著者
芳賀 達也 市山 進 橋本 祐一
出版者
学習院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

ムスカリン性アセチルコリン受容体M2サブタイプ変異体の結晶化・高次構造の解明を主目的とした。約8Aの回折点を示す結晶が再現的に得られる条件を見いだしたが、原子構造の解明には至らなかった。副次的課題として、ムスカリン受容体の細胞内第3ループがフレキシブルな構造を取ること、ムスカリンM4受容体の細胞内移行には2つ以上の機構が併存すること、ムスカリン受容体のリサイクリングに関わるモチーフの同定、などの結果を得た。
著者
中田 愛理 大菅 直人 平山 拓 宮本 真理子 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.31, pp.121-126, 2002-03-22
被引用文献数
2

コンピュータの低価格化,小型化,無線通信技術の発達により,モバイルコンピューティングやユビキタスコンピューティングに注目が集まっている.しかし,現状では数人でグループを作り,その場でネットワークを構築するためには,ケーブルで端末同士をつないだり,グループ加入のためのコンピュータ操作を行わなければならないといった手間が生じる.そこで,本稿では人と人 人とモノがある距離内に集まったとき,コミュニケーションの場を形成すると考え その場に存在する人やモノから情報を取得し,共有を支援するシステムDistance Aware Collaboration System: DACSを提案した.そして,DACS上で動作するプロトタイプのアプリケーションを実装し,評価を行った. ユーザはDACSを通じて,持ちよった様々な情報や機器を協同作業の場で利用することが可能となる.Along with the development of wireless communication technologies and the miniaturization/low cost of computers, the mobile and ubiquitous computing have now become the focus of public attention. However, under the existing conditions, in order to form a group consisting of several users and to provide computer network on the spot between them, it is necessary to physically connect each user's one with a network cable, and to set up a configuration manually. Consequently, this procedure takes plenty of time. Therefore, in this paper, we proposed DACS (Distance Aware Collaboration System) which makes it possible to automatically create a collaboration environment between users, or between a user and object, based on physical distance between them, and implemented a prototype of some applications. We also carrid out some experiments to evaluate DACS. As a result, users can share information and objects, and get or use them seamlessly.
著者
大嶽 秀夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1975年以降、アメリカでも日本でも、政治不信の高まりを背景に、政治のプロフェショナルでないという姿勢、すなわち素人イメージを演出したアウトサイダー的政治家が、突発的に人気を得るという現象が、間歇的にしばしば発生した。これを近年の政治学では、ポピュリズムという概念を再定義して表現するようになった。ポピュリズム概念は、政治学では従来、ロシアのナロードニキ、アメリカの革新運動、ラテンアメリカの政治体制をさす言葉として使われてきたが、最近は、カーター以来の大統領による「going public」の手法ならびに米国の減税運動に典型的にみられる直接民主主義的運動を表す言葉として、新たな意味賦与をともなって使われるようになった概念である。日本でも同様の現象がみられ、1976年の新自由クラブ、1989年の土井社会党、1993年の日本新党、そして2001年の小泉・眞紀子ブームがそれに当たる。これらのポピュリストたちは、政治腐敗を最大の課題として登場しており、中でも田中派の流れをくむ経世会、橋本派を最大の標的とした。言い換えると、政治学でいうクライアンティリズムに対する「改革」をスローガンとしていたのである。この対立図式は、米国の都市政治におけるマシーン政治と改革運動との対立の再現である。問題は、しかし、これらの日本のポピュリストたちは、小泉純一郎を除いて、いずれも短命に終わっていることである。本研究では、小泉がなぜ例外的にその人気を維持し、改革を達成できたかを検討した。そのために、ケーススタディ・アプローチをとって、(1)道路公団改革、(2)郵政民営化、(3)イラクへの自衛隊派兵、(4)北朝鮮拉致問題の4つの争点につき、実証的に研究を行った。そして、橋本内閣によって導入された首相の権限拡充という制度的変化と、小泉自身のもつリーダーシップ能力に検討を加え、通常制度論を援用していわれているような前者ではなく、後者の方がより重要な要因であったとの結論に導いている。
著者
田中 均
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

当該年度の研究実績は、主に以下の三点に整理できる。(1)シュレーゲルの小説『ルツィンデ』(1799年)の研究成果を『美学』に投稿し、修正を経て掲載された。修正の段階では、芸術創造における親密性の役割についてのシュレーゲルの思想を、社会学者ニクラス・ルーマンの親密性に関する理論と関連づけて、シュレーゲルの歴史的な位置づけを明確にすることを試み、恋愛と友情との関係、親密性と芸術との関係についてシュレーゲルの思想に独自性があることを指摘した。(2)シュレーゲルにおける「新しい神話」と公教性/秘教性の問題を検討し、研究成果を国際美学会議で発表した(英語)ほか、『ドイツ文学』に研究論文として掲載された。論文執筆の過程において、重要な先行研究であるD.v.Petersdorff"Mysterienrede"との関係について再検討し、研究の独自性を明確にした。特に、1800年頃までのシュレーゲルは、公教性と秘教性を厳密に対立させず、両者の性格を併せ持った言語形態として「アイロニー」を構想したことを指摘した。(3)これまでの研究成果を統一的な視点のもとにまとめる作業を行った。具体的には、これまでに発表した研究実績を相互に関連づける、シュレーゲルの「アイロニー」、「ロマン的文学」の概念を改めて整理する、またシュレーゲルの各時期における文学ジャンルの理論を整理するなどの課題に従事した。シュレーゲルの理論をさらに歴史的コンテクストのうちにおく作業は、いまだ途中段階にある。
著者
佐々木 肇
出版者
岩手県立大学
雑誌
言語と文化 (ISSN:13475967)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.ii-iv, 2004-01-31
著者
丸山 孝一 姚 麗娟 楊 聖敏 地木 拉提 瓦 依提 神崎 明坤 趙 嘉麟 陳 継秋 阿吉 肖昌 文 蘭 関 清華
出版者
福岡女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全国でも17万余人しかいない錫伯族の文化研究は歴史人類学的に急を要する。本研究では東西2地域のシボ族が伝統文化を維持し、あるいは消失しつつある現状を観察、報告するものである。かたや伝統を失った東シボ(遼寧省)が伝統回帰を志向するのに対し、西シボ(新疆ウイグル自治区)では240年余維持してきた伝統を急速に喪失しつつある。そこに急接近してきた漢文化またはナショナリズムに対する同化と反発の文化力学的過程があることが判った。
著者
川人 貞史
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.議員立法の活性化の分析を進めるため,1947年の第1回国会から1998年の第144回国会までの衆議院議員提出法律案(衆法)について,提出者の所属会派,各院における付託日,委員会議決,会派ごとの賛否の情報,本会議議決,修正・否決の場合の回付,衆議院再議決,法案成立の場合の公布日などの分析用データ・ファイルを作成した.2.近年の議員立法の活性化と対照をなす1950年代以降の議員立法の衰退に関して,数量分析で特質を分析し,議員立法発議要件過重化に至る国会法改正過程を検討し,政治アクターたちにとって国会法改正がどのような意味をもったかを分析した.議員立法の衰退の原因は,国会法改正よりもその後に別に形成された制度ルールが重要だったことがわかった.3.1994年の政治資金規正法改正により透明度の高まった政治資金全国調査データを利用して,政治資金支出と選挙競争の関連性に関する初の包括的研究を行った.4.2000年9月から官報および全国47都道府県の公報に順次掲載された1999年政治資金収支報告書の概要(中央届け出分および地方届け出分),および,2000年6月25日執行の衆議院総選挙の選挙運動費用収支報告書の概要に関する全国47都道府県の公報掲載資料を収集し,データ入力した.2000年総選挙における小選挙区結果データおよび比例代表選挙結果データを小選挙区単位で政党ごとに集計し直したデータ・ファイルを作成した.また,市区町村ごとに集計された1995年国勢調査データを小選挙区単位で集計し直したデータ・ファイルを作成した.5.4で作成したすべてのデータを統合することにより,政治改革のインパクトの理論的・実証的分析のためのデータ・ファイルを作成し,1996年および2000年総選挙における戦略投票,政党間協力,政治資金の効果に関する分析を進めていく.
著者
黒部 利次
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

情報機器や精密機器に搭載されている硬脆性材料の部品の加工の精度の向上とコストの低減を目指して、磁性流体を利用した研削型超精密研磨法の開発研究を行っている.本研究は,磁性流体に砥粒を懸濁した磁性スラリーを用いることにより,加工液を溜めるための研磨槽や加工物の移し替えを必要としない研削加工型の最終仕上げ法の開発を指向している.加工装置は,精密型自動XYステージおよび2軸パルスコントローラを用いて,同時2軸制御型の加工実験装置であり,円盤状ポリシャと加工物ホルダを回転させるための2つの直行した回転軸から構成されている.ポリシャ内部には永久磁石を配置して,磁性スラリーをポリシャ外周表面上に保持できるようになっている.また,加工物側回転軸を固定してあるXYステージを速度制御して精密な送りを行ない得るようになっている.硬脆材料であるガラス,シリコンウエハを加工物とし,本研磨法の基本的特性を調べるために,研磨能率と仕上げ精度について研磨回数,クリアランス,磁場強度と磁場勾配の影響を検討した.また,送り速度を制御して加工物を送りながら研磨することによって面創成研磨の加工性能を検討した.さらに本研磨法による鏡面創成への適用について検討した.その結果,水ベース磁性流体とケロシンベース磁性流体では,加工量の大きさがことなること,研磨能率は加工点付近の磁場強度と磁場勾配を変えることによって制御し得ること,また,表面粗さは,使用する砥粒径に強く依存することも明らかとなった.本研磨法を平面創成に適用した実験的検討の結果,加工物の回転中心からの距離に応じて送り速度を制御して研磨を行うことによって精密な平面創成ができること,さらに,磁性スラリーとして粒径の大きい砥粒による研磨の後,小さい粒径の砥粒によって研磨を繰り返すことによって,粗面を高能率で鏡面に仕上げることができることを示した.
著者
石橋 孝治
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度はプロトタイプ型の簡易岩盤三軸圧縮試験装置(直径10cmの試験片対応)を製作し,原位置での適用を前提とした中規模の室内モデル実験を実施した。根付き試験片部は低強度セメントモルタル(一軸圧縮強度15.4MPa)を,周辺岩盤部はコンクリート(呼び強度24MPa)を用いてモデル岩塊を作製した。根付き試験片が最も単純な1不連続面(円柱軸から60度傾斜)を内在する場合も取り扱った。平成10年度は圧力変換器と油圧ジャッキを装備して,佐賀県多久市の砕石工場内(玄武岩が主体)での原位置岩盤に対する適用実験を行った。軸値からの反力は鉱山重機(自重80トン)にとった。周圧,軸力および変位はデータロガーを介してパソコンに取り込む計測システムを構築しこれを採用した。2年間に渡る一連の実験から明らかとなった事柄を以下に列挙する。1.作成したプロトタイプ型の簡易岩盤三軸圧縮試験装置が計画どおりの機能を有していることを確認した。2.本試験は強度定数を5%程度過小評価する傾向がある。実験の範囲内では強度定数に関して寸法効果は確認されなかった。3.不連続面を内在する試験片の強度は不連続面自身の強度定数の影響を著しく受ける。4.原位置試験から実験手順と計測システムに問題の無いことが確認された。しかしながら,水溶性コーキング材のシール効果は低くシール材の改善が指摘された。重機重量不足のため1本の試験片のみの破壊となった。指摘された問題を解消し,原位置試験の実施実績を重ねることで本試験法の試験技術を確立したい。
著者
野畑 健太郎
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
紀要 (ISSN:03852741)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.11-23, 1997

On 18 May 1988 in Singapore, the Constitution of Singapore (Amendment) Act and the Parliamentary Elections (Amendment) Act 1988, to ensure the representation in Parliament of members of the Malay and other minority communities, were passed by Paliment. Under the new constitutional provision (Article 39A of the Constitution of the Republic of Singapore), the Legislature may make provision for "any constituency to be declared by the President……as a Group Representation Constituency (GRC) to enable any election in that constituency to be held on a basis of a group of 3 candidates". Furthermore, "at least one of the 3 candidates in every group shall be a person belonging to the Malay" or "Indian or other minority communities". The matters I will consider in this paper are as follows. The role and task of the GRC system, which was reinforced in 1991 and 1996, to elect Team MPs or MPs on a group basis in some constituencies, and the essence of the GRC system to entrench the idea of multi-ratialism in the written constitution, in relation to the result of the General Elections of (1988, 1991 and) 1997.
著者
伊藤 憲治 平松 謙一 福田 正人 湯本 真人 越田 一郎 丹羽 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, pp.472-473, 1995-03-27

人間における言語理解、推論、学習などは、言語、認知、さらに思考過程の中心的な役割を果たしており、現在、情報科学、認知科学、神経科学、精神科学など多くの分野において、その脳内過程の解明、さらにその障害の診断や治療法の確立が望まれている。近年、これらの脳内の言語・認知過程に対し、従来の心理学的な手法やMRIなど主として脳の構造を明らかにするものに加え、脳波(EEG)や脳磁図(MEG)など脳の電気・磁気的生理活動をとらえるもの、PET、SPECT、機能的MRI(fMRI)など代謝活動をとらえるものなどによる脳の機能情報が得られ始めている。今後、さらに新たな脳の機能計測法の利用が期待される。これら高次脳機能およびその障害を把握するには、これら脳構造・生理・代謝情報の協同によって、言語・思考過程にかかわる脳内部の局在同定とその活動動態を三次元的に把握する必要がある。しかし、これらの情報は、たとえばEEGやMEGはミリ秒単位で脳・神経系の活動を可視化できるが皮質表面付近の活動情報が主なものである。逆にPET、SPECT、fMRIなどは、三次元の脳内部の活動情報が得られるが、分・秒単位で時間分解能が悪いなど、それぞれ機能情報に違いがある。また、それらの情報を計算機処理データをして扱う場合、画像モデルが異なるなどの問題があり、これまで、種々の脳関連情報を統一的に扱うことが困難であった。現在、言語と思考過程とその障害の解析、さらに新たな脳機能情報に対処できる臨床システムの開発を指向して、三次元脳機能局在を同定するための言語・認知検査課題と異種脳機能情報の解析プログラムを作成し、統合情報の動態を映像化するシステムの構築を始めている。ここでは、このシステムの構成を説明し、開発システムを用いた正常者および言語・思考の異常を示す精神神経疾患患者の観測とこれら脳機能情報に基づく言語・思考過程とその障害のモデル作成の試みを紹介する。
著者
山本 哲也 高橋 成子 花川 隆 浦山 慎一 福山 秀直 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.143, pp.23-28, 2006-06-29

立体運動効果とは、前額平行面内において視軸について回転する2次元の視覚刺激によって、あたかも3次元の物体が運動しているかのように知覚される現象である。これを刺激に用いることによって、奥行き、運動、形態の3つの情報処理を分離することが可能である。本研究では、運動と形態が奥行き知覚に対してどのように寄与するかを明らかにするために、fMRI実験を行った。その結果、MT+、LO、V3Bを含む後頭側頭領域は、奥行きの抽出に重要な役割を果たしていることが示唆された。DIPSM、DIPSAを含む背側頭頂間領域は知覚された3次元物体の運動軌道の計算、V3A、V7、VIPSを含む腹側頭頂間領域は高次領域で高度な処理を行うための情報抽出に関わっていると考えられた。
著者
詫間 沙由香 兵藤 健志 牧瀬 ゆかり 南 俊朗 井上 創造 金 銀子
出版者
九州大学附属図書館研究開発室
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.46-55, 2008

2009年2月下旬,ソウル市内外にある2つの大学図書館(ソウル大学校図書館および成均館大学校図書館)と2つの公共図書館(国立中央図書館・国立デジタル図書館および議政府市図書館)を訪問した.これらの図書館では,ICタグなどの最新技術を導入した設備やインフォメーション・コモンズなどの利用者へのサービス空間としての機能の整備状況を見学することができた.図書館をめぐる日本と韓国の環境には社会の仕組みや背景となる文化の相違などがあるものの,多くの類似点もある.韓国の先端的図書館の新しい動きは,これからの日本の図書館の進むべき方向を示唆しているのではなかろうか.
著者
大久保 哲
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学法学 (ISSN:09150463)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-21, 2000-07
著者
三上 隆三
出版者
和歌山大学
雑誌
経済理論 (ISSN:04516222)
巻号頁・発行日
vol.331, pp.37-58, 2006-05