著者
内山 憲尙
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.55-57, 1939-09
著者
福島 道広
出版者
帯広畜産大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

(1)未利用動物資源である北海道産アレチマツヨイグサ種子油の脂肪酸組成はそれぞれリノール酸が71%及びγ-リノレン酸が13.7%占めており,市販の月見草油がリノール酸71.7%,γ-リノレン酸9.2%であったのに対し,γ-リノレン酸が4.5%高い値を示した.n-6脂肪酸のα-リノレン酸はアレチマツヨイグサ油には含められていなかった.(2)ラットへのコレステロール負荷条件下での短期投与(6週間)及び長期投与(13週間)実験の結果,短期投与では投与期間を通して成長阻害はみられなかったが,長期投与では月見草油,バイオγ-リノレン酸,紅花油,パーム油及び大豆油より体重増加量は減少した.血液中の総コレステロール濃度は短期及び長期投与の両方ともアレチマツヨイグサ種子油投与区で他の投与区より有意に低下した.また,悪玉コレステロールのLDL-コレステロール濃度も同様に低下した.アレチマツヨイグサ油は肝臓においてコレステロール濃度が短期投与及び長期投与ともに低下傾向を示した.糞便中へのステロール排泄量は,短期投与では各投与区間に変化はみられなかったが,長期投与ではγ-リノレン酸23.1%含んでいるバイオγ-リノレン酸油が他の投与区より有意に増加した.(3)各植物油脂を投与したラットの肝臓におけるHDL及びLDLの主要アポタンパク質であるアポA-1及びアポBのmRNAレベルには大きな差はみられなかった.また,血液中からのLDLの取り込みを担うLDL受容体のmRNAレベルについても変化はみられた.◎未利用資源として,リノール酸71.0%,γ-リノレン酸13.7%含むアレチマツヨイグサ油のラットへのコレステロール代謝を検討した結果,γーリノレン酸を9%含む月見草油と同様,短期投与(6週間)及び長期投与(13週間)ともに強いコレステロール低下作用を示した.以上,アレチマツヨイグサ種子油にはラット生体内のコレステロールを低下させる機能がみられた.その作用機序はコレステロール負荷条件ではコレステロール合成・代謝及びアポタンパク質への影響ではなかった.
著者
松尾 哲孝
出版者
大分医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

申請者は、茶カテキン類が肥満細胞株RBL-2H3細胞およびラット腹腔内細胞(PEC)のケミカルメディエーター(ヒスタミン及びロイコトリエン、LT)放出をin vitroで抑制することを既に明らかにしている。そこで本研究は、茶カテキン類の生体内での肥満細胞のケミカルメディエーター放出抑制効果について検討した。まず、茶カテキン類の中で最も強い抑制活性を示したEGCGをラット腹腔内に投与すると、A23187の刺激によるヒスタミン放出を抑制することがわかった。次に、茶カテキン類の経口投与における肥満細胞のケミカルメディエーター放出抑制効果について検討した。サフラワー油・月見草油・パーム油の3種の食餌脂肪に茶カテキン類を1%(w/w)添加してラットに3週間自由摂食させ、A23187で刺激したときに放出されるケミカルメディエーター量を測定した。その結果、茶カテキン類のヒスタミン抑制効果は認められなかったが、LT放出においては、すべての食餌脂肪群で抑制効果が認められ、特にサフラワー群ではその活性が強かった。また、月見草群では、LTB_4およびLTB_5の両方の放出を抑制した。さらに、PEC細胞膜リン脂質の脂肪酸組成を調べたところ、サフラワー群ではLTB_4の前駆物質であるアラキドン酸の有為な低下が認められたが、その他の群ではこのような効果は認められず、茶カテキンの抑制効果は、LTの前駆物質減少以外にも関与している可能性が示唆された。
著者
眞城 百華
出版者
津田塾大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

エチオピアのティグライにおいて1941年以後の帝国再編の中で中央政府の介入が深まり、ティグライ内の階層分化が深化した点が明らかになった。さらに中央政府とティグライの関係の中でエリトリアの政変の影響が色濃いことも明らかになった。エリトリア統合を狙う中央政府がティグライの行政官配置に介入し、またエリトリア統合のための社会運動をティグライのアドワ、アクスム地域で展開した。ティグライを介してエチオピア政府のエリトリアへの影響力の行使が見られた。
著者
塩田 達俊
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

高分解能な分光システムは基礎科学から応用まで幅広いニーズがある。これまで分解能1MHz、計測範囲100GHzと高性能なシステムが実現されているが、光周波数標準や物理化学過程の追跡などの進展のためにさらに性能の向上が望まれてきた。申請者は課題実施までに単側波(SSB)光変調器を用いて光周波数を高精度に且つプログラマブルに制御してスペクトル計測システムの実現を図ってきた。本研究課題では、SSB光変調器スペクトル計測システムの分解能を向上し、これまでの周波数制御システムをベースにして、新たに周波数安定化した光源を導入してシステムの性能を発展させることを目的とした。平成19年度は、前年度までに構築した高分解スペクトル計測システムの計測範囲の広帯域化をはかった。また、光変調器を用いたシステム全体を構築して計測精度の確認を行った。具体的には5THz以上の周波数帯域を示す光周波数コムを光源として光フィルタにより個々のピークを切り出し、光変調器による高精度な光周波数掃引を行う実験系を構築した。光ファイバとインライン半透鏡を組み合せて構築した1MHz線幅の共振器の透過スペクトルを計測することで、実測値として1MHzの分解能を確認した。さらに、H^<13>C^<14>Nガス(圧力約1Tprr、長さ約80cm)を用いた繰り返し計測から1MHz以下の光周波数計測精度を得た。また、光フィルタの掃引による光周波数コムのピークを選択することで1THz以上の計測帯域を得ることを確認した。
著者
近藤 真司
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ボウレイとレイトンはマーシャルの経済学と方法論を学び,当時の重要な研究テーマで彼が十分具体化できなかった応用経済学の分野に業績を残したことを明らかにした。ボウレイとレイトンの研究業績は,マーシャル経済学の現実への応用と経済学における統計的の開拓である。両者の統計学法論を考察することにより,ケンブリッジ学派の創設者として現代の経済理論の基礎を構築したマーシャルとは別の応用経済学に関心を持っていた彼の経済像を明らかにすることができた。
著者
池谷 のぞみ
出版者
東洋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

救急医療は119番に通報する市民にはじまり、災害救急情報センターで119番通報を受ける受付指令員、救急隊から連絡を受け、医療機関と連絡をとりあう救急管制員、医療機関における医師、看護婦、その他のスタッフなど、多様な専門領域の人々が,それぞれの場所で分業を担うことによって特定の患者を搬送し、治療を受けさせるという一連の活動を可能にしている。この時間および空間をこえたところでの協働作業が可能となるためには、適切な情報環境の構築が重要である。そこで本研究では、救急医療情報システムにおいて、実際にどのように業務が遂行されるのか、すなわちそれぞれの分業の場面において情報がどのように扱われることで互いの協働作業がどのようになされるのかについて、ある大学の救急救命センターを拠点としてエスノメソドロジーの立場に立ったフィールドワークを通じて明らかにすることを試みた。特に、消防庁から患者受け入れ要請を救急救命センターにするためのホットラインに焦点をあて、その通話内容を分析した。実際の患者を目の前にしていない消防庁の管制員が、救急隊の連絡を受けて、それを正確に、医師にとって意味のある形で、しかも迅速に伝達することは容易ではないことが明らかになった。さらに、119番通報が年々高騰するなかで、救急救命センターに患者を搬送する際の判断基準を踏まえた活動の必要性を医師は感じていることがわかった。また、「上申」と呼ばれる、毎朝上級医師に対して行われるカンファレンスについても観察および録画を行い、複数のチームによる、チーム医療のもとでいかに情報の共有が行われ、クオリティ・コントロールがなされるのか、また具体的なケースを扱う中でインターを含めた若い医師に対していかに教育がなされるのかについても明らかにした。
著者
松田 靖
出版者
九州東海大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

Kojima and Kawaguchi(1989)の研究により,ディプロスポリーによる高頻度な条件アポミク1・であることが判明している花ニラ用栽培品種‘フラワーボール'‘テンダーポール'を供試材料とし,胚の単為発生期に特異的に発現する遺伝子群のクローニングを試みた.まず,両品種における胚の単為発生時期を特定化するため,花器官の形態的調査,ならびにパラフィン切片法による未受精胚の発育状況を調査した.その結果,2品種ともに,他のAllium属種と同様に,雄性先熟であり,開花5日後の柱頭成熟期に卵細胞の分裂が開始していることが判明し,この時期を単為発生初期とした.本時期に特異的に発現する遺伝子のクローニングを行うために,開花当日および成熟期(完熟種子)を加えた3つの異なる発育ステージにある胚(開花当日・単為発生期は胚珠)からnIRNAを単離し,RT-PCRによりcDNAを合成した.その後,ディファレンシャルディスプレイ法を使用し,単為的な胚発生初期にのみ特異的に形成するバンドの選出を行った.両品種において,それぞれ単為発生胚初期に特異的な複数のバンドが検出され,得られたバンドの塩基配列決定を順次行っている.塩基配列決定後,既知の遺伝子との相同性を確認し,これまでに報告されていない新規の遺伝子群を選抜するともに,in situハイブリダイゼーションにより組織特異性を調査することで,単為発生に関与する遺伝子群の特定を図る予定である.
著者
松田 靖
出版者
九州東海大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

アポミクシスの発現は一般に,高次倍数性個体で認められ,低次倍数性個体では抑制されることが知られている.そこで,アポミクシスの一様式であるデイプロスポリーの発現様式解明を目的とし,ニラを用いた半数体の誘導ならびに同形質に関連する,特に単為発生期に発現する遺伝子(群)の単離を試みた.半数体獲得を目的として,既にアポミクシス率が報告されているニラ(2n=4X=32)の3品種('テンダーポール','フラワーポール'および'ワイドグリーン')を供試材料とし,未受粉の5,075胚珠をB5ホルモン無添加培地上で培養したところ,4.49%に相当する227胚珠で胚形成が認められた.胚形成頻度を各品種間ならびに由来種子(多胚性種子あるいは単胚性種子)で比較したところ品種間で有意な差異が認められ,'ワイドグリーン'で最も効率的な胚形成が確認された.その後,順化にまで至った個体の倍数性をフローサイトメーターにより調査したところ,それらは全て4倍体であり,倍数性を維持していたことが明らかとなった.このように半数体獲得には至らなかったため,特定の発育ステージに発現するmRNAを比較することで,単為発生期に発現する遺伝子(群)の単離を試みた.花ニラ用栽培品種である'テンダーポール'を供試し,胚形成が認められない開花直後,単為発生胚の形成が開始される開花4日後の胚珠および種子内の成熟胚からmRNAを抽出し,これらをサンプルとしてディファレンシャルディスプレィ法による単為発生期に特異的に発現する遺伝子(群)の探索を行うこととした.現在,上流プライマー24種,下流プライマー9種の計216組み合わせで反応を行い,増幅産物による比較を行っている.
著者
九町 健一
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フランキアは樹木の根に共生して根粒を形成させ、そこで窒素固定を行う能力をもつバクテリアだ。この共生窒素固定能により、フランキアは樹木の生育を促進する。本研究では、フランキアの共生に必要な遺伝子を同定することを目的として、フランキアの遺伝子操作法の確立に取り組んだ。また、根粒中でさかんにはたらいている(発現量の高い)遺伝子を網羅的に同定した。
著者
早川 美也子
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、BSEやGMO(遺伝子組み換え食品)をはじめとする「食の安全」に関する規制政策に各国(地域)はどのように取り組み、またそれらの政策がどのような論理で形成されたのか政治学の立場から明らかにすることである。本年度は、消費者運動がいかに食の安全政策に影響力を与えているかについて、EUとの比較を視野に入れつつ、主として日本の国内レベルの分析を行った。日本では、国政レベルと地方レベルの規制政策に相違がみられる。地方レベルでは、独自の条例やガイドラインが作られ、消費者寄りの厳格な規制が実現したとされる一方、国政レベルでの規制は生産者寄りの緩やかなものである。なぜそのような結果が生じているのかについて、GMO(遺伝子組換え食品)をめぐる消費者運動に焦点をあてて考察した。GMOに関して厳格な規制を創設した北海道、岩手県、千葉県、新潟県、滋賀県、徳島県等の地方自治体の規制内容について調査するとともに、それらの自治体の政策と消費者運動との関わりについて調査した。当初は国政レベルでは生産者(流通業者含む)重視、地方レベルでは消費者重視の政策が採用されていると予測していたが、現実には双方のレベルにおいて生産者や業界に有利な政策となっていることが判明した。一見「消費者寄り」に見える政策が地方レベルで存在しえているのは、それが農産物の風評被害を恐れる生産者の利益と一致しているからである。食の安全を求める消費者運動は、実際には地元の農家や生協、食品流通団体などの「生産者」と強く結びついて展開され、そのアウトプットである政策は生産者の利益を代弁するものであった。これまで日本の市民運動は国政レベルにおいて弱く、地方レベルでは一定の影響力が認められると指摘されてきたが、この成果は先行研究の結論に一石を投じるものと言える。
著者
森田 孝夫 佐々木 厚司
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は,阪神・淡路大震災においてさまざまな生活支援施設の地震対応を調査し,実時間で最適な地域施設の対応システムを開発することである。研究実績をまとめると次の通りである。1, 地域施設の対応システム開発(医療福祉系):医療福祉系施設において,日常活動の非常時展開,および地域活動の拠点的展開に対応するために,共用スペース規模の量的充実に対する建築計画的配慮と,異分野や異属性のサービスのマネージメントの必要性が明らかになった。2, 地域施設の対応システム開発(消防・救助系):甚大な被害を受けた地区では,地域施設・設備も被害を受ける可能性が高いために,人間集団の協力に頼る率が高くなる。焼失型では,芦屋市や神戸市長田区真野地区のような民間消防団や企業消防団といった集団力を発揮させるソフト計画が必要となる。ただし,前提条件は局地的な被害実態と広域的な被害実態の両方の迅速な把握である。3, 地域施設の対応システム開発(商業系):コンビニエンスストアが早期に稼働する実態が判明したが,その他の施設の対応は期待できない。むしろ被害者自身が被害が小さかった地域の商業施設へ出かけたり,他府県に住む親類などによる個人的な運搬が非常に活発に行われた。問題はそのような行動ができない災害弱者に対して支給する緊急生活支援物資の調達・配送ネットワークの確立が必要である。
著者
上村 忠男
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.24, pp.58-71, 1976-10-01

L'avvento di Giolitti e il suo "nuovo indirizzo" nel febbraio 1901 si e definito da Filippo Turati e la maggioranza del P.S.I.un avviamento del "periodo della conquista" per il proletariato italiano. In questo atteggiamento turatiano davanti al "nuovo indirizzo" di Giolitti, l'Autore individua un caso tipico della concezione sociale-democratica della egemonia nell'eta imperialista, basato, soprattutto, su un'interpretazione del problema politico in Italia, esso e costituito da due fattori, cioe, del conato reazionario da parte del "superstite medioevo economico e morale, vecchie e nuove baronie" del Sud e del programma rinnovatore di "una borghesia vera e propria, giovane, intraprendente, moderna, " l'uno opposto inconciliabilmente e con una necessita storica -forse, si e supposta, all'inglese- all'altro, e, quindi, nella convinzione sulla efficacia politica di un' alleanza "tattica" elaborata e praticata negl'anni di "fine di secolo." In un prossimo articolo, l'Autore cerchera di chiarire alcuni significati storici di questa concezione turatiana, esaminando una critica di Gaetano Salvemini che, attraverso una sottile analisi della societa meridionale, fece notare, invece, un sostanziale accordo d'interessi classista-politici tra i sopraddetto fattori, e, aspramente denunciava la politica di Giolitti, continuatrice deteriore del "trasformismo" tradizionale piuttosto che non apportatrice di un "periodo della conquista" per il proletariato italiano.
著者
細谷 良夫 ELIOT M STARY G 成 崇徳 蒲地 典子 王 鐘翰 陳 捷先 石橋 崇雄 楠木 賢道 PAN A.T 加藤 直人 中見 立夫 松浦 茂 岸本 美緒 江夏 由樹 松浦 章 香坂 昌紀 河内 良弘 松村 潤 神田 信夫 STARY Gioban ELOT Mark TATIANA A.Pang WANG Zhong-han CHEN Jiw-xian CHENG Chong-de 王 禹浪 関 嘉禄
出版者
東北学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

「実績の概要」1994〜96年の3年間にわたり、清朝史研究の基礎的な作業として、多岐にわたる清朝史料の体系的把握を目的に、満州語史料を中心とする各種史料の所在状況の調査及び版本と档案の関係を課題とする共同研究を実施した。研究活動は国外の研究分担者の協力を得て中国、台湾、香港、アメリカ、ロシアで実施したが、はじめに調査研究の対象となった主要な(1)史料所蔵機関と(2)史料名称を以下に列挙する。(1)史料所蔵機関(中国)第一歴史档案館、遼寧省档案館、吉林省档案館、吉林市档案館、黒龍江省档案館、北京図書館、科学院図書館、吉林大学図書館、中央民族学院図書館、遼寧省図書館、大連市図書館、中国社会科学院歴史研究所、中国社会科学経済研究所、中国社会科学院清史研究室、中国社会科学院近代史研究所、遼寧省博物館、黒龍江省博物館、黒龍江省民族博物館、新賓満族自治県博物館、伊通満族博物館、海拉尓民族博物館、阿里河鄂倫春族博物館、莫力達瓦文物管理所図書館、承徳市囲場県文物管理所、赫哲族民族博物館、赫哲族民族館(中華民国・台湾)台湾中央図書館、故宮博物院文献處、中央研究院近代史研究所、中央研究院歴史言語研究所(香港)香港大学図書館、香港理工学院図書館(アメリカ)カリホルニヤ大学(バ-クレイ)図書館、議会図書館、ハ-ヴァト大学燕京漢和図書館、プリンストン大学ゲスト図書館、ニューヨーク市立図書館(ロシア)ロシア科学アカデミー極東研究所中国学図書館(モスクワ)、ロシア科学アカデミー東洋学研究所(サンクトペテルブルグ)、サンクトペテルブルグ大学、サルトコフシチュドリン名称公衆図書館(2)主要な史料と史料系譜の名称無圏点「満文老档」、有圏点「満文老档」、満文「清実録」(太祖・太宗朝)、内国史院档、崇徳3年档、逃人档、〓批奏摺、戸科史書、礼科史書、内閣大庫漢文黄冊、戸部銀庫大進黄冊、戸部銀庫大出黄冊、江南銭糧冊、徽州文書、理藩院題本、黒龍江将軍衙門档案、三姓档、黒図档、尚務府档、朝鮮国来書簿、尚可喜事実冊档案、南満州鉄道北満経済調査所所蔵史料、哈爾濱学院所蔵史料、駐哈爾濱外務局特派員公署所蔵史料、満漢文清朝初期関係の石碑拓本、嫩江流域達斡尓族所蔵の満文史料、大楊樹付近の満族関係史料、烏蘇里江流域赫哲族所蔵の満族史料、琿春付近の満族関係史料、鴨緑江流域所在の満族関係史料「共同研究会の開催」上記各史料所蔵機関で、各種の資料をめぐり中国では王鍾翰、成崇徳、台湾で陳捷先、アメリカでエリオット、ロシアでタチアナ・パン各教授と個別課題で共同調査と研究を実施した。また文書史料のみならず、中国東北地域で、清朝初期史をめぐる石碑史料、宗譜や牌単などの祖先祭祀史料、鄂倫春族などを含む満族をめぐる口承伝承資料の採集などの現地調査と研究を関嘉禄、王禹浪研究員と共に行った。3年間にわたる共同研究のまとめとして、1996年12月に成崇徳教授を招聘、満族史研究会の招聘などで来日中の陳捷先、スターリ、パン、エリオット教授をまじえ、満漢文史料をめぐるシンポジュウムと満文版本目録作成のためのワークショップを5日間にわたり実施し、これまでの総括と今後の共同研究の方法を討議した。「成果」共同研究の実施の結果、各所蔵機関の資料状況が明らかになったことに併せて、個別資料の研究、すなわち実録の基礎となったであろう国内史院档の系譜や実録写本の検討、礼科史書と理藩院題本の関係、清朝から満州国に及ぶ東北土地文書の史料系譜、銭糧冊や黄冊などの清朝の経済政策を解明する基礎史料の整理などの官本と档冊の研究が行われた。同時に従来所在不明とされていた朝鮮国来書簿あるいは既に倒壊したと伝えられていた尚可喜神道碑の発見、あるいは逹斡尓族の満州語使用とその档冊や写本を見出した。これらの多くの成果は分担者それぞれの研究成果として公表されると共に「満族史研究通信」の誌上に史料状況を中心とする調査報告が公開されている。また満族史研究通信は国外に対する共同研究の成果の還元として、各国に送付され高い評価を得ている。
著者
松田 達郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.84, 1985-03

みずほ基地(昭和基地より270km南東氷床上)の維持のために, 燃料や食糧などの物資を積んだそりを2-4台けん引した雪上車隊が, 年に2回以上往復旅行をする。往復旅行を春夏季, 秋冬季に分けて実際にかかった日数を算出し, 第11次観測隊(1970)から第23次観測隊(1982)までを比較した。冬は気温が低く, ブリザードなど悪天候が多く人間生存の限界と思われる環境になる。したがって夏季より冬季の所要日数が多くなってくる。次に, 各隊の平均往復日数を比較すると, 全体的にみて, 近年になるにしたがい早くなっている。それは道路標識の確立, ルートについて詳細な伝承がなされていることが一つの要因である。しかし, 第13次から第19次観測隊頃まではその速度はかえって遅くなっているが, その後急に早くなっている。それは雪上車の型式を新しいものにするまで, 旧型のしかも中古車を修理しつつ使用しなければならなかったことに原因がある。第21次観測隊からはレーダーも使用されるようになり, ますます早くなっている。以上, 雪上車旅行行動を分析し, 人々の伝承, 天候, 使用する道具によって往復の速度が変動していることを示した。
著者
石沢 賢二 水野 誠
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.130-147, 2010-03-30

第50次南極地域観測隊が,2008年-2009年夏期シーズンに行った「オーロラ・オーストラリス(A.A.)」による昭和基地への人員・物資輸送について報告する.南極観測船「しらせ」の運航は,第49次隊行動で終了し,2009年4月で退役した.そのため,第50次隊の人員・物資輸送を行う代替船として,オーストラリアが南極輸送に使用している砕氷船をチャーターした.同船の行動としては,2008GGGDGLNS02・2F5F2009年シーズンの第3次航海にあたる.同船は,2008年12月30日に西オーストラリアのフリーマントルを出港し,翌2009年1月12日に昭和基地北方の流氷縁に到着した.ここから第50次越冬隊員28名および建設作業などに従事する第50次夏隊員を3機の小型ヘリコプターで昭和基地に輸送した.さらに同船は,昭和基地から約40マイルの定着氷まで進出し,第50次越冬隊成立に必要な物資と夏期作業用物資約91.8トンの輸送を実施した.その後,2009年2月2日,29名の第49次越冬隊員と第50次夏隊員および隊持ち帰り物資を同船に収容した.同船は,同日ただちに北に向け航海を開始,2月20日にホバート港に到着し,チャーター船による輸送が終了した.総航海日数は53日,氷海域行動日数は23日であった.その後,持ち帰り物資を収容したコンテナは,日本まで洋上輸送された.
著者
松浦 章
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

清朝中国の国内沿海における海上輸送が、木造帆船即ちジャンク(Junk)によりどのように行われていたかを明らかにしたものである。中国大陸の沿海は数千キロに及んでいる。清代において優秀な航運能力があった帆船の航運活動に関して、特に山東半島を中心とする渤海・黄海沿海については山東省の青島における文献調査、華南沿海における福建省においては泉州地区における実地調査等によってその沿海航運について明らかにした。
著者
加藤 誠巳 古屋 素衛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.399-400, 1997-03-12

種々の分野でパレットを用いて物資を輸送することが行われている。この場合特定の場所にパレットか集積し逆に特定の場所でパレットか不足することか生じる。このような事態か生じたとき、輸送コストや輸送所要時間、輸送車両と運転手のコスト等を考えないで単に過不足を補正するような回送を行うと総合コストの面で不利益か生じる。ここでは効率良くパレットを回送するために、定期便として運ぱれるものや輸送所要時間を考慮した上でトラックの積載容量別に最適なパレット積載を行うことを考慮に入れた回送計画問題について検討を行った。
著者
吉岡 尚文 権守 邦夫
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

様々なアナフィラキシーショックのうち、抗原・抗体反応に起因するショックは例えば、IgA欠損症や他の血漿蛋白欠損患者への輸血でしばしば経験されることである。本研究はこれに類似するモデルをin vitroで作成し、肺動脈由来内皮細胞の挙動を検索することにより、その病態の解明と治療への応用を検討することを目的とした研究である。平成14年度の実験では、ヒト肺動脈由来の市販内皮細胞を培養し、コンフルエントになった時点で、抗ヒトハプトグロビン(Hp)を加えインキュベートし、次いで抗原液(ヒトHp)を添加後、細胞培養上清中に放出されると予想される様々な物質を経時的に測定した。その結果、ICAM-1とVCAM-1に放出量の変化が認められたことから、平成15年度は抗原や抗体の容量依存性の検討、さらに培養液中に白血球細胞やTNFαを加え、炎症反応を促進させる系を作成した。この系を用い、ICAM-1とVCAM-1の濃度を1時間ごとに6時間迄、12時間ごとに48時間迄経時的に測定し、抗原や抗体の量、白血球細胞や、TNFαの影響を検討したが、再現性のあるデーターは得られなかった。むしろ、細胞培養液に異物(ある種のヒト血清蛋白や抗体であるウサギ血清)を加えることで、細胞は刺激されてICAM-1とVCAM-1のような物資を放出したのではないかということが示唆される結果を得た。肺動脈の内皮細胞は何らかの物質を放出している可能性が示唆されたが、今回の研究からはアナフィラキシーショックと関連ある重要因子の特定や内皮細胞の確定的反応を確認することは困難であった。