著者
清水 宏一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.18, pp.109-114, 2003-02-27

京都市が「京都デジタルアーカイブ構想」を策定したのは、1997 年4 月のことである。その後1998 年8 月に京都デジタルアーカイブ推進機構を立ち上げ、さらに2000年8 月には京都デジタルアーカイブ研究センターを設立して今に至っている。京都が何をめざし、何をどのようにアーカイブし、また今後にどういかしていくのか。また、京都デジタルアーカイブ研究センターなどが中心となり全国に呼びかけた地域デジタルアーカイブ全国協議会は急激にメンバーを増やしつつあり、政府のデジタルアーカイブ研究会、自民党のデジタルアーカイブ小委員会などの動きも目が離せなくなってきている。こうした状況につき、実践に基づく解説と見解、さらに将来見通しを述べる。Kyoto City Government developed the "Kyoto Digital Archives Concept" in April, 1997. In the promotion of the Kyoto Digital Archives Project, the Kyoto Digital Archives Promotion Organization was established in 1998, then as a succeeding body of this organization, we started the Kyoto Digital Archives Research Center in August, 2000.Then, what does Kyoto City Government aim at, and how do we proceed for archiving, and by what method do we do? The members of the National Council for Regional Digital Archives Promotion, for which Kyoto Digital Archives Research Center took the lead and appealed all over the country, are increasing in number rapidly. At the same time, we can not look aside a move of study group of digital archives in central government, digital archives subcommittee of Liberal Democratic Party and so on. With these circumstances above, I would like to describe my comment and view based on our practices, and a future prospect of my own.
著者
西岡 郁夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 設計自動化研究会報告
巻号頁・発行日
vol.97, no.103, 1997-10-28

今日、半導体市場の需要の70%を占めると言われるパーソナル・コンピュータはインターネットの急速な普及もあって従来の Stand alone PCから Networked Systemになり社会の隅々にまで浸透し、会社や家庭などで誰もが使う情報端末となってきているが、一方では初心者には難解な道具として敬遠されることも事実である。そこで、万人にとって使いやすい物になるためパソコンがどのように変身していかなければならないのか、益々多機能/高機能化するマルチメディア処理によりパソコンが今後どのような方向に向かうのかを論じ、21世紀に向けてのVLSI開発研究への参考に供したい
著者
片寄 晴弘 竹内 好宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.71, pp.15-22, 1994-08-06
被引用文献数
13

音楽学,あるいは音楽心理学の分野では,従来,主観的に説明されていた音楽解釈,音楽構造認知を客観的な視点からしようという研究が行われている.これらの取り組みは音楽情報処理,特に自動演奏システムにおいて参考にすべき取り組みであるが,残念ながら良く知られていない.また,客観的な視点といっても,ある意味で人間の主観的な理解を前提にしているため,コンピューテーショナルモデルとして利用する際には,使うための枠組みを立てた上で,主観処理部をモデル化しなければならない.本稿では演奏解釈・音楽構造認知理論を比較し,コンピューテーショナルモデルとして利用する際のメリットと解決すべき課題を整理する.In the field of Musicology and Music Cognition, recent researchers have been trying to make an objective model of music interpretation or structural analysis, which has been historically studied in a subjective manner. Computer scientists in music field, especially who try to construct an automatic performance system, should refer and consider these theories. These theories, however, are not well known. They are not fully computational, because the aim is to give human an understandable view. This paper describes some comparison of proposed theories and discusses merits and demerits to apply them in making computational models.
著者
矢満田 健 羽生田 正行 宮澤 正久 吉田 和夫 金子 和彦 天野 純
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.175-181, 1996-04
被引用文献数
1

症例は51歳男性で1983年6月23日左肺癌にて左上葉切除術およびリンパ節郭清が施行された.組織学的には高分化型腺癌でpT2N0M0,stage Iの診断であった.その後肺再発にて,初回手術の3年6ヵ月後に左下葉部分切除術を,その4年8ヵ月後に左のCompletion Pneumonectomyを,さらにその1年9ヵ月後に右肺上葉の部分切除術をと,3回の肺再発にて初回手術を含め合計4回の肺切除を施行した.本症例は組織学的所見を考慮し,すべて初回手術時の再発肺癌と診断したが,再発に対する積極的な再手術により本例のように比較的良好な予後を呈する症例が存在するので,呼吸機能の評価で可能であれば,積極的な外科治療が必要と思われる.
著者
冨田 京一 金村 三樹郎 黒岡 雄二 諸角 誠人 河村 毅 福島 範子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1374-1377, 1989-09-20
被引用文献数
1

経過観察中,inverted typeのtransitional cell carcinomaの異所性再発がみられたinvertedpapillomaの症例を経験した.症例は24歳男性で1982年10月23日無症候性肉眼的血尿を主訴として当科受診.膀胱鏡検査にて内尿道口に表面平滑な小指頭大の腫瘍がみられ,全体像が膀胱鏡検査では把握できないため,膀胱高位切開にて腫瘍を切除した.組織学的検査にてinverted papillomaと診断された.その後19カ月,35カ月,43カ月,53カ月後に異所性再発を繰り返し,その度に経尿道的に切除した.組織学的検査にて大部分が内反構造を伴うtransitional cell carcinomaであった.inverted papillomaは一般的には良性疾患として扱われているが,悪性化および再発の可能性が存在することから他の膀胱腫瘍と同様に術後の経過観察が必要と考えられた.
著者
磯野 秀明
出版者
東京大学大学院工学系研究科 電子工学専攻
巻号頁・発行日
2009-03-23

報告番号: ; 学位授与年月日: 2009-03-23 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 工学系研究科電子工学専攻
著者
木下 優子 矢久保 修嗣
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.379-383, 2009-10-10 (Released:2009-10-25)

漢方治療ががん治療のQOL改善に効果があり,症状緩和においても有効である。院内マニュアルに収載されるなど使いやすいものとしては,1)全身倦怠感の改善に十全大補湯,2)食欲不振に補中益気湯,3)胃の症状(食欲不振や嘔気嘔吐など)に茯苓飲と六君子湯(胃の入り口でつかえてうまく入っていかない場合:茯苓飲,胃もたれ感が強い・胃の中に物がたまって出て行かない場合:六君子湯),4)化学療法・放射線療法の副作用軽減に開始前(できれば2週間以上)より十全大補湯,胸椎に放射線治療を行っているときの食道の不快感には加味逍遥散,化学療法中の下痢に半夏瀉心湯や啓脾湯(カンプトテシンの下痢:半夏瀉心湯,それ以外の場合:啓脾湯),化学療法時の痺れ:牛車腎気丸,5)イレウスやモルヒネによる便秘に大建中湯,6)口内炎に立効散,7)吃逆に呉茱萸湯または芍薬甘草湯,いずれも無効な場合は柿蒂(してい)の使用を検討する,8)悪夢を見るときに桂枝加竜骨牡蛎湯,9)ビスホスホネート製剤(ゾメタ)の副作用による痛み・発熱に麻黄湯,10)下血などの消化管出血に田七人参(粉末)などがあり,緩和ケアの現場で有効であると考えられる。
著者
遠藤 守 安田 孝美 横井 茂樹 林 良嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.637, pp.37-42, 2002-01-31

コンピュータ上に構築した3次元の仮想都市空間内に仮想人間を導入するための仕組みを提案し,都市空間を構成する物体を効果的に管理する手法を開発した.本稿では仮想人間の動作を付与する仕組みを提案し,インデックスに基づくデータベースを用いてすべての情報を管理する具体的な仕組みについて述べる.提案手法を実現するにあたりインターネットを通して操作可能なインターフェースからなるシステムを構築した.これによりコンテンツ作成者や利用者は容易に都市空間を構築・体験することが可能となる.また構築したシステムの応用として空間内のキャラクタを主人公としたドラマ化手法を開発し,コンテンツを製作したのでここに報告する.
著者
秀熊 佑哉 芳田 哲也 大西 明宏 白土 男女幸 久米 雅 仲井 朝美 柴田 勘十郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.403-406, 2007-11-13

Kyoto bow is the Japanese traditional bow which made form 100% natural materials such as bamboo, woods and so on. Kyoto bow consists of three different parts and they were glued together, so that Kyoto bow can be regarded as hybrid adhesive composite structure. The characteristics of Kyoto bow very much depend on the materials and adhesive. The purpose of this study is to investigate the effect of the structural materials of bow on muscle activity during drawing the bow. Three kinds of bow were used in this study; 1) typical carbon bow, 2) Kyoto bows which were produced with normal bamboo, or 3) heated bamboo. The deformations of bow and muscle activities were measured during drawing the bows by using the motion capture and the electromyogram. As a result, advantage of a Kyoto bow and muscle activity during the drawing the bow were clarified.
著者
大西 淳 満田 辰美
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2002年度秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.58, 2002 (Released:2003-01-17)

本報告では、実際の技術ライセンス導入契約の事例をもとに、現実のケースにより適合した知的財産の価値評価手法について考える。同時に、許容されるロイヤリティ・レートの範囲が、価値の評価手法によって変化し得ることを説明する。 まず、(1)基本的なDCF(割引現在価値)法による知的財産の評価を説明する。次に、(2)将来事象の確率過程に関してシナリオ・アナリシスを導入した場合のDCF評価と、(3)モンテカルロ分析によるその精緻化について考察する。最後に、(4)ライセンス契約に追加された諸条件・諸権利に対する価値を評価するリアルオプション価値の分析を試みる。また、ロイヤリティ・レートが(1)から(4)の各段階で算出された価値に対応して変化することを示す。
著者
湯川 淳一 緒方 一夫 多田内 修 矢田 脩 上野 高敏 紙谷 聡志 加藤 内蔵進 鈴木 英治 鎌田 直人 秋元 信一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

現在、地球上では、人間が行う様々な営みによる複合的な要因によって、急激な温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染など深刻な問題が生じており、それらに伴う野生生物種の絶滅や森林面積の減少、砂漠化などが危倶されている。とくに温暖化については、人間が排出する二酸化炭素やメタンなどを含む温室効果ガスの濃度が急激に上昇しており、そのため地球上の平均気温は年々上昇し、今後もそれが長く続くことが予想されている。昆虫類に対する気候温暖化の影響を整理するために、本報告では、最初に、地球温暖化と日本の気侯変動に関する背景について概観し、エルニーニョ現象や華南付近の下層南風域の拡大過程などを勘案しながら、日本付近の暖冬や梅雨、降雪など、地球温暖化にも関連した日本の夏や冬の異常気象、とくに、季節進行の異常について言及した。昆虫に及ぼす温暖化の影響については、発育ゼロ点や1世代に必要な発育有効積算温量に基づく年間世代数の増加と、チョウなどに見られる北方への分布域の拡大という二つの観点から取り上げられることが多かったが、本研究では、上記の2つに加えて、昆虫と寄主植物とのシンクロナイゼイションという観点からも、温暖化の影響について論じることの必要性を強調した。さらに、地球温暖化は農業生態系の構成種、とくに、捕食寄生性昆虫の行動や生存率などにも様々な影響を及ぼすことが懸念されることについても考察を行った。そして、これらの影響が昆虫類の局地的な絶滅、ひいては生物多様性の低下をもたらすことについても言及した。
著者
村上 賢一 藤澤 宏幸
出版者
東北文化学園大学
雑誌
リハビリテーション科学 : 東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.41-48, 2007-03

運動機能の低下した被介護者がトイレ動作に介助を要する場合、日常生活を制限され、QOL低下をもたらす。また、介護者の身体的負担も大きく、移乗動作能力の向上が望まれるが、運動療法の実施のみでは効果は十分ではなく、生活における活動量増加が必要である。現在、福祉機器の移乗介助リフトは全介助型が主流であり、被介護者の身体機能を生かした機器は市販されていない。本研究では、日常生活動作の自立支援を目指した立位保持補助装置の開発に先立ち、基礎資料としての介護職員(CW)のニードやトイレ介助の現状を把握することを目的とし、アンケート調査ならびにトイレ所要時間を測定した。結果、CWで身体的負担を感じている者は70%、精神的負担を感じている者は50%であった。トイレ介助中に危険を感じる場面は被介護者の立位保持に関連しており、ズボン着脱時の介護量およびリスクの軽減がCWのニードであると考えられた。また、平均トイレ所要時間は6分22秒であった。