著者
神岡 太郎 八幡 和彦 山本 秀男
出版者
一橋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では次の2つの方法によってCIO(Chief Information Officer)の役割に関するデータを収集し、それらに基づいて仮説検証とモデル化を行った。一つは大手企業に所属する22名のCIOに対するインタビューを行った。もう一つはCIOを評価できる立場にある情報システム部門及びユーザ部門に所属する主に大手企業に所属する社員、それぞれ309人を対象としたアンケートを行った。主な結果として(大手日本企業に属し、ジネスイノベーションに関心のあるCIOについて)次の3つが得られた。・CIOは企業において、i)ITの目的をビジネスイノベーションに仕向けること、ii)ITによるビジネスの変革、それに iii)ビジネスイノベーションを企業の成長に貢献させることにポジティブなインパクトを与えている。特にCIOが単に役員としてのポジションにあるだけでなく実際にCIOとして機能している場合にその傾向が強い・ビジネスイノベーションにおけるCIOの役割は、情報システム領域においてのみ変革を担うEnablerから、情報システム領域とビジネス領域の両方で変革を担うDriver、戦略に携わるStrategistへと移行する傾向が見られる・その中で当該CIOはStrategistの役割に属するというCIOが最も多いまた新たに、CIOは個々のビジネスイノベーションだけに責任を持つのではなく、そのイノベーションの基盤にまで関わるChief Innovation Officerの役割にも関わろうとしているという仮説が提示されている。これらの結果は、11.研究発表の項に記載した"CIO Roles in Business Innovation“(APCIM2009)等において発表されている。
著者
近藤 ふさえ 中島 亨 鈴木 麻美 田中 伸一郎
出版者
杏林大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

【目的】本研究は、携帯型身体活動測定器(Actigraph)と主観的睡眠調査票を用いて2型糖尿病患者の睡眠状態の特徴を明らかにすることを目的として、就労している外来通院中の2型糖尿病患者(以後T2DM・Ptと略)21名と健康成人11名を対象に行った。【方法】Actigraphを5日〜8日間連続装着し、その期間中はOSA睡眠調査票MA版(OSA-MA)を用いて主観的睡眠感を調査した。Actigraphより得られた記録から活動期(覚醒時)と非活動期(睡眠時)の判定を行い、非活動期の活動量と睡眠覚醒のタイミングを観測した。また、PSQIとHbA1_cとの相関関係および糖尿病歴、合併症の有無、HbA1_cと活動量との関連を分析した。【結果】T2DM-Ptの非活動期(睡眠期)における活動量mG=0は、健康成人と比べ低かった。睡PSQI-睡眠の質が高得点ほどHbA1_cの値が高い傾向にあった。また、糖尿病歴が長く、HbA1_cが高い人ほど非活動期(睡眠時)の活動量が多い傾向にあった。【考察】T2DM-Ptは健康成人より睡眠中の活動量が多いことが推察される。Actigraph上で入眠期と睡眠途中の活動量の増加を認めたことから、T2DM-Ptの主観的な良い睡眠を阻害する要因は早朝覚醒よりも入眠困難と中途覚醒と考える。また、主観的に良い睡眠が得られている人でも、Actigraph上では活動量が多く、睡眠覚醒のタイミングが不明瞭な傾向にあり、T2DM-Ptは「眠れない」と自覚する以前から睡眠の問題が潜在している可能性があると考える。糖尿病歴が長くHbA1。が高いT2DM-Ptに対しては、生活リズムや睡眠状態を聴取し、睡眠の問題が潜在していないかのアセスメントを行い、食事、運動と合わせ良く眠るための生活指導の必要性があると考える。
著者
大村 知子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、身体機能に障害のある者や高齢者、幼児が着脱しやすいバリアフリーの衣服設計に関する基礎的研究であり、研究目的は、バリアフリーの衣服デザインのための基礎資料を得ることであった。先ず、着用実験の方法に関する検討をした。着用実験用に6種類の留め具のブラウスを試作した。着用実験では、上肢に障害を想定したケースと視覚障害のケースを設定した。被験者は健常な学生29名と中途失明者1名であった。着脱動作の所要時間を分析した結果、障害の種類によって使いやすい留め具は異なった。着脱動作についての感覚評価においても所要時間と同様、袖口のカフスはもっとも難易度が高く、いずれの留め具でも、またどちらの障害においてもバリアが大きかった。他方、中国の高齢者の体型を捉える目的で、2000年11月に中国ハルピン市において100名を被験者として、62項目の身体計測をした。その結果、高齢者の体つきや身体寸法は、若い婦人とは、明らかに異なった。日本人高齢者の体型とも異なることが明らかになった。既製服におけるサイズ不適合な部位に関する実態調査の結果について解析中である。
著者
杉山 高弘 伊藤 博司 宮内 幸司 宮下 洋一 太田原 剛 惣門 雅彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.99-100, 1992-09-28
被引用文献数
2

アプリケーションシステムのインタフェースに,近年,マルチウィンドウやアイコンを駆使した操作性と見栄えが優れたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)が求められてきている.しかし,そのようなGUIを開発するには複雑なウィンドウシステムの理解と膨大な開発期間を必要とする.鼎インタフェースビルダ「ゆず」は,グラフィカルユーザインタフェース構築環境「鼎(かなえ)」を利用してアプリケーションシステムのGUIを開発するプログラマに換わって,C言語のGUIプログラムを自動生成する.本稿では,1)部品クラス定義,2)鼎エディタを用いたレイアウト機能,3)リハーサル機能を中心に「ゆず」の機能概要とその実現方式の優位性を説明する.
著者
加 三千宣 武岡 英隆 阿草 哲郎 武岡 英隆 阿草 哲郎
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大洋スケールの魚類バイオマス変動の謎を解き、有用魚類資源の長期動態と将来予測にとって極めて重要となると考えられる、別府湾堆積物中のカタクチイワシ及びマイワシの魚鱗アバンダンスの過去1500年間における変動記録を明らかにした。また、その魚類資源変動を引き起こす低次生産及び海洋構造の動態を調べた。
著者
根ケ山 光一 河原 紀子 大藪 泰 山口 創 岡本 依子 菅野 純 川野 健治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、人間の対人関係において基本的に重要な役割を果たしている身体接触に関して、その正負両面にまたがる意味を、ライフサイクルのさまざまな時期にわたって注目し、生涯発達的に検討したものである。まず、胎児期においては接触が胎動という形で採り上げられ、母親が胎内の子どもの身体と接触的にコミュニケーションする様が、「オノマトペ」を通じて明らかにされた。乳幼児の研究としては、抱き(および抱きにくさ)・身体接触遊び・ベビーマッサージといった異なるアプローチを通じて、身体接触が母子間での重要なコミュニケーションチャンネルであることが示され、またそこに子どもも主体的にかかわっていることが明らかにされた。また、母子関係を離れても、子ども同士や保育士との身体接触には、子どもの対人関係構築上の大きな機能が示唆された。さらに、寝かしつけという睡眠・分離導入場面においては身体接触の様態に大きな文化差がみられ、接触・分離が文化規定性の強い側面であることも示された。青年期になると、親子の反発性、友人関係における性や攻撃性に伴う反発性など、身体接触の負の側面が強く前面に出てくることがある。親子関係でいえば、インセストなど身体的反発性が接触への嫌悪として強くみられることが明らかにされた。また、老化とともに、身体が相手に触れることの意味がさらに変化する。介護と身体接触につながるようなテーマが介護ロボットを用いて明らかにされた。以上のような研究の成果をもちよって報告会を行い、関係構築の確固たる土台としての身体と、それを触れあわせることの発達に伴う意味の推移とが議論された。そして、それをふまえて最後に報告書を作成した。
著者
藤田 護
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

前年度には、文献調査及び予備的現地調査を実施した。これを基に、本年度はボリビアにおける長期現地調査を実施した。この現地調査においては、参与観察の手法に基づき複数の組織(NGO、ラジオ局)において活動に同伴し、これらの機関の補助的業務を自ら担いながら、民族誌的データの収集に尽力するとともに、アイマラ先住民の人々が自らをどう見ているかに関する、現地でも限られた人間しか存在を知らない未公刊の貴重なラジオドラマ資料(脚本、音声資料、視聴者のお便りなど)へのアクセスを多数得るとともに、重要関係者への聞き取り調査を実施し、また現地で公刊されたおもにアンデスの言語人類学と社会人類学に関する文献のさらなる収集作業を行った。これらはすべて日本国内ではアクセスできないデータであるため、今回の現地調査は有意義な結果を上げることができた。これらの作業と並行して、博士論文執筆のための大枠の構成・目次案を定め、研究指導教官および現地で研究上のアドバイスを受けている研究者との打ち合わせを行った。また、アイマラ語での聞き取りデータについては文字起こしを進め、正確さを期すためネイティブの話者との確認作業を継続した。本年度の調査で収集した題材を基にして、博士論文に関するコロキアムを次年度に実施する予定である。また、次年度において、日本では日本ラテンアメリカ学会(使用言語は日本語)で、また現地ではボリビアの国立民族学・民俗学博物館で開催される民族学の年次大会(使用言語はスペイン語)で、本年度の研究成果を部分的に報告することを予定している。
著者
松川 正樹 高橋 修 林 慶一 伊藤 慎 Konovalov V. P. Valentine
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.48, pp.29-42, 1997-06-30
被引用文献数
1

西南日本のジュラ紀から前期白亜紀付加体の重複配列分布は, 付加体の放散虫化石と付加体の堆積物に不整合で覆う非海成ないし浅海成の堆積物に含まれる軟体動物化石の化石層序と時代論に基づき, オーテリビアン期に形成されたと解釈される。一方, 日本を含む東アジアの浅海成堆積物から後期ジュラ紀〜前期白亜紀のアンモナイトが産出し, それらが低緯度地域と高緯度地域の種を含む。これは, この地域が二つの異なる海流の影響を受けたことを示し, 現在の下部白亜系の分布位置と堆積当時の分布位置がほぼ同じであったと解釈できる。特に, 前期白亜紀の手取地域は高緯度地域からの海流の影響を受けたことが示唆される。これらの解釈は, この時期のテクトニクスの考察による日本列島の位置の解釈と化石による解釈の両者がともに整合性のあることを示す。
著者
福住 隆二 檜垣 陽一 本間 勝 篠崎 亘
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, 1977-12-15

リビア国, トリポリから地中海に沿って東へ150km, 内陸へ20km入ったところで行われているアースダム築造を中心としたかんがい事業の現地報告である。プロジェクトの中心は, 9月から翌年4月までの雨期に降るわずか190mmの降雨量の雨によってもたらされる地表流下水をせきとめて, 農業用水に用いようとするものである。3つのダムのうち最大のものの堤体高さは50m, 長さは629mで, コアとランダム材として風積土のレスを用いるのが特徴である。細粒含有率70%, 日本統一土質分類で(ML)に分類されるレス土の土工特性はすぐれたもので, JIS A 1210 1.1(b)の締固め方法による最大乾燥密度は1.90t/m^3以上, 最適含水比は10〜12%, 最小透水係数は最適含水比より2%湿潤側で1×10^<-7>cm/sec以下である。また, プロジェクトにおける著者らの役割に関する記述は, アラブ諸国内で土木工事の施工およびコンサルタンツ活動を志すものにとって, 有用な情報を提供している。
著者
加須屋 誠
出版者
帝塚山学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

鎌倉後期制作の聖衆来迎寺所蔵「六道絵」は地獄幅四幅・閻魔王庁図一幅・餓鬼道図一幅・畜生道図一幅・阿修羅道図一幅・人道図四幅・天道図一幅・念仏功徳図二幅の計十五幅からなる仏教説話画遺品である。これらは現在、東京及び関西の博物館美術館に分割保管されているが、報告者はその実地調査を行い、各幅の詳細な細部写真撮影をなした。さらに各場面を『往生要集』をはじめとする仏教教典と対照し、カード及びコンピュータ・データベース形式で整理することにより、今後の研究の基礎となる資料を作成した。研究上とりわけ注目したのは、このなかで現実世界を描いた人道図である。これに関しては仏典(教理的プレテクスト)のみならず鎌倉時代の社会状況(社会的コンテクスト)をも考慮して、従来と異なる作品論(テクスト解釈)を試みた。その成果として一昨年すでに「聖衆来迎寺本六道絵「人道不浄相図」考」と題した論文を『帝塚山学院大学研究論集』に発表していたが、引き続き本年度は「生老病死の図像学-仏教説話画研究序説-」と題した論文を著し『国華』に掲載(1996年9月10月刊)。また特に病気の問題については「病草紙」等との比較を中心にして「病・表象・まなざし」と題して口頭発表(1996年12月、国際ワークショップ『美術史と他者』、於高野山福智院)、さらに死の問題に関しては『往生要集』の視覚イメージ論として「臨終行儀の美術-儀礼・身体・物語-」と題して口頭発表(1997年3月、公開フォーラム『宗教と美術』、於名古屋大学)を行った。これらの口頭発表の内容はいずれも平成9年度中に論文として刊行の予定である。そして、さらなる今後の研究課題に、異界についての考察がある。まずは地獄福に関する考察から始めて、順次各福の図像と様式解釈を試みた論文を執筆し、今後5年間をめどにして『聖衆来迎寺本六道絵の研究』をまとめることとしたい。その際には国際ワークショップで同席し、示唆に富んだアドバイスをくださったN.Brysonハーバード大学教授等が主導するいわゆる「ニュー・アート・ヒストリー」の研究方法が有効と考えている。
著者
友重 竜一 石田 清仁 及川 勝成
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

燃焼合成法を利用してCr硫化物、Ti系およびZr系炭硫化物を安定的に得た。透過電子顕微鏡観察結果から代表的な固体潤滑剤のMoS2と同様な層状構造を確認した。高温酸化試験の結果、約500℃以上での酸化が激しいことから、被削性向上用分散剤として溶鋼中への当該化合物を投入・分散させる方法は酸化雰囲気では困難と考える。一方、動摩擦係数μは概ね0.11-0.12を示し、MoS2と同程度であった。以上より固体潤滑剤としては十分期待できる物質であると結論づけた。
著者
明石 孝也
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

LaCoO_3系材料は、固体酸化物燃料電池の電極やNO_x分解触媒などに応用される。これらの用途のためには、大きい表面積を持つことが望ましく、ゾル-ゲル法や溶液噴霧法などの様々な方法で、数十〜数百nmの気孔を持つメソポーラス材料が合成されている。しかし、メソポーラス材料では表面エネルギーを駆動力とした粒成長が起こりやすく、高温で長時間安定に存在することが難しい。そこで、本研究ではメソポーラス複合酸化物中にナノ単酸化物粒子を分散させることにより、高い粒成長抑制効果と優れた電極特性を同時に発現させるために、CoOナノ粒子を分散したメソポーラス(La, Sr)CoO_3膜の粒成長機構を解明し、粒成長抑制のための指針を設計した。ゾル-ゲル法を用いて、CoOナノ粒子を分散したメソポーラスLa_<0.6>Sr_<0.4>CoO_<3-δ>膜をGd_2O_3ドープCeO_2焼結体基板上に作製し、La_<0.6>Sr_<0.4>CoO_<3-δ>膜の1273Kにおける粒成長速度を評価した。粒成長速度の酸素分圧依存性と粒成長の式による解析により、約50nmの初期粒径を持つLa_<0.6>Sr_<0.4>CoO_<3-δ>膜の粒成長は、拡散律速ではなく、界面反応律速で進行していることを明らにした。ナノ〜サブミクロンサイズの粒径をもつ(La, Sr)CoO_<3-δ>膜の粒成長抑制には、粒界の偏析層を制御し、空間電荷層を横切る陽イオンの移動を抑制することが重要であるという設計指針を確立した。
著者
堀 光平 林 巖
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.62, no.596, pp.1548-1555, 1996-04-25
被引用文献数
6

To improve the efficiency of 3K-type mechanical paradox planetary gear drive, a new design method called the approach-and recess-contact ratio equalization method is proposed and described. The concept of this method is to satisfy the coaxial condition of the rotatory- and fixed-internal gear pairs, which have a large influence on the efficiency of the gear drive, and simultaneously to maximize their efficiency. For this purpose, first the contact ratios of the two internal gear pairs are given ; second, their profile-shift coefficients are determined so that the coaxial condition can be satisfied ; then, the diameters of their addendum circles are determined so that their approach- and recess-contact ratios can be equalized. The efficiency of the gear drive obtained by this design method is theoretically calculated under the assumption that the tooth surface frictional coefficients are all 0.1. Consequently, the maximum efficiency of 86.1% is obtained on a gear drive with a reduction ratio of 1/351 and a contact ratio of 1.2. This obtained efficiency is higher by 12% and 8% than the efficiencies of 74% and 78%, obtained by the conventional design method without and with profile-shift coefficient optimization, respectively.
著者
佐瀬 隆 細野 衛
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.466-482, 1996-11-25
被引用文献数
7

東北日本とニュージーランド北島の累積する完新世火山灰土壌の植物珪酸体分析により土壌相と植生史の関係が明らかにされた.非黒色の土壌相は森林植生下で生成し,黒色の土壌相は草原植生下で生成していた.また,非黒色土壌相から黒色土壌相への移行が森林から草原への植生変化に対応して起きていた.東北日本における最も古いこの変化は南部軽石層(c. 8,600年)の堆積以前に生じたのに対し,ニュージーランドではタウポ軽石層(c. 1,800年)の堆積以降にならないとこの変化は起きていない.このことは,更新世にさかのぼる日本の人類史が約1.000年の長さしかないニュージーランドの人類史に比べはるかに長いことと対応している.黒色火山灰土壌相の生成を促した草原植生の拡大は人為による森林破壊の結果と考えられる.