著者
藏田 幸三
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.135-164, 2002-12-31

本稿の目的は,米国情報通信産業に対する成長戦略を明らかにすることにある。 1991年高性能コンピュータ法の議会記録を中心に,政策形成の過程を詳しく分析する。1990年代に日本と対照的な成長をつづけた米国のIT戦略について,産業政策の視点から考察することで,これまであまり注目されてこなかった産業や外部関係者との接点を明らかにしたい。そのために,アメリカの政策決定の中枢をなす議会,特に委員会の公聴会に着目してその速記録を詳しく分析する。その方法として政策情報データベースをつくって,分析と検証を精密に行いたい。このような考察の結果,米国のIT戦略が産業界からの影響と軍事・学界からの支援によってつくられたものであり,それが大統領のリーダーシップによって推進されたところに成功の要因があったと考えられる。またそれを可能にしたのは,IT政策についてオープンに議論できる議会・公聴会というシステムの存在であった。そこで,外部から情報や批判などの多様なリソースをとりいれ,政策に活用することができたのである。これらの考察を通じて,日本のIT産業政策に対するインプリケーションを提示してみたい。
著者
青柳 まゆみ 中村 満紀男
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.89-99, 2001-03

本研究では、政府が視覚障害児・者の教育や処遇問題の改善に取り組み始めた19世紀末のイギリスに焦点を当て、当時の視覚障害者の生活実態と社会の期待との関係を究明することを目的とした。主たる資料として、1889年盲・聾等王命委員会報告書の公聴会議事録を用いた。116回の公聴会における150余名の証言のうち、視覚障害者本人と視覚障害者の教育および救済関係者94名の証言を分析の対象とした。19世紀末イギリスにおいて、「経済的自立」は、人が社会の一員として認められるための基本的な条件であった。王命委員会は、視覚障害者の自活を目指した教育の重要性を指摘した。その新しい政策は、救貧費削減という国の利益につながっただけでなく、視覚障害者の生活改善にも大きな影響を与える可能性を含んでいた。一方、完全な自活が困難あるいは不可能であった視覚障害者に対しても、彼らが一定条件を満たしていれば、関係者たちは必ずしも彼らの救済に否定的ではなかった。
著者
島田 裕正 石川 広男 中島 達夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.149-150, 2008-03-13

アプリケーションを構成する一部のプロセスが障害によって停止した場合、アプリケーションはプロセスを始動することによって復旧できる。しかし、その方法はアプリケーションに依存している。本稿ではLinux上で自動再起動可能な性質を持つプロセスを提案する。これにより、障害復旧処理をアプリケーションから非依存にすることが可能になる。自動再起動プロセスに関する一連の仕組みをユーザレベルおよびカーネルレベルでそれぞれ実装する。評価では、二つの実装を比較する。
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15
被引用文献数
6

An ultrasonic treatment during extraction with hot water was investigated as a new procedure for preparing chicken-bone soup stock. The relationship between the preference and the soluble components of the chicken soup stock was studied to determine the most appropriate conditions for the preparation method. Compared to the conventional method without an ultrasonic treatment, the time for extraction was reduced to one third by the ultrasonic treatment, and a high-quality soup was obtained from chicken-bones. The combined method was thus found to be more suitable for preparing the soup stock. The best conditions for preparing the chicken soup stock with 20% bone involved hot-water extraction at 98℃ accompanying the ultrasonic treatment for 30 min. The resulting color tone of the soup was light with and slight clouding, and the dissolved components, including 5'-IMP, crude proteins, and free amino acids such as Glu, Ala, Ser and Gly were rich in the soup. A high evaluation of the resulting soup was given. (Received April 9, 1996)
著者
伊敷 政英
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.425-438, 2006 (Released:2006-11-01)
参考文献数
12

2004年6月のWebコンテンツJIS制定から2年が経過し,先進的な自治体や企業ではWebアクセシビリティへのさまざまな取り組みが行われてきた。Web標準やSEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)などの広まりとともに,Webアクセシビリティは「理解」から「実践」の段階へと進みつつある。本稿では,Webアクセシビリティの基本的な考え方や障害者のWeb利用特性,国内外での取り組みについて解説し,また2005年12月に総務省より発表された「みんなの公共サイト運用モデル」について,その全体像を概説する。
著者
金 基民 李 濬煥 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.721, pp.63-68, 2005-03-08

本稿では、直交周波数分割多重(OFDM)変調方式に複数のアンテナを利用するMIMO(Multi Input Multi Output)を適用した無線システムにおいて、時間/周波数同期とチャネル推定を検討し、新しいプリアンブルを提案する。MIMO-OFDMでの同期は複数の信号が混ざった状態において時間/周波数の同期が行われ、同期処理してからチャネル推定は送信アンテナから受信アンテナまでの各々チャネル分離し行う。そのため、プリアンブルは相関特性がよく、各送信アンテナからの信号が分離できるように設計する必要がある。計算機シミュレションで従来プリアンブルと提案プリアンブルの同期特性とチャネル推定特性を比較した。計算機シミュレションの結果により、提案方式は同期特性で同程度、残留周波数オフセットの条件でチャネル推定ではよい特性を得られることが確認された。
著者
谷口 明子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.283-291, 2004-11-30
被引用文献数
2

入院児への学校教育導入の推進に伴い、入院児の心理理解の必要性が高まっている。本研究の目的は、病弱教育における子ども理解の一環として、入院児の不安の構造と類型を明らかにすることである。入院という状況下の不安を測定する42項目から成る質問紙を作成し、小学校4年生から高校3年生までの157名の入院児を対象に調査を施行した。その結果、入院児の不安が「将来への不安」「孤独感」「治療恐怖」「入院生活不適応感」「とり残される焦り」の5つの下位構造を有し、さらに入院児が3つの不安の類型に分かれることが明らかになった。性差、入院回数、入院期間、罹病期間、発達段階の子どもの属性と不安の構造との関連を検討した結果、女子のほうがより強い「不安」と「孤独感」をもち、発達段階が高いほうが「将来への不安」「入院生活不適応感」をより多く抱いていることが示され、指導にあたって留意すべき点も示唆された。
著者
金 基民 李 濬煥 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.719, pp.63-68, 2005-03-08

本稿では、直交周波数分割多重(OFDM)変調方式に複数のアンテナを利用するMIMO(Multi Input Multi Output)を適用した無線システムにおいて、時間/周波数同期とチャネル推定を検討し、新しいプリアンブルを提案する。MIMO-OFDMでの同期は複数の信号が混ざった状態において時間/周波数の同期が行われ、同期処理してからチャネル推定は送信アンテナから受信アンテナまでの各々チャネル分離し行う。そのため、プリアンブルは相関特性がよく、各送信アンテナからの信号が分離できるように設計する必要がある。計算機シミュレションで従来プリアンブルと提案プリアンブルの同期特性とチャネル推定特性を比較した。計算機シミュレションの結果により、提案方式は同期特性で同程度、残留周波数オフセットの条件でチャネル推定ではよい特性を得られることが確認された。
著者
菊池 義浩 渡辺 敏明 駄竹 健志 中條 健 永井 剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

現在、ISO・MPEG4、ITU-TLBCにおいて、超低ビットレートでも高い符号化品質が得られ、伝送路誤りに対して高い耐性を有する動画像符号化方式が検討されている。誤りを考慮しない従来の動画像符号化方式では、可変長符号の同期はずれにより多くの情報が失われる問題点があった。特に、モード情報や動きベクトル情報が失われると大きな画質劣化につながる。ここでは、動きベクトル情報の符号化にベクトル量子化を用い、VQインデックスを固定長符号化することによりこの問題を解決する方式を提案する。さらに、領域形状と動きベクトルをまとめてVQする領域分割動き補償を行うことにより符号化品質の改善をはかる。
著者
増田 直紀 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.365, pp.19-24, 2001-10-12

ニューロンの同期は生物の情報処理において重要な役割を果たす。そこで、様々な神経回路網モデルにおいて同期条件が理論的・数値的に研究されてきた。ところで、ほとんどの解析では、全結合か局所的結合といった単純なトポロジーが仮定されてきたが、実際の神経回路網ではsmall-worldネットワークなどの高次構造の存在も示されている。本研究ではパルスで結合されたleaky integrate-and-fireニューロンの同期現象を様々なトポロジーのもとで考察し、small-worldネットワークがランダムネットワークやローカルネットワークに比べて同期を導きやすいことを示す。
著者
的場 直人 近藤 靖 田中 利憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.132, pp.1-6, 1997-06-24

無線通信路に適用する低遅延, 高誤り耐性を実現する誤り制御の提案を行なう. ARQを用いると通信路誤りによる大規模な画質劣化をなくすことが可能となるが, 再送による遅延が問題となる. 本検討では画像ブロックのビット数を画像情報に付加して送信し, 画像ブロックの同期はずれによるフレーム内誤り伝搬をこの付加情報により防止し, またフレーム間誤り伝搬をARQの再送制御により参照画像を更新することにより防止する方式を提案した. これによりフレーム内, フレーム間誤り伝搬による画質劣化を抑えつつ, ARQを用いても通信路誤りのない場合と同等の遅延特性が得られることを明らかにした.
著者
大府正治
雑誌
臨床脳波
巻号頁・発行日
vol.40, pp.682-686, 1998
被引用文献数
1