著者
浅香 あき
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究はボリビアの特別支援教育現職教員の持つ価値志向の検討を目指している。本年度は(1)ボリビアの教育制度および教員研修制度に関する情報・資料の収集(2)JICAの研修で来日した研修員が作成した資料の収集と分析、(3)本年度の研修員に対するインタビューによる情報収集と(4)アンケート調査を行った。(1)ボリビアの特別支援教育に関する情報は非常に少なく、JICAの協力隊や専門家の報告書とJICAの雑誌がそのほとんどであった。ボリビアの高等師範学校や教育大学では今まで障害児教育の専門家養成を行ったことがなく、障害児教育の位置づけは非常に低いことが分かった。非政府組織の障害児教育の専門養成の研修が存在するが、それを受けても専門家として政府に認可されないこともわかった。よって特別支援学校で働く90%以上の職員が何の資格も持たないで従事している。(2)2006年度から開始したJICAの課題劉地域研修障害児教育コースにおいてボリビアの研修員が作成した資料を収集した。特別支援教育現場に携わる研修員は研修後も、研修で立てたActinPlanの実行に意欲的に取り組んでいることが分かった。しかし、教員養成システムやカリキュラムの組織化に関する活動は難を示している。(3)(4)面接調査及びアンケート調査から、本年度の研修員は自主的に特別支援教育に携わることになったのは私立の専門学校を卒業した研修員一名だけであり、その他の研修員は上司の命令や、他に選択肢を与えられなかったことから携わることになったことがわかった。特別支援学校では通常学校の半分程度しか給料がでないため、他に仕事の選択肢がある場合には、やめる教員が多いこともわかった。しかし、JICAの研修に参加する現職教員は責任を持って特別支援教育の普及に今後も努め、学内での授業研究を通じて教員の質を上げていきたいという意欲を示していることと、帰国後も具体的な活動を進めていることがわかっている。
著者
岡村 美由規
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

初等教育の完全普及は、人権としても経済・社会発展の土台としても今日広くその意義が国際社会で認められている一方で、その道程はまだ険しい。そこで本研究は、開発途上国における教育政策の成否のメカニズムとその要因について、ボリビア・チリ・ペルーを対象に、教育関係当事者に注目して、彼らが持つ思想、それに基づく教育政策への活動関与、それを支える行動原理、そして当事者間の相互作用について、当事者の認識というミクロの視点から教育社会学的に明らかにした。
著者
井上 康昭
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-28, 1984-03-01

トウモロコシの一代雑種育種では,一般組合せ能力に対する改良と並行して,特定組合せ能力(SCA)の高い組合せの選定が必要となる。しかし,両親のSCAを適確に予知する方法は現在のところ十分に確立されていない。経験的に,遠縁の組合せ程SCAが高い傾向にあることが知られるため,地理的分布や形態的特性の違いによる分類結果や,育種の系譜を参考にして近縁関係を推定し両親組合せを決定している。SUTOら(1956)は,アジアに分布するフリント種を5つの型に分類した。これにアメリカデント種を加えた6つの型が日本における主た育種材料である。本研究の目的は,これら6つの型の間のSCAについての関係を明らかにし,一代雑種育成における両親決定上の一助にしようとした。 6つの型に属する11の自然受粉品種を選び,それらの間のダイアレル交雑の子実収量を検定した。さらに,ダイアレル分析から得られたSCA効果によって,異なる型の間のSCAについてその相対的大きさを比較した。 その結果,(1)異なる型に属する品種組合せ,特にフリント種とテント種との組合せにおいて収量およびSCA効果が高い傾向にあり,多収一代雑種が得られることが推測された。(2)カリビア型とアメリカデント種との組合せおよびペルシア型と他の型との組合せにおいて高いSCAが認められた。(3)本研究で得られたSCA効果と,従来の分類結果から推定される型の間の近縁関係との間に密接た関係が認められた。そのため,SCA効果に基づいた型の間の近縁関係の推定を試みた。
著者
阿部田 聡 豊泉 茂 金田 史香 神山 政恵 小池 秀海 吉野 佳一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.89-95, 1999

症例は47歳男性。1996年5月16日,ボリビア(標高4,200m)へ出張した翌日より頭痛,悪心,呼吸困難,意識障害を呈し,急性高山病と診断され,現地の病院で治療を受けたが,意欲低下,意識不鮮明,運動緩慢が残存した。6月3日帰国し,翌日当科に入院した。知能障害と錐体外路症候を認め,発症20日目のMRIで両側淡蒼球に病変がみられた。SPECTでは両側前頭葉,側頭葉,基底核の血流低下を認めた。発症29日目より高圧酸素療法を行い,自覚症状,神経心理学的検査成績およびSPECTの改善がみられた。急性高山病で淡蒼球病変を呈した報告は本例を含め4例と稀である。ごく早期を逸しても高圧酸素療法は試みるべき治療法と思われる。
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.27, no.317, 1913-05-25
著者
庄司 俊明 岡田 聡一 伊山 修 伊師 英之 小森 靖 宮地 兵衛 長尾 健太郎 宮地 兵衛 筱田 健一 谷崎 俊之 兼田 正治 有木 進 和田 堅太郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

Exoticベキ零錐の軌道分解から得られる交差cohomology とC型Weyl群の既約指標との間のSpringer対応を証明した。それを利用してこれらの交差cohomology のPoincare多項式に関するAchar-Henderson の予想を証明した。
著者
神沼 克伊 石田 瑞穂
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.53-60, 1971-12

世界の地震観測網が整備され,地球上に起こるマグニチュード5以上の地震は,ほとんど観測されるようになった今日でも,南極大陸およびその周辺に震源の決まった地震はない.しかし,南極各基地の地震観測の報告をみると,南極の基地だけにしか観測されないような,小さな地震が起こっているらしい.そこで,USCGSから発行されている"The Antarctic Seismological Bulletin"の資料に基づいて,震源の決定を試みた.少なくとも4点以上の基地で観測されているものにつき,その深さを33kmと仮定し,震央と発震時を求めた.震源決定を試みた地震72個のうち,24個の震央のみを,誤差±100km,O-C residual3秒以内で決めることができた.24個の地震のほとんどの震央は,大陸周辺に存在する地震帯の上に決まった.しかし,1個だけではあるが,南極大陸内に震源が決まった地震がある.この震源精度を確かめるために,多くの震源を仮定し,O-C residualの自乗平均値を調べた.その結果,この地震は大陸内20°W, 80°S,深さ1kmに起こり,マグニチュード4.3であることが分かった.現在の地震観測網では,震源を決められない小さな地震が,南極大陸に起こっていることは確実である.
著者
神保 敏弥 浅井 照明 菊池 徹平 河上 哲 南 春男
出版者
奈良教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

C^nのコンパクト部分集合KからC^nへの写像f=(f_1,・・・,f_m)によるグラフG={(z,f(z)):z∈K}の多項式凸性については、n=m=1のときの結果が多く見られるので、これらの拡張として、主にn=m>1のときにKを超球や多重円板の場合に取り、研究計画に従い、いくつかの例を構成することができた。これらを総合し、本質的な部分が解明されつつあるので、定理の形としまとめられるよう、現在鋭意検討中である。また、m=1,n>1,Ref,1mfが多重調和の時は、グラフGが多項式凸集合であるとのAlexanderの結果の関数環的な別証明を得たので、さらにこの拡張も考慮中である。超球Bで正則、Bで連続な関数族A(B)の2つの関数f,gによる零集合がBの境界に含まれるならば、A(B)の峯集合であるとの、Stoutの予想は、fに少し条件を付ければ、正しいことを示せた。以上の経過については、関数環研究集会で話した。得られた結果は次のとおりである。作用素環分野では、単純C^*-環の最小指数の乗法性の簡易な証明を与えた。これは、フォンノイマン因子環の最小指数の乗法性の証明としても有効である。後者の乗法性は、煩雑な手続きのもとで、その成立は確認されていたが、C^*-環の指数理論を適用することで、それが初等的に証明できることを示した。K-理論分野では、フレイムド多様体としての射影シムプレクティック群のコボルディズム類の非自明性を調べるため、そのフレイミングを考察する観点からその位相的実K群の環構造を決定した。
著者
飯野 裕明
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は(1)加熱スピンコートによる多結晶薄膜作製の詳細な検討(2)平成18年度に検討した棒状液晶系(チオフェン系)、円盤状液晶(フタロシアニン系)の多結晶薄膜を用いた有機トランジスタの作製および評価(3)新規な液晶材料(チオフェン、ペリレン系)の多結晶薄膜の電荷輸送評価および有機トランジスタの作製および評価を行った。(1)液晶相を示す温度における加熱スピンコートを行った際のみ、均一な薄膜作製が可能であった。従って、液晶相においてスピンコートをすることが均一な薄膜作製には重要であることが示唆された。(2)棒状液晶においては良好なトランジスタ特性を示し、移動度(>10^<-2>cm^2/Vs)が過渡光電流測定法で求まる移動度(粒界の影響を受けていない移動度)と一致したのに対し、円盤状液晶においては良好なトランジスタ特性は示さなかった(移動度<10^<-5>cm^2/Vs)。これは配向制御が容易な棒状液晶においては粒界方向を制御でき粒界の影響を受けない電荷輸送特性になったのに対し、円盤状液晶は分子配向制御ができず、粒界の影響を強く受けたためと示唆された。(3)過渡光電流測定法により高移動度(>0.1cm^2/Vs)を示すターチオフェン液晶、およびペリレン液晶を上記と同様な方法でトランジスタを作製したところ、それぞれ、pチャネル、nチャネルで動作し、移動度が0.1cm^2/Vsを超えることを見出した。このように液晶性物質の多結晶薄膜は、(1)液晶相を用いることで通常では困難なウエットプロセスによる均一な多結晶薄膜の作製が可能、(2)液晶相を経由することで分子配向制御させた多結晶薄膜作製が可能、(3)粒界方向を制御でき電荷輸送方向には粒界の影響が少ない、といった特徴を有することが明らかになった。その結果、通常の多結晶材料の真空蒸着法で示されるような高移動度(>0.1cm^2/Vs)を示すpチャネル、nチャネルのトランジスタをウエットプロセスで実現させることに成功した。
著者
小山 徹平
出版者
公立大学法人福島県立医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

○ 研究目的と方法福島医大版服薬自己管理モジュール施行患者(以下「参加群」)と、非施行(以下「非参加群」)患者に対して、服薬アドピアランスと治療転帰について調査し、心理社会的教育の効果を検討することを目的として、2001年7月からの病棟服薬教室参加者60名と、2000年から2001年の服薬教室施行前に入院していた不参加患者の中で、統合失調症圏・感情障害圏の患者211名を対象として選び、追跡調査をおこなった。彼らの退院後の社会適応状態、再入院の有無、その原因等についてのアンケートを施行し、可能な限り面接調査も施行した。またカルテから退院後の臨床経過を調査した。本研究は、福島県立医科大学倫理委員会の承認を受けて行われた。○ 研究成果・ アンケート調査で、回収され有効回答であったのは、参加群23名、非参加群40名であった。彼らの退院から6ヵ月後、1年後、2年後の社会適応状態・再入院・その原因について差は認められなかったが、入院前の状況による補正を行い精密に検討することが必要である。・ 面接調査でのSAI-J(病識・薬識尺度)の結果は、服薬アドピアランス・自分の病識ついては参加群(11名)の方が良好な結果であった。しかし、自分の入院時の病識についてや精神症状(主に妄想)の理解の問いでは、非参加群(28名)の方が良い部分もあった。・ カルテ検索については、2年後まで経過を追う事ができた参加群39名、非参加群90名(アンケート群を含む)を対象とした。参加群は江熊の社会適応尺度で6ヵ月後、1年後、2年後の結果が3.23→3.28→3.21と良くなっているのに対し、非参加群では2.62→2.62→2.72と若干ではあるが悪化している事が分かった。ただし、今回の結果は、入院前の状態が不揃いであるため、その情報も含め、さらに検討を進める計画である。
著者
赤澤 徹平 王 志良 豊田 啓孝 和田 修己 古賀 隆治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.210, pp.49-54, 2002-07-11
被引用文献数
3

多層プリント回路基板からの放射EMIの一要因として,回路基板の共振がある.本報告では一般の多層プリント回路基板の電源系の共振解析を目的として,複数の矩形領域からなる基板の電源グランド層間の平行平板共振の高速解析法について示す.今回,2つの矩形領域からなる基板についてセグメンテイション法を用いて解析をおこなった結果,測定値と解析値の良い一致が得られた.セグメンテイション法を用いた高速解析の有用性,および精度について示す.
著者
今井 康貴 永田 修一 豊田 和隆
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,高い精度を有する,渦法による浮体構造物の非線形波浪中挙動解析法の開発を目的に,自由表面下で振動する2次元没水平板の問題に,Random-Wal k法およびCore-Spreading法に基づく渦法計算を適用し,平板に作用する流体力について検討を行った.その結果,Core-Spreading法および物体近傍での渦層モデルを用いることで,これまでの波浪問題に適用されてきたRandom-Walk法に基づく手法より実験結果と近い結果が得られた.
著者
小泉 尚嗣 渋谷 拓郎
出版者
京都大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

研究対象である鳥取県の湯谷温泉は,少なくとも3つの温度の異なる帯水層(上から中温・低温・高温の帯水層)から供給される水で形成されていることがわかっている.地球潮汐や気圧変化によって地殻の体積が縮むとき,湧水量が増大し水温が低下することから,低温の帯水層から供給される水の量が,地殻の体積歪変化に対して最も敏感に対応して変化していることが判明した.平成8年8月から湯谷温泉において,水温2チャンネル(深さ2.1mと低温の帯水層直上の深さ24m)と湧水量2チャンネル(低感度と高感度)の計4チャンネルのデータを,5Hzのサンプリングレートで(科学研究費で購入した)ディジタルデータレコーダに収録し始めた.収録チャンネルが増えたので,当初予定していた10Hzのサンプリングレートを5Hzに落として収録している.1996年10月19日の23時44分48秒頃に発生した日向灘の地震(M6.6)の際,従来の1時間値で見る限りでは,深さ2.1mと24mの所の水温が地震後に50〜70m℃上昇したということが分かるにすぎなかった.しかし,5Hzサンプリング値で見ると,深さ2.1mの水温で23時47分7秒頃から23時47分22秒頃から23時47分48秒頃の間に3m℃の低下、深さ24mの水温で23時47分29秒頃の間に5〜6m℃の低下があり,その後上昇に転じていることが判明した.他方,京都大学鳥取観測所の超高性能地震計の記録によれば,P波立ち上がりが23時45分50秒前後、表面波の立ち上がりは23時46分45秒前後、表面波の大きなピークは23時47分前後である.現状では変化の全体を説明することはできないが,変化の開始時間のみに着目すると,表面波によって低温の帯水層の湧水量が変化し,それが水温の変化となって井戸上部に伝わっているように見える.これが事実とすれば,地震時の水温の変化が,地震の表面波によってもたらされるケースがあることを観測によって示した最初の事例となる.
著者
生塩 研一
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

脳の前頭前野や大脳基底核は時間計測に関与すると考えられていますが、具体的な役割は未解明です。我々は引き続いて呈示された図形の表示時間の違いを弁別する課題をサルに与えて、その課題遂行中に個々の神経細胞の活動を調べました(大脳基底核では世界初)。前頭前野が時間の長短を大まかに分ける標準時間によってフィルタリングすること、また、大脳基底核が遅延期間で時間長を発火頻度で符号化していることを見出しました。
著者
曽我 亨
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

東アフリカ牧畜社会では、近年、民族紛争が増加している。報道や学術的言説は、こうした紛争を家畜や牧草や水などの稀少な資源をめぐる競合と説明する傾向がある。しかし、こうした紛争は、民族エリートたちによる扇動の結果と思われる。本研究は東アフリカ牧畜社会において民族主義が興隆する以前の時代に焦点をあて、異民族による生態資源の共同利用の諸相を分析した。その結果、異民族間には生態資源と労働力の交換や、生態資源をめぐる棲み分けが行われていたことが明らかになった。
著者
佐久間 厚子 比留間 ちづ子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.427-427, 1980-05-25

東京女子医科大学学会第230回例会 昭和55年2月22日 東京女子医科大学本部講堂
著者
門田 安弘
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、平成元年度と2年度の2年間にわたるもので、日本の自動車産業における原価計算と原価管理のシステムを、個々の自動車企業を訪問調査して究明するものである。具体的には、トヨタ、日産、マツダ、ダイハツ、鈴木、クボタ(トラクタ-工場)などを取材した。得られた研究成果(知見)は、次のとおりである。1、原価計算については、各社とも標準原価計算を採用しているが、製造原価に占める各原価要素の構成比率で材料費が大きなものになっているなどのことから、原価管理の重点の移動がみられる。標準原価計算が財務会計目的のみに用いられ、原価管理上の意義が小さくなっている。2、原価管理では、新製品の開発段階における原価企画のシステムが重要になっており、このシステムの全容を解明することができた。これは日本独特のオリジナルなもので、利益計画から出発する点が特徴である。次に、原価改善という製造段階の原価低減のシステムも解明できた。これは、標準原価計算のように原価維持を目的とするものではなく、トヨタ生産方式ないしジャストインタイム生産方式や目標管理と結びついて、やはり利益計画を出発点とした毎期の原価低減活動である。3、自動車産業におけるCIM(コンピュ-タ-統合生産)とJIT(ジャストインタイム生産方式)の実態を究明した。CIMに関する投資の経済計算や導入プロセスの調査も行った。また、CIMの中の生産計画についてMRP(資源所要量計画)のデ-タベ-スがあり、これと原価計算の関連についても調査した。4、さらに、この実態調査を通じて、自動車企業の販売管理システム、財務管理システム、国際生産戦略、組織と人事管理システムなどについても解明した。以上の4つについて、次ペ-ジに示す研究発表も行った。