著者
道山 弘康 松岡 篤司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東海支部会報
巻号頁・発行日
no.122, pp.11-18, 1996-12-10

1) 分げつの節位によるマコモタケ肥大の差異および1株植え付け苗数の違いがマコモタケの肥大に及ぼす影響を明らかにした.2) マコモの場合, 主茎第n葉が抽出するときに分げつ第1葉の抽出する節位は第(n-4)節であり, 分げつ節位が1節下位になると葉数が1枚増加し, イネの様な規則性があることが推定された.3) マコモタケが肥大する茎は基本的には肥大終了期に葉数8枚以上になる茎であることが示された.本実験では最終主茎葉数19.3枚のとき第8節以下の分げつであった.このような茎では伸長節間数がイネと同様4〜5節あり, マコモタケ内には最上位抽出葉まで2〜3節, その先に2〜3節あった.4) 葉数が8枚未満のものはイネでいう「遅れ穂」的なものであり, 肥大開始が遅れることがわかった.5) 第3節以上の分げつでは上位節分げつほどマコモタケが小さかった.これは, マコモタケ肥大茎の伸長茎部の節間数が4〜5節で一定であることから, 上位節分げつほど根の発生する不伸長茎部の節数が少なくなり, 地中からの養分吸収量が少なくなることによると思われた.6) 1株苗数1本〜5本植えの範囲では苗数が多いとマコモタケ数が多くなるが, 30g以上の大きなマコモタケの比率が小さくなった.7) 3本植えまでは全マコモタケ数が多いため, 大きなマコモタケ数も多くなった.しかし, 5本植えになると大きなマコモタケの比率の減少を全マコモタケ数の増加が補えなくなることによって, 大きなマコモタケ数および重さが減少した.これは, マコモ栽培上好ましくないと思われた.
著者
山本 由徳
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会四国支部紀事 (ISSN:0915230X)
巻号頁・発行日
no.22, pp.5-11, 1985-12-25

水稲の主稈の第2〜12節の各節1節にのみ分げつを残して,節位別の分げつの生産力を調査するとともに,対照(無処理)区との生育・収量を比較した。一次分げつの発生から止葉展開および出穂まで日数は,残存節が上位節ほど短くなり,主稈葉数は多くなったが,一次分げつの葉数は威少した。そして,それに伴って二次以上の分げつ発生数が低下し,穂数が少なくなって穂重は劣った。しかし,一次分げつ穂重および二次以上の分げつの平均1穂重,さらに主稈穂重には分げつ残存節の影響がほとんど認められなかった。また,対照区では主稈の第2〜11節に分げつが発生したが,処理区の同節位の一次分げつにくらべて,発生から止葉展開および出穂まで日数は短くなり,栄養生長量は劣ったが,とくに第6節以上の差が大きかった。一方,各処理区の株当り穂重は,穂数の差によりいずれも対照区にくらべて劣ったが,1穂重の増加により穂数にくらべて穂重の低下割合は小さかった。また,対照区にくらべて各処理区の1穂重の増加割合は主稈>一次分月>二次以上の分げつの順に大であった。そして,対照区の節位別一次分げつ穂重は,上位節ほど軽くなる傾向にあり,節位による差異がみられなかった処理区と著しく異なった。以上により,主稈の節位別分げつの生産力は穂数の差により下位節分げつほど高いが,節位による1穂重の差は小さいことが明らかとなった。また,主稈の1節にのみ分げつを残存させた場合には節位にかかわりなく対照区にくらべて1穂重が重くなり,また,有効分げつ歩合も高くなる傾向がみられたことから,少数の主稈節に分げつを確保することによって増収する可能性が示唆された。
著者
下村 道子 高橋 ユリア 渡辺 雄二 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.87-94, 1988-06-20
被引用文献数
1

郷土料理,行事食の中の汁物の特徴を検討するひとつの方法として,クラスター分析を行った。汁物は「週刊朝日百科・世界の食べもの」日本編から選びだし,だし汁の主な材料,実の主な材料,主な調味料,汁の実の量の各項目について,地域別の類型化を試みた。分析過程において,非類似度の定義および距離の更新によってクラスターの形態は変化するが,それぞれのクラスターの融合過程を検討し,各要因と関連づけていく方法をとった。それによって以下の結果が得られた。だし汁の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部,関西〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,九州〕は,さまざまなだし汁の材料を使用しており,かつ,だし汁を使用しないものも多かった。〔関東,中国,四国〕は,だし汁を使用しないものが多かった。〔北陸,中部,関西〕は,昆布だしが多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。実の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,関西,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関西,九州〕は,魚介類と野菜類が多かった。〔関東,中国,四国〕は,魚介類が多かった。〔北陸,中部〕は,魚介類と豆類が多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。主な調味料については,クラスター〔北海道・東北,関東,中部〕,〔中国,九州〕,〔北陸,関西,四国〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関東,中部〕はみそと塩が多かった。〔中国,九州〕は,みそとしょうゆが多かった。〔北陸,関西,四国〕は,みそが多かった。〔沖縄〕は,塩が多かった。汁の実の量については,クラスター〔北海道・東北,沖縄〕,〔四国,九州〕,〔北陸〕,〔関東,中国〕,〔関西〕,〔中部〕に類型化できた。〔北海道・東北,沖縄〕は,量が多かった。〔四国,九州〕は,量の多い汁と少ない汁の割合が高かった。〔北陸〕は,量の中位の汁が多かった。〔関東,中国〕は,量の中位の汁と多い汁の割合が高かった。〔関西〕は,量の中位の汁と少ない汁の割合が高かった。〔中部〕は量が少なかった。総合的にみると,関西,中部,北陸地域の汁物は,昆布だしが多く,汁の実の量が少ない。これらの地域から遠くなるに従い,汁の実の旨味を利用したり,さまざまなだしの材料を使った汁物が増す傾向にあり,汁の実の量も多くなった。全国的に汁の実は魚介類が多かった。調味料は全国的にみそが多いが,関西,北陸地域を境にして,みそとしょうゆが多い中国,九州地域と,みそと塩の多い中部,関東,北海道・東北地域に区別された。ただし,沖縄は独特であり,だし汁および実の材料に獣鳥肉類が多く,調味料には塩が多かった。
著者
佐藤 有耕
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.67, pp.155-157, 2004-06

人間学類の就職委員会は目立たない委員会でした。学生問題、カリキュラム、入試などに関わる委員会とは違い、委員長が一人いれば何とかなったそうです。ところがある日、学生にやさしい宮寺晃夫学類長から連絡がありました。人間学類生の ...
著者
久保 宏一郎 藤野 雄一 八木 秀俊 大塚 作一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.10, pp.25-32, 1999-04-16
被引用文献数
6

本稿では, 寝たきりの障害者や高齢者がキーボードを使用することなく電子メールを送受信するためのシステムについて報告する. 本システムにより, 使用者がベッドや自宅にいながらにして外部との情報交換を行うことが可能になる. 文字や各種コマンドの入力に既報告の首振り動作の検出(頭部につけた赤色マーカを追尾)を利用し, かな漢字変換や電子メール機能については, 市販のアプリケーションとのインタフェースの整合性を取るため, 各種APIを利用して主にGUI部分のみを新規に作成した. さらに操作性を改善するため, カメラ位置の補正を自動的に行うキャリブレーション機能を実現した. 実験の結果, 撮像領域内のマーカのずれに対して約30秒でキャリブレーションを完了できることを確認した.
著者
白井 諭 池原 悟 横尾 昭男 木村 淳子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.2353-2361, 1995-10-15
被引用文献数
31

従来、述語間の係り受け関係の曖昧さの問題は、長文解析の精度を低下させる大きな要因であった。この問題を解決するため、日本語の意味的な階層的表現構遺に着目した従属節間の係り受け解析方式を提案し、その効果を示した。言語過程説の立場から見ると、日本語述語の間には書き手が対象をとらえて表現していく階層的な過程が反映していると考えられる。そこで、本論文では、日本語表出過程に着目した南不二男の3段階の階層的な従属節分類を、その意味と形式に着目して詳細化し、主節と従属節の述語を基本分類13種、細分類4種に分類した。そして、それらの階層的な順序関係を手がかりに、述語間の係り受け閣係を決定する方法を提案した。新聞記事972文(述語数含計2,327件、そのうち係り先の暖昧な述語は、661件)を対象とした実験結果によれば、従来の方法では、係り先の曖昧な述語が356件残ったのに対して、本論文の方法では、54件に減少し。、その結果、述語問の係り受け関係の解析において、係り先第1侯補の正解率は、92%から98%に向上した。
著者
Hsan Sai Aung 重永 昌二
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-12, 1990-03-01

本研究はライコムギに出現する分枝穂の型と出現頻度が,遺伝的背景や播種時期の違いによりどのように影響されるかを明らかにしようとしたものである.八倍体ライコムギ!系統と六倍体ライコムギ11品種・系統(Table1)を,5回の異なる播種期により栽培し,その結果出現した分枝穂の種類と頻度を調査した(Table2).分枝穂の種類は,穂軸分枝による分枝穂と小穂軸異常による分枝小穂に大別され,前者にはHay-fork形分枝穂,Y-fork形分枝穂,および止葉節分枝穂が見られた(Fig.1).また後者では出現部位を穂の基部,中央部,および先端部に分けて記録したが,基部に出現する分枝小穂の頻度が高く(Table2う,バナナ形双生小穂,対面双生小穂,密生分枝小穂,輪生小穂,角穂分枝小穂等の分枝小穂が出現した(Fig.1).分枝穂の多くは正常穂よつも一穏当たり小穂数および小花数が優り,着粒数が優っていたものは4品種・系統,劣っていたものは3品種であった(Table3).分枝穂の播種期別出現頻度は9月10日播種の場合が最も高く,2月13日および10月13日播種がこれに次ぎ,11月23日,12月24日播種の場合は低かった(Table2).9月播種の場合は幼穂形成期の日平均気温が約5℃の低温になること,2月および10月播種の場合もほぼ同程度の低温に幼穂形成期が遭遇すること(Fig.2)が分枝穂出現頻度を高くする原因の一つと考えられる.分枝穂の出現頻度は品種や系統により異なり,八倍体系統は六倍体系統よりもその頻度が高かった.また六倍体の4品種にはどの播種期の場合も分枝穂が出現しなかった.これらのことから,ライコムギには幼穂形成期の低温に遭遇することによって分枝穂を形成し易い遺伝的背景をもつものと,それをもたないものとが存在するように考えられた.しかし染色体構成や細胞質の違いと分枝穂の型および出現頻度との間には明瞭な関係は見いだせなかった.
著者
加藤 由美子 串間 美智子 豊瀬 恵美子
出版者
帝京短期大学
雑誌
帝京短期大学紀要 (ISSN:02871076)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-35, 1999-04-26

身体障害者の食生活指導をするため、東京都多摩身体障害者SP利用者の食生活調査を行い、その結果を検討して以下の様にまとめた。(1)SP利用者の1/3は脳血管疾患者であった。(2)SP利用者の運動習慣者の割合は健常者よりも高く、肥満者は健常者よりも少なかった。(3)3食の食事バランスの良い者が50%以上いたが、残りの者は食事バランスも悪く、食事パターンの無い者であった。又、病後の食生活が従来と変わらない者が56%いた。(4)体に障害を持ちながら自分で食事作りをしている者が1/3、一人で食べている者が1/4いた。(5)数量化I類でみて、肥満度の関連の高い因子は、栄養バランスの悪い者と、夕食の食事内容がパターン化してない者、岨嚼の早喰いをする者であった。