著者
根岸 隆之
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では内分泌撹乱化学物質のヒトにおけるリスク評価、特に神経発達影響のリスク評価について有用な情報を提供するためにカニクイザルを用いた神経発達影響評価系の確立を試みた。まず、カニクイザルの神経発達を分子生物学的に評価した結果、生後直後から60日にかけて急激に発達することを明らかにした。また、この時期に甲状腺ホルモンを欠乏させると抑制性神経伝達システムの発達が妨げられることを明らかにした。加えて影響評価に適したカニクイザル胎仔由来神経系細胞の培養法を確立した。
著者
木口 智明 濱川 恵梨香 冨岡 華代 新居 朋恵 前田 雅子 堀江 正一 北田 善三
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.130-135, 2010

A simple and rapid method has been developed for determining of L,L-aspartame (APM), its epimer (L,D-APM), diketopiperazine (DKP), L-phenylalanine (Phe) and D-Phe in various foods by high performance liquid chromatography (HPLC) and liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS). These compounds in foods were extracted with 0.01mol/L hydrochloric acid in ultrasonic bath, and the extract was loaded onto a strata-X-C, cation-exchange and reverse-phase cartridge. The HPLC separation was performed on a SUMICHIRAL OA-5000 (monolithic-type, 4.6mm i.d.×10cm) with ultraviolet detection, using 2mmol/L CuSO<sub>4</sub> solution-acetonitrile-isopropyl alcohol (85:10:5) as a mobile phase. The LC/MS separation was performed on a CHIROBIOTIC TAG (2.1mm i.d.×25cm, 5μm) with a mobile phase of 0.01% ammonium acetate-0.005% acetic acid-ethanol (1:1:2). The recoveries of 5 compounds from foods added at the level of 0.2g/kg in HPLC and LC/MS were 93.9-102.9% and 82.1-102.4%, respectively. In HPLC, the detection limits of APM, DKP and Phe were 0.02g/kg. In LC/MS, the detection limits of APM was 0.01g/kg, and DKP and Phe were 0.02g/kg.
著者
中川 光弘 丸山 裕則 船山 淳
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.13-31, 1995-03-10
被引用文献数
10

Hokkaido island is situated at the junction of northeastern Japan and Kuril arcs. Recent K-Ar age dating of Cenozoic volcanics in the island revealed that the distribution of Quaternary volcanoes (<1.7Ma) is remarkably different from previously accepted one. On the basis of the newly established distribution of the volcanoes, spatial variations in SiO_2-normalized major element values (SiO_2=60%) of Quaternary andesitic rocks (SiO_2=56-64wt%) are investigated. The Na_2O, CaO and P_2O_5 values vary systematically in the across-arc direction irrespective of the tectonic setting and/or the geological structure. On the contrary, the variations in FeO, Al_2O_3 and K_2O values seem to be largely correlated with the tectonic setting and the Bouguer anomaly. The distribution of the volcanoes and the mode of spatial variations in major element chemistry suggest the presence of three Quatemary volcanic fields, the southwestern Hokkaido (SWH), Taisetsu-Tokachi-Shikaribetsu (TTS) and Akan-Shiretoko (AKS) regions. Modes of the spatial variations in normalized major element values in SWH and AKS regions resemble each other and are nearly the same as those of northern Honshu arc; chemical zonation of volcanoes is sub-parallel to the trench axis in both regions. On the contrary, the spatial variations in FeO and K_2O values in TTS region are different from those in SWH and AKS regions. The mode of the variations in FeO and K_2O values is thus discontinuous in Hokkaido island. The values of Bouguer anomaly at TTS region (-40 to 0 mgal) are much lower than those at other two regions (+40 to +100 mgal). Because crustal thickness under the regions is nearly identical (25-34km), the regional variation in the values of Bouguer anomaly suggests that crustal materials of TTS region are less dense than those of SWH and AKS regions. These different crustal materials, which have been produced under the different tectonic settings, are believed to have resulted in mode of spatial variations in major element chemistry of Quaternary andesites.
著者
カツツ ウエ アレキサンデル
出版者
京都府立医科大学
雑誌
校友会雑誌
巻号頁・発行日
vol.34, pp.68-70, 1904-06-30
著者
ナサンデルゲル ツェレンダシ
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.178-183, 2008

本稿では、移行経済における消費者のマーケティングに対する態度を図ることを目的として掲げ、モンゴルの消費者を対象に、調査を行い、それに基づいて、モンゴルにおける消費者のマーケティングに対する態度を検証した。具体的には、GaskiとEtzelの開発した消費者態度尺度を評価し、モンゴルにおける消費者のマーケティングに対する態度をマーケティングミックスの4つの要素に対する態度を図ることにより、計測し、その結果を同じ調査が実施された国々の結果と比べることを試みた。
著者
大津留 智恵子 石橋 章市朗 小西 秀樹 土倉 莞爾 廣川 嘉裕 安武 真隆
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

グローバル化によって多文化共生が現実となる社会において, 政治の周縁に置かれてきたマイノリティや若年層の政治参加意識と能力を高め, 民主政治を活性化する手がかりを, 多文化化の先行する社会との比較の中で検討した。マイノリティや若年層の政治参加にとって, 市民社会における政治的資源やその利用のためのネットワーク形成の重要性が確認された。また若年層の政治意識の調査からは, 政治的社会化において教育の果たす役割が認識できた。
著者
一ノ瀬 佳也
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、スコットランド啓蒙哲学における「公私」観念についての研究を行った。そのために、グラスゴー大学アダム・スミス・リサーチ・ファンデーションの客員研究員となり、このテーマをめぐってグラスゴー大学のクリストフォー・ベリー教授と議論した。その結果、「私」的個人とは、単に利己的なだけでなく道徳的心性を有しており、自分たちで正義を導くことができることが分かった。
著者
宮原 誠 名塚 悦郎 吉田 育弘 中川 匡弘
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.905-911, 1985-10-20
被引用文献数
1

人間の色彩感覚を適確に表現し, かつその尺度を均等に表現する表色系であるマンセル(HVC)表色系に注目し, カラー画像の伝送時に生ずるひずみを色知覚の許容限以下にするような色立体分割方法を考案した.また, 量子化された色情報の代表値を予測符号化する伝送方式を検討した.この結果, エントロピー約3.5(bit/pixel)で, ほぼ満足できる画質の画像を伝送できた.色感覚をあらわすH, V, Cは互いの独立性が良いので, Y, I, Qと比較した場合, 色情報を無駄なく符号化することができ, また輪郭部の情報損失も少なくできるなど, 多くの利点がある.
著者
名塚 ちひろ 岡本 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.96-97, 2009-06-20

It is difficult for the blind people to find that they want to buy in shopping. In this research, I used the method of scenario based design and I shed light on some potential needs of their shopping. I interviewed blind people and a guide helper. From the result, I focused three points, "using while shopping", "want to do unexpected discovery", "want to know what there is ahead", and I proposed a device "COMPASS". As a result of the evaluation, I got opinions from blind people such as "I can discover some items for oneself" and "I can decide some items to buy on the scene". Outlook for the future, I have to improve the shape and specifications. I also entertain another shopping scenes.
著者
孫 媛 根岸 正光 宮澤 彰 大山 敬三 西澤 正己
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

産官学の研究連携に関して,企業が先導役を果たすNational Systems of Innovation(NSI)モデルに代わり,Triple Helix(三重螺旋)モデルが国際的に注目されるようになっている。本研究は,産官学問の連携活動を反映すると考えられる産官学の共著論文データに注目し,その分析を通してTriple Helix的連携の浸透の実態を実証的に明らかにすることを目的とする。まず,日本の学会誌論文を対象とした「引用文献索引データベース」(CJP)を用いて,名寄せ,所属機関の同定およびセクター分類方法の検討等を行った上で,日本の研究ネットワークの実態分析を試みた。とくに,産学連携関係からみた各大学の特徴・類似度,大学に対する企業の研究依存度,産学連携が盛んな上位大学および企業の個別性を重点的に分析した。和文論文の共著分析として初めての研究であり,今後の研究可能性を示す役割も果たしたと考える。つぎに,米国の引用索引データベース(NCRJ)を用いて,国際・国内雑誌への投稿論文に基づく比較・分析を行った。その結果,企業と大学の協力関係は対等とはいえず,大学側から見たときの企業の役割の重要さは,企業側から大学を見るときのそれに及ばないことが判明した。1995年前後を境として大学が企業との共同研究から離れる様相も明らかになった。また,企業の基礎研究離れ,企業にとっての国内学会誌の役割の大きさ,産学連携の取り組みにおける大きな分野差・地域差,産学連携が特定の地域に集中する趨勢が近年一層強まっていることなども明らかになった。これらの成果は国際・国内学会で発表したほか,国際・国内学術雑誌にも投稿し,内外の研究者との意見交換・情報発信を積極的に行った。わが国の科学技術政策を論じるために,本研究のような統計的分析,計量的評価を地道に展開する必要があると考え,これまでの成果を踏まえて,今後さらにさまざまな観点からの研究を継続する予定である。
著者
名塚 雄太郎 安室 千晃 井上 貴仁 横山 浩 平野 貴之 金丸 正剛 伊藤 順司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.404, pp.39-44, 1994-12-15

走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM)は,探針と試料表面の間に働く微弱な電気力を測定する走査型プローブ顕微鏡である.特徴は,非接触で表面電位と形状の2次元イメージを同時にしかもナノスケールの分解能で測定できる事である.電界放射エミッタの高機能化を図るひとつの手段として,その表面状態の高精度な制御技術の開発が考えられる.そこで,このSMMを用いて各種エミッタ材料の表面状態(表面電位,形状)の観察,評価を行い,エミッタ高機能化への手がかりを得るのが本研究の目的である.本稿では,SMMの原理や使用したカンチレバーについて述べるとともに,Al,Mo,Nbなどの表面電位の測定結果を議論する.
著者
高畑 雅一
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

アメリカウミザリガニHomarus americanusを実験動物とし、新たに開発したoperant chamberを用いて、レバー押し型のオペラント条件づけの可能性を実証するとともに、分化強化の可能性について検討した。動物を実験水槽に十分に慣れさせた後、水槽内の餌場に自発的に接近するようになるまで乾物ホタテ貝柱で誘導し、接近した場合に餌を与えた。この訓練が完了したのち、1セッションを30分としてレバーに対する自発的なはさみ行動の平均生起率(1セッションのはさみ回数/セッション数、以下BL値と呼ぶ)を確定した。次いでレバー押しに対して報酬を連合した。ここでは特に、1)セッションごとのはさみ回数の推移《獲得、消去、回復の傾向は観察されるか》および2)はさみ強度のスケジュール間比較《はさみ強度について分化強化手続きができるか》を調査した。強化閾値を変える前と後で、はさみ強度(各はさみ行動の最大応答値)の分布にどのような変化が現れるのか個体ごとに調べるに当たっては一般化線形モデル選択法を適用した。その結果、各セッションのはさみ回数は、獲得手続きではBL値以上で持続する傾向、消去手続きではBL値付近に徐々に近づく傾向、回復手続きではBL値以上で再び持続する傾向が、それぞれみられた。また、非随伴性強化ではBL値以上の割合は獲得手続きの場合以下であり、持続する傾向もみられなかった。これらの知見は、アメリカウミザリガニでオペラント学習が可能であることを実証している。また、強化閾値を上げたことに依存してはさみ強度が上昇し、強化閾値を変えない場合では、はさみ強度に変化はなかった。これらの結果は、分化強化が強化閾値の上昇に限って成立する可能性を示唆する。閾値下降については、新たな装置を開発して調査する必要がある。