著者
佐藤 達雄 久保 深雪 渡邊 清二
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.77-82, 2003-06-01

キュウリにおいて,サリチル酸含量の分析ならびに全身獲得抵抗性(SAR)関連遺伝子CuPi1の発現解析により,熱ショックがSARを誘導することが示唆された.キュウリ22品種を2001年7月23日から9月14日まで,ガラス室において換気窓を密閉することにより最高45℃,1時間の熱ショックを与えながら栽培レ葉中サリチル酸(SA)濃度をキャピラリー電気泳動装置で測定した.熱ショックによるサリチル酸含量の増加が18品種で認められた.しかしSA含量と,クロロフィル蛍光測定法による高温感受性の間には相関が認められなかった.熱ショックで誘導されたSAがSARのシグナル伝達物質として作用することを証明するため,RT-PCR法により遺伝子CuPi1の発現を解析したところ,CuPi1のmRNAは熱ショック処理の後,発現した.CuPi1はサリチル酸や病害感染によって誘導されるSAR関連遺伝子である.以上のことから,SARは化学的誘導因子や病害感染だけでなく,熱ショックによっても誘導されることが明らかになった.
著者
兵藤 不二夫
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

寒帯林の遷移過程における植物の窒素源の変化を明らかにするために、スウェーデン北部において約400年と5000年の遷移系列を対象にし、その植物及び土壌窒素の窒素同位体分析を行った。その結果、2つの遷移系列において植物の窒素同位体比が有意に変化することが明らかになった。土壌の溶存有機態窒素や無機態窒素の同位体分析の結果と合わせると、この植物の窒素同位体比の変化は、植物が溶存態有機窒素やコケによる窒素固定、そして菌根菌へとその窒素源を変化させていることを反映しているものと考えられる。
著者
田中 一晶 尾関 基行 荒木 雅弘 岡 夏樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.703-711, 2010 (Released:2010-09-14)
参考文献数
11
被引用文献数
2

In the future, robots will support our work in our daily life. We believe that robots should learn desirable behavior through human-robot interaction. However, it is hard for humans to instruct the robots on all actions. It therefore is important that the robots can utilize rewards (evaluations) as well as instructions to reduce humans' efforts. Additionally, ``intervals'' which allow humans to give instructions and evaluations are also important because there are delays in giving them. We hence focused on ``delays in initiating actions of a robot'' and proposed a method of changing them according to the progress of learning: long delays at early stages, and short at later stages. In other words, if a robot is not sure about its action, it initiates the action laggardly, but if it is confident about its action, it initiates the action immediately. In this work, we conducted experiments on teaching AIBO to shake hands using instructions and evaluations under two conditions: Varying Condition under which the delays vary in accordance with the progress of learning, and Constant Condition under which the delays are set at medium constant. The result demonstrated that Varying Condition improves learning efficiency significantly and impresses humans as teachable.
著者
矢後 文子 白坂 竜昿 赤上 典子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.572-573, 1978-07-25

東京女子医科大学学会第44回総会 昭和53年9月30日 東京女子医科大学本部講堂
著者
Department of Education
出版者
HMSO
巻号頁・発行日
1995
著者
矢後 文子 白坂 龍昿
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.260-260, 1979-02-25

東京女子医科大学学会第44回総会 昭和53年9月30日 東京女子医科大学本部講堂
著者
黒崎 文雄
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

1.「急速熱分解反応を可能にする新規低コスト炭素化炉の開発・設計」急速熱分解反応を可能にする加熱方法として、黒鉛型枠に原料を充填し通電加熱する方法を採用した。通電加熱法の場合、試料量の増加や大面積の実現のためには、黒鉛型枠を大きくする必要がある。しかし、熱容量が増加するため、急速度での昇温はより困難であった。そこで、型枠の厚みを極力薄くした黒鉛型枠を設計・自作し、実験結果をもとに黒鉛型枠の最適化を検討した。その結果、急速熱分解反応を可能にする昇温速度の制御の実現と従来に比べて、10倍程度の重量と面積を有するマクロ・ポーラス炭素材料の合成に成功した。2.「急速熱分解を応用して合成したマクロ・ポーラス炭素材料の多孔質構造の評価と普遍化」加熱温度400℃以下の炭素化物では、著しく早い昇温速度であっても、マクロ・ポーラス炭素材料特有の三次元ネットワーク構造は存在せず、原料の微細構造が維持されていた。一方、加熱温度450℃以上の炭素化物では、昇温速度1℃/秒以上の場合、三次元ネットワーク構造を有していた。また、保持時間による影響はほとんど確認されなかった。以上の結果より、従来の加熱温度より低い温度での合成や保持時間が短縮化できることが示され、より少ないエネルギーでマクロ・ポーラス炭素材料を合成し得ることが示された。3.「原料の疎水性および乾燥方法の相違による微細構造変化」昇温速度以外のファクターによるバイオマス原料の微細構造の崩壊および凝集現象を検討した。t-ブチルアルコールへの溶媒置換したキチンナノファイバーを原料とし、炭素化したところ、原料の微細構造の崩壊が起こらず、原料の微細構造が維持されたナノファイバーカーボンが得られた。原料の疎水性および乾燥方法をファクターとして、急速加熱法に組み込むことで、マクロポーラス炭素材料の特徴である多孔質構造の制御の幅を広げることができると期待される。
著者
今井 弘道 鈴木 敬夫 安田 信之 岡 克彦 國分 典子 鈴木 賢
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

16年度は、このプロジェクトを中心として、第五回東アジア法哲学シンポジウムを開催した(9月・札幌)。これはすでに何回も報告した通りであるが、日本国内からの参加者を始め、中国、各国、台湾その他を含めて100人を優に超える参加者があった、その中で、2006年には台湾で、第6回大会を行うこと、併せてそれを東アジア法哲学会の発会大会とすることが決議され、準備委員長として、本プロジェクトの代表者である今井が選出された。17年度は、上記第六回東アジア法哲学シンポジウム/東アジア法哲学会の発会大会が、行われた(主催・台湾大学、3月・台北)。中国、韓国、台湾その他を含めて150人を超える参加者があった。そこで、今井が理事長に選出された。これで、このプロジェクトで目標としてきた東アジアの法哲学の共同研究体制は基本的には完成し、大きな可能性が保障されることになった。18年度は、北京大学法学院から朱蘇力・張騏両教授を招待し、シンポジウム《中国における「生ける法」と「司法」を通しての法形成の可能性》を、名古屋大学と北海道大学で共催した。また上海政法学院教授の倪正茂教授を招いて「上海における住民運動と市民的法文化」とシンポジウムを行った。個々の成果については別記する。
著者
納谷 太 野間 春生 大村 廉 小暮 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.224, pp.5-10, 2005-07-25
被引用文献数
2

Bluetoothのデバイス検出機構を用いた屋内での近接位置計測法を提案する.屋内での位置推定技術は, 作業者の業務分析やモニタリング, ユーザの行動分析など, 種々の位置情報を必要とするアプリケーションにおいて重要な技術である.本稿では, 具体的な対象領域として看護・医療現場における業務分析を題材としてとりあげ, 1)ユーザの部屋レベルの近接情報の検知, および2)移動しているユーザや物の相互の近接情報を検知するための要求事項について考察する.Bluetoothのデバイス検出時の問合せにおけるパラメータを効率的に選択することにより1Hz以上のID交換が可能であることおよび, 受信信号強度検出とデバイス間の相互距離計測実験結果について報告する.
著者
井田 克征
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.769-790, 2005-12-30

ヒンドゥータントリズムの典型ともされるシュリークラ派では、チャクラプージャーと呼ばれる儀礼が行われる。聖なるヤントラに最高女神を勧請し、マントラなどを唱えて供養するというこの儀礼は、より古いいくつかの実践の複合体として形成されたものであり、そしてそれらの実践は、本来は超常力などの現世利益を目的としたものであったことが、同派の古い資料から確認される。しばしば「左道的」「オカルト的」とも形容されるこの古い実践は、時代とともにチャクラプージャーのプロセスの中へと組み込まれていくこととなった。この時、具象的な儀礼行為は瞑想的な儀礼へと置き換えられている。こうした儀礼の複合化と観念化は、YHなどの理論的著作において示された、あらゆる儀礼行為は<最高女神への帰滅=解脱>に他ならないというパラダイムに導かれて発展したものである。そして、このような解脱論の導入は、自分達の「左道的」実践を、より穏健なものへと置き換えることで正統ヒンドゥイズム側からの非難をかわそうという、戦略のひとつとして理解できるだろう。
著者
梶山 秀雄
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

前年度の研究成果をふまえた上で、ポストコロニアリズム批評、カルチュラルスタディーズ関係の文献を狩猟し、引き続きディケンズ作品に散見される「催眠術」、「動物磁気」、「自然発火」といった疑似科学的な主題を、当時の雑誌、新聞の超自然現象をめぐる言説と対置させ、より文化的な背景の中にテクストを読み込む作業に従事した。また、物語手法や疑似科学への接近という観点から、ディケンズとをポストモダン以降の作家と比較研究を行い、その成果の一端を、論文「「別名で保存」される『大いなる遺産』-ピーター・ケアリー『ジャック・マッグズ』」として島根大学『外国語教育センタージャーナル』(2005年)に発表した。次いで、疑似科学についてのディケンズの基本的な見解、および当時の言論人の反応について検討し、メスメルの提唱した.「動物磁気」を、シャルコー、フロイトと受け継がれていく催眠療法の原初的な形態として位置づけ、疑似科学としての精神分析の再読を試みた。これらの研究成果の総括として、「美しく燃える人体-ディケンズと疑似科学」というタイトルの論文を執筆、島根大学『外国語教育センタージャーナル』に掲載予定である。
著者
徳武 千足 坂口 けさみ 芳賀 亜紀子 近藤 里栄
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

乳児を持つ母親の添い寝及び添え乳のヒヤリハット経験は 1 割以上があり、約 7 割が出産後入院中より開始していたことより、母親に関わる専門職が正しい知識と方法を持って方法を指導していくことの必要性が示唆された。また、新生児期における呼吸循環機能は、 動脈血酸素飽和度が 95%未満を示す時間があり、 自律神経機能は、明らかなパターンはなく不安定、個別差が大きいことが明らかとなった。
著者
白井 克彦 林 良彦 平田 裕一 久保田 淳市
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.706-714, 1985-07-15
被引用文献数
3

日本語文の構造は 文の構文的・意味的な構造に大きく関わっている.よって 日本語文の処理を行う場合 その係り受け構造を明らかにすることが重要である.計算機により日本語文の係り受け解析を行う研究は広く行われているが そのために必要な知識の獲得・構造化を半自動的にかつ適応的に行うための研究は少ないように思われる.本論文では テキストデータに対する分析から直接的に以後の成長の核となる初期辞書データベースを構成する方法 および成長のための学習機能について検討した.この辞書データベース中では 単語はその係り受け特性に基づいてクラスタリングされ 分析対象としたテキスト中の単語間の係り受け関係は クラスタ間の係り受け可能関係として抽象化されて記述される.本辞書データベースは 実験文解析システムESSAYによる文解析に適用され その評価を受ける.さらに 解析が不成功である文において そのネガティブな状況より獲得される情報を用い 学習構造化の処理を受ける.このように 言語要素(単語等)の使われ方に基づいて知識の獲得を行うため 対象世界における拘束を緩やかに含んだ形の知識を得ることができる.また辞書データベースという記述的な形で構造化を行うため それ自身インクリメンタルに成長することが可能となった.
著者
北島 象司 古塚 孝 狩野 陽 KANOH Minami
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

この研究では2種類の実験を実施した。第1部門は短かい時間の中で生じる注意転換の研究で、第2部門はプライミングパラダイムを用いた記憶の研究である。第1部門の概要:2種類の刺激(数字と4エィーボード、NとC)を200および400ミリ秒で対にして提示(S_1とS_2)し、もう1対(S_3とS_4)をそのあとに提示した。被験者の課題は、Nの読み上げとCのパタンの異同判断であった。この時間内(200と400ミリ秒)の注意の変動を測定するために誘発電位を利用し各刺激に誘発された陰性波(N_1)の波高値を測定した。注意条件はターゲットの場所(時間的)が決まっている焦点注意(F)とターゲットの種類が決まっていて場所が未定の分割注意(D)の2条件とした。実験の結果判明したことは(1)F条件でもD条件でも健常者はターゲットに注意を集中しノンターゲットには注意しない。この注意配分の統制は200でも400ミリ秒でも可能である。(2)精神薄弱児と精神分裂病者群では、ターゲットに注意することは健常者と同じであるが、ノンターゲットにも注意を配分してしまう点で注意配分の統制が不良であること、(3)特に精神薄弱児では反応カテゴリー(NとかCの各前や異同)に含まれない『まえ』とか『うしろ』を手がかりにして注意配分をすることが困難であること、であった。第2部門の概要:日常見慣れた物体や動物の絵を対にして提示し、第2刺激の名称を発話するまでの反応時間(RT)と誘発電位のN400を測定した。対刺激相互間に意味上のつながりの強弱をパラメーターとして上記測度を分析した。判明した結果によれば、(1)意味つながりの最強な同一対の場合にRTが最小となり、(2)つながりが弱いほどRTが大となること、(3)精神薄弱児の場合でも同じ傾向があること、(4)ただしRTが健常者よりも長大となること、が示された。
著者
鈴木 広光 津田 光弘
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、所謂「古活字版」のうち、特に日本で独自に技術的展開を見た平仮名交り文古活字版の活字規格、組版にはどのような種類のものがあるかを明らかにしようとするものである。古活字版における平仮名活字の使用を網羅的に調査した結果、平仮名活字の規格とその組版には三つの方式があることが確認された。最も一般的な方式は、大きさ(縦寸法)が全角の整数倍で、それをベタ組みするものである。また慶長初年頃刊『徒然草』を調査したところ、10mm×16.6mmの全角を基準にした縦寸法が整数倍の活字のほか、1.5倍の活字があることが判明した。この方式は極めて珍しい。一方、縦寸法が文字や文字列の丈に応じたプロポーショナルな活字で、字間調整を施す組版方式を採用するのは、『無言抄』、『徒然草寿命院抄』、伏見版『東鑑』、烏丸本『徒然草』の四点のみであった。さらに、従来の整版本の記述を基礎とした書誌学の方法では説明することが難しかった異版関係の判断を精密に行なうための分析方法を提唱した。
著者
村松 瑞人
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.564-573, 1996-06-01
被引用文献数
4

顎機能障害(TMD)患者の表面筋電図検査でみられる自発放電は,TMDの症状との関連が疑われているが,その発現する環境や臨床症状との関連様相においてはほとんど知られていない.本研究は,正常な機能を営む被験者に,ブラキシズム特にクレンチングを想定したかみしめ耐久試験を負荷し,その結果自発放電が誘発されるか否か,さらに発現したTMD症状を検討し,自発放電と症状の関係に言及している.自発放電の発現と筋症状の関連が明らかにされたことから,自発放電の発現性をパラメータとして,TMD患者の症状の予測,TMD予備群のスクリーニング,治療効果の評価などが可能となろう.
著者
滝沢 元和
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

銀河団衝突に伴う高エネルギー現象について、数値シミュレーションとX線観測の両面から迫った。N体+(電磁)流体シミュレーションを用いて衝突銀河団での特徴的な磁場構造や質量評価の不定性を明らかにした。すざく衛星を用いたX線観測で非熱的硬X線放射の上限値を求め、磁場強度の下限値を制限した。さらに重力レンズの同時データ解析で、系の力学状態に迫った。