著者
後藤 幸弘 成田 憲一
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

新潟地区の日本海沿岸において、冬季雷の観測が、磁鋼片、ディジタル電流波形記録システム、フィールドミル、静止カメラやビデオ記録システムを用いて継続している。昭和62年度の冬より、新たに静電アンテナ(スローアンテナ)を試作し、互いに数百m離れた3地点に設置して、バイポーラ雷撃に伴う雷雲中の電荷領域の消滅の様相を測定するようにした。しかしながら、研究期間中には、一度もバイポーラ雷が発生せず、観測できなかったが、冬季雷特性の総合的な観測は継続して行われ、観測結果の解析、検討も引続いて行われた。磁鋼片の測定では、昭和51年10月より平成元年1月までの期間に65例のデータが得られた。その内8例は磁鋼片の測定範囲未満の小電流で残りの68%は負極性雷、32%が正極性雷であった。昭和57年冬より、ロゴスキコイルを電流センサにしたディジタル波形記録システムを導入し、これまで60例の波形を得た。このうち15%がバイポーラ雷であった。一方地上静電界変動と冬季雷発生の気象条件も検討された。冬季雷襲来時は、夏期と大きく異なり、非常に激しく正負に振れるものであった。また地表面附近の空間電荷の影響が大きいことが確認された。輪島の高層気象データと巻地点の観測鉄塔でのデータおよび日本海の海洋ブイステーションでのデータより、冬季雷の発生条件を求めることができた。ビデオカメラによる雷放電撮影も順調で、昭和59年より2方向、昭和61年より3方向の撮影となり、これまで115例のデータが得られた。ほぼ全てのチャンネルは上向き放電の様相を呈している。バイポーラ雷の波形は大きく2種類に分類された。特に正の電流に負の電流パルスが重量している例が観測されたが、その発生要因については、今後継続される予定の観測に依存している。特に今回の補助金で導入できた3地点スローアンテナによる雷界測定のデータがその原因解明の糸口となるであろう。。
著者
鏡味 洋史 鈴木 有 宮野 道雄 岡田 成幸 熊谷 良雄 中林 一樹 大西 一嘉 多賀 直恒
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では地震災害事象について発災を出発点とし、緊急対応、復旧対応、復興、そして次の災害に対する準備に至る時系列の中で、対象としては個人・世帯を出発点とし、地域社会、地域行政体、国、国際に至る空間軸でできる限り広く問題設定を行った。個別の災害情報管理の問題を情報の受信者である被災者・被災地の側からのアプローチと情報発信側となる行政体など各組織・セクターからのアプローチで展開し、情報管理のあるべき姿、ガイドライン構築を目指した。各分担課題は、全体の枠組みを整理するもの、情報システムの視点を被災者側におく課題、視点を対応組織の側におく課題の3種類に区分してすすめ、最終年度には研究の総括を行った。被災者側の視点からは、被災者の住環境からの情報ニーズの把握、災害弱者を対象とした情報伝達・収集システムの提案、郵便配達システムを活用した情報システムの提案、地域の震災抑制情報の有効性、住民主体の復興まちづくりにおける情報ニーズの把握がなされた。対応組織の側からは、地方行政体による被災情報の収集状況に関する時系列モデル化、地震火災については消防活動訓練システムの構築、災害医療情報については阪神・淡路大震災の事例を分析したシステム化の方向、ライフライン停止に伴う生活支障を計量化の提案、都市復興期における情報の役割、が明らかにされている。各課題では、既往の地震災害に基づく情報ニーズの整理、それに基づく情報管理のあるべき姿の提示、プロトタイプシステムの提案へ統一した形で進めた。課題によっては、問題の大きさ、複雑さなどにより到達度の差は大きいが、大きな方向を示すことができたと考えている。本計画研究は単年度の申請であるが継続して4年間研究を行い、最終年度には報告書の刊行を行った。
著者
辻 彰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.12, pp.1037-1058, 2002 (Released:2003-02-18)
参考文献数
148
被引用文献数
11 11

By incorporating the transporter-mediated or receptor-mediated transport process in physiologically based pharmacokinetic models, we succeeded in the quantitative prediction of plasma and tissue concentrations of β-lactam antibiotics, insulin, pentazocine, quinolone antibacterial agents, and inaperizone and digoxin. The author's research on transporter-mediated pharmacokinetics focuses on the molecular and functional characteristics of drug transporters such as oligopeptide transporter, monocarboxylic acid transporter, anion antiporter, organic anion transporters, organic cation/carnitine transporters (OCTNs), and the ATP-binding cassette transporters P-glycoprotein and MRP2. We have successfully demonstrated that these transporters play important roles in the influxes and/or effluxes of drugs in intestinal and renal epithelial cells, hepatocytes, and brain capillary endothelial cells that form the blood-brain barrier. In the systemic carnitine deficiency (SCD) phenotype mouse model, juvenile visceral steatosis (jvs) mouse, a mutation in the OCTN2 gene was found. Furthermore, several types of mutation in human SCD patients were found, demonstrating that OCTN2 is a physiologically important carnitine transporter. Interestingly, OCTNs transport carnitine in a sodium-dependent manner and various cationic drugs transport it in a sodium-independent manner. OCTNs are thought to be multifunctional transporters for the uptake of carnitine into tissue cells and for the elimination of intracellular organic cationic drugs.
著者
山元 寅男 中村 桂一郎 和佐野 公二郎
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

血管内皮細胞は、血液と直接に接する内皮層を構成し、細胞間は接着しており、連続する細胞層をなす。このために、血液と内皮外組織との物質交換のバリアーの役割を果している。一方、血液に対しては、その凝固防止の他に種々の機能を行っている。これらの機能がどのような構造的基盤に基いて営まれているかを明らかにする目的で本研究を行った。内皮細胞に見られる小胞は、大部分は連続する小胞管として存在しており、自由小胞は非常に少いことがわかった。したがって、小胞による物質輸送よりは、胞体を貫く小胞管を通る輸送が主要なものと考えられた。また、これら小胞は、一般に滑面小胞であるが、新鮮急速凍結割断エッチングレプリ力法で観察すると、小胞の細胞質側膜表面にアクチン分子と思われる縞構造が認められた。この構造から、小胞は可動性を持ち、隣接小胞と結合し小胞管を形成するものと考えられた。内皮細胞の内腔側細胞膜の凍結割断レプリ力像を観察すると、P面膜内粒子の配列に一定の規則性は見られなかった。これらの膜内粒子は、膜タンパク質を表すものと考えられているから、膜に局在するレセプターや酵素の分子配列にも特異性はないものと思われた。内皮細胞に見られる小胞陥入と膜内粒子の配列との特別な関連性は認められなかった。内皮細胞に、特に、有窓毛細血管に見られる窓構造は恒常的なものではなく、たとえば、糖尿病などの場合には、小腸の有窓毛細血管で窓構造は著しく減少することが明らかとなった。内皮細胞の細胞骨格であるアクチンは、蛍光顕微鏡的に平滑筋細胞のアクチンとは異なる性質が明らかとなった。超薄切片法で多数の中間径細糸の存在を認めたが、細胞内での分布様式を蛍光顕微鏡的に検索したが成功しなかった。細胞骨格と内皮細胞機能との関連を今後、電顕的、光顕的に解明していきたい。
著者
Manami MONOBE Akiko UZAWA Makiko HINO Koichi ANDO Shuji KOJIMA
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.117-121, 2005 (Released:2005-04-01)
参考文献数
23
被引用文献数
21

Human whole-blood was exposed to 137Cs γ-rays or 50 keV/μm carbon ions in the presence or absence of glycine betaine, a beer component in vitro. The dicentrics of chromosome aberrations in human lymphocytes were significantly (p < 0.05) reduced by glycine betaine after irradiation with 4 Gy of either γ-rays or carbon ions. The maximum protection by glycine betaine for γ-rays or carbon ions was 37% and 20%, respectively. C3H/He female mice, aged 14 weeks, received an i.p. injection of glycine betaine 15 min before whole-body irradiation with γ-rays or 50 keV/μm carbon ions. Glycine betaine significantly (p < 0.05) increased the percent survival of irradiated mice with either γ-rays or carbon ions. In conclusion, glycine betaine is a potent protector against damages caused by low- and high-LET radiation.
著者
山本虎一 編
出版者
帰一社
巻号頁・発行日
1901
著者
佐々木 勝浩 渡辺 誠
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series E, Physical sciences & engineering (ISSN:03878511)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-42, 1996

The large Pillar clock with detailed hour scale 'SEIMITSU-SHAKUDOKEI' has been exhibited at the National Science Museum on loan from Mr. Shingo Takabayashi, on the scale of which has quite rare hour system, 13 deviding hour system, including special hour 'YO-JI', chinese character 'YO(餘)' of which means the remainder. In the historical investigations about astronmy in Ishikawa and Toyama prefecture, Watanabe, one of the authors, found the fact that the 13 deviding hour system was used in the old fief of Kage in Edo period. Also Watanabe and others found the astronomical clock 'SUIYOU-KYUGI' at the 'KOJU-BUNKO' library in Sinminato City. In examining the relation between the 'SEIMITSU-SHAKUDOKEI' and the 'SUIYOU-KYUGI', the evolution of hour system including rare hour 'YO-JI' in the old fief of Kaga was known in details. We report about this special hour system and discuss about the meaning of special hour 'YO-JI'.
著者
三浦 房紀
出版者
山口大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

札幌市、仙台市、新潟市、福井市、千葉市、長野市、静岡市、高知市の道立、県立図書館を訪れ、戦後起った地震(1968年十勝沖地震、1982年浦河地震、1978年宮城県沖地震、1964年新潟地震、1948年福井地震、1987年千葉県東方沖地震、1984年長野県西部地震、1978年伊豆大島近海地震、1946年南海地震)の地震体験記を収集した。地震体験記には子供の作本、教師の報告、行政の対応記録、被害報告などがあるが、これらを地震時の心理・行動パタ-ン、情報の流れ、被害のパタ-ン、必要とされた情報・物質、教訓と対策等に分類し、それぞれキ-ワ-ドを作成してデ-タベ-スを作成した。今年度は時間の関係で市販のソフトを用いたが、将来的には独自の検索ソフトを開発する方向で検討を進めている。デ-タベ-スの作成と平行して、学校の立地条件、規模、校舎の形態、地震活動度などを考慮して、地震発生という緊急時に最も適切と考えられる対応を指示するためのソフトウェアの開発を行った。このソフトは日常の対策と心構えも含め、地震発生から無事生徒・児童を保護者へ手渡すまでの過程を時系列にフォロ-するものであり、それぞれの局面で対応できるものとなっている。地震発生後は停電になる可能性が高いので、バッテリ-で作動するラップトップ型のパ-ソナルコンピュ-タを使うことを前提として開発を行った。本研究で開発したデ-タベ-スはさらに深く地震防災について学習したいと思う者への便宜を図るものであり、また対応指針ソフトは緊急時に実際の活用を目的としたものである。両者を有効に活用することにより、格段の防災力の向上が期待できるものと思われる。
著者
高橋 勲 蘇 貴家 近藤 正示
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

フライホイールをバッテリーに代るエネルギー貯蔵要素とした高性能長寿命無停電電源を試作、開発することを目的とする。主な成果は、1.10kw1分のシステムについては本予算以外の物で、試作は完了しているがまだ、真空システムに問題があり実験には入っていない。2.真空の問題についてはチタンから高性能のジルコニウムゲッタに変更し、3ヶ月ほど運転試験を行なったがOリング、容器(鋳物製)よりのリークが確認され現在ステンレス等用いて対策中である。3.IGBTを使用し16kHzのスイッチングで無騒音化し(従来品の5dB減)、かつソフトスイッチングで損失を減らしフアンレス、長寿命化を図った。その結果、フィン温度を13℃下げることができた。4.寿命が短く大型の電解コンテンサを除去するため、電解コンテンサレスインバータを採用した。コンテンサ容量は停電時からの立ち上げでも200μF以内で可能でフイルムコンテンサの使用が可能となった。5.電流追従速度の改善の結果、整流器負荷で出力電圧歪を1%にでき、かつ中性点電圧制御の結果トランスレス化が可能となった。6.上記の手法を用い入力力率99%以上が1/5負荷以上の領域で達成できた。7.寿命に関係のあるフォトカプラをパルストランスと放電回路を併用したもので取り換え全システム15年以上の長寿命化を達成できた。8.効率94%が目的(市販品90%以下)で、スイッチング損失回収回路、アモルファスリアクトルなど採用したが93%が限度であった。9.フライホイール電動発電機に直接トルク制御を用い回転センサレス化を図り、真空容器の設計を簡単にし真空度を高められる構造にできた。などの成果が得られた。試作予算、真空系に問題はあり主に5kWのシステムで実験を行なったがほぼ所定の目標を達成できた。
著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.691, pp.199-202, 2004-02-26

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
林 幹治 坂 翁介 北村 泰一 湯元 清文 田中 義人 國分 征 山本 達人
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(A)
巻号頁・発行日
1990

グローバル地球変動磁場観測システムの開発を行なった。リングコアーによるフラックスゲート磁力計に組み合せるディジタルデータロガーのタイプ、設置地域の違いによる次の3タイプがある;モデルA(オーロラ帯など高緯度用、委託観測による1カ月週間毎のテープ交換)、モデルC(中緯度を中心とした日本周辺用、委託観測による3週間毎のテープ交換)、モデルE(赤道地域でのデータ取得のために半無人記録装置、一部フラッシュメモリーカードの導入)。記録感度とサンプリングレイトはA、C、Eモデル各々について、125pT-1Hz,50pT-1Hz,7.5pT-3秒とした。開発の仕上げとして、各地でのフィールド観測を実施した。想定した問題が実地観測では予想以上の複雑さで現れた。電源関係(停電対策,蓄電池充電,データ取得の停止と再開),機器温度環境(過剰対応),機器の操作ミス(合理的な操作性)など,各モデルとも,半年以上の期間に渡り,問題への対応を現地との連携で(主にプログラムROMの改良交換)進めた結果,不可抗力と思われる(落電,盗難,重機器による地下埋設部の破損)を除けば,安定にデータが取得することのできる水準に達した。遠隔地データ取得の将来を目指した実験として,静止衛星(ひまわり)を利用して北海道(女満別)よりの磁場データの取得実験を開始した(郵政省通信総合研究所,運輸省気象庁地磁気観測所の関係者の協力を得る)。観測データは,貴重な高時間分解能データとして超高層物理研究に各分担者が利用するとともに一部は学術情報ネットワーク上に公開され,国内外の研究者の利用に供されている。
著者
片山 恒雄 増井 由春
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.p532-536, 1979-06
被引用文献数
1

1978年宮城県沖地震による都市ガス・上水道施設の被害と復旧に関する報告(生産研究,第31巻2,4,6号)に続き,電力施設への影響をまとめたものである.停電に重点を置いて被害状況を整理するとともに,停電が他のシステムに与えた影響についても復旧と応急対策の中で検討した.
著者
河村 勝久 平野 葉一 柴田 正憲 淺香 隆
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では1.教育研究所がHUB局となり、インターネットを利用したe-Learning活用のためのコミュニティーシステムを作り、教員同士で疑問に思ったことを互いにぶつけ合い、協同的に探求しあいながら共同のe-Learning構築を目指す。2.大学教員及び高校教員に対するe-Learningシステム活用支援システムを開発し、学習を情報と捉え、情報理解能力・情報選択能力・情報批判能力・情報生成能力・情報伝達能力を支援する。3.数学教育においては「生きる力の教育」を「数学を活用する力」と捉え、体験的作業的学習と問題発見解決型学習を推し進めるため、学生たちの視覚的理解を可能にする教材モデルの作成と実践。を研究目的として、多数の関係者の協力得て研究活動を展開してきた。この結果、目的1に関しては、東海大学学部学生・志内伸光君(現在名古屋大学大学院院生)と東海大学代々木電子計算機センターの技術員の協力のもと、e-Learning学習システムをサーバ機上に構築した。初年度はサーバ上にメールサーバを構築し、外部からの転送の確認と安全生の確認時間を費やした。その後、簡易的であるがホームページを立ち上げ簡単なコミュニティーシステムを試みた。目的2に関しては、平成14年から16年にかけて、定期的に研修会を開催し、e-Learning教材の開発およびプレゼンティションの仕様書などの作成行った。これに関しても、多数の資料が得られ、教員の意識改革の可能性の示唆を得ることができた。目的3に関しては、東海大学の数学教員の協力のもと、教材の検討、実際の授業での活用を踏まえた共同授業などを試みた。今後は、平野葉一氏が掲げる「機械仕掛けの数のマジック」のe-Learning化を目指し、学習者が数学教材・教具を見たり触ったりして観察や実験を行い、それらを作り、そこから「不思議」を感じ、体験的に「納得」し、その結果に「驚き」、「感動」する場を提供することができたように発展させたいと思っている。これも新しい教育改革に呼応することになるだろう。
著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.199-202, 2004-02-26
被引用文献数
3

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
森村 道美 木内 望 高見沢 実
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究では、「地区別計画」と「住宅マスタープラン」の策定状況に関して、東京都23区の担当者にアンケートとヒアリングを行った。「住宅マスタープラン」については、参加したコンサルタントにも行った。アンケートの内容は、(1)プラン策定のプロセス、(2)プランの自己評価、(3)より展開すべき視点、(4)プラン運用上の問題点、等である。23区は、計画に係わる諸条件がそれぞれ異なることから、同一の尺度で比較することは難しいが、結果から次のことが判った。(住宅マスタープランについて)-I・II章i)1区を除いた22区が、'93年末までに、極めて短期間で策定を終了している。ii)プランの策定作業の出発点、あるいは途中の段階で、すべての区で住宅に係わる専管組織(5〜10名)を発足させている。iii)策定されたプランについては、区もコンサルタントも一応の出来と自己評価しているものが多いが、住宅市街地像・地区別住宅像の明確化、用途地域などの都市計画との関係については、今後の課題としている指摘も多い。iv)プランの運用を評価するための委員会や審議会等の常置組織を持っている区は3区(予定を含めると6区)しかなく、プランの運用はひとえに担当部局の力量に掛かっている。(地区別計画について)-III・IV章v)研究を開始した'92年(平成4年)6月に都市計画法が改正され、都市計画マスタープランの一環として「地区別構想」の策定が義務づけられることとなった。vi)23区の殆どすべてが、法改正以前に、企画部がとりまとめる「総合計画」や、都市計画部がとりまとめる「まちづくり方針」等の中で「地区別計画」を検討していた。vii)「総合計画」と「まちづくり方針」との調整には、各区がさまざまな工夫を行っている。V・VIは、都市計画マスタープランに関して、(社)日本都市計画学会(市町村の都市計画マスタープラン研究小委員会、研究代表者が主査)でとりまとめたものである。
著者
須賀 英之
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
那須大学都市経済研究年報 = Nasu University the annual report of urban and regional economic studies (ISSN:13475002)
巻号頁・発行日
pp.72-85, 2001

NTTのタウンページの索引をみると、職業の数が3000件をこえており、とてもバラエティにとんでいて興味が尽きない。はじめて職業別電話帳が発行された1951年には約500件だったが、その後、時代の変遷にあわせて追加や改編がなされてきた。たとえば、1975年には、ガードマン、おにぎり屋、テレホンサービスが登場し、ミルクホール、輪タク、テレビ俳優が廃止されている。最近では、インターネット・プロバイダー、債権回収業、中等教育学校(中高一貫教育校)などが新しく掲載された。栃木県のタウンページは県域を南北にわけて二分冊だが、東京23区は五分冊で合計3万ページもある。タウンページから、都市には、さまざまなサービスが成立し、いかに企業の活動や個人の生活を支えているかがよくわかる。いわゆる三次産業だけでなく、スーパーのチラシの印刷やコンビニ弁当の食品加工などの工場も、都市ならではの産業である。都市の利便性を求めて人口が集中し、これらの人々を対象として、さらに新たな産業が勃興する。こうした、従来の伝統的な産案分順におさまらない、都市を市場基盤とする多様な産業を、「都市型産業」とよぶことができる。タウンページは、近年、インターネットでも利用できるデジタル情報サービスがとても充実した。これを使って、それぞれの業種の事業所数を検索した結果、那須大学がある栃木県を例にとると、宇都宮市への集中度が県全体の50パーセントを超えているものには、たとえば、広告関連業、貸しビル・駐車場業、ソフトウエア業、などがあった。昨年の国政調査によれば、全国で、人口30万人以上の都市の八割が、過去5年間で人口が増えだのに対して、5万人未満の都市は、反対に八割が減少した。集積が集積を呼ぶ効果と考えられる。また、人口20万人前後の都市は、その魅力度によって、発展するか、衰退するかの分水嶺になっている。伝統的な産業があり、過去に繁栄していた都市ほど落ち込みが激しい。はじめは、既存の産業のすき間を埋める小さなニッチ産業でも、顧客のニーズに合わせた努力や技術革新によって、大きく成長していくこともある。宅配便がよい例だ。企業自らの創意工夫で市場を開拓していくことの大切さはいうまでもない。都市型産業は、鉄鋼業のように、日本全体の総需要がある程度決まっていて、各企業がシェア争いをするというものと異なる。たとえばホテルのように、新たなサービスの供給が需要を創造する。都市間競争の時代、産官学の協力によって、こうした都市型産業を、地域特性に合わせて積極的に集積を図っていくことが求められている。経済不況脱出の処方箋のひとつとしても、国レベルの構造改革や不良債権処理に加えて、地域あげての都市型産業の育成を期待したい。
著者
江口 啓
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、パックテストの水の変色の度合いを数値に変換する比色計を開発した。提案の比色計は、試薬と試験水を注入した廃品のプラスチックカップに光をあて、その光の透過度を電圧値として取り出すものであり、色覚異常というハンディキャップを背負った生徒に対する環境教育補助ツールとして活用できる。また,廃プラスチックを再利用しているため、水質調査だけでなく再利用という面でも環境教育を行うことができる。提案教材については、試作評価と実践授業を行うことで、その有効性を明らかにした。
著者
川瀬 博 井上 公 茂木 透 倉本 洋 山崎 文雄 吉嶺 充俊
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2006

2006年5月27日インドネシアのジャワ島のマグニチュード(M)6.3の地震によって、死者は5,700名以上、倒壊家屋14万戸以上という大被害が生じた。今回の地震被害の特徴は、地震規模が小さい割には極めて大きな人的、物的被害が発生していることである。そこで本研究では、震源位置を含めた震源特性や地盤構造・地盤特性を明らかにし、構造物の耐震性や被害状況からこのような大きな被害を引き起こした原因を解明することを目的として研究を実施した。研究体制は大きく地震・地震動チーム、地盤構造チーム、被害概要・人的被害調査チーム、建築系調査チーム、土木系調査チームに別れ、現地調査および国内での解析作業を実施して検討に当たった。まず地震・地震動チームでは余震観測を実施して余震の発生域を同定するとともに、地震観測データを利用して、詳細な震源メカニズムを推定した。その結果震源域は被害集中地域の直下もしくはその西側と推定され、Opak断層にはつながらないことが指摘された。地盤構造については、地磁気・地電流法によって基盤形状を含めた堆積構造を明らかにするとともに、微動計測によって表層地盤構造を明らかにした。その結果、場所による被害の差は主に表層地盤構造にあることが指摘された。建築構造物に関しては、まず地震前後に撮影された衛星画像を用いたリモートセンシング技術により、広域被害分布を明らかにした。また建物の地震被害について、実際の施行実態や地盤状況などから分析を行い、特にRC造および煉瓦造のいくつかの建物について原位置での強度試験を行うなどして、建物の耐震性を詳細に調査した。また土木系構造物・地盤・ライフライン等の被害状況も調査しその被害原因について考察した。以上の検討結果から、今回の地震では最大でも震度6弱レベルでそれほど大きな入力ではなかったが構造物が脆弱なために大被害が生じたものと推察された。
著者
釜井 俊孝 田村 昌仁
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

都心の宅地斜面の地震災害は, 自然の斜面とも人工斜面とも確かには判定しかねる斜面で発生することが多い。こうした斜面を"崖っぷち"と呼び, その実態の解明と災害リスクを表現した地図"崖っぷち"マップのプロトタイプを東京の目黒川下流域を対象地域として作成した。調査の過程で, 地域の開発史を反映した災害・環境汚染リスク(大谷石の不良擁壁, 重金属汚染盛土)の存在も明らかになり, "崖っぷち"が内包する問題の広がりと深さを具体的に明らかにする事ができた。