著者
沢木 勝茂 國田 寛 赤壁 弘康 岩城 秀樹 竹澤 直哉 徳永 俊史
出版者
南山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

澤木:本年度は、新株引受権、ロシアオプション、他社債転換社債、リアル・オプション、および仕組債の評価式の導出とその数値計算に関する研究を中心に実施した。これらの研究成果を国際会議(INFORMS、Bachelier Finance Society、日本ファイナンス学会、RASOR2007)および国内学会(日本オペレーションズ学会、日本ファイナンス学会、日本経営数学会、JAFEE等)において発表した。3年間の萌芽研究の成果を踏まえて、ワークショップの開催と科学研究費補助金研究成果報告書を作成した。また、研究代表者は日本オペレーションズ・リサーチ学会より学会賞(実施賞)を受賞した。本研究分担者の研究実績は以下の通りである。國田:"Jump diffusion processes and their average options", RASOR 2007,2007.3赤壁:「観光ブームの発生と消滅に関するもうひとつの力学モデル-角本論文に対するRejoinder-」,日本観光学会第94回全国大会,姫路獨協大学,2006.12、「遊園地・テーマパークの生残り策としてみた会計的手法-サンリオ「ピューロランド・ハーモニーランド」の事例を中心として-」,南山大学経営学部講師長谷川高則、同教授斎藤孝一との共同報告,日本観光学会第93回全国大会,奈良県立大学,2006.6、「高収益を稼ぎ出す投資ファンドのからくり〜リスクとリターンの関係から〜」,大学コンソーシアムせと,2006.10、「あなたもリスクに無関心ではいられない時代-資産運用とファイナンスを学ぶ意味-」,学科長が語る南山の現在第10回,2006.10岩城:"Speculation and stock prices -An analysis from the herding approach-",Workshop on Mathematical Finance and Stochastic Control,北海道大学,2006.9竹澤:本年度は、Lamberchetらのリアルオプションモデルを情報エントロピーへ応用した評価方法、部品調達戦略の柔軟性についての評価オプションなどについて、INFORMS、日本ファイナンス学会、日本リアルオプション学会などにおいて、研究報告を行なった。また、石油化学プラントのリアルオプション評価に関する著書および半導体子会社の調達契約に関するリアルオプション評価を用いたリスクヘッジに関する論文を出版した。なお、研究代表者および研究分担者の刊行論文については、次頁に記載した通りである。
著者
河村 公隆 WANG Haobo
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本研究では、大気中の微粒子、特に有機物からなるエアロゾルに着目し、その組成解析を行うことを目的にする。特に、都市における有機エアロゾルをガスクロマトグラフ・質量分析計を使って解析し、主要な燃料に違いによって大気中のエアロゾル成分にどのような違いが生ずるのかを明らかにする。中国では、石炭が重要な工業的エネルギー源であり、家庭においても石炭・木材の双方が燃料源として広く使われている。一方、ニュージーランドでは、両方のエネルギーが使われており、特に、クライストチャーチでは家庭の暖房に薪を多用するために大気汚染が問題となっているのに対し、オークランドでは石油が一般的につかわれている。二つの主要都市は、冬期に使用するエネルギーの種類において対照的である。そこで、本研究では、ニュージーランドの2つの都市で採取されたエアロゾル試料を分析し、その化学成分の特徴から化石燃料とバイオマスの燃焼の寄与を明らかにすることを目的とした。エアロゾル試料中の有機炭素、黒色炭素、水溶性炭素の濃度を測定するとともに、主要イオン成分を測定した。その結果、冬季の暖房に薪を多用するクライストチャーチでは、有機炭素・黒色炭素の濃度がオークランドにくらべて著しく高いことがわかった。更に、エアロゾル試料から有機成分を分離し、GC/MSによる詳細な解析を行った。その結果、バイオマス燃焼に由来する有機物がクライストチャーチの冬のサンプルで高い濃度を示すことが明らかになった。特に、セルロースの燃焼生成物であるレボグルコサンは最も高い濃度をしめす有機物として検出され、薪の使用が有機エアロゾルの生成に大きく寄与していることを明らかになった。一方、オークランドで採取したエアゾル試料では、原油や石炭など化石燃料の燃焼に起因する有機物(例えば、ホパノイド炭化水素)が高い濃度で検出された。以上の成果は、国際誌であるEnviron.Sci.and Technol.に投稿された。現在、審査中である。
著者
岡戸 浩子
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、この国で推進されている言語政策および言語教育政策と大きな関わりを持つ学校教育における「第二言語教育」について社会言語学(狭義での言語社会学)的視点から現状を考察し、政策の推進における問題点および阻害要因を明らかにすることを目的とした。そのために、平成15年度〜18年度に渡ってニュージーランドを訪れ様々な調査を行った。第一に、「第二言語教育」の実態と学習者の意識に関して明らかにするために、中等学校の第二言語学習者に対してアンケート調査を行い、得られたデータを基にしてSPSS, Amosによる因子分析やパス解析等の種々の統計的手法を用いた分析を行った。第二に、上記の量的調査に加えて、質的にも確認するために、言語教師に対しては第二言語教育の現状と最近の傾向について、そして言語学習者に対しては言語学習に関するインタビュー調査を行った。第三に、カンタベリー大学、マッセー大学、ワイカト大学、オークランド大学、オークランド工科大学の研究者およびニュージーランド教育省の担当者に対してインタビュー調査を行った。その際、今回の研究にとって貴重な資料・情報を入手することができた。上記の調査結果から、(1)カリキュラム、(2)第二言語の必修化、(3)教員不足、(4)学習者の「言語」教育に対する意識、に関する問題点および課題が明らかになった。これらの課題に取り組むためには、行政によるさらなる積極的な言語教育政策の施行と、ひいては総合的な言語政策が国から打ち出されることが必要であると言える。研究期間中には、中間報告的な内容も含め、いくつかの雑誌論文や図書(著作)のかたちで研究の成果を発表した。
著者
神野 健二 河村 明 西山 浩司
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

気候変動や異常気象の発生が降水量変動に与える影響が危惧されている.本研究では気候変動と降水量変動との関係について統計的手法による解析を行った.具体的にはまず,大規模の気候場を表す指標として南方振動指数(SOI),太平洋数十年振動指数(PDOI),北太平洋指数(NPI),インド洋ダイポールモード指数(DMI)といった4つの気候指標を用いた.過去約100年間にこれら4つの気候指標が各月および各年単位で示したパターンを,非線形分類手法(自己組織化マップ)を用いて分類した.さらに,これら気候指標のパターンと福岡市の降水量及び気温との対応関係を調べた.その結果,4つの気候指標が特定のパターンを示した月に,対応する福岡市の降水量が通常より少なくなる傾向等がみられた、また,これら指標が年規模で示したパターンを調べた場合,SOI,NPIが通常年より高く,PDOI,DMIが通常年より低い値であった年の翌年は,福岡市の気温が通常年より低くなる傾向がみられた.また,西日本における重要な降雨期である梅雨期を対象にして,日本周辺の気象場の分類も行った,具体的には,日本列島周辺の気象場・成層状態を多次元格子点情報を利用し,非線形分類手法(自己組織化マップ)を適用することでパターン分類した,その結果,気象場・成層状態のパターンと西日本域の降水特性との関係が明らかになった,特に,西日本の豪雨と,湿舌と下層ジェットの水平分布のパターン,梅雨前線帯内の対流活動と関連がある対流不安定成層・中立成層のパターンとの間に明瞭な関係を得ることができた.
著者
杉尾 邦江
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.91-96, 1992-03-31
被引用文献数
1 1

オーストラリア,ニュジーランドの植民地は,世界にさきがけて公園概念を取り入れた公園帯を創設した。これは近代的なグリーンベルトの歴史的発生であり,これまで発想者とその起源は謎とされていたが,造園雑誌53(5)311-316,1990で筆者が明らかにしたところである。本論は更に,計画思想と原理に影響を与えたと思われる知見を補足検証すると共に計画原理について考察を行った結果,創設者のE.G.クエイクフィールドの植民地政策的課題から考案されたとみる事ができた。また公園帯成立の歴史的発展課程の中で,クライストチャーチは公園帯に代わり,ハワードの田園都市のグリーンベルト則ちルーラルベルトの原型を生み出した。これらの公園帯は,今日でも健全に存続,機能している実態を明らかにした。
著者
大西 謙吾 宮川 浩臣 田島 孝光 斎藤 之男
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.155-165, 2002 (Released:2004-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Demand for fine human function modeling methodology is rising with the popularization of assistive devices. Systems engineering based research that delves into the functional cooperative relationship of the digits, hand, and arm is needed for design of substitutive mechanisms and for their control of the human body. The optimal tool for such research is the design process of a sensor-based robotic hand-arm system. This paper discusses the research issues and our proposed strategy.Our research goal is to develop a sensory-controlled mechanical system for performing versatile human-like prehension. As a design concept, we propose an effective model extracted from functional analysis of the upper limb. The key assumption in categorizing hand behavior is the arm’s driving function. Without proper integration of the two, the hand function can be neither analyzed nor assembled. Our approach uses this assumption as its base; we propose a method for classifying a non-redundant relation to control the dynamic and static use of the artificial upper limb.We began remodeling the degrees of freedom (DOF) of the human hand by identifying the transverse and longitudinal adjustable arch structure in the hand. Our new model is composed of 21 active DOF, which include movement in the palm. We classified movements and postures of the hand and arm with this DOF model located at the end of a seven-DOF arm. We then classified the hand modes as prehensile forms and sustentacular forms.Based on this model and our previous research experience in developing prosthetic upper limbs and anthropomorphic robotic hands, we devised a robotic hand-arm with a total of 24 degrees of freedom. Additionally, a new multitactile sensor has been developed for use on the robotic hands in our laboratory at TDU.For generating control strategy, the behavior of the hand is classified into two divisions. The first is cooperation of the digits and palm, and the second is cooperation of the hand and arm modules. The digit cooperation task is fourfold: formation, transformation, deformation, and hold. A motion planner drives the digit movements from the relation of the hand forms to the task that is proposed.A tactile sensor-based control strategy is presented. The digits are controlled according to the hand modes and the sensory feedback loop, with slippage detection rules. Two strategies are proposed for extending the control for fine manipulation: cooperative slippage sensing of adjacent digits, and slippage prediction applying hand orientation information measured by an inclinometer.The overall objective of our approach is the design of a dexterous control system for a multi-DOF robotic upper limb. This includes discussion of a modeling method for the human upper limb.
著者
田中 隆之
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は地球方向のダークマターWIMP起源イベントに着目した解析を行った。WIMPは地球でspin-independent散乱を起こして地球の重力場にトラップされた後、地球中心方向に集積され対消滅を起こし、最終的にニュートリノを放出すると考えられている。そこでスーパーカミオカンデ検出器にて今まで取得された3109.6日分の上向きミューオン(upmu)イベントを用いて地球中心からやってくるイベントの到来方向分布を調査した。バックグラウンド源である大気ニュートリノに対して有意なWIMP起源イベントは観測されなかった。そこで、地球中心方向WIMP対消滅起源upmuイベントのフラックスリミット、WIMPと核子のspin-independent散乱断面積リミットを算出した。この手法でspin-independent反応断面積にリミットを付けた他の実験は類が無く、他実験への一つの指標を作ることが出来た。これらの結果はneutrino2010国際会議、Novel Searches For Dark Matter 2010などの国際学会にて発表され、APJ誌に論文を投稿中である。また、現行の解析手法の問題点や誤差、また将来に向けてさらに精度のよい解析手法に関して議論するために、宇宙素粒子研究の世界的な機関であるオハイオ州立大学のCCAPPに赴き一カ月半程度滞在した。そこでは、現行の手法に内在するさまざまな不定性をリストアップしそれらの影響の大きさをまとめた。これらは以前よりニュートリノを用いたWIMP探索に関して多くの研究者が興味、疑問に感じていた部分でありそれらに対する初めて明確な回答が出せたといえる。この研究結果に関してはオハイオ州立大学のCarsten Rott氏との共著論文としてJCAP誌に投稿予定である。以上のようなWIMP解析(昨年度行った太陽方向からのWIMPイベント探索も含む)を柱として、以前から進めていたスーパーカミオカンデでの各種キャリブレーション、upmuイベントサンプル作りに関してなどをまとめ、博士学位論文として執筆した。
著者
杉尾 邦江
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.311-316, 1990-03-30
被引用文献数
2

オーストラリア,ニュージーランドにおける公園緑地帯(パークベルト及びタウンベルト)の発想の起源を文献等による検証によって明らかにすると共に,これらの公園緑地帯の意義,特質,機能及び形成過程と実態の一部を明らかにした。また,タウンベルトの形成に失敗したクライストチャーチ市で計画されたグリーンベルトの発想は,ハワードの田園都市構想の原型である事等を示した。
著者
梶田 昭
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.502-502, 1979-05-25

東京女子医科大学学会第233回例会 昭和54年2月23日 東京女子医科大学本部講堂
著者
神山 潤
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

昨年度の3歳児における検討に引き続き、今年度は3歳以下の児でアクチウオッチによる行動量と起床時刻、就床時刻の関連、ならびに尿中のコルチゾール代謝物(17OHCS)とセロトニン代謝物(5HIAA)とこれら因子の関連を検討した。17OHCS,5HIAAの結果はまだ得られていないが、行動量に関しては貴重な結果を得ることができた。昨年度の3歳児での検討では行動量が多いほどその晩の就床時刻が早くなること、早寝早起きでは遅寝遅起きに比し、朝の尿中17OHCS濃度が高いことの2点を得たが、今年度は、6ヶ月から3歳の75名で検討した。その結果、(1)加齢ともに行動量は増加する、(2)男児が女児よりも行動量が多い、(3)起床時刻が早いほどその日の行動量が多くなる、(4)ある日の行動量はその晩の就床時刻には影響しない、の4点が現時点で確認されている。このうち(4)に関しては昨年度の3歳児における検討と相容れない結果ではある。これは今年度得た行動量が加齢とともに有意に増加する点を考慮すると、行動量が未だ十分に増していない若年層においては、起床・就床時刻よりも加齢が行動量の決定に大きな影響を与えることが想定された。しかし興味あることは、このような若年齢において起床時刻が早まるとその日の行動量が増加することが確認された点である。この所見は「起床時刻が遅れると内的脱同調をきたし、日中の行動量が低下する」という研究者自身の仮説を支持する知見として注目したい。
著者
テリヨン ジャン・クリストフ ピルプレ アルノ 丹羽 義典 山本 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.532, pp.97-102, 2002-12-13

肌色は,カラー画像における顔と手の検出の重要なアプリケーションおよびその最終目的の有意義なヒューマンマシンインターラクションのために,初期段階でよく使える強力かつ基本的なキューである.肌色に基づく画像セグメンテーションのために,有効な色空間の選択は重要な課題であり,顔と手の検出のパフォーマンスがそれに非常に依存する.本稿では,我々は25個の3次元色空間(41個の2次元色彩空間)の特性を分析し,SONY DXC-9000カメラで撮影したアジア人の顔画像の肌色の分布への影響を考察する.特に,色彩空間の幾何的な特性は肌色の分布,そしてセグメンテーションのパフォーマンスに著しい影響を及ぼすことがあることを示す.主に,(R+G+B)またはCIE-(X+Y+Z)で正規化された色彩空間が肌色に基づく画像セグメンテーションに最も有効であることが示された.シングルガウシアン色彩モデルを用いた画像セグメンテーションの例を示し、それについて考察した.
著者
丁 貴連
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、夏目漱石や島崎藤村、国木田独歩、有島武郎など韓国近代文学の成立に深く関わった日本近代文学者の中でも、とりわけ有島武郎と国木田独歩に注目し、廉想渉や金東仁、田榮澤といった韓国の近代文学者が有島武郎と国木田独歩の何を、そしてそれをどのように受容したのかを解明することによって、韓国近代文学に及ぼした日本近代文学の影響が国木田独歩から有島武郎へ受けつがれていった事実を明らかにした。
著者
山本 かよ
出版者
神戸市看護大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,人工呼吸器装着後の療養生活においてALS患者が体験している痛みを明らかにすることである。調査の結果,以下の内容が明らかとなった。1.対象者の概要:ALS患者4名(男2名 女2名)2.ALS患者が体験している痛みの様相:ALS患者は,からだ全体に及ぶズキズキした痛みと首や足の指、骨,カニューレが引っ張られるなど【からだ全体と局部の痛み】を体験していた。痛みはー日中じわじわと続いているが,一端寝てしまうと感じなかったり,天候や季節,午後から強くなるなど1年,1日を通して【強弱の波がある】ことがわかった。このような辛い痛みは同じ姿勢が長くなると特に強くなり,体位調整やマッサージ,ストレッチをして患者の【からだを動かすと楽になる】と3名が語っていた。しかしながら,1名の患者は何をしても痛みが【楽になることはない】と感じており,痛みによる例えようのない苦痛を体験していた。また,患者らは痛みのほかにも全身や痛みのない筋肉の痙攣,からだの位置が決まらないことに対する苦痛など【痛みだけではない】苦痛を体験していた。3.考察:ALS患者においては,痛みなどの感覚障害は陰性徴候に含まれる。しかし,本研究結果から耐え難い痛みをALS患者は体験していたことが明らかになった。がん患者においては、痛みをとることが最優先課題であるが,ALS患者の場合は,呼吸・栄養管理とコミュニケーション技術の工夫に注意が集中し,痛みに関してはいまだ重要視されていない。日常生活全般の援助を要するALS患者にとって看護師によるケアは必要不可欠であり,看護師は,患者の訴えを最も敏感に察知できる医療従事者である。看護師が痛みにもっと着目し,患者の体験している痛みを共感的態度で傾聴するとともに,痛みに対する緩和ケアを積極的に提供することの重要性が示唆された。また,痛みの原因はALS自体の症状,別の原因,四肢麻痺による不動に分類されるため,看護師が痛みの要因を的確にアセスメントし,適切なケアを提供することも重要である。本研究結果は,平成19年8月に開催された第12回日本難病看護学会学術集会にて発表した。また,月刊雑誌「難病と在宅ケア」へ投稿した(2008年6月号に掲載予定)。
著者
春日 純
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

カツラという樹木の木部組織には水の過冷却を促進するフラボノイドが存在する。本研究によって、このフラボノイドの木部組織における局在性と量的な季節変化が明らかになった。また、フラボノイドの過冷却促進効果はアグリコンと糖鎖の組み合わせにより大きく変化することを明らかにした。さらに、カツラ由来のcDNA ライブラリの調製など、フラボノイドの蓄積量を改変した形質転換樹木の作出の準備を進めた。
著者
アル=アマン ウスマン・イマーム・シェイク 斎藤 美津子 川島 緑
出版者
上智大学
雑誌
上智アジア学 (ISSN:02891417)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.173-195, 2004-12-27

I.講演:フィリピンのウラマー-私の経験1.サイイドナーのこと2.サイ・イドナーの業績3.私のアズハル留学中の印象と経験4.リビア留学5.日本への派遣II.二人の若者の旅-ウスマン・イマーム氏講演解説1.講師ウスマン氏について2.『新しい黎明』:1950-60年代カイロのフィリピン・ムス・リム留学生3.サイイドナー伝承4.サイイドナーの生きた時代
著者
秋葉 淳
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、19世紀オスマン帝国の改革を、中央政府と地方社会の相互作用の結果として生じたものとして捉え直すものである。その主たる成果として、地方評議会の機能、地方反乱の性格や背景、地方住民の官僚機構への進出などを分析し、地方住民が国家の政策に影響を及ぼす、あるいは、国家システムに参入する回路についてその具体的諸相を明らかにしたほか、中央政府が地方行政の問題に関する政策決定過程において地方官らに諮問する手続きがとられたことや、1845年の地方代表者会議に見られるように、地方有力者の協力を得るために周到な準備をしていたことなどを見いだした。