著者
岩本 馨
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.561, pp.285-290, 2002

In 1716, Yoshimune Tokugawa, who had been the lord of Kishu-han, became Shogun, and moved to the Edo castle. More than two hundred retainers of Kishu-han also immigrated to Edo to be retainers of the Tokugawa shogunate. Yoshimune assigned residences near the Edo castle especially to retainers close to him, while retainers close to his predecessor were obliged to move to outskirts of Edo. However, as seen in the example of Hakuseki Arai, some retainers resisted to these enforced immigrations.
著者
神武 直彦 中安 英彦 川畑 広文 鈴木 裕介 麦谷 高志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.614, pp.63-69, 1999-02-19
被引用文献数
4

宇宙開発事業団では、H-IIAロケットの飛行安全に使用する目的で高性能・低コストのGPS受信機の開発を進めている。従来飛行安全に用いてきたレーダの代わりに、GPSによって得られる位置・速度情報を用いることにすれば、地上側のレーダ局を整備する必要がなくなりコストダウンを図ることができ、また今後の宇宙輸送需要に柔軟に対処することが可能になると考える。本GPS受信機ぱ2000年2月打ち上げ予定の2トン級初号機でフライト実証試験を行い、2002年6月打ち上げ予定の3トン級初号機HTVミッションにて実運用を開始する予定である。本稿では、H-IIAロケット用としてのGPS受信機の特徴を記述し、システム解析によってその有効性を示す。よた、技術モデル試作段階よでの開発状況を報告する。
著者
和田 良子
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
敬愛大学研究論集 (ISSN:09149384)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.115-133, 2004

本稿はRabin (2000)のcalibration theoremの意義を問い、期待効用理論の一般化理論の重要性を主張するものである。Calibration theoremは富に関する限界効用逓減だけでリスク態度を説明することへの痛烈な批判である。Rabinは、10ドルのような小さいstakeで期待値がプラスになるようなクジを拒む者は、1/2の確率で無限大の金額が当たるような10000ドルのクジをも退けるというパラドックスを導いた。期待効用理論への問題提起は古く、Alles (1956)に遡る。Allesによって、期待効用仮説を形成する公理のうち、独立性公理が守られないという実験結果が報告されている。独立性公理は期待効用の線形性を保証する公理であるため、それ以来、期待効用の線形性が持つ問題点を改善しようとした理論が多く発表されており、Machina(1989)によってサーベイされている。修正理論の多くは主観的な確率に基づいてウエイト付けをしたものや、非線形な形にしたものなどである。さらに、期待効用理論に代わる理論を構成するものとして、TverskyやKahanemanらによるprospect theoryにも再度焦点が当たった。Prospect theoryの多くは、特別な局面における意志決定についてのfact finding的なものであり、それらを取り入れる形で新しい理論が形成されてきた。それに対し、Epstein and Zin (1989)では、期待効用理論を一般的な異時点間の効用関数の特殊なケースとして導出している。修正型期待効用関数との最大の違いは、効用関数の形状からリスク態度を導くのではなく、リスク態度が現在と将来に関わる意思決定であることに注目し、リスク態度を、現在と将来の消費弾力性や(現在と将来の消費の平準化への嗜好の程度を表す)時間選好率と同様のパラメーターとして、recursiveな効用関数にあらかじめ組みこんでいるところである。
著者
小山 充道
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.34-43, 1984-12-30

重度失語症と情動障害を伴う後天性脳障害児1症例(初診時13歳5ヵ月、女子)をとりあげ、言語訓練過程のみならず、患児の情動反応についても検討した。その結果、次のような知見を得た。(1)言語機能の改善には、情動安定が計られることが重要であり、失語症が重度であればあるほど、言語訓練そのものよりも、心理療法的接近が必要となってくると考えられた。(2)病理的人格反応図式(小山:1982)に従えば、患児の情動は当初通過症状群の範畴にあり、言語訓練を通して治療者との関係が深まるにつれて、再適応症状群へと移行していったと考えられた。(3)情動安定を計るために、次のような心理療法的接近が考えられた。家族(特に母親)にも、リハビリテーションチームの一員としての自覚をもたせ、共に言語訓練に参加させた。患児の悲痛な訴えを無条件に聞き入れる一方、患児は思春期前期にあることを考慮して、可能な限り一人前の人格者として接するように努めた。言語訓練は患児の精神生活にリズムを与え、患児にとって、単なる言語機能の改善以上の意味をもっているように思えた。
著者
辰巳 浩隆 黒田 洋生 竹本 靖子 小川 歓 福島 久典 佐川 寛典 植野 茂 白数 力也 神原 正樹 大東 道治 毛利 学
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-407, 1994
被引用文献数
14

臨床の場から分離した methicillin-resistant staphylococci (MRS) 8株と標準株4株に対するアクア酸化水の殺菌効果を検索するために, アクア酸化水と対照の消毒剤 (グルタルアルデヒド, 次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム) の最小殺菌濃度を測定し, 比較検討した.<br> その結果, 4倍希釈したアクア酸化水では, 標準株の <i>Staphylococcus aureus</i> Oxford 209P と <i>Candida albicans</i> ATCC 10259 の発育が, また2倍希釈液では <i>Staphlococcus aureus</i> Oxford 209P の発育が認められた. しかし, 原液のアクア酸化水では, すべての供試菌株に対して全接触時間とも菌の発育が抑制された. 一方, 対照の消毒剤では, MRS 1株に対する 0.01% 次亜塩素酸ナトリウムの場合を除いて, すべて有効であった.<br> このことから, 原液のアクア酸化水は, 対照の消毒剤と同等あるいはそれ以上の優れた殺菌力を有すると考えられる.
著者
田齊 秀章 平松 和昭 森 牧人 四ヶ所 四男美
出版者
九州大学
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.173-183, 2004-10

近年、流域の物理性がある程度考慮され、集中定数型と分布定数型それぞれの特徴が組み合わされたモデルとして、準分布定数型貯留モデルであるOP-MODELが注目されている。OPMODELは、地下水貯留部の水収支は集中定数型として扱い、地表流出および地下水涵養までを含めた表層および土壌部分は分割されたグリッドごとに分布定数型として扱うという特徴を持つ。すなわち、地下水は集中定数型の特長である単純な構造で表し、流路網を形成する地形や、時空間的に変動する流出寄与域については分布定数型モデルのパラメータで表現される。OPMODELの特長は、DEMから計算される地形指標をもとに、流域表層土壌の空間的な乾湿状態を計算し、地表流の発生を空間的に算定できる点にある。本研究では、御手洗水試験流域(流域面積0.095km2)を対象とし、山地小流域の長短期流出解析におけるOPMODELの適用可能性の検討を行った。7個の未知パラメータの最適値探索には単純GAを用いた。検討の結果、単純GAによる最適値探索で得られたパラメータを使用することで、ハイドログラフの低位部から高水部までを良好に再現可能であり、山地小流域の長短期流出解析にOPMODELが有効であることが明らかになった。なお、本研究で検討したOPMODELでは、流域が乾燥状態にある時に少量の降雨があった場合、計算ハイドログラフに流量の上昇波形が出現しないという問題点が見られた。これは、1.根群域の水収支に用いられた蒸発散位の過大評価、2.流域の表層土層厚は流域内で一様でないにもかかわらず、OPMODELの根群域の計算および関連パラメータは流域内の全グリッドで共通としていること、3.河道降雨の影響、などが考えられたがこれらの点は今後の課題としたい。
著者
板野 稔久
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.325-333, 1998-04-25
被引用文献数
4

HEIFE期間中の中国北西部・乾燥地帯における降雨前後の総観気象状態を本著者による以前の研究(Itano, 1997)の発展としてより詳しく調べた。その結果、この地域では頻繁にトラフの通過がみられ、それに伴って、チベット高原のすぐ北側ではトラフ上に低気圧が次々と形成されることがわかった。この地域の降雨は基本的にそのような東進するトラフによってもたらされる。トラフの通過とともに、標高の高い所では相当量の降雨が観測されるけれども、標高の低い所では必ずしも降雨は見られない。特に, この辺りで標高の最も低い砂漠で降雨が観測されるのは、夏と冬の両季節において雲底下の大気の相対湿度が60パーセントを超えた時だけである。これは、砂漠の境界層が乾燥しているために、そこでの湿度がある程度になるまでは雨粒が境界層内で蒸発してしまって地表面まで届かないためではないかと考えられる。また、この地域で頻繁に総観規模の擾乱通過がみられ、またそれに伴って多くの降雨現象がみられるのにもかかわらず地表面で観測される降雨量が少ないのは、このような雨粒の蒸発によるためもあると思われる。
著者
権丈 善一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.24-46, 1992-06-25

ここでの関心は,これまで日本の社会保障政策がスカンジナビア諸国に代表されるヨーロッパの小国よりも消極的であった原因を探るとともに,現在の高福祉国家がこれからも高福祉政策を継続する蓋然性,および,今後の日本の社会保障政策が急激に積極化する蓋然性を確かめることにある。分析にはキャメロン・モデルを発展させた"社会保障と経済政策"モデルを利用する。キャメロン・モデルは,先進資本主義諸国のなかでもヨーロッパの小国の多くが,他の先進資本主義諸国よりも公共経済の規模の大幅な増加を経験した現象を説明するものであり,"社会保障と経済政策"モデルは,キャメロン・モデルを社会保障と経済政策との関係に引きなおしたものである。そして,この社会保障と経済政策モデルにもとづく限り,現在の高福祉国家群はこれからも高福祉政策をとり続ける可能性が高いこと,および,今後の日本の社会保障政策が急激に積極化する可能性は低いことを,本稿では予測する。
著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-14, 2008
被引用文献数
3

マレー半島のキャメロンハイランドにおいて採集されたGomphostilbia亜属ceylonicum種群に属するブユの新種を,雄成虫と蛹の標本をもとに記載し,新種名Simulium (Gomphostilbia) hoiseniを与えた.本種は,ceylonicum種群に属する既知種のうち,蛹の呼吸管が6本である点,インドネシアから記載されたS. (G.) kamimuraiおよびS. (G.) rosemaryaeの2種およびタイから記載されたS. (G.) udomiに類似する.しかし,これら類似種とは蛹の呼吸管の分岐方法で容易に区別される.
著者
滝沢 寛之
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

データクラスタリングのためには最近傍のクラスタ探索(最近傍探索)のために高次元ベクトル間の距離計算を多くの回数行う必要があり、大規模な問題に適用する場合にはその計算負荷が大きな課題となる。本研究では平成15年度に、近年のパーソナルコンピュータ(PC)用描画ハードウェア(GPU)の急速な発展に着目し、一般的なGPUを並列プロセッサとして利用すること(GPGPU)で高速な最近傍探索を実現した。さらに、平成16年度はその研究成果を応用して、GPUとCPUとの協調によりデータクラスタリングを高速に行う手法を開発した。この手法は最近傍探索距離の有する2種類の並列性を効果的に利用可能であり、その成果は国際会議において最優秀論文賞を受賞するなど学術的に非常に高く評価された。また、データクラスタリングに適用可能な競合学習をPCクラスタで効果的に並列実行する手法を提案し、その成果が国際学術論文誌に掲載された。データマイニングの重要な要素である可視化についても引き続き検討し、北海道大学-東北大学間のスーパーSINETによる接続実験により、可視化サーバを対話的に遠隔利用できることを実証実験した。物理的に遠隔地にある演算サーバを利用してクラスタリング処理やその後のボリュームレンダリング等の可視化処理を行い、データマイニングに利用可能であることが実証された。その成果は学術論文誌に掲載予定である。Chinrunguengらの手法は、部分歪みエントロピを用いてクラスタの最適性を評価することにより平均歪みを最小化する。しかし、適切なクラスタを形成するまでに多数回の繰返し計算が必要であり、時系列データの時間変化に対して迅速に追従できない可能性がある。本研究では、部分歪みエントロピに基づいて適切にクラスタを再配置する手法を新たに提案し、動画像の適応ベクトル量子化に適用することよって追従速度と歪み最小化性能との両立を実現できることを確認した。