著者
矢崎 俊志 阿部 公輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.476, pp.253-258, 2003-11-21

円周率計算や暗号などの分野において,数千桁におよぶ多倍長乗算が必要になる場面がある.多倍長乗算を高速に行うためには,FFTを応用した乗算アルゴリズムが用いられる.本論文ではFFT乗算のハードウェア実装について述べる.まず,演算器の構成法に存在する選択肢のいくつかに関して,コストと性能をもとに検討する.さらに,ソフトウェア実装との性能比較を行い,ハードウェア実装の有用性を示す.0.18μmテクノロジを用いて,浮動小数点データ表現形式を16bitにした小型のFFT乗算器を2.8mm角のチップに実装した.2^<16>桁の計算が可能な64bitデータ表現FFT乗算器は,10mm角程度の現実的なチップサイズで実装可能であるが分かった.
著者
尾崎 恭子 加藤 泰彦 長廣 真理子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.69-77, 2005-06-16

『幼稚園教育要領』および『保育所保育指針』において,乳幼児期の遊びは重要な学習であり,遊びを通して総合的に指導する重要性が述べられている。しかし,子どもたちの発達を促すためには具体的にどのような言葉かけや手だてをすればよいのかについては,はっきりしないのが現状であり,実際の遊び場面における言葉かけと手だての内容を明らかにすることが重要である。そのような視点から,本研究は「物と関わる遊び」を取り上げ,カミイら(1985)の研究にもとづいて,その指導法を明らかにすることにした。本研究ではまず,理論的な観点から指導上の原則を明らかにし,さらに,遊びの導入場面,遊びの展開場面,遊びの終わりの場面にわけて具体的な言葉かけと手だてを示した。最後に,それらの具体的な指導法にもとづいて,5歳児のボーリング遊びにおける言葉かけと手だてを考察し,保育者の望ましい言葉かけと手だての内容をまとめた。
著者
金 鉱敏 官路 史明 小久保 正 中村 孝志
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1218, pp.111-116, 1997-02-01
被引用文献数
13 132

The essential requirement for an artificial material to bond to living bone is the formation of bonelike apatite layer on its surface in the living body. This apatite layer can be reproduced on its surface even in a simulated body fluid (SBF) with ion concentrations nearly equal to those of human blood plasma. In the present study, Ti metal was treated with various NaOH aqueous solutions, and apatite formation on the resultant metals were examined in SBF. A sodium titanate hydrogel layer was formed on the surface of Ti metal, when it was treated with NaOH solutions with concentrations higher than 0.5 M at 60℃ for periods longer than 24h. Thus treated metals exchanged Na^+ ion in the surface layer for H_3O^+ ion in SBF to produce a hydrated titania on their surfaces and to increase the degree of supersaturation with respect to the apatite of SBF. The hydrated titania induced the apatite nucleation and the increased supersaturation accelerated the apatite nucleation. Thus formed apatite nuclei spontaneously grow by consuming calcium and phosphate ions from SBF. These results indicate that bioactive metal can be obtained by a simple alkali treatment.
著者
大嶽 能久 新田 克己 前田 茂 小野 昌之 大崎 宏 坂根 清和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.986-996, 1994-06-15
被引用文献数
3 2

法的推論システムHELIC?IIについて述ぺる。法的推論を計算機上で実現するためには、個々の事件の事実関係に解釈を与え、それに法的な概念を対応させる過程をいかに実現するかが大きな問題の一つとなる。HELIC?IIは条文と判例を知識源とするhybridシステムである。条文に基づく推論はルールベース推論によって、判例に基づく推論は事例べ一ス推論によってそれぞれ実現されている。判例に墓づく推論は過去の類似の判例を参照して法的な概念を生成する。条文に基づく推論はこれらの法的な概念を使って罪責を演繹的に求める。両者は相補的に機能し、あらゆる一可能な法的判断を生成する。ルールベース推論エンジンは、並列定理証明器 MGTP(Model Generation Theorem Prover)をべ一スにして、それに幾つかの拡張を施した。事例べ一ス推論エンジンは、推論を類似事例の検索と適用の2段階に分けることにより、事例の記述を容易にすると同時に並列推論の効果を高めた。出カとしては、これらが導かれた過程を表す推論木がユーザに提示される。さらに推論木の理解を容場にするために、自然言語風の詳細説明も提示することができる。HELIC?IIは並列推論マシン上にインプリメントされ、並列推論によって高速に結論を導き出す。例題として刑法を対象とする実験システムを構築し、並列推論の効果を実証した。
著者
今田 将吾 徳光 永輔 石原 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.671, pp.13-18, 2000-03-09

分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、強誘電体YMO(YMnO_3)薄膜をSi(111)基板上へエピタキシャル成長した。この際、バッファ層としてY_2O_3を用いた。RHEEDによるその場観察及びX線回折測定結果より、ロッキングカーブの半値幅が0.7゜程度の良好な結晶性を有するYMO薄膜がSi(111)基板上にエピタキシャル成長していることを確認した。また、MFISFET(金属-強誘電体-絶縁体-半導体FET)を作製するために、まずY_2O_3バッファ層のみでMISFET(金属-絶縁体-半導体FET)を作製し、そのトランジスタ動作を確認した。最後に、MFISFETを作製し、強誘電体YMO薄膜を用いたものとしては、はじめてトランジスタ動作を確認した。
著者
中谷 利雄 脇田 崇弘 大田 陸夫 田中 勝久 若杉 隆
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1290, pp.137-141, 2003-02-01
被引用文献数
8

Powders in the CeO_2-ZrO_2-MO_x system were prepared by coprecipitation method. Influence of adding a third components MO_x of transition metal oxides and rare earth metal oxides on the specific surface area (SA) and oxygen storage capacity (OSC) were investigated. It was found that transition metal oxides decrease drastically both SA and OSC values at 1000℃. On the other hand, rare earth metal oxides slightly decreased OSC values. The OSC values of the 20CeO_2- (80-y) ZrO_2-yMO_x powders with y=0-20 mol% LaO_1.5, showed a maximum at around 6 mol% LaO_1.5. In the CeO_2-ZrO_2-MO_x system, 20CeO_2・74ZrO_2・6LaO_1.5 (mol%) powders exhibited the most efficient performance with a high thermal stability up to 1000℃.
著者
矢崎 俊志 阿部 公輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.478, pp.253-258, 2003-11-21

円周率計算や暗号などの分野において,数千桁におよぶ多倍長乗算が必要になる場面がある.多倍長乗算を高速に行うためには,FFTを応用した乗算アルゴリズムが用いられる.本論文ではFFT乗算のハードウェア実装について述べる.まず,演算器の構成法に存在する選択肢のいくつかに関して,コストと性能をもとに検討する.さらに,ソフトウェア実装との性能比較を行い,ハードウェア実装の有用性を示す.0.18μmテクノロジを用いて,浮動小数点データ表現形式を16bitにした小型のFFT乗算器を2.8mm角のチップに実装した.2^<16>桁の計算が可能な64bitデータ表現FFT乗算器は,10mm角程度の現実的なチップサイズで実装可能であるが分かった.
著者
深瀬 政秋 尾山 武志 劉 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.274, pp.7-12, 2002-08-16

乱数の応用は,ランダムな数値自身の評価と,何らかの手段で蓄積されたデータ群に対する無作為抽出の拠り所の2通りに大別される.本研究では,MIPSを参考にして高速ランダムサンプリング機能を備えたプロセッサを設計し,FPGAで試作する.一般的なプロセッサでは1回のランダムサンプリングに乱数の生成からロード命令まで複数命令を要するのに対して,本研究のランダムサンプリングプロセッサは乱数発生器とデータキャッシュの直結により,生成した乱数を直接オペランドとするロード命令を有する.ロード命令毎にランダムな試行を行うのでプログラムサイズが縮小し,従って計算時間が短縮される.このため,ヒット・ミスモンテカルロ法による円周率の導出にランダムサンプリングプロセッサを用いると,通常のプロセッサを用いる場合よりも処理効率が約3割向上する.ランダムサンプリングプロセッサは大量データの正確迅速な無作為抽出に効果的で,暗号システムへの応用が考えられる.FPGAに実装したランダムサンプリングプロセッサは40MHzクロックで実動作することを示す.
著者
深瀬 政秋 尾山 武志 劉 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.272, pp.7-12, 2002-08-16
被引用文献数
5

乱数の応用は,ランダムな数値自身の評価と,何らかの手段で蓄積されたデータ群に対する無作為抽出の拠り所の2通りに大別される.本研究では,MIPSを参考にして高速ランダムサンプリング機能を備えたプロセッサを設計し,FPGAで試作する.一般的なプロセッサでは1回のランダムサンプリングに乱数の生成からロード命令まで複数命令を要するのに対して,本研究のランダムサンプリングプロセッサは乱数発生器とデータキャヤッシュの直結により,生成した乱数を直接オペランドとするロード命令を有する.ロード命令毎にランダムな試行を行うのでプログラムサイズが縮小し,従って計算時間が短縮される.このため,ヒット・ミスモンテカルロ法による円周率の導出にランダムサンプリングプロセッサを用いると,通常のプロセッサを用いる場合よりも処理効率が約3割向上する.ランダムサンプリングプロセッサは大量データの正確迅速な無作為抽出に効果的で,暗号システムへの応用が考えられる.FPGAに実装したランダムサンプリングプロセッサは40MHzクロックで実動作することを示す.
著者
生島 博之 岩田 郁子
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.12, pp.37-51, 2009-02
被引用文献数
1

本論文は,最近10年間あまりにおける少年犯罪を特別支援教育の観点から研究したものである。豊川主婦殺害事件からスタートし,西鉄高速バス乗っ取り事件,長崎男児殺害事件,佐世保小6同級生殺害事件,寝屋川教師殺人事件,浅草レッサーパンダ殺人事件,等を取り上げ,これらの少年たちが,犯罪に至るまでにどのような学校教育を受けてきたのか,そして,規範意識が育たなかった,あるいは,規範意識が 弱過ぎたのは何故なのか等について考察した。その結果,学校が少年犯罪の『舞台』とならないようにするためには,『怨み』を聞く回路づくりができる教師の実践的指導力が不可欠であると同時に,特別支援教育の本格的な実施および性教育の効果的な実践が重要であることが判明した。
著者
長畑 正道
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.59-63, 1999-03-30
被引用文献数
1
著者
清野 純史 古川 愛子
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.425-434, 2004

1995年の阪神・淡路大震災では, 震度7という激しい揺れに襲われ多くの住宅が倒壊し, 6,400人余の尊い人命が失われた. 死因の大多数を占めた窒息・圧死の場合はほぼ即死状態であったとみられており, 救出が早ければ命が助かったと思える人は極めて少数で, 住居がしっかりしているかどうかが生死を分けたと言える. このような建物倒壊による人的被害を評価するため, 筆者らは個別要素法を用いた解析手法を提案している. 本研究では, 接触ばねを材料特性に基づくヘルツの定理により算定し, ジョイント部を代表的なほぞモデルから決定することで, より現実に近いモデル化を行った. 2階建の木造骨組建物に対して手法を適用し, 挙動および建物内の人が受ける衝撃力を算出し, 地震時の建物倒壊による人的被害に対して検討を行った.
著者
今若 慎太郎 佐藤 宣子
出版者
[九州大學農學部附属演習林]
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
no.89, pp.75-126, 2008-03

近年,総称して「森林環境税」と呼ばれる都道府県による独自税の導入が広がり,地方分権の下で自治体による森林環境政策が模索されている。税目的が明確なため,導入後数年を経て,税事業の効果を厳しく問われることになる。先行研究では,高知県を中心に先発県を事例として税導入の合意形成過程が主に考察され,税事業の内容と実績に関する比較研究はない。そこで本稿では,(1)各県のホームページ等の情報から導入県の事業内容の特徴を分類し,比較検討を行い,(2)事業内容の異なる岡山県と熊本県を事例として,県担当者への聞き取り調査と税事業及び既存事業に関する予算と実施要項等に関する資料収集によって,「森林環境税」導入過程における県民意識と議論過程が税事業の内容をどのように規定したのか,また税事業の実績を既存事業との関係で比較した。更に,(3)多くの県で新たな事業と位置づけられている,強度間伐による針広混交林化事業の実施状況,特に森林所有者の同意状況に関して,熊本県を事例に,県の出先機関と森林組合での資料収集に基づいて分析した。その結果,多様な事業内容の中で,多くの県が荒廃人工林の間伐事業を中心としていること,しかし,その手法は,林業支援とリンクさせた従来の間伐補助事業と同様の事業を補助対象の拡充で実施している県(岡山県型)と行政が費用の全てを負担し直接強度間伐を実施し,混交林化を進める事業(熊本県型)に分けられることがわかった。岡山県では税導入の議論の際,森林環境の向上には林業の担い手対策や所有者への間伐補助金を行うことに対して県民の理解が得られたこと,一方の熊本県では新税導入に際して,私財支援に対する県民の反対意見が強く,県による強度間伐の直接整備に限定する形で県民の理解を得たために林業支援との厳しい切り分けがなされている。税事業実績と既存事業の分析によって,岡山県では森林整備と林業就業者確保に新税が有効であり,施業の放棄を未然に防ぐことや,結果として木材供給量が増加することが見込まれた。しかし,森林を放棄した所有者の森林までの整備には至らず,更には既存事業との差違が明確ではないため,既存事業の税事業化によって間伐予算総額では減少していることが明らかとなった。
著者
岡留 恒丸 笹原 勝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.341-343, 1999
被引用文献数
2 2

1998年の2月13日, 27日および3月31日の3回にわたり, 愛知県知多郡美浜町の菅苅池(0.2ha)周辺に営巣したカワウの巣から落下した糞を集めて飼育した結果, 5科5属5種の双翅目昆虫を確認した。発生した種類とその発生率は次のようであった。1)クロツヤニセケバエScatopse notata (Linnaeus)(20%), 2)クロオビハナバエAnthomyia illocata Walker (8%), 3) Fannia sp. (22%), 4)チャバネトゲハネバエTephrochlamys japonica Okadome (47%), 5) Homoneura sphincta Sasakawa et Ikeuchi (4%)で, チャバネトゲハネバエ(トゲハネバエ科)が最も多く, Fannia sp.(ヒメイエバエ科)がこれに次ぎ, H. sphincta(シマバエ科)はわずかに2個体の発生が確認されたのみで, 発生総個体数のなかで最も少なかった。
著者
亀田 啓悟
出版者
関西学院大学
雑誌
総合政策研究 (ISSN:1341996X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-10, 2006-11

The purpose of this paper is to review recent literatures on Non-Keynesian effects pioneered by Giavazzi and Pagano (1990), and discuss the current situation on domestic studies in this area. The results are: (1) Perotti (1999) and Hjelm (2002) are superior to the others since only these two studies have theoretical foundations for estimation functions, (2) we have only two domestic studies in this field, Nakazato (2002) and Takeda, Komaki and Yajima (2005), and both of them applied Perotti (1999)'s frameworks, (3) therefore, we should analyze this topic with Hjelm (2002)'s frameworks as well.