著者
Hajime Tazaki Rodney Van Meter Ryuji Wakikawa Keisuke Uehara Jun Murai
出版者
Information Processing Society of Japan
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.118-128, 2011 (Released:2011-03-09)
参考文献数
26

MANET for NEMO (MANEMO) is a new type of network that integrates multi-hop mobile wireless networks with global connectivity provided by Network Mobility (NEMO). Two factors limit the scalability of MANEMO: the volatility of topologically correct global addresses, and excessive traffic load caused by inefficient use of nested tunnels and the consequent redundant routing of packets. We propose NAT-MANEMO, which solves both problems by applying NAT for some mobile router addresses, bypassing tunnel nesting. This approach retains global addresses for mobile end nodes, preserving application transparency, and requires only minimal modification to existing specifications. Our ideas are evaluated using simulation and a proof of concept implementation. The simulation shows the additional signaling overhead for the route optimization introduced by our proposal is negligible compare to the bandwidth of an IEEE 802.11 link. The implementation confirms that route optimization reduces latency and improves throughput.
著者
松井 豊 竹中 一平 新井 洋輔
出版者
筑波大学心理学系
雑誌
筑波大学心理学研究 (ISSN:09158952)
巻号頁・発行日
no.30, pp.43-49, 2005-09-01

A Simulation Training system for Earthquake shelter Program (STEP) has been developed, and evaluated in terms of its effectiveness. Previous role-playing (ver.0.1) and panel-presentation (ver.0.2) versions were revised, and prototype ...
著者
大田 一郎 西山 英治
出版者
熊本電波工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,高圧配電線の電流計測システム用のフローティング電源回路を開発する.電源回路の仕様は,3,810V/60Hzの配電線対接地電圧から直流±12Vのデュアル出力0.5Wを得るもので,キャパシタ分圧により配電線の対接地電圧からエネルギーを得る方式なので,重たい電源用コイルを用いずに回路を構成できる.前年度の研究開発で,hspiceによるシミュレーションと個別部品による回路試作によって,基本的な特性を明らかにした.平成19年度は,研究の最終年度で,過渡応答試験と温度試験およびノイズ試験について検証を行う.まず,過渡応答試験では(1)停電,復帰,(2)半周期欠落瞬時停電,および(3)n周期欠落停電の過渡応答を実測した.その結果,hspiceによるシミュレーションとほぼ同様の結果が得られ,停電から復帰したときは1.5秒後に出力電圧が±12Vに達することがわかった.配電線監視システムは通電時に正常測定ができればよく,停電復帰後の1.5秒はさほど問題はない.なお,半周期欠落や瞬時停電は時々生じるが,回路の時定数が576mと長いため100ms(6周期)の欠落停電が生じても出力電圧は10V以上を保持できることを確認した.次に,温度試験について,周囲温度を-15℃〜80℃変化した場合の諸特性を測定した結果,高耐圧セラミックキャパシタを容量が温度範囲内で25nF以上であれば問題ないことがわかった.また,出力電圧の温度依存性は使用するツェナーダイオードの温度特性で決まり,試作回路では±4%以内の出力電圧変動率であった.提案回路はスイッチング方式ではないので,問題となるようなノイズの発生はない.なお,落雷による擬似サージ電圧を印加した場合の諸特性については,試験設備がないため,実用化になるときに企業と共同で試験する予定である.
著者
渡辺 寛明 宮原 益次 芝山 秀次郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.362-371, 1991-12-26
被引用文献数
9

イヌホタルイの種子が多量に散布された水田土壌中から4年間にわたって種子を採取して、発芽試験法によって休眠の検定を行い、土壌中における種子の生存状態の推移を検討した。 1)種子の発芽は密栓水中およびペトリ皿内湛水土壌を発芽床とした場合に良好であり、湿潤濾紙上および開放水中は休眠を検定するための発芽床としては不適当であった。 2)水田土壌中から採取した種子は15℃から30℃までの恒温条件で発芽したが、20℃以下では採取時期によって発芽率および平均発芽日数が大きく異なった。10℃では全く発芽しなかった。 3)秋耕によって土壌中に埋没した自然落下種子の大部分は、翌年の3月までに休眠が覚醒したが、無秋耕で4月まで水田の土壌表面におかれた種子は休眠覚醒が遅れた。 4)代かき後の発生数は10cmの土壌層の生存種子数の約8%であり、大部分の種子は未発芽のまま湛水土壌中で二次休眠に入った。二次休眠種子も落水後、冬から春にかけて徐々に休眠が覚醒し、その後休眠の導入と覚醒を毎年季節的に繰り返した。 5)水田土壌中の生存種子数は毎年前年の種子数の約30%ずつ減少し、4年後の生存種子数は初年目の約35%であった。生存種子数の減少率と実際の発生数から、水田土壌中では20%程度の種子が毎年発芽前あるいは発芽後に土壌中で死滅しているものと考えられた。
著者
大山 将城 名野 響 近藤 信行 清水 尚彦 星野 民夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.477, pp.49-53, 2004-11-24

昨今のSoC開発においてハードウェア,ソフトウェアの協調エミュレーションは盛んに行われている.しかし,エミュレーション環境はベンダツールへの依存度が高いケースが多く標準的といえるものはまだ無い.したがって,構築したエミュレーショシ環境が使用しているベンダツールに縛られているのが現状である.これに対しaccellera[1]は2003年に標準協調エミュレーションモデリングインターフェースSCE-MIを策定した.SCE-MIは披試験デバイス(以下DUT)に対するテストベンチの設計/使用を容易にすることを目的にハードウェア/ソフトウェア間のインターフェース(以下IF)仕様を定義するものである.IFのソフトウェア側はC++のAPIとして,ハードウェア側はTransactorと呼ばれるモジュールとして定義される,ただし,これらの実装仕様については定められておらず実装者に任されている.そこで標準的エミュレーション環境の実装試行として,SCE-MI仕様にのっとったIF開発とFPGAボードへの実装を行った.
著者
広瀬 幸雄
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.45-53, 1985
被引用文献数
1

This study proposes a tentative model of consumer's decision making in the hoarding panic and presents some evidence that in the present system of goods distribution the hoarding panic is triggered easily by less than 10% of total consumers. The toilet paper hoarding panic in 1973 in Kansai is divided into four sequential stages; precursor, outbreak, expansion, and termination of panic. Four categories of consumers, based on different decision making processes are hypothesized, corresponding with each stage. The early hoarding consumer begins to lay in a large stock from a self-reward maximization motive, anticipating the high rise in price of toilet paper by low credible rumor. The middle hoarding consumer acts by indirect support of the rumor from newspaper accounts. The late hoarding consumer rushes into hoarding from a defensive motive, strongly afraid of life without toilet paper. The no-hoarding consumer with enough stock is also dragged into the tragedy of commons, thus suffering from high price caused by panic.
著者
上田 和紀 細部 博史 石井 大輔
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1_306-1_311, 2011-01-25 (Released:2011-02-18)

時間の経過に伴って状態が連続変化したり,状態や方程式系自体が離散変化したりする系をハイブリッドシステムと呼ぶ.我々は,不確実値の扱い,シミュレーションと検証の統合などの観点から,制約概念に基づくハイブリッドシステムモデリング言語HydLaの設計と実装を進めてきた.HydLaは,制約階層概念の採用によって制約条件を過不足なく与えることを容易にした点を特徴とするが,種々の言語機能の相互作用のためにその意味論の定式化は自明ではない.本論文では,HydLaの宣言的意味論を定式化して考察を加えるとともに,宣言的意味論から導かれる性質や帰結を具体例を用いつつ論じる.
著者
入江 功 滝川 清 小島 治幸 吉田 明徳 浅野 敏之 渡辺 訓甫 富樫 宏由 後藤 智明 村上 啓介 佐藤 道郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本調査は、平成10年から12年の3年間をかけて、九州各県にある九州大学,佐賀大学,長崎大学,熊本大学,鹿児島大学,宮崎大学,大分日本文理大学,九州共立大学,東海大学(静岡),東和大学などの大学が協力体制をつくり、(1)各大学が所在する県の海岸を対象に、海岸の景観・利用・防災に関する共通のアンケート用紙でサーベイし、(2)既往最大級の津波・高潮による浸水域を求め、これをとりまとめるものである。本調査が計画検討されていた平成10年頃には、既に次年度発足へ向けての海岸法の改正が検討中であり、学識経験者の海岸の開発保全に対する意見が要請される趨勢にあった。このため、少なくとも各大学の所在する地域の海岸については、十分な知識と理解を持っておくことが重要であると認識され、まず海岸の「防災」「環境」「利用」について、九州全域の海岸のサーベイを行うことになった。同時に九州沿岸は、南西域の津波、内湾および北部域の高潮に脆弱な海岸が多いため、津波計算、高潮計算をベースに沿岸の自然力に対する危険度をハザードマップで認知する手法を検討した。まず、海岸環境のサーベイにおいては、多くの評価項目から厳選した55項目を用い、各大学所属県の海岸を現地踏査した。その際撮影した海岸の写真画像を用い、別途写真画像のみで同じ55項目の評価項目で評点をつけ、現地踏査と写真画像とで評価結果がどの程度異なるかを主成分分析により調べた。その結果、両者の違いはほとんどないことが分かったので、今度は九州全海岸127地点について、写真画像のみを用い、17名程度の学生・職員により海岸環境の相対評価を行った。また、ハザードマップの在り方に付いては、3年間を通して議論の対象となった。まず、防災担当部局(者)は人間宣言すべきであること、すなわち、その危険度に至る前提、不確定さを明示すること、危険度としては、可能最大の自然力を対象とすること、宮崎海岸のように津波警報等の住民伝達が間に合わない場合の避難システムをマップ表示すること等の意見が出された。結局数値計算結果に、これらの考え方をどう生かして行くかの議論が締めくくりにもなった。
著者
山本 博 渡邉 琢夫
出版者
金沢大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、細胞膜上にヘム蛋白性酸素感受性イオンチャンネルを持つPC12細胞を用い、その細胞膜画分のヘム蛋白をプロファイリングすることにより、新規酸素感受性分子(酸素センサー)を同定することである。平成14年度中の研究により、Lithium Dodecyl Sulfate (LDS)を用いた低温下ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(LDS-PAGE)と、ヘム分子団のペルオキシダーゼ様活性に基づきヘム蛋白を特異的に検出するルミノール化学発光反応を組み合わせた、高感度ヘム蛋白検出法を確立した。平成15年度の研究は当初計画通りに遂行され、以下の成果を得た。1.PC12細胞の粗精製細胞膜画分蛋白を低温下LDS-PAGEにより分離後、ルミノール化学発光反応液中でインキュベートしフルオログラフィーをとることにより、粗精製細胞膜画分に含まれるヘム蛋白のバンドを同定した。さらに、同一試料を並行して泳動したレーンをクマジーブリリアントブルーで染色することによって得られた全蛋白の染色バンドと、フルオログラム上のヘム蛋白のバンドの位置を比較することにより、ヘム蛋白を含むと推定される蛋白のバンドを同定した。2.1.によって同定された蛋白のバンドを切り出し、そこに含まれる蛋白を、液体クロマトグラフィー・マススペクトロメトリー法によって同定した。その結果、約50種の蛋白が同定された。3.現在、2.によって同定された蛋白の中から、構造や推定される機能などに基づいてヘム蛋白である可能性の高いものを抽出し、ヘムとの結合性を検討中である。すでに、ソーレーバンド(蛋白とヘムとの結合により見られる波長400nm付近の特異的吸収帯)などにより、ヘムとの安定した結合が確認されている蛋白もある。今後、これらの新規ヘム蛋白の機能の解析を進めていく予定である。
著者
六鹿 茂夫 廣瀬 陽子 黛 秋津 佐藤 真千子 小窪 千早 梅本 哲也 吉川 元 上垣 彰 大西 富士夫 西山 克典 小久保 康之 吉村 貴之 中島 崇文 末澤 恵美 服部 倫卓 木村 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

黒海地域の国際関係を歴史、経済、域内国際関係、域外国際関係の4次元から分析し、国際会議をボアジチ大学(イスタンブール)と静岡県立大学にて開催して学際的総合化に努めた。その結果、1.黒海としての地域性、2.地政学的重要性、3.黒海地域の特殊性と地域特有のイシュー(エネルギー、民主化、凍結された紛争)、4.黒海地域の構造とその変動、5.黒海地域と広域ヨーロッパおよび世界政治との相互連関性が明らかにされた。
著者
若尾 典子
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

男性あるいは女性加害者への介入プログラムは、ドメステック・バイオレンスの場合も児童虐待の場合も、ジェンダーに敏感な視点が必要である。なぜなら親密な暴力は、個人のジェンダー意識(ジェンダー・アイデンティティーと言い換えることもできる)に基づく行動の一つだからである。個人のジェンダー意識に基づく行動は多様であり、社会的に確立しているジェンダー意識を直接に反映することもあるが、反対の行動をとることもある。例えば、女性加害者は女性役割や母親役割に反して、暴力をふるう。それは、彼女の個人的ジェンダー意識が社会的ジェンダー意識にとらわれ、反発あるいは過剰な適応として、暴力行為にいたるからである。加害者への介入プログラムは、被害者支援の観点から、加害者の個人的ジェンダー意識を変化させることを重視して実行される必要がある。そのためには、家族支援の専門家としてソーシャル・ワーカーを児童虐待防止法に明確に位置付けることと、すべての関係者にジェンダーに敏感な視点から家族関係を把握する共通理解を確保することが、求められる。
著者
李 昌訓
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-25, 2002-01-31

観光者行動による観光地選択は,いままで多くの研究がなされて来たが,必ずしも十分であるとはいえない。本論文は潜在観光者がある観光目的地を決める時,その観光地に対して持っているイメージが決定要因として作用するという観点より,ハウステンボスに対する観光イメージを形成する要因について,韓国の若い新世代大学生を対象に分析した。その結果,魅力性,経済性,都市体験,非日常的体験,親近感,そして利便性の6つの要因が抽出された。また,ハウステンボスの訪問意図に対する動機づけに彼らが抱くハウステンボスへのイメージが少なからず影響していることも示された。
著者
矢野 浩司
出版者
山梨大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

パルスパワー発生装置への応用にむけて、静電誘導型半導体素子の動作究明を半導体デバイスシミュレーションにより行った。まず現在の半導体シミュレー夕をパルスパワー応答解析用にバージョンアップした。そしてこのシミュレータを用い、静電誘導デバイスのターンオン過程を検討した。パルスパワー応用で半導体素子を用いる場合、100nsec以下の高速ターンオン性能が必要である。シミュレーションの結果、静電誘導半導体素子のターンオン動作は、空乏層幅の急速な減少によるチャネル形成により行われ、このチャネル開放時間は1nsec以下であることがシミュレーションから明らかになった。この時間はMOS構造素子のMOSゲート充電時間やGTOサイリスタにおけるベース層キャリア蓄積時間よりも2桁以上も小さい。実際静電誘導素子がオンする為に要する時間は、チャネル開放時間に素子活性領域にキャリアを蓄積させる為の時間を加算した時間となるが、この時間を比較しても静電誘導素子は従来のGTOサイリスタよりも1桁以上速いことがわかった。即ち静電誘導半導体素子は、パルスパワー用半導体スイッチとして有用であることが予測できた。今後は、静電誘導半導体素子のトータルのターンオン時間を改善する設計手法を明らかにしていく予定である。具体的には主にゲート構造の改良、キャリア寿命制御の最適化に着眼し研究を行っていく。また、周辺回路要素の静電誘導半導体素子のターンオン動作への影響の検討にも対処出来るように、半導体シミュレータをヴァージョンアップしていく。
著者
Nakayama Kazuya Matsuda Hideo
出版者
社団法人応用物理学会
雑誌
Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers & short notes (ISSN:00214922)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.4751-4757, 1998-09-15
被引用文献数
3

A new high-power (4500 V) planar metal oxide semiconductor (MOS) device is fabricated and its properties are evaluated. It has low forward voltage drop and a large reverse bias safe operating area (RBSOA), and allows easy MOS control. These properties are superior to those of the conventional insulated gate bipolar transistor (IGBT) and the gate turn-off thyristor (GTO). This is due to the conductivity modulation enhancement effect resulting from an extremely wide gate electrode, which increases the hole storage and the electron injection. At the same time, the junction field effect transistor (JFET) resistance effect does not affect the forward voltage drop. The rate of increase of the off-state voltage (dV_D/dt) during the turn-off process affects RBSOA markedly, therefore, it is important to set the gate resistance to an appropriate value. The press pack device that includes 20 chips of this device and 10 fast recovery diode chips can turn off a current of 1200 A at 3600 V DC voltage supply without a snubber circuit.
著者
前田 雄一郎 成田 哲博 甲斐荘 正恒 渡邊 信久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

蛋白質アクチンは高等生物の細胞に最も多量に含まれ多くの重要な細胞機能を担う。筋細胞中では数珠のように連結した重合体として筋収縮とその調節に関与し、他方一般細胞では他の蛋白質の助けを借りて重合と脱重合を繰り返す循環的分子運動によって細胞を動かす。本研究でははじめてアクチン重合体の原子構造を解明し、またアクチンと他の蛋白質の複合体構造を解明した。それら構造情報を基に機能発現メカニズムの理解を進めた。
著者
半那 純一 飯野 裕明
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

棒状液晶物質をモデルとして、ポリアニリンによるドーピングによる電子伝導、及び、イオン液体によるいイオン伝導のバルクキャリア濃度の制御、及び、それを利用した液晶物質を半導体層とするTFT特性の改善について検討した。ポリアニリンを所定量ドープした8-TTP-8の低電界下での電流特性は、その濃度に依存して増加し、増大し、最大4桁(1wt%時)増大が見られた。一方、ポリアニリンのHOMO準位よりもホールに対してエネルギー的に高いHOMO準位を持つNaphthalene系液晶8-PNP-012ではこの現象は観測できなかった。さらに、ドープされた試料のtime-of-flight法による過渡光電流の測定から、濃度によらず移動度は未ドープの試料と変わらないことから、ポリアニリンは液晶中では液晶分子が形成するスメクティック層の層間に存在しているものと考えられた。8-TTP-8の多結晶薄膜を有機半導体層として作製したボトムゲートFETの素子特性は未ドープのFETの特性に比べ、on電流、及び、ゲート電圧に対する電流の立ち上がりの改善が見られ、移動度は約2倍の0.2cm^2/Vsまで改善された。イオン液体によってドープした8-TTP-8の液晶相ではイオン液体の種類による伝導度の違いはあるものの、いずれの場合も濃度に依存して伝導度の上昇が観測され、結晶相では高濃度ドープした試料を除いてその濃度に係わらず、未ドープ試料の示す伝導度との違いが見られなかった。この特性は、8-PNP-012の場合も基本的に同じ結果を与えた。これらの結果は、ドープされたイオン液体が液晶物質の中で解離し、イオンとして伝導に寄与していることを示している。イオン液体の種類による伝導度の違いは液晶物質中におけるイオン液体の解離の違いによると考えられた。