著者
大川 四郎 加藤 順一 原 禎嗣 上野 利三 桝居 孝
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

まず、太平洋戦争中の捕虜問題の背景として、防衛省防衛研究所図書館所蔵「金原節三業務日誌摘録」に見られる、陸軍中枢の捕虜観を検討した。当初、当時の俘虜情報局長官は、日本が批准していないとはいえ、俘虜の待遇に関するジュネーブ条約の遵守を主張した。しかし、当時の陸相はこれに反対し、捕虜軽視策が強行された。こうした捕虜観が、軍内部の上意下達機構を通じて、戦場あるいは収容所の現場で、捕虜と直接に接する日本軍将兵らに投影され、例えば虐待という形で現出した(第1部)。次に、本研究の主対象である、日本赤十字社所蔵の太平洋戦争中旧文書(以下、「日赤戦中文書」と略)を調査した。この「日赤戦中文書」には、欠落部分が多いので、本研究では、在ジュネーブ赤十字国際委員会(以下、ICRCと略)附属文書館所蔵の対日関係文書で補完していくという手法を用いた。もっとも、ICRC文書館所蔵文書が膨大であり、実際に閲覧・分析し得た文書は1944年前半期までであった。そこで、分析の対象時期を1942年から1944年前半期と限定し、具体的には、(1)俘虜収容所視察、(2)救恤品配給、(3)赤十字通信、に関する旧文書について検討した。(1)立会人抜きの自由対話が禁じられていたため、俘虜収容所視察が形骸化していた、だが、その枠内ではあれ、函館俘虜収容所のように捕虜処遇に尽力した実例があったこと、(2)日赤俘虜救恤委員部とICRC駐日代表部の尽力で、各種救恤品が各捕虜収容所に配給されていた、だが、救恤品が最終的に、名宛人である捕虜本人にまで届いたかどうかまでは、確認できなかった、(3)赤十字通信は俘虜情報局、日赤俘虜救恤委員部、ICRC駐日代表部の協力で開設されたものであること、を明らかにした(第2部)。総じて、陸軍側の捕虜軽視策に著しく阻まれたが、ICRC駐日代表部と連携した日赤俘虜救恤委員部の捕虜救恤業務が続行された。
著者
埴淵 知哉
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は,世界都市システム研究に関する包括的なレビューをおこなった.これまでは,NPO/NGOといった非営利・非政府組織を取り上げ,その空間組織やネットワーク,また地域との関係性などについて,インタビュー調査を中心とした質的調査を用いた研究を進めてきた.本年度は,これらを都市システム研究の再構築に結びつけるという問題意識から,近年の世界都市システム研究の展開を包括的に整理し,さらにこれまでの事例研究の成果を踏まえ,今後の方向性を議論した.近年のグローバル化の進展に伴い,世界全体を視野に入れた都市システムが注目されるようになり,とりわけ1990年代後半以降は,理論的検討や仮説提示に加えて本格的な実証研究も進められるようになった.この研究領域を切り開いたのは,GaWCという研究グループである.そこでまず,GaWCが想定する基本的な都市システム概念を抽出した.第一に,世界都市が他の世界都市との関係性の中において成立するという世界都市概念の転換を指摘し,第二に,領域的な国民国家のモザイクに対して,世界都市のネットワークというオルタナティブなメタ・ジオグラフィーを提示するというGaWCの根本的な問題意識を示した.続いて,急速に研究が進みつつある実証研究を整理し,連結ネットワークモデルや社会ネットワーク分析などの手法,グローバル・サービス企業などの関係性データを中心としながら,さまざまな手法・指標によって,多元的な世界都市システムが実証的に描き出されてきた点を明らかにした.そして今後の方向性として,NPO/NGOが企業・政府に対するオルタナティブな組織として,グローバル化時代の都市システム再構築に寄与しうる可能性を提示し,このような組織の観点を明示的に都市システム研究に取り入れる道筋を示した.
著者
野崎 弘 長島 清治 藤代 光雄
出版者
誠文堂新光社
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.10, pp.406-409, 1951-10

四圍海に圍まれた島國日本は,海水の主要成分食鹽の外,マグネシウム,加里,プローム,ストロンチウム,硼素.........と重要物資を採ろうとすれば,無償でいくらでも手近にひかえでいる.ところか食鹽だけで年に100萬ton約150億圓以上を輸入している.これはなぜであろう.また膨大なこの外鹽,加里鹽,マグネシヤ等の輸入を驅逐するにはどうしたらよいか.科學技術者の力にまつところ眞に大なるものがある.
著者
福武 慎太郎
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

2005年7月後半より約1ヶ月間にわたって東ティモールにおいて現地調査を実施した。インドネシアと国境を接するコバリマ県スアイ周辺村落において、当該地域の歴史および社会構造を把握するために、リアアダットと呼ばれる長老たちにインタビューを実施した。言語と慣習法を共有するインドネシア側の東ヌサトゥンガラ州ベル県おいてもインタビューを実施し、国境をこえた共同体の歴史と現在の親族ネットワークの拡がりについて考察するためのデータを収集した。当該地域では1999年の東ティモール住民投票後の騒乱の結果、東ティモール側の住民の大半が難民としてインドネシア側へと避難し、難民の大半は親族を頼って村落部に居住した。調査の結果、東ティモール側のスアイの人々が難民としてインドネシア側に移動するのはこれがはじめてではなく、20世紀前半におこった反植民地闘争の時以来、今回で4度目にあたることが判明した。数度にわたる大量移動の結果、東ティモール出身の人々による村々がインドネシア側国境周辺に形成された。結果として当該地域における難民は、難民キャンプに居住せず、血縁関係のある村へ避難した。国連機関UNHCRによる難民支援は、難民キャンプを中心に実施されたため、村へ避難した人々に支援物資や情報は届きにくかった。また支援活動が独立派と反独立派という図式の中で実施されたことも、インドネシア側と血縁関係があることから反独立派とみられた住民に対し、支援が届きにくい要因となっていた。帰国後、これらの調査で得られたデータを整理し、学会誌への投稿論文の草稿を執筆した。
著者
横田 順一朗
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.386-389, 1999-06-20
著者
甲斐 雅亮
出版者
長崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究課題の目的は、DNA検出用の新たな超高感度プローブを創製することである。研究代表者らは、昨年度の研究において、多糖分子に、水溶性を損なうことなく低分子量の化学発光物質であるルミノールまたはイソルミノールを多数結合させる強発光性高分子の合成手法を確立した。本年度は、平均分子量200万のデキストラン分子[(Glc)_<12300>]に、まずルミノール(Lu)、又は、イソルミノール(Ilu)を結合させた(Ilu)_<3700>-(Glc)_<1230>及び(Lu)_<1900>-(Glc)_<12300>を合成し、分光学的測定値を比較した。その結果、両高分子の蛍光強度は遊離のルミノールやイソルミノールの約60-80倍の強度しか得られなかったが、化学発光強度は、(Ilu)_<3700>-(Glc)_<12300>では遊離のイソルミノールの7700倍を示し、(Lu)_<1900>-(Glc)_<12300>では遊離のルミノールの210倍を示した。このことから、デキストランに導入する低分子量化学発光物質としてはイソルミノールの方が優れていることが示唆された。また、溶液中のこれらの発光性高分子の化学発光の検出感度は、蛍光のそれよりも約100倍高く、約2×10^<-16>molの検出限界(S/N=2)を示した。次に、イソルミノールとビオチン(Bio)の結合数をコントロールした3種の化学発光性デキストラン分子、(Ilu)_<850>-(Bio)_<330>-(Glc)_<12300>、(Ilu)_<600>-(Bio)_<660>-(Glc)_<12300>及び(Ilu)_<400>-(Bio)_<1100>-(Glc)_<12300>を合成した。DNAのハイブリダイゼーションアッセイ用のナイロン膜にスポットした時、等モルのそれらの化学発光強度は、分子中のイソルミノールの結合比にほぼ相応していた。さらに、これらの化学発光性デキストランは、分子中のビオチンを介して膜上のアビジンと結合して、特異的に化学発光スポットを与えた。以上のことから、本研究で開発した化学発光性デキストラン分子は、アビジンに特異的に結合し、超高感度な発光プローブとしての適用が期待できる。
著者
国分 征
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.75-92, 1978-03

第18次南極地域観測隊の観測計画および夏期行動の概要を述べる.楠隊長以下隊員40名,4名のオブザーバー(船舶技術者2名,カメラマン1名,ベルギーからの交換科学者1名),および約500 tの物資を積載した「ふじ」は,1976年11月25日東京港を出港,147日間の全行程を終え,1977年4月20日東京港に帰った.「ふじ」は12月31目定着氷縁に着き,1月25日までに全越冬用物資を昭和基地に運んだ.基地においては電離層棟の建設や大型雪上車の組立などの設営作業が行われたほか,2月10日にはS-310 JA-2ロケットの打ち上げに成功した.一方基地周辺では,リュツォ・ホルム湾点在露岩地域での地質学・地球化学調査,基準測量が行われたほか,航空機による氷河域写真撮影,気象観測も行われた.また,みずほ観測拠点での通年観測のための要員の送り込み,および無人観測所(69°47'S, 41°34'E)の建設のための内陸旅行がなされた.船上における海洋観測などの定常観測も全行程を通じて行われた.
著者
小林 謙一
出版者
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

日本列島、韓半島、中国における武器・武具の資料を比較すると、それぞれの地域間の交流を示す資料が明らかになる一方で、各地域に特徴的な在地の独自性を示す資料の存在も明らかになった。日本列島に関しては、弥生時代以降、弓矢をはじめとする攻撃用武器と甲冑等の防禦具は、相互に関連しつつ変遷してきたが、5世紀中葉には、同時に、新式の攻撃用武器、防禦具が導入された。これらは基本的に騎兵装備であり、中国東北地方、高句麗から韓半島を経由して日本列島にもたらされたことが明らかになった。ただし、中国東北地方で4世紀に成立した、馬も鎧を着用した重装騎兵の装備は、韓半島南端においても出土しており、両者が同一の系譜であることが確認できるのであるが、日本列島では、馬甲・馬冑の出土が皆無に近い状況であることから、ほとんど普及しなかったと考えられる。このことは、騎兵装備が騎兵戦という戦闘方法と一体で導入されたのではなく、より性能の高い新式の武器・武具として取り入れられたことを物語っている。当時の日本列島において、重装騎兵の装備は、必要とされなかったのである。東アジア各地域における武装の相違は、戦闘方法の違いでもあった。一方、防禦施設についても、高句麗古墳の壁画に描かれた城壁や土城を巡る高い土塁は、日本列島で確認されていない。こうした点も、武器・武具は、日本列島内における戦いに対処する装備として整えられてきた一因と考えられる。さらに、騎兵と関連する馬に関して、日本列島においては、馬具の出現が、騎兵装備より時期的に先行している事実も加味すれば、その時点における必要なものを選択して取り入れるという、受容する側の状況があったことも考慮すべきであろう。
著者
林 春男 山下 裕介 田中 重好 能島 暢呂 亀田 弘行 河田 恵昭
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

災害復旧に従事する防災機関のロジスティクス・マネージメントにおいて,災害対応を緊急対策,応急対策,復旧・復興対策という相互に独立し,異なる目標を持つ3種類の対策の組み合わせとして考えることが可能である.しかも,この3種類の対策はすべて災害発生直後から同時に,別々の担当グループによって実施される必要性が明らかになった.その間でのニーズと資源の相互調整過程にロジスティクス・マネージメントの本質があると考え,それを可能にする情報システムの構築を行った.1)防災CALSの構想 災害対策をおこなう関連部局間での状況認識の共有と資源調整を可能にするための情報処理標準の必要性を明らかにし,そのプロトタイプを検討した.2)被害状況の把握,対応状況の整理,資源動員計画の立案,周知広報による情報共有の確立を統一的に推進するシステムの構築を目的として,カリフォルニア州が開発した“OASIS" (OPERATIONAL AREA SATELLITE INFORMATION SYSTEM)と,わが国の災害情報処理報告形式とを比較検討し,わが国における合理的な災害情報処理様式の検討を行った.3)合理的な意思決定を支援するためには,災害対応の各局面における制約条件,過去の教訓棟を的確に参照しうるシステムが必要となるという認識のもとに,SGML (Standard General Markup Language)による災害情報管理システムのプロトタイプを構築した.各種防災計画の改訂や検索に強力な武器になることが明らかになった.4)阪神淡路大震災で初めて注目され,今後の利用法の検討が考えられるべきボランティア問題に関して,実態調査を重ねその問題点を明らかにした.
著者
加藤 誠巳 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.387-388, 1996-03-06

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行われている。この場合特定の場所にパレットが集積し逆に特定の場所でパレットが不足することが生じる。このような事態が生じたとき、輸送コストや輸送所要時間等を考えないで単に過不足を補正するような回送を行うと輸送コストの面で不利益が生じる。ここでは効率よくパレットを回送するために、定期便として運ばれるものや輸送所要時間を考慮した輸送計画問題について検討を行った。即ち定期輸送便の運行状況から予測して、時間の流れと共に変化するパレットの在庫状況の時間変化を把握し、輸送所要時間を考慮して時間的に無駄のない回送計画を立てることを目的とした。
著者
高橋 哲雄 今田 高峰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.73, pp.9-14, 1998-05-22

HTV(H-II Transefer Vehicle)は平成13年度11月に技術実証機の打ち上げ、その後運用機が毎年1回から2回予定されている、宇宙ステーションへ物資を補給することを目的とした軌道間輸送機である。HTVはH-IIA3トン級ロケット2段式によって打ち上げられ、宇宙ステーションにランデブーし、宇宙ステーションのロボットアームによって捕獲され、係留される。係留中に補給物資・宇宙ステーションの不要物資を積み降ろしを行い、宇宙ステーションから離脱する。ここでは、HTVのミッション及び安全上特に重要である、ETS-VIIをベースに設計された誘導制御システムについて紹介する。
著者
冨田 敏夫 神尾 好是
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

黄色ブドウ球菌のロイコシジン及びγヘモリジンは2成分性血球崩壊毒素である。我々は、ヒト血清中のγヘモリジン阻害物資の精製に成功し、阻害物資をビトロネクチン及びそのフラグメントであると同定した。即ち、ロイコシジン及びγヘモリジンの新規機能、すなわちビトロネクチン結合能を初めて明らかにした。本研究では、(1)ビトロネクチンがγヘモリジンのHlg2成分およびロイコシジンのLukS成分に特異的に結合して両毒素の活性を阻害する事実を明らかにし、(2)ビトロネクチンの毒素分子結合ドメインの決定を試みた。ビトロネクチンの毒素阻害ドメインを決定するために、プラスミンによるビトロネクチンの限定分解をおこない、38kDaの阻害活性フラグメント(:89番目セリンから始まる)を分離した。さらに、このフラグメントをトリプシン分解した結果、C末端側が切断された24kDaの活性フラグメントが得られた。従って、ビトロネクチンの毒素阻害部位はhemopexin 1ドメインのC末端側及びhemopexin 2ドメインのN末端側の両者を含むことが明らかになった。また、(3)ビトロネクチン・毒素複合体中の両分子のモル比を測定した結果、平均して6分子のビトロネクチンが1分子の毒素を結合していた。この複合体中の毒素成分はSDS存在下で遊離するが、ビトロネクチンは複合体として存在していた。さらに、電子顕微鏡観察では、約20nmの球状構造が見られ、この球状構造が毒素成分1分子を保持するビトロネクチン複合体であると考えられた。
著者
仲谷 善雄 橘 亜紀子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.108, pp.45-52, 2007-11-06
被引用文献数
1

災害時に避難所に避難する人達は、生活に必要な物資を持っていないことが多く、救援物資が重要となる。しかし従来の救援物資受け入れ体制は、必要なものを必要なときに必要な数量だけ受け取れるものではなく、受身であったため、すでに必要でない物資が届いたり、不足や過剰などの問題が存在した。そこで我々は、救援物資の配給を行う都道府県の担当者が使用して、過去の避難所での実績データに基づいて、どの程度の規模や特徴の避難所であれば、いつ頃にどのような物資がどの程度必要になるかを推定し、その情報を Web に掲載することで、タイムリーに必要な数量の物資の確保を支援するシステムを提案する。データとして、都市型地震の典型としての阪神淡路大震災と、中山間地地震としての新潟県中越地震を事例ベース化した。また、必要とされながらも実際には配給されなかった物資については、別途データベース化して利用できるようにした。福岡県西方沖地震を対象とした検証実験により、有効性を確認した。Refugees who evacuate to the shelters usually do not bring their daily essentials with them, and relief supplies are essential for them. A conventional acceptance mechanism, however, has been passive and it is difficult to timely acquire the needed volume of what are needed. What are not needed is sometimes sent. Our approach to meet this situation is to predict what are needed in a certain period of evacuation lives based on the case base which stored actual data of what kind of necessaries were required or delivered in the actual evacuation cases: the great Hanshin Awaji earthquake as an example of an urban-type disaster and the Niigata Chuetsu earthquake as an example of a disaster in an intermediate and mountainous area. This framework is implemented on the PC as a web-based application. When a new shelter starts, the system refers to the case-base and retrieves a most similar shelter case based on the type (urban or mountain), composition of population, season, and so on. The system provides what kind of materials are to be required next week on the web based on the retrieved case. We validate the efficiency of the approach by applying the system to an actual earthquake example, the western Fukuoka earthquake. The system proposed necessaries which were not delivered but were strongly required as well as actually delivered materials.
著者
加藤 誠巳 増田 卓也 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.383-384, 1995-03-15

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行なわれているが、特定の場所にパレットが集積し逆に特定の場所でパレットが不足することが生じる。このような事態が生じたとき、輸送コストを考えないで単に過不足を補正するような回送を行なうと総輸送コストの面で不利益が生じる。ここでは効率良くパレットを回送する輸送計画問題について検討した結果について述べる。
著者
山口 猛央 高羽 洋允 酒井 康行 中尾 真一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

生体膜ではイオンゲートが存在し、イオンシグナルが来たときにだけ細孔を開閉する。情報伝達シグナルにより細胞内外の特定イオンや物質の濃度を調節することが可能である。人工膜中にセンサー(包接ホスト)やアクチュエーター(環境応答ゲル)を組み合わせ、シグナルを認識したときにだけ細孔を高速に開閉する分子認識イオンゲート膜の開発に成功している。この膜はカリウムなど特定イオンが来たときにだけポリマー鎖が細孔内で膨潤し細孔を閉じる機能を有する。本研究では、この情報シグナル認識機能を人工代謝機能へと応用した新規なハイブリッド型人工臓器を提案する。情報認識膜の表面に細胞を成長させる。細胞の一部が死滅すると全体の細胞へ悪影響を与え(生体では炎症など)、機能を維持できない。多くの細胞はカリウムポンプにより細胞内でカリウム濃度が高い状態を維持している。通常、細胞内部でのカリウムイオン濃度は4000ppmであり、血漿中の濃度は200ppmである。細胞が死滅すると細胞膜が破壊されカリウムイオンが外部へ流れ出す。膜がこの情報物質を認識し死滅細胞近辺だけポリマー鎖が膨潤し親水化すると、死滅細胞近辺の細胞が表面から剥がれる。さらに膜細孔も閉じ細胞質は透過側へは流れでない。拡散によりカリウムイオン濃度が低下するとポリマー鎖は収縮し、初めの状態と同じように細胞が増殖し細胞組織を再構成する。これを繰り返すことにより、常に組織は新しい細胞と代謝され、長期間機能を維持する。生体においては、食細胞などにより細胞が消化され代謝が促進されているが、ここでは人工膜界面が細胞死の情報を認識し代謝する役割を担う。死細胞から放出されたカリウムイオンを膜が認識し、死細胞を選択的に系から除去できることを確認した。さらに、炎症性物資をも除去することにより、このシステムでは素早く細胞が復元されることも確認した。
著者
孫 為華 木谷 友哉 柴田 直樹 安本 慶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.61-66, 2009-02-26

大規模災害により,被災地の通信インフラが破壊された場合,災害情報の収集と共有が困難となり,救援活動に大きな支障をきたす.本稿では,インフラが機能しない災害現場において携帯端末を携えた救急隊員間でDTN (Delay Tolerant Network) に基づいた通信を行うことで災害情報を災害対策本部のサーバにできるだけ早く収集し共有する方法を提案する.提案手法では,救急隊員の行動モデルを考慮し,情報伝送効率を向上させる方法を検討する.The information gathering and sharing are difficult in a disaster area where the commnunication infrastructures are destroyed due to the large-scale disaster. As a result, the rescue operation will be interfered. In this paper, we propose an efficient method for gathering disaster related information to a server at the headquarters in a disaster area, taking into account the mobility of rescue parties based on DTN (Delay tolerant Network).
著者
海野 徳仁 平田 直 小菅 正裕 松島 健 飯尾 能久 鷺谷 威 笠原 稔 丸井 英明 田中 淳 岡田 知己 浅野 陽一 今泉 俊文 三浦 哲 源栄 正人 纐纈 一起 福岡 浩 渥美 公秀 大矢根 淳 吉井 博明
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
2008

臨時余震観測から本震時には西傾斜の震源断層が主に活動したが、それと直交する東傾斜の余震活動もみられた。震源域直下の深さ30~40kmには低速度域が広く存在しており、そこから3本の低速度域が地表の活火山にまで続いていた。GPS観測データから本震時すべりは岩手・宮城県境付近で最も大きかった。本震後の顕著な余効すべりは震源断層の浅部延長で発生し、地震時すべりと余効すべりは相補的である。強震動データでは0.1~0.3秒の短周期成分が卓越していため震度6弱の割には建物被害が少なかった。
著者
花田 英輔 工藤 孝人
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、医療における総合的な電磁環境を構成するべき要素のうち、電源重畳ノイズ、接地および放射電磁界シミュレーションに重点を置いて研究をすすめた。また、これまでの研究成果を2つの国際学会を含む多くの学会で口頭もしくはポスターにて発表した。(医療現場における電磁環境の総合的な調査:電源ノイズ)IT化が進む医療機関における電源供給のあり方として、医療機器とその他という目的を明確にした供給体制と、JIS規格(JIS T 1022)に則ったコンセント区分および非常電源のあり方についてまとめ、解説論文として報告した。(医療現場における電磁環境の総合的な調査:接地)電気で駆動する医療機器は、接地が不良となった場合には動作が不安定となり、特に微小信号を取り扱う検査機器にあっては正しい検査結果が得られない場合がある。そこでJIS規格等で定められた病院接地(C種)を作成し、理想的接地(抵抗値10Ω内)および不良接地を人工的に作成し、その簡便な判別方法及び影響について調べた。この結果は平成20年度に報告の予定である。(電磁環境シミュレーションの開発と実証試験)これまで2次元空間で行ってきた放射電磁界の分布シミュレーションを3次元空間に拡張することを目指し、プログラムを改良した。応用例の1つとして、MRI室用電磁波シールドサッシの特性評価に関するシミュレーションを行った。この結果は平成20年度に発表の予定である。
著者
大田 一郎 原 憲昭
出版者
熊本電波工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,コイルやトランスを使わずに,コンデンサとICスイッチだけで電圧変換できるスイッチトキャパシタ(SC)回路を用いて,超小型軽量のACアダプタを実現させる.平成17年度には,研究の最終年度で,過渡応答試験とワールドワイド入力の対応について検証を行った.電源投入時と瞬時停電時の過渡応答試験を行った結果,電源投入時の過渡応答では,従来のSC電源に比べ,突入電流を半分以下に減少させることができた.即ち,従来のSC電源(電子情報通信学会論文誌,vol.J76-C-II, no.6,pp.422-431,June 1993参照)では,300μFのキャパシタ4個を同時に商用電源に接続するのに比べ,提案回路では全波整流後の平滑キャパシタが30μFと小さいので,ソフトスタート回路を付加しなくても大きな突入電流を防ぐことができる.瞬時停電の応答は,従来方式の総容量1,200μFに対して,提案方式の総容量は180μFと約117に軽減しているので,出力の時定数が117に減少して全負荷時では半周期の瞬時停電でも出力電圧を維持することができない.なお,復帰後の応答は突入電流が小さく良好である.次に,世界中の電源電圧に無調整で対応できるACアダプタにする必要があるので,入力電圧を100V〜240V,周波数を50〜60Hzと変化させた場合の特性を明らかにする.個別部品で実験回路を組んでいるため,配線の引き回しにより,電源部では雑音を発生しやすく,制御部では雑音を拾いやすい回路になっている.このため入力電圧を高くすると,制御回路が誤動作したため,まだ実験での検証を終えていない.今回の試作では個別部品による動作の検証,および,計算機シミュレーションによる特性解析を行ったが,今後,制御回路の誤動作を防ぐため,キャパシタ以外の全ての素子をICチップ化して,実用化の見通しを検証したいと思っている.
著者
内田 裕之
出版者
山梨大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、金属ナノ粒子と混合導電性酸化物間の特異な相互作用を解明・制御して高性能電極を開発し、ナノイオニクスの発展に貢献することを目的とする。本年度は、以下の成果を得た。1) 噴霧プラズマ法で合成したNi-SDC複合粒子のNi粒子サイズ制御とSOFCアノード特性昨年度報告したように、組成と粒径がよく制御されたSDC固溶体とNiOの複合粒子がSSP法により一段階で簡便に合成できる。この粒子は中空状であり、Ni, Ce, Smが均一に分布していた。水素気流中800〜1000℃で1時間還元処理するとNiOは全てNiに還元できた。NiとSDC間の強い相互作用により、SDC表面にアンカーされた状態でNi粒子が析出し、Ni結晶子サイズは、1000℃還元では50nm、800℃では37nmであった。還元温度を低くするほどNi粒径を小さく制御できることがわかった。このNi-SDCをYSZ電解質に取り付けてSOFCアノード特性を評価した結果、17vol%-Niで最大活性を示すことを見出した。2) ヘテロ界面制御 : 混合導電性酸化物LSCF酸素極の長期耐久性La_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_3(LSCF)+SDC/LSCF二重層構造電極を900℃、0.5A/cm^2で酸素発生させ、5000時間の耐久性を実証できた。落雷での停電での急冷、作業停電での室温までのヒートサイクルにも耐え、0.15V以下(vs. air)という高い性能を維持できた。試験開始時と再起動時に、一度上昇した電位が緩やかに回復する原因は、電極内の粒子同士の焼結がガス拡散性を抑制しない程度に進行してイオンと電子の導電ネットワークが向上し、有効反応領域が増大することに加え、LSCF中のCoの価数変化または相変化が起こっている可能性が高いことを明らかにした。