著者
大黒 將弘 宮崎 哲弥 森田 逸郎 大谷 朋広 長尾 康之 久保田 文人 鈴木 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.410, pp.7-10, 2004-10-28
被引用文献数
5

架空区間を含んだ約200kmのITU-TG652準拠の既設シングルモードファイバで構成された、JGNII光テストベットを用いて、単一チャネルの単一偏波160Gbit/s光信号伝送実験を行った。強度変調(OOK:on-offkeying)方式と差動位相変調(DPSK:differential phase shift keying)方式の特性比較を行い、 DPSK変調方式を用いることで, OOK変調方式よりも良好な伝送特性を得た。さらに、DPSK変調方式と偏波スタビライザを併用することで、OOK変調方式に比べて2.5dB以上Q値の向上が得られ、200km伝送後も安定な伝送特性が得られた。
著者
Tatsuyuki Nakatani Keishi Okamoto Ikuo Omura Shuzo Yamashita
出版者
The Society of Photopolymer Science and Technology (SPST)
雑誌
Journal of Photopolymer Science and Technology (ISSN:09149244)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.221-228, 2007 (Released:2007-09-13)
参考文献数
23
被引用文献数
18 38

The surfaces of medical materials are coated with polymer molecules or drugs in order to functionalize the surfaces in such ways as imparting biocompatibility. But in the case of inorganic materials there is the problem that polymers will have poor adhesiveness and be liable to peel. A coronary artery stent holds the vessel lumen patent by being expanded to the plastic deformation region, and if the material surfaces are coated with DLC, the coating must follow the plastic deformation of the base material. Accordingly we created a thickness-wise concentration gradient in the Si content that is added to the DLC, and discovered that thereby a DLC nanocoating is produced that does not crack under the plastic deformation required in a stent, and that has superior adhesion. In this way we succeeded in improving adhesion of the drug coating when used in combination with thin film material obtained via application of plasma surface treatment techniques, and in producing a practical stent that exhibits high biocompatibility even after slow release of the antithrombotic agent into the body is complete.
著者
宗森 純 堀切 一郎 長澤 庸二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.143-153, 1994-01-15
被引用文献数
28

ネットワークで結合された複数台の計算機による発想支援システム郡元(Groupware for new idea generation support system)を開発した。本システムは分散協調型KJ法と知的生産のためのカードシステムを計算機上で融合したものである。KJ法は川喜田二郎によって開発された(頭文字をとってKJ法)手法で、複数の人による発想法の体系的技術の一つである。分散協調型KJ法は複数の計算機上で行われる。参加者はテーマに添って意見を出し、それを類似性によっていくつかのグループに分け、そこから結諭を導き出す。本システムの特徴は、分散協調型KJ法の結果をカードシステムを模擬したデータベースに自動的に保存し、再利用できるようにしたことにある。本諭文では郡元を3台もしくは4台で行う分散協調型KJ法の学生実験に適用した緒果と紙面上で行ったKJ法の結果とを、意見の数、文字数、かかった時間などをパラメータとして比較して述ぺている。
著者
平井 廣一
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.91-108, 2010-03-11

満鉄は, 1906年の設立時に出された逓信・大蔵・外務の三大臣命令書によって, 鉄道や港湾, 炭鉱事業を経営するための事業用地や駅周辺の市街地を鉄道附属地として位置づけ, 土木(道路・上下水道等), 衛生(病院), 教育事業(初等・中等教育), さらには不動産事業を行なうことになった。 満鉄は, これらの附属地経営(地方経営ともよばれた)にかかわるインフラ整備に多額の投資を行ない, その総資産額は, 1937年に附属地が満鉄の手を離れて満州国に移管される際には, 本業の鉄道や炭鉱などを含んだ総額の20%を超えていた。 こうした巨額の投資に支えられた満鉄の附属地経営は, 事業としては当然のごとく赤字を生み出さざるを得ず, 唯一の黒字経営であった不動産事業も, 附属地経営全体の赤字を補填できるものではなかった。その赤字を埋め合わせ, しかも満鉄全体の収支を黒字化したのが鉄道事業だったのである。
著者
村下 訓
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.165-183, 2010-03

本稿では、因果論的な説明の論理や行為論的な記述の論理に基づくマーケティング事象の観察・記述において、何が見落とされることになるかを問うことができる地点から、マーケティング・プロセス、すなわち時間を生み出しつつマーケティングの現実を自己組織的に生成し続ける過程を観察・記述するための手がかりを原理論的に探究する。 突破口を開く論点は、議論されるべき前提を議論に先立って前提してしまう理論負荷の問題である。理論負荷されて多様に立ち現れる構造に対して、その構造を生み出す生成の過程はいかにして記述可能となるか。先行するニクラス・ルーマンの社会学的洞察を参照しつつ、この問いに答える記述論理の方法論的可能性を提示する。なお、本稿で探究される観察視点と記述論理の適用が開くマーケティング事象の描像については、稿を改めて議論されることになる。
著者
板倉 智敏 山極 三郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.11-PLATE II, 1971-02-25

著者らは, 鶏骨の Dysplasia とみなすべき症例に, 再び遭遇した. それは, 本研究の第I報におけると同様に, 一養鶏農家に集団的に発生したものであるが, 骨組織所見に注目すべき差異が存在したので報告する. 検索材料は3例よりなる. それらはすべて32日令, 肉用種(White Cornish×White Rock), 殺処分例である. 全症例について, 第I報におけると同様に, ほぼ全身骨の縦断および横断組織片が組織学的に検索された. 今回の例は, 2週令から4週令にわたって発生した. 臨床症状の特徴としては, O字脚 (Genu varum) が共通的であった. 飼料は市販のものが使用されたが, そのほかに, ストレス緩解の目的で抗生物質およびビタミン製剤が与えられた. 発生数は, 同日令群1,200羽中192羽(16%)に達した. 検索した3症例に共通した組織変化として, 骨体性骨組織の完熟遅延と局所性異常増殖が指摘された. このような変化を示す部位として, 管状骨の後面骨, 特にその骨幹中位および骨端よりの骨化点に相当すると思われる部位が, 多く選ばれていた. 他方,骨端性骨組織の異常増殖像には遭遇しなかった. このことは, 第I報において記載した所見とは異なったものとして注目された. 以上の組織変化を基礎として, 本例の症状の特徴であるO字脚の成因を考えてみた. また, 原因発生について, 集団的に発生したこと, 飼料のほかに抗生物質およぴビタミン製剤などが与えられたことは, 看過し得ない事実として, 若干の考察が行なわれた.
著者
菅野 博史
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.223-248, 1992-01

0. はじめに1. 意味という現象2. ダブル・コンティンジェンシー3. 出来事としてのコミュニケーション4. コミュニケーションのオートポイエシス・システム5. 行為の接続と構造6. 基礎概念の検討The basic concept of sociology has been regarded as "action". This kind of thought, has long theoretical accumulations after Max Weber and holds a central position in social theory. Against this tradition, however, Niklas Luhmann suggests that the concept of meaning should be basic. According to him, meaning is more suitable to describe the contingent possibility of the "world". And he introduces phenomenological insights into his framework of system theory, building it up into the theory of autopoietic systems of communications. In this paper, the author tries to summerize his discussions on meaning and communication in the first place, and examines his most important conception like self-reference (Selbstreferenz) and self-observation (Selbstbeobachtung) in the next. In conclusion, the author (1) critisizes the ambiguity of his concept "self-reference" and (2) points out theoretically fruitful possibilities of observing self-observational systems which always deparadoxize its own paradoxes.
著者
西川 清
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.60-68, 1988
被引用文献数
6 6

これまであらゆる治療法を駆使しても, コントロールの困難であった成人を含む重症・難治群が, 電動ネブライザーを使用したDSCG+salbutamol 吸入の regular use (DSCG 2ml+salbutamol 0.25~1mg 1日2回) により最長8ヵ月, ほぼ全例に著明な臨床症状および日常生活の改善をみた. regular use 施行前3ヵ月と施行後3ヵ月の臨床症状を比較すると, 発作点数は難治群で71.7から17.4に, 重症群で22.8から10.2に減少した. 救急外来受診回数は, 7名の外来難治群で27.3回 (3~44回) から1.1回 (0~3回) に, 12名の重症群では12.3回 (0~38回) から3.1回 (0~13回) に減少した. また難治群の副腎皮質ホルモン使用量は Prednisolone 換算で460.7mg (150~945mg) から74.2mg (0~415mg) へと減量できた. 学校・仕事の欠席日数は, 難治群で14.1日から0.6日に, 重症群で11.1日から2.0日に減少した. 著明な臨床症状の改善をみた症例, 家族とも, 心理的にも大幅な改善を示した.<br>DSCG+β<sub>2</sub> agonist の regular use は, 気管支拡張持続作用と気道炎症の抑制作用により発作を予防するだけでなく, これまで困難であった難治群の0レベルを実現し, 気道過敏性に影響を与え, 寛解に導き得る治療法となる可能性を示唆した.
著者
佐藤 和夫 西川 訓利 鈴木 徳祥 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.892-900, 1996-11-25
被引用文献数
75

人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性をFDTD法を適用して解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは人体頭部と携帯無線機を握る手からなる人体モデル,および金属きょう体に取り付けられたアンテナから構成される.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とよく一致し,人体モデルの影響を含めて携帯無線機用アンテナの特性を精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,携帯電話,およびPHSの周波数帯において,携帯無線機に取り付けられたλ/4モノポールアンテナおよび平板逆Fアンテナの特性を計算した.その結果,放射効率は人体モデルの影響を大きく受け,45%以下にまで劣化することがわかった.更に,人体モデル頭部の形状や携帯無線機を握る手の位置が放射効率に与える影響を明らかにし,アンテナの種類によって人体から受ける影響が大きく異なることを示した.
著者
広瀬 修 柴田 勲 工藤 博史 鮫ヶ井 靖雄 吉澤 重克 小野 雅章 西村 雅明 廣池 忠夫 影山 潔 阪野 哲也
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.991-995, 1995-12-15
被引用文献数
10

1993年, 雌豚の繁殖障害を主微とする症例および子豚の呼吸器症状を主徴とする症例から採取した豚の肺材料からPRRSウイルス2株を分離した. これらの分離株を用いて5日齢および13日齢プライマリーSPF豚での実験感染を実施した. 接種した豚では感染後2日目ごろから元気消失, 食欲不振, 発熱, 下痢, 犬座姿勢および眼瞼浮腫などが認められた. 憎体率は非接種対照豚と比べ明らかに低下した. 異なるウイルス株を接種した豚群間で, 臨床症状の違いは認められなかった. 感染後28日目に剖検した豚では主に間質性肺炎, 非化膿性心筋炎およびカタール性リンパ節炎などが認められた. ウイルスは感染後7日目および28日目の主要臓器から回収され, さらに, 感染後7日目から試験終了時の28日目までの血清から回収された. 間接蛍光抗体を測定した結果, 抗体は感染後14日目から検出され, 28日目では1,280倍を示した.
著者
長田 早苗 殿塚 婦美子 荒木 英爾
出版者
女子栄養大学
雑誌
女子栄養大学紀要 (ISSN:02860511)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.41-48, 2004-12-01

(1) 牛肉試料中のCLAのメチルエステル化については14%BF_3/MeOH法 (室温・30分間)によるほうが, 4%HCl/MeOH法と比較して脂質1gあたりの脂肪酸量の定量をより適切に行なえることが示された。(2) 真空凍結乾燥実施試料は非実施試料と比較して, 単位脂質量あたりの脂肪酸抽出量が多く, より適切な定量分析を行なえることが明らかとなった。(3) 機器により焼き加熱条件を設定した調理方法による牛肉中の9c, 11t-CLA含量の変化を調べた結果, 牛脂質1gあたりの量に変化は認められなかった。しかし, リノール酸を添加した牛肉試料については, 焼き加熱条件下の試料について9c, 11t-CLAの有意な増加が認められた。