著者
宇井 忠英 隅田 まり 大学合同観測班地質班 荒牧 重雄 大島 治 鎌田 桂子 小林 武彦 小屋口 剛博 佐藤 博明 中川 光弘 中田 節也 藤井 敏嗣 藤縄 明彦 古山 勝彦 三宅 康幸 横瀬 久芳 渡辺 一徳
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.45-52, 1993-07-01
被引用文献数
2

Small-scale pyroclastic flows due to the collapse of the lava dome have been frequently generated during the 1991-93 eruption of Unzen Volcano. We have recorded video footages which show the generation of pyroclastic flows during January-March 1992. Two types of phenomena have been observed : deformation of the lava dome due to flowage ; and a sudden discharge of gas and ash through fractures and peeling-off of rock fragments from the surface of cooling lava blocks. Pyroclastic flows were generated only in places on the lava dome where these precursory phenomena were frequently observed.
著者
葛原 茂樹 矢谷 隆一
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

アルツハイマー型老年痴呆脳の病理組織学的特徴は、大脳にびまん性に出現するアルツハイマー神経原線維変化(NFT)とアミロイド老人斑(SP)である。しかし、この両者は痴呆のない健常老人の脳(生理的老化脳)にも出現し、高齢になるほど両者の区別は不鮮明となる。そこで、アルツハイマー型老年痴呆脳(SDAT)と生理的老化脳におけるNFTとSPの出現の差を、その数と分布様式から明らかにすることを試みた。特に、SPについては大きさと形状が不定であるために、顕微鏡的判定には限界があるので、画像解析装置による半定量的解析を試みた。対象は痴呆のない健常老人161例(年齢50歳代〜100歳代)とSDAT36例(70歳代〜100歳代)の剖検脳について、海馬を含む側頭葉のホルマリン固定・パラフィン包埋切片をtau蛋白とアミロイドβ蛋白について免疫組織化学的に染色し、まず顕微鏡学的観察によって次のような結果を得た。1)NFTは、生理的老化脳においても海馬と海馬傍回に多数出現するが、新皮質にはほとんど出現しない。一方、アルツハイマー型老年痴呆では新皮質にも相当数出現する。2)SPは、アルツハイマー型老年痴呆ではびまん性に多数出現するのに対して、生理的老化脳では多数出現するものから全く出現しないものまで差があった。3)海馬はNFTの好発部位であるがSPは出現しにくく、逆に新皮質はSPの好発部位であるがNFTは出現しにくかった。この観察所見を画像処理システムを用いて定量化することが、本研究の最終目標であるが、画像取り込みとその計測処理の技術的問題のため、研究はなお進行中である。研究対象症例はほぼ集積できているので、この点を解決することによって、研究目的は達成できる。

1 0 0 0 OA モレルの家系

著者
林田 治男
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-102, 2009-02

Generally speaking, the family environment is an important factor in explaining the development of an engineer's ability. In this article I attempt to formulate the family tree of Mr. Edmund Morel, who was the first Engineer-in-Chief of the Imperial Railways of Japan. His paternal grandfather was a wine merchant at Piccadilly, London, and his father and two of his paternal uncles succeeded the business. On the other hand, his maternal grandfather was a well-known solicitor at Golden Square, London. Two of his maternal uncles were brilliant lawyers, especially the eldest one was the first Chief Justice of the Supreme Court of Victoria and conferred a knighthood. One was a publisher of popular magazines and kept company with Charles Dickens. And one was a respectable surgeon. All the uncles except publisher moved to Australia and gained the social eminences there. Morel was able to study at King's College, London. I contend that he was stimulated and assisted intellectually by his relatives, and it played critical role on his career including engineering practice.
著者
中野 信子
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.311-321, 1993-12-01

戦争詩人であり,オックスフォード詩学教授であったR.Gravesも,今では白い女神に取り憑かれた気難しい蒼古的な詩人として,女神神話の文脈でのみ,時折振り返られるだけとなった。しかし,筆者には,それ以前に彼を女神信仰へと駆り立てていった何か前駆的な力があったように思える。その力とは,キリスト教であり,キリストその人であった。そして,この力への強烈なアンタゴニズムと,歪曲されたイメージに駆り立てられ,詩人は長い労苦の末,ようやく自身の自己証明に行き着いた。私見ではこの過程には3つの側面があり,1)彼は,他者を否定することで自己の確立を図る詩人であったこと,2)この自己確立のドラマでの主役は,「思い上がり」という名の堕落天使であったこと,3)この思い上がりの罪は,人間の内部に棲む不吉な概念としてではなく,むしろ人を悲劇の袋小路へ追い詰めて行く美学的死刑執行人として捉えられていることである。聖書と歴史の書き換え作品を通して,この過程を追ってみた。
著者
佐瀬 一男
出版者
創価大学
雑誌
通信教育部論集 (ISSN:13442511)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.47-60, 2003-08
著者
山本 卓
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.57-101, 2005-09-01

アラゴンの晩年の傑作のひとつである『死刑執行』の中には、「人間たちの森」という奇妙な言い回しが出現する。この「人間たちの森」とは何か。一人の人間の内面には無数の他者たちの言葉が住み着いている。ロマネスクな空間=「紙=空間」の中では、こうした他者たちの言葉を媒介として、「小説が存在しなくなれば消えてしまうあの変化する我々」(BO, p.132.)が組織化されていく。批評家ル・シェルボニエの言い方を借りるならば、「可能態としての諸人格の宇宙」(BL, p.177.)とでも翻訳できそうな、この不思議な概念の意味するところは、アラゴンの創造の秘密の根底を占める考え方なのである。アラゴンの作品における登場人物たちは「複数への回路」を通って増殖を続けていく。以下では、この「複数への回路」から「人間たちの森」へと至るプロセスについて、さまざまの角度からの検討を試みたい。
著者
興戸 正純 市野 良一 黒田 健介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

銅,ニッケルなどのコモンメタルのナノサイズ粒子を液相還元法により合成した.反応パラメータの最適化を図り,反応機構を明らかにした.アスコルビン酸,次亜リン酸,硫酸チタン(III),水素化ホウ素ナトリウムの4種類の還元剤において,還元力(ΔE)が大きいものは粒子サイズを小さくする駆動力があることを定量的に示した.水酸化銅を前駆体として硫酸銅と強い還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを用いpH12, 30分の反応において30 nm径の銅微粒子を得ることができた.弱い還元剤のアスコルビン酸と硫酸銅を用いテンプレートになるCTBAの濃度を増加させると,析出する金属は粒状,針状,平板状と変化した.反応過程を混成電位図より電気化学的に議論した.
著者
松本 勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.80, pp.1-6, 2006-07-20

生体認証システムのセキュリティ(あるいは,そのレベル・クラス)を測定する方法があることが望ましい.なぜなら,これを用いて個別の生体認証システムの設計・実装のセキュリティ目標を客観的に記述することが可能となり,設定されたあるセキュリティ目標に従って設計・実装された実際の生体認証システムが確かにその目標を達成しているかどうかを,セキュリティ測定に基づく試験により客観的に確認することが可能となるからである.一例としてテスト物体を用いた最新のセキュリティ測定方法の研究につき紹介する.