著者
吉田 敏 小山 登 福田 哲夫
出版者
産業技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

成果の要点は、これまで工学をはじめとした作り手側の領域において軽視されてきた機能面に着目し、使い手視点によって最終的に社会の中で生み出される内容による製品評価の基礎的な考え方を提示することができたことである。製品は何らかの目的に基づいてつくられるが、それは何らかの使い手の要望を実現することである。今回の研究では、工学をはじめ、デザイン学や経営学の学術領域をまたぐ議論が実施でき、総括的な評価軸についてさまざまな議論が行われてきた。その中で、使い手が使用を通して発生させる機能が、設計者が考える機能とまったく異なり、そこに重要な視点がある可能性を得て、新たなる評価軸の可能性を得るに至った。
著者
北川 雅敏 松本 雅記
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Mig-6はEGF受容体と結合しEGFシグナル伝達を阻害する蛋白質とされ、そのノックアウトマウスでは上皮系の癌が多発する。さらに数種のヒト癌で変異が報告されており、癌抑制遺伝子と考えられている。しかしながらMig-6のEGF受容体阻害のメカニズムとMig-6のリン酸化等の翻訳後修飾を介した制御機構については未知である。本研究では、Mig-6のリン酸化を解析した結果Chk1がMig-6キナーゼである事を見出した。さらにEGF刺激によりMig-6がリン酸化さり、それはChk1のノックダウンにより抑制された。また、EGF刺激によりChk1のS280のリン酸化はPI3K/Akt/S6Kの経路で起こる事がわかった。質量分析により、Mig-6のChk1による主なリン酸化部位はSer251である事、S251A変異体はEGFRの活性化を抑制する事を見出した。さらにEGFRの活性化と細胞増殖能はChk1のノックダウンにより抑制され、それはMig-6のノックダウンで回復した。以上よりChk1はMig-6のS251をリン酸化してMig-6活性を抑制する、このよう二Chk1はEGFシグナリングの正の制御因子として機能する事は、Chk1の新機能である。
著者
藤渕 航
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

パイロシーケンシングによる細胞内mRNA 絶対定量を可能にするためのプライマー配列(パイロプライマー)を開発するため、(1)「遺伝子」発現定量のための低冗長性を許したpolyA 近郊パイロプライマー、および(2)「スプライシングバリアント」を完全定量するエクソン境界近傍パイロプライマーを現実時間内で設計することを目的としそのための方法論とシステムを開発した。
著者
川田 一義
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.91-105, 2004-12-31

この小論は、平成16年5月27日に、尾道市内のテアトロシェルネ(しまなみ交流館)の大会議室にて開催された、『2004年度尾道大学公開講座』(瀬戸内しまなみ大学共催)での講演(演題:「税金の話」)の原稿をその後、補正・加筆の上、再編成したものである。市民の皆さんに税というものを身近に感じてもらうと共に、興味を抱いてもらうように税の対象となる課税標準についてやさしく論述した。
著者
吉野 由利
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、「国民小説」においてイングランドの文化的他者として構築されるアイルランド像とオリエント像の交錯を検証した。特に、人物造形および語りの戦略における"auto-exoticism"の例に注目しながら、"auto-exoticism"は、「国民小説」のサブジャンルを確立したEdgeworthやOwensonらがアングロ=アイリッシュ系女性作家としてのアイデンティティと、連合王国の中での自分たちの文化的な立場を正当化することを可能にしていることを指摘した。また、リアリズムを模範とする19世紀イギリス・アイルランド小説史観の見直しも試みた。
著者
藤田 直晴 小畑 精和 伊藤 剛 虎岩 直子 市川 宏雄 広松 悟 輿水 肇
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カナダの多文化政策に相応する複合的・多元的な観点から、カナダの5つの主要都市を中心に調査を行い、学術的にも都市地理学、都市社会学、都市政策、都市政治学、環境政策、文化と文学といったマルチ・ディシプリナリーな観点から、カナダの多文化政策に関する研究を行った。ヴァンクーヴァー、カルガリー、トロント、オタワ、モントリオールには、多くの移民が集中することから、社会的不平等や地域間格差を是正するための多文化政策は重要となる。このカナダの豊かな民族的多様性は、世界に広がる豊かなネットワーク資源となり、カナダの「強み」と「楽しみ」へと直結している。しかし、国際競争力が上昇するにためは、カナダの多文化社会が抱える「弱み」や「苦しみ」にも目を向ける必要があるため、長所・短所双方の観点から考察を加えた。本研究課題の成果に関しては、図書として2011年度中の出版に向けて準備中である。
著者
小林 研介
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(S)
巻号頁・発行日
2007

独自に開発した高感度電流雑音測定系を用いることによって、電子干渉計、量子ドット、量子細線というエンタングルメント生成と検出の舞台となる半導体ナノ構造における量子雑音測定を行った。その結果、量子系におけるゆらぎの定理の初の検証実験や、核スピン偏極集団の生成などの成果を得た。本研究によって、高精度の電流雑音測定がエンタングルメント検出および非平衡輸送現象のプローブとして必須であることが確立した。
著者
橋本 喜代太 竹内 和広
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

図版を含む提示資料付き英語プレゼンテーションは学術・産業ともにニーズが高いが、教育手法の開発は遅れている。本研究では学習者プレゼンテーションのコーパス構築により、定量的な分析を可能にし、ピア学習者評価なども含めて学習者分析を行って、学習者の困難点、誤りの相関について分析を行なった。そのうえで、困難点等を効果的に解決するための教材、オンライン支援ツールを開発し、それを利用する教育手法を開発し、その効果を確認した。
著者
馬 培金 河野 善彌 陳 慧 ファー ベルーズ H.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.637, pp.17-24, 1999-03-05

この論文は知識工学的に電子秘書を作る研究である。組織の幹部に仕える幹部秘書は、標準化された手順で高度で気の利いたサービスを提供する。これをエキスパートモデルにとり、入出力関係に着目し書面により知識を獲得しつつ、知識構造モデルを求める事をボトムアップに行なった。最下位の対話の知識構造から始め、情報取得、判断、交渉の知識モデルを得た。これらは多階層の状態空間の中に位置づけられ、多階層化、状態の細分化を行なえば、如何様にでも高度化できる。具体的な書式での知識獲得、その高度化、構造化の実際を詳しく説明している。このように得た知識構造モデルはそのままソフトウエア化でき、優れた秘書の行動を再現でき、また、細部構造では認知科学の道具になり得る。
著者
長友 信人
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.178-182, 1962-06-01 (Released:2009-12-24)

大型ブースターロケットによる人工衛星の打上げと,原子力発電装置の開発は,惑星間飛行への道を開き,新しいロケットエンジンとして電気推進系の実現を可能にした.電気推進系のエンジンには種々のものが考案されたが,なかでもプラズマロケットは一般性と将来性を持つものである.この論文では,マイクロ波を電力源としてプラズマを加速するエンジンについて理論解析を行ない,ロケットとして用いる可能性を示した.目下簡単なモデルによる実験を行なっている.
著者
大城 道則 金谷 一朗 橋本 英将 高橋 秀樹 設楽 博巳 青木 真兵
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ナイル河の西方地域における古代エジプト文化の影響を羊の頭部を持つアムン神信仰の伝播と受容から確認した。具体的な例としてはカルガ・オアシスのナドゥーラ神殿、ダクラ・オアシスのアイン・アムール神殿、シーワ・オアシスのアムン神殿、そして同地域に点在するその他の神殿群とサハラ砂漠地域の岩絵・線刻画が挙げられる。本研究は今後さらに西方へと調査範囲を拡大し、北アフリカ全域を視野に入れた古代エジプト文化研究の基盤となる。
著者
田中 良明 中井 弘亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

B-ISDNでは、現在無線で配信されているテレビジョン放送などのサービスが各視聴者に提供され、それらがトラヒックの中のかなりの部分を占めると予想される。放送形のサービスは、同一の番組を複数の加入者が同時に試聴するという特徴を持つ、従って、放送源からはひとつのセルを送り、分岐点でコピーを取れば、網の負担は飛躍的に軽減される。それ故、放送形サービスがトラヒックの主流になった場合を想定した、新たな通信網の検討が必要になってくる。本稿では階層構成の最下位でリング網を用いた場合に、もっとも低コストで構築するための最適化を行う。これは、単純に距離の低いものがもっとも低コストということにはならない。ノード間に要求される呼量の少ないところは迂回させたほうがコストが低くなる場合がある。これらの要素を総合的に評価した上で、そのトレードオフをはかるのが主目的である。