著者
小川太郎
雑誌
弘前医学
巻号頁・発行日
vol.48, 1997
被引用文献数
1
著者
菊地 香 中村 哲也 魏 台錫 仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.93-99, 2003-12-01

本稿では,本来ならば経営を引退して地域に埋没してしまう高齢者自らがその知識と経験を活用することで農産加工の起業することが地域にとってどのような効果をもつのかについて沖縄県具志川市の事例をもとに明らかにする。その方法として最初に農村における農産加工での起業化が一般にどのような位置付けがなされるのか,その枠組みを設定する。次いで起業的な経営を行っている生産者グループを対象にして,どのような経緯で起業化を行ったのかを明らかにする。分析の結果は,次の3点にまとめられる。第1に大手メーカーに原料を供給するだけの組織は,ドメインを構築するまでもなく原料を生産するだけの組織であり,起業的な取り組みは全くなされていない。第2に原料の生産はせず製造から販売を行う組織は,安定した原料確保ができず,またそれにより製品の生産量が常に一定とならないことからドメインの構築に至っていない。第3に原料の生産から販売まで行う組織では毎年一定の原料確保ができることから,製品の生産量も安定し,販売戦略もとることができることから,ドメインの構築を行うことにより起業段階から集合化段階に移行しつつある形態が沖縄県でもみられることである。特にこうした起業的な取り組みの担い手が事例のような高齢者を中心とした組織でも可能であり,新たにそこに若い担い手が参加させようとする形態をとっていることである。このことは若い担い手の流出が避けられない農村部において,若者を呼び戻す契機につながることから,こうした起業化は地域の活性化につながる利点があげられる。
著者
玉田 太朗
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.192-199, 2004

ナラティヴ・ベイスト・メディスン(以下,NBM)は,10年ほど前から本邦の医療界にも普及してきたが,その特徴的な主張の一つは「患者の病い」と「病いに対する患者の対処行動」を,患者の人生と生活世界における,より大きな物語の中で展開する「物語り」であるとみなすことにより患者を全人的に診ようということである.表題は,柳澤桂子氏の同名の著書(中公文庫1988)からお借りしたものであるが,この本は彼女が30年余にわたって原因不明の腹痛発作に悩まされ,生き甲斐としていた研究からの引退も余儀なくされ,介護病院のお世話になるまでの病気の経過と医師の対応ならびに家庭的・社会的な活動性を失っていく経過に対する患者の認知と心理的反応,思考と対処行動を克明に述べたもので,まさにひとりのすぐれた生物科学者が述べた,ほとんど一生にわたる「病の物語」である.この物語の結論として彼女は,診断がつかないという不安以上に,彼女を悩ませたのは「病気そのものの苦しみよりも,医療から受けた苦しみの方がずっと大きかった」,「原因が分からないために,すべては私の気のせいであるとされたり,あるいは私が人間として未熟であり,自己中心的であるとされた.多くの場合根拠となるデータもなしに,安易にそのように結論されたことが残念である.」と記している.これはどの苦しみを患者さんに与えた原因は,医療者がひたすら苦痛の原因をbiomedicalに追求する余り,その苦痛が患者さんの人生全体に及ぼす影響を考慮し,生物的・社会心理的な視点からの全人的な対応を欠いたことがある.そのためこの「病の物語」は,ほとんど患者さんの独白である. NBMでは「治療者と患者の間で取り交わされる(あるいは演じられる)対話を,治療の重要な一部であるとみなす」(同上)とされているが,その対話はほとんどなかった.
著者
豊原 信一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.15, no.174, pp.131-133, 1908-03-20
著者
宮沢 久雄 斎藤 基彦 生駒 英明
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.657-672, 1969-10-05

これは物性の片すみのささやかな足どりであり, 解説欄の題材に価するかと問われればためらいを感じるのだが, 編集委員会からの要請にしたがって執筆にふみきった。とり上げた内容は, 電子の身軽いことでは横綱級のIII-V族半導体中, 特にInSbが低温で示す劇的な伝導諸現象と, それらをどう理解するかという点でくいちがう諸派の見解である。
著者
太田 昌克
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.155-156, 1996-03-06

人間社会では,個人は集団から影響を受けながら意思決定を行うと同時に,集団の一員として集団全体の意思決定に影響を及ぼしている.このような現象の1つである同調行動について,個人が多数派見解へ同調していく過程を再現する意思決定モデルを提案した.これは,集団から個人への影響のみを考慮したモデルである.本稿では,この意思決定モデルに個人から集団への影響を取り入れた見解浸透モデルについて述べる.本モデルは,個人間のミクロな相互依存関係によって,ある見解が集団に浸透し,マクロな共通見解が形成されていく過程を再現する.さらに,同じ見解を持つ人の継りに着目した見解の浸透状態の解析について述べる.
著者
加藤 寿郎 山口 昭
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.117-123, 1971-03-30

オオムギ斑葉モザイクウイルス(BSMV)に感染したオオムギ(品種・横綱)の粗汁液(15,000×g, 30分上清)をポリアクリルアミドゲルを支持体とする電気泳動にかけると, 健全対照には見られない2群のバンド(SA 1, SA 2)が得られた。これらのバンドに含まれる物質は, 105,000×gの遠心によっても沈でんしない。また, これらの物質は, 葉緑体中のfraction Iたんぱくよりも易動度が小さく, SA 1, SA 2ともBSMV抗血清と反応する。BSMVたんぱくの電気泳動によって, SA 1およびSA 2に相当するバンドが得られる。SA 1をとり出して再び電気泳動するとSA 2が分離してくる。したがって, ウイルス感染によって生じたこれらの可溶性抗原は, ウイルスたんぱくが種々の程度に凝集したものと考えられる。感染が進むとfraction Iたんぱくは減少する。接種した第1葉では, えそ斑点が現われる接種後3日めに可溶性抗原が検出されるが, 感染が進むにつれて減少し, 接種後8日には認められなくなる。これに反して, 第2葉では, 葉基部にmosaicが見えはじめる接種後4 ,5日めにはじめて可溶性抗原およびウイルスが検出され, その後感染の進行にともなって両者とも増加する。ウイルス合成における可溶性抗原の意義については結論が得られなかったが, 第1葉と第2葉での可溶性抗原の消長の違いは, 両者での病徴の型およびウイルス含量の差と関係があるものと思われる。
著者
宇都宮 宏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録
巻号頁・発行日
no.28, pp.48-49, 1986-07-30

走査電子顕微鏡を利用して, 作物の胚乳細胞内の澱粉粒などの形成, 発達の過程を研究しているが, 本報告では六条大麦皮種横綱の胚乳細胞内の澱粉粒の形状, 大きさと細胞内の分布状態及びその変化などを観察した結果を報告する。
著者
榊原 茂樹
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.41-49, 1989-02-01
被引用文献数
6

北海道大学苫小牧演習林において、動物によるイチイの種子散布機構を明らかにするため、種子の生産と消費について2本の調査木(I、II)を対象にして調査した。調査木Iでは36,628個の種子が、またIIでは2,785個の種子が生産された。生産された種子は、樹上では鳥類により(調査木Iで73%、IIで46%)、地上ではネズミ類により(Iでは14%、IIで34%)高い比率で消費されたが、全生産量の約5%はヤマガラの貯食行動により散布された。この5%のうち、37%は樹皮の裂目や針葉の間などの樹上に貯食され、63%が地上に貯食された。地上での貯蔵の多くは、樹木の根際や急斜面などの比較的特定の場所に集中して行われた。これらの貯食場所はイチイ稚樹の更新場所とほぼ一致していた。さらに、種子の散布距離の頻度と稚樹の分布との間には密接な関係がみられた。これらの結果から、ヤマガラによるイチイ種子の貯食散布がイチイの分散と更新にとって重要な意味をもつと考えられた。ヤマガラ以外の動物も含めて、イチイとその種子散布者の相互関係について論じた
著者
栃木 博子 萩田 紀博 宮下 敬宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.300, pp.5-10, 2005-09-15

ファンタジー世界の物語は子供たちの創造性を駆り立てるのに有効なコンテンツである.ユーザが案内役の人形型入力装置とのインタラクションを通して, 物語の展開が変わっていくファンタジー世界を楽しむインタラクティブアニメーションシステムを提案する.初めに, 研究の基本方針を述べる.案内役はユーザの単なる入力装置ではなく, 物語を展開できる機能をもち, ファンタジー世界とのインタラクションによって, ユーザにファンタジー世界の反応を返すこともできる.日本の古い家屋と街並みを題材にした物語コンテンツと, 妖怪をモチーフとした人形型入力装置による実験システムの試作を行い, 本システムの有効性を仮説検証するために展示をし, 予備検討を行なった.その結果, ユーザの興味, 人形とのインタラクション行動, 使いやすさなどに関する意見が得られたことについて述べる.
著者
沢 恒雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.99, no.353, pp.43-50, 1999-10-15

最適工業化社会から知識社会への遷移の過程にある、知識社会における市場での主役は、知識、知恵や知謀自体とそれらを内包した業務モデル、戦略計画モデルや製品である。組織活動の知的資産として管理されねばならないものは、それら創製、開発、精錬や編集した成果物である。知識資源であるモデル開発、計画、実行、分析、評価や編集などの「場」での集団意思決定のあるべき姿としてGMAISを使用した支援環境についてのべる。
著者
岩瀬 徹
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.202-205, 2004-09-30

「自然に根ざした生物教育」を実践するには,身近なフィールドを活用し,普遍的な観察方法を開発する必要がある。学校においては校庭は足元のフィールドであり,そこの主役は雑草である。雑草の種や生育には共通性が高く,教材としての効果が期待できる。かつては,専ら除去の対象であった雑草に対して教材としての市民権を与えようとした。長年の経験はいくつか発表してきたが,1987年に野外観察ハンドブック「校庭の雑草」を作成し,校庭をフィールドとする観察法の普及と定着を図った。また,授業展開の事例として,形やくらしから雑草の名前に近づく方法,校庭の雑草の分布を調べ環境との関係を考える方法,雑草群落の測定を通じて遷移を理解する方法などの概略を紹介した。さらに,近年の理科教育や生涯教育の一面と雑草との関わりなどに触れた。