著者
稲村 浩之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.343, pp.9-12, 2007-11-14
被引用文献数
1

アドホック無線ネットワークは、無線リンクによって接続された複数の端末によって自動的に構成されるメッシュ型のネットワークである。有線通信網を要することなく容易にネットワークを構築できることから、災害地域における非常時通信網としての用途が期待されている。このような被災地域における救援・支援スタッフの組織的な連絡網のためには、グループ間での同報通話機能が必要となる。本稿では、プッシュ・ツー・トークとして知られる音声の一斉同報通話システムについて述べ、アドホックネットワークに適した同報通話システムの実現方法について考察する。
著者
青木 哲夫 山本 唯人
出版者
公益財団法人政治経済研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

東京都公園緑地課作成「都内殉難者霊名簿」のデータベース化を完了した(31,318件)。東京空襲の犠牲者についての氏名・年齢・住所・遭難地・仮埋葬地などをふくむ本データベースは、今後の東京空襲の被害の実態、被災者の行動などの研究にとって貴重な資料となる。関連して、同名簿の用紙・書式・加除訂正など態様の特徴を洗い出した。これらは同名簿の作成のもととなった空襲犠牲者の改葬および慰霊事業の研究の基礎資料となる。
著者
冨田 佳宏 中井 善一 長谷部 忠司 屋代 如月 徳田 正孝
出版者
神戸大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では,一般熱力学的負荷条件下の金属ガラスの超塑性,変形・破壊の実験的検討とその評価,比例・非比例ひずみ履歴を伴う高ひずみ速度負荷試験による実験的検討と構成式の定式化,電子顕微鏡(SEM)・原子間力顕微鏡(AFM)・ナノインデンテーション法による金属ガラスの破壊機構の観察と局所領域の応力および強度の評価を行う.平成19年度は金属ガラスの環境強度について検討した. 3.5%食塩水中・室温において,一定試験力のもとで疲労き裂伝ぱ試験を行った結果,水溶液に浸漬した直後には過渡的なき裂伝ぱ挙動が観察されたが,定常状態においては,時間基準のき裂伝ぱ速度da/Dnは,応力拡大係数Kこよらずほぼ一定となった.3.5%食塩水中・室温において,繰返し試験力を負荷してき裂伝ぱ試験を行った結果,繰返し速度および応力比によらず,時間基準のき裂伝ぱ速度心da/dtが,最大応力拡大係数K_<max>によって規定されており,その関係は,前述の一定試験力におけるda/dt-K関係とほぽ一致していた.また, 0.05%, 0.01%食塩水中においてもき裂伝ぱ挙動を調べた結果,いずれの食塩濃度においても,1サイクル当たりのき裂伝ぱ速度da/Dnは大気中よりも大きく加速したが,超純水中におけるda/Dn-ΔKは大気中とほぼ一致していた.また,食塩水中の繰返し試験力下の破面形態は,一定試験力下の破面形態と同様であったが,超純水中の破面は,大気中における破面と同様であった.また,環境強度と直接結びつくものではないが,分子動力学による検討では,原子弾性剛性係数Bij^αの正値性(局所格子不安定性)により,構造のないアモルファスに欠陥の中の欠陥というべき不安定原子が存在すること,0.2%ひずみ以降,不安定原子が増加しており,塑性変形の担い手として新たな欠陥が導入されていること,などを明らかにした.
著者
冨田 佳宏 長谷部 忠司 屋代 如月 高木 知弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

分子動力学, 離散転位動力学, 連続転位理論, フェーズフィールド法, 結晶塑性理論, 均質化法, 有限要素法を駆使し, ナノからマクロに至る材料の複数の階層の組織形成と応答をシームレスに結合するモデルを構築し, 変形, 相変態等によって創生する微視組織の予測と対応する材料の力学特性の評価も可能とする。加えて、材料組織形成制御による所望の力学的特性を具備した材料の創生への途を開く。
著者
冨田 佳宏 中井 善一 屋代 如月 安達 泰治 岩本 剛 比嘉 吉一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

変形誘起変態が変形,応力,温度,ひずみ速度によって影響され易い性質を最大限活用して,変形誘起相変態の発生に伴う微視組織の創生ならびに成長を制御し,使用目的に応じた,材料の強度,延性,靭性等の機械的特性を発現させることを目指し,実験によりマイクロからマクロスケールに至る変形誘起相変態現象を詳細に検討し,以下に示す各スケールにおける変態のメカニカルモデルを構築し,その応用の可能性を示した.1.分子動力学的手法を用いて,結晶格子構造の安定性を評価することにより,マイクロスケールの相変態発生過程を検討し,対応した相変態のマイクロメカニカルモデルを構築した.2.結晶方位に依存したマルテンサイト構造を考慮しつつ,メゾスコピックなマルテンサイトエンブリオの発生とその成長を表現可能なメゾメカニカルモデルを構築した.3.近い2つの階層のモデルに均質化法を適用することによりこれらを連結し,マイクロ・メゾとメゾ・マクロメカニカルモデルを構築し,マルチスケールメカニカルモデルを提案した.4.相変態のマルチスケールメカニカルモデルにより,材料に発生するひずみ,応力,ひずみ速度,温度等のマクロスケールの物理量を操作することにより変形誘起変態を誘導することによって所定の特性を具備する材料の創生方法を提案した.5.磁気力顕微鏡によって得られたマルテンサイト相の分布形態ならびにそれを平滑化して得られた体積含有率と提案したモデルによるシミュレーションによって得られた結果を比較することで提案したメカニカルモデルの妥当性を検討した.本研究によって得られた変態のメカニカルモデルをシミュレーション過程に導入することにより,メゾスケールの材料構造を制御した機能性材料の新しい創生法の提案の可能性に加えて,従来困難とされてきた,材料の機械的特性の自由な設計に対して途が開かれると同時に,形態設計と融合することで新しい設計あるいは製造技術の開発に貢献する.
著者
屋代 如月
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,整合界面を構成する種々の格子構造について「第一原理格子不安定解析」を行うことにより,界面転位発生の臨界ミスフイットの評価や第三元素添加による界面安定化など,2相整合耐熱超合金の界面原子構造設計につながる重要な知見を,電子レベルから精密に評価することを目的とする.昨年度は,基本となるNiおよびNi_3Al単結晶の格子不安定性を詳細に評価した上で,W, Cr, Bの添加の効果について検討した.本年度は,界面原子構造設計の指針となる格子不安定クライテリアマップをより多くの元素について検討するために,Ni以外の10族元素Pd, Ptならびに11族元素Cu, Ag, Auについて,[001]方向単軸引張下の格子不安定性を評価した.本研究の動機にあるように,小数の原子しか扱えない第一原理計算では,強い周期性を仮定した上で変形させるため,系が不安定となっても転位等の局所変形を生じることなく,引張方向の原子面はく離に相当する点まで応力は単調に増加した後,ピーク応力を示して低下する.このピークを「理想引張強度」として評価すると,臨界ひずみは0.23〜0.34の範囲内に分布し,そのときの応力の大小関係はほぼヤング率に応じたものとなった.一方,引張下の格子不安定性を調べると,これまでの報告同様いずれの元素も上述のピークひずみより遙かに小さいひずみで格子不安定条件に達していた.ここで,Pd, Cu, AgはNi, Ni_3Alと同じく横方向変形の等方性がくずれるBorn不安定を示していたのに対し,Pt, Auはせん断に対するB_<44>不安定となっていた.臨界ひずみ-臨界応力上に各元素の理想引張強度ならびに格子不安定となる点をプロットすると,前者は広く分布して相関が見られなかったのに対し,後者は低ひずみ側で,原点を通る同一直線上に乗るような分布を示した.
著者
屋代 如月
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第一原理計算による格子不安定性解析により,FeマトリックスにY,O,Ti,Alを添加した系の,安定添加サイト・自由エネルギーの大小,酸素の溶解熱,そして力学特性として弾性係数の行列式の正値性(格子安定性)を評価した.モンテカルロシミュレーションでは,酸化イットリウムや酸化チタンを平均化粒子として近似したシミュレータを用いて,原子空孔や結晶粒界などの複雑な条件下での析出形態について検討した.
著者
清川 清
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、3次元仮想空聞において、手が届かないあるいは見えない位置にある物体の移動や、そのような地点へのユーザ自身の移動を効率的に行うために、本来の描画領域(メインビューポート)とは別に、仮想空間内に枠を作成してその枠内を新たなビューポート(サブビューポート)として利用する新しいインタフェースについて研究する。平成19年度は以下の項目を実施した。1)マルチビューポートインタフェースの操作に関する検討ユーザに追従していた窓枠をある地点でユーザ座標系から切り離してプライマリシーンに従属するよう切り替える、といった操作を可能とするために、状況に応じてユーザが従属関係を対話的に変更可能な操作手法について検討した。具体的には、窓枠に関与する従属関係の適切な視覚化手法および操作手法について検討した。従属関係の視覚化手法に関して、従属関係自体は仮想空間を構成する物体の見かけと無関係であり本来形を持たないため、違和感の少ない視覚化手法を検討した。一方、従属関係を変更するための操作手法に関しては、全体把握と詳細把握を両立できる視覚化手法および操作手法を考案し、実装した。2)マルチビューポートインターフェースの有効性の検証前項で検討する視覚化手法および操作手法をプロトタイプシステム上に実装し、前年度に検討した様々なインタフェース構成をユーザが対話的に選択できるシステムを構築した。この環境を用いて、より実際的なアプリケーションを開発しての定性評価、被験者実験を実施しての定量評価などを通じて提案手法の有効性を検証した。具体的には、ア)前年度に座標系の相関関係ごとに検討した有用性の検証、イ)平成19年度に検討した相関関係の対話的変更手法の有効性の検証、のそれぞれを実施した。
著者
坂本 清 三浦 行矣 植田 健 馬場 理香 鎌倉 敏子 坂本 理絵子 岡部 正和 中尾 宣夫
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.539-545, 2006 (Released:2007-02-23)
参考文献数
12
被引用文献数
11 6

We examined the low contrast resolution of cone beam CT (CBCT) equipped with an indirect-type flat panel detector and compared it with a commercial CT unit (Robusto). In CBCT, the X-ray tube voltage of 110 kV was used, and in the Robusto, the usual 120 kV was used for examinations. The computed tomography dose index (CTDI) of the two systems was measured, and images scanned at about the same exposure to radiation were compared. The modulation transfer factors of the two systems were measured, and the convolution kernel that was the nearest to the characteristic of CBCT was chosen among kernels of the Robusto. A water phantom with a diameter of 200 mm was scanned, Wiener spectra were calculated, and signal-to-noise ratios were compared. The low contrast resolution phantom was scanned, and detectability and contrast-to-noise ratio (CNR) were measured. In addition, we placed diluted contrast medium into a phantom, scanned the phantom, and measured the detectability and CNR. When the X-ray irradiation condition of CBCT was 75 mAs at 110 kV, the equal dose of radioactivity in the Robusto was 50 mAs at 120 kV. In the low contrast resolution phantom, detectability was 8.7%mm in CBCT, and 9.4%mm in the Robusto. In the low contrast resolution evaluation phantom, CNR was 1.39 in CBCT, and 2.69 in the Robusto. With diluted contrast medium, CNR was 1.28 in CBCT, and 0.60 in the Robusto. CBCT was inferior to the Robusto in a low contrast resolution phantom, but CBCT was superior to the Robusto using diluted contrast medium. We found that CBCT was useful in examinations using contrast media.
著者
亀尾 徹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.369-374, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
8

多くの人々が運動やスポーツを行っているという現状から,一人ひとりの抱くスポーツ医学に対する要求も多岐にわたる。スポーツ医学に貢献する理学療法士としては,クライアントの医学的ニーズに応えるべく,疾患名に依存した評価・治療体系ではなく,それぞれの個人の特性をふまえた患者中心の治療を展開することを求められている。これを達成するひとつの手段として,健全なクリニカルリーズニングの適用があげられる。本セミナーでは診断的推論と物語的推論を通して医学的問題点と同時に「人」を理解し,その結果の集積である。クリニカルパターンを構築し,治療に反映させる基本的思考過程を提示する。
著者
木村 良晴
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.P_322-P_322, 2006 (Released:2006-12-10)
被引用文献数
1 1
著者
熊田 一雄
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学文学部紀要 (ISSN:02858940)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-13, 1998

内観法(内観療法)とは,日本的心理療法(人格修養法)の一種である。そもそも,浄上真宗の一派で阿弥陀仏に対する信心を獲得するために行なわれていた「身調べの行」を応用したものである。内観法の基本は,両親など生活史上の重要人物を対象に,1.していただいたこと 2.して返したこと 3.迷惑をかけたこと,の3点を数え上げていくことである。通常は母親(ないし母親代わり)との関係を最重視する。「我執」を去って「人の身になる」トレーニングであり,「他者の愛と自己の罪」を凝視させることを目的とする。現在内観法は,比較的簡単な心理療法(人格修養法)として,宗教界(既成仏教・新宗教の両方)・教育界・企業研修・矯正所・臨床心理・精神医学などの各方面で広範囲に応用されており,日本内観学会の推定によれば,既に10万人を上回る支持者をもつ。またそれとは別に,70年代以降勢力を拡大しているいわゆる新新宗教(第4期新宗教)に内観を採用するグループは数多く,GLA系諸教団もそのひとつである。筆者が調査した「エルランテイの光」(1986 -)は,GLA系諸教団が完全に「内観サークル」へと展開した事例である。筆者はこうした現代日本の内観サークル運動について,吉本内観との関係を中心に既に何本かの論文を執筆しているので,詳しくはそちらを参照されたい。このグループでは,共依存者(「自分がない」人)に対して自覚を促すべく常識を逆撫でするような独特の説話を読ませている。参加者が初期の段階で必ず読まされるテキストの中には,「ブッダやイエスにならないための戒め」とでも呼ぶべき説話が含まれている。それらの物語では,ブッダは「母を失った自分を呪った」ことを反省している人物として,イエスは「母を切り捨てて神を求めた」ことを反省している人物として描かれている。ブッダは,「揺れない心」を求めるあまり自分の「欲の心」が見えなくなり,「母を失った自分を呪って」苦行に打ち込んだもののド悟った」と思って見た光の正体は自分の「欲の心」であった,ということになっている。一方イエスは,「母を切り捨てて神を求めた」のであり,十字架の上で「殉牧者を気取って自己陶酔」しながら「内心ひそかに母を見下していた」ことになっている。もちろんこれらの説話は学問的にはナンセンスな話であるが,「自分がない」人に対して「私にもそういう裏の心理があるのかもしれない」と自己反省させる効果をもつ。一般に内観サークルにおいて「先行する内観者の記録」は重要な役割を果たすが,このグループは「意識資料集」という名前でそれを蓄積している。そこには「内観者の生の手記や体験談」だけではなく,「軍人・サムライ・カルメン・マリー・アントワネット・巫女・酒鬼薔薇君」といった類型化された「見立て話」が数多く含まれており,参加者に対してそれらの見立て話も各自の内観(反省)の参考にさせている。もちろん,このように『見立て話」が発達するのは,参加者の「匿名性」を確保するためでもあろう。しかし,そうした消極的理由だけではなく,積極的な理由もある。そもそも「見立て話」とは,「個別の人物の物語」と「普遍的な心理学的実体概念」の中間領域に位置付けられる物語論的行為である。このグループの「見立て話」は,普遍的概念への志向が弱い「日本の大衆文化の伝統」と,複雑な心理的葛藤を扱う「心理療法の伝統」が合流したものとみることができる。ひるがえって,1.日本の新宗教における「見立て話」の伝統を再検討する,2.心理療法における実体概念を「見立て話」として再検討する,という作業も今後必要なのではないだろうか。
著者
田中 宏平 田中 聡 木下 浩平 南 靖彦 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-05-15

電子情報技術は,人々の注目を集めたり,新たなインタラクションの幅を広げる可能性をもつ.本研究では,そのような電子情報技術の有効利用を目指し,募金活動における寄付行為を促進するための IT 募金箱を作成する.派手なイルミネーションの募金箱やセンサによる状況認識技術を用いることでインタラクティブな募金箱を作成し,神戸ルミナリエの募金活動において実運用することで,その効果を評価した.運用を通じて,単純な電子情報技術を活用ではなく,その活用方法を工夫することで効果を得られる可能性があることがわかった.Electronics and information technology have great potentials to attract people's attention and to improve interactions among people. In this study, as an example of utilizing information technologies to objects conventionally used without IT, we create new several collection boxes to encourage donations. We implemented three collection boxes such as a box with fancy illuminations and a sensor-enabled interactive box. We actually used them through the activity of donations in Kobe Luminarie 2008 and evaluated the effect of new technologies. We found that the appropriate use of technologies makes the donation activity effective.