛んに行われる「ワークショップ」は,学校教育における教科学習としての制約がなく,多様な人々の関わりを許容するという点において,極めて発展的な可能性を持つ活動手法である。しかし,それは社会教育として広まりながら,必ずしも教育方法として確立されているとは言い難い。本橋では,はじめに近代以降における美術館の普及と美術教育の展開を振り返り,我が国の公共的場面における「美術」の在り方を探るとともに,「ワークショップ」が流行に至った背景をまとめる。次に,ワークショップが今後,社会教育としてさらに広まる可能性を念頭に置き,教育として成立するための諸条件として,「地域社会における日常への浸透」と「単発的教育手法としての確立」を提示し,実践事例を取り上げながら検討する。最後に,今後望まれる役割についてまとめる。
著者
平田 好則 西山 宏昭 宮坂 史和
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,これまで我々が取り組んできた,電界放出およびそれに続くマイクロプラズマ生成による材料加工プロセス(マイクロ熱加工)の更なる高度化を目指して,高い構造形成自由度を有するフェムト秒レーザ光造形法を駆使することで,マイクロ熱加工用素子の開発を行った.以下に得られた知見を示す.1. フェムト秒レーザによるレジストパターニングフェムト秒レーザ誘起非線形光吸収とエッチングプロセスを複合化することで,従来の半導体プロセスでは困難であった,立体基板上への構造形成を実現した.2. カーボンナノチューブを先端部に位置選択合成した針状微細電極電界放出特性に優れたカーボンナノチューブを前面に合成した針状微細電極を用い,電極先端部の曲率,被加工試料とのギャップ長,印加電圧をパラメータとして変化させ,金薄膜に電界放出による直接加工を行った.曲率と印加電圧が大きいほど,また,ギャップ長が小さいほど,加工は容易であり,直径2μm程度の円形パターンを形成した.電極先端部1μm程度の領域のみナノチューブを合成した電極では電界放出によってサブミクロンオーダでの直接加工を実現した.3. アレイ型マイクロプラズマ源半導体プロセスによってSiウェハー中に作製したホローカソード型微細電極(直径30μm)をアレイ化し,大気圧アルゴン雰囲気下では安定なグロー放電を得た.微量の酸素を混ぜることで,マイクロプラズマによるレジスト材料のマスクレス加工を実現した.
著者
榎原 博之 田中 裕也 石川 琢士
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-05-10

自然界には粘菌という単細胞生物が存在する.粘菌は森の土の中などに数多く存在しており,採餌行動の際には自分自身の体で栄養を運ぶネットワークを構築する.本研究では,粘菌の採餌行動のシミュレーションプログラムを元に,巡回セールスパーソン問題 (TSP) を解く粘菌アルゴリズムを提案する.まず,粘菌の作るネットワークをシミュレーションし,そこから巡回路を作成し,TSP に対応させる.最終的には 2-opt 法による局所探索法を用いて,解の改善を行う.ベンチマーク問題 (TSPLIB) を用いて計算機実験を行い,評価を行う.The slime mold is single-celled which exists in the natural world. It exists a lot in the soil of the forest etc. and in the foraging action it constructs the network in which nourishment is carried by own body. In this research, we propose a algorithm which solves the travelling salesperson problem (TSP) based on the simulation program of the foraging action of the slime mold. First,we simulate a network made by the slime mold, and make a TSP tour. Finally, in order to improve the solution, we use 2-opt which is the local search method. We experiment on the computer by using the benchmark problems(TSPLIB), and we evaluate the slime mold algorithm.
著者
増田 哲朗 深井 寛修 徐 剛
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.33, pp.91-94, 2011-08-22
被引用文献数
1

近年,スポーツの発展とともにフィールドスポーツにおける運動分析の重要性か高まっている.特に選手に負荷のかからないカメラを用いた運動分析は注目されているが,未だにスポーツのフィールド全体を3次元復元し,選手の追跡を実時間で実現する研究は現れていない.そこで同期多カメラを用いた複数移動物体の実時間追跡を提案する.本手法は,3次元復元したデータを鳥瞰図化することで物体の認識と追跡を実時間で可能にする.物体の認識には輪郭を利用し,前フレームの同一物体の追跡を可能にする.実環境下で実験を行ったところ,複数移動物体の追跡ができ,提案手法の有効性を示せた.
著者
神田 知子 高正 晴子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.50-55, 2008-03-31

朝鮮通信使とは,江戸時代に1607年から1811年まで,約200年間計12回にわたり,朝鮮国王から幕府に派遣された総勢300~500人もの平和外交使節団である.2007年は第1回から400年目の年にあたるため,「朝鮮通信使400周年記念,しものせき馬関まつり参加事業」の一環として朝鮮通信使おもてなし (饗応)料理の再現が行われた.再現した料理は1711年8月29日に,長州藩主毛利吉元が自ら接待にあたり,「長門下之関御馳走一番(長州藩の御馳走が一番)」と評された時の饗応料理の中で,三使(正使,副使,従事官)に提供された五五三膳と引替三汁十五菜の一部である.再現料理に要した食材料の種類から,動物性たんぱく質源である魚介類が多いことがわかった.また,保存効果や抗菌効果をもつ山椒やからし,わさびなどの香辛料が多用されていることがわかった。
著者
高正 晴子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.1011-1019, 1998-09-15

In this paper I have attempted to clarify the characteristic of the menus for the banquets held in Osaka for Korean delegations during the Edo period. Comparing the 6th Osaka banquet(1655)with the 7th one(1682)for the important officials of the delegations, changes were observed and the banquet for the 10th delegation(1748)tended to be simplified. Also, the delegates who arrived by ship were given food for the journey to and from Edo(Tokyo), and some of the attendants were supplied with food for two or more months when they remained in Osaka. At Osaka, there was the record that venison and whale meat sent by the Kii Tokugawa Household. The delegates were also invited to a drinking party by the Tsushima Household's officials in Osaka before they returned to Korea. Thus, each delegation was civilly received as Osaka, but the banquets became gradually simplified after 1682.