著者
堀 圭児 本川 善幸 多田 和也 小野田 光宣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1064-1069, 2002-12-01
被引用文献数
2

大気中においてITO及び金属の電極材料上に製膜する導電性高分子の膜厚を変えることによって接合界面の電子状態の変化を大気中光電子分光法及びケルビンプローブ法を用いて調べた.いずれの電極材料を用いた場合においても,大気中光電子分光法によって評価されたイオン化ポテンシャル(IP)の変化は界面から約10nmまでの領域で起きており,それ以降の膜が厚い領域では導電性高分子本来のIPに収束した.また,界面近傍でのIPの変化の度合は,電極材料の仕事関数に依存性を示した.一方,ケルビンプローブ法を利用して評価された基準電極と導電性高分子との間に生じる接触電位差と膜厚の関係は,電極材料によって顕著な違いが見られた.
著者
掘鉄郎 相澤 清晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.125, pp.157-162, 2003-12-19
被引用文献数
2

近年,コンピュータが我々の日常生活において常に身近な存在となる,ウェアラブル・ユビキタスなコンピューティング環境が整いつつある.本稿ではこのような環境を想定し,小型なカメラにより個人の体験を記録し続けることで,あたかもユーザーの日記・自伝のようなもの(ライフログビデオ)を簡単に作成するようなシステムの構築を試みている.このシステムでは,小型カメラとマイクロフォンから取得したビデオだけではなく,それと同期をとりながら,ユーザーのコンテキストを推定するために様々なセンサー群からのデータを常時取得することができる.加えて,それらセンサー群のデータとデータベース等とを組み合わせて利用することでユーザーのコンテキストを推定し,それに基づいて取得したビデオを効率的に検索することが可能となっている.One of the characteristics of Wearable/Ubiquitous Computing is that computres are embeded in our life. In such computing environments, digitization of personal experiences will be made possible by continuously recording using a wearable video camera. It can lead to "automatic life-log application". In this paper, we attempt to develop "context-based video retrieval system for the life-log applications". This wearable system is capable of continuously capturing data not only from a wearable camera and a microphone, but also from various kinds of sensors to extract the user's context. In addition, the system provides functions which make efficient video browsing and retrieval possible by using data from these sensors and some databases.
著者
鈴木 道哉 岡 建雄 岡田 圭史 矢野 謙禎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.476, pp.37-43, 1995
被引用文献数
16 3

Basic sector classification Input / Output table were applied to analyze the construction, operation and renewal of office buildings to obtain the life cycle energy consumption and carbon dioxide emission. Total energy consumption is approximately 9 GJ per square meter of floor area by construction, 1.2 GJ per square meter per annum for operation and 0.037 GJ per square meter per annum for renewal. Total carbon dioxide emission is approximately 980 kg per square meter of floor area by construction, 90 kg per square meter per annum for operation and 3 kg per square meter per annum for renewal.
著者
テーシャギットカチョン タードサク 重村 力
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.591, pp.103-109, 2005

1.はじめに チャウプラヤー・デルタにあるその他の地域と同様に、バンコクは独特な開拓手法によってつくられてきた。この開拓手法を通して、居住するのに困難であったデルタの低湿地地帯は、陸と水との調和がとれた環境共生的で豊かな生活空間へと、数百年の歳月をかけて、ゆっくりと変遷してきた。特に水文化から陸・水両立文化への転換期であるラマー4世からラマー5世の治世の間に、開拓の英知が多くみられる。ところが、ラマー5世以後、近代化と共にもたらされたモータリゼーションや近代都市計画などといった、既存風土を無視した思想に基づいた開発の影響によって、現在、その陸と水との調和状態が崩れかけている。このような開発では、陸と水との調和は無視されてきたため、市街地では、水害や都市居住環境問題など深刻な問題が絶えず頻発している。これを解決するために、既存風土に対応しながら熟考されてきた環境共生型居住空間の形成過程を再考する必要がある。バンコク旧市街地における土地形成過程をそのひとつの事例としてとりあげ、それを明らかにすることによって、現代都市計画にとって適切な題材になると考えている。バンコクの背景:アユタヤ時代の前衛都市からタイの首都に発展してきたバンコクの旧市街地はアユタヤの旧市街地と同規模でありながら、都市の基盤整備は完成に至らなかった。1922年の地図分析から、バンコクの第一期の旧市街地以外、すなわち第二と第三期の旧市街地の基盤は低湿地や果樹園地帯の輪郭などが著しく現れていることがわかる。特に、外濠と共にできあがった第三期の旧市街地には1908年まで果樹園が多く存在していた。この転換期に形成された旧市街地を研究対象とした。目的と方法:1922年に王立測量局によって作成された1/5000の地図と1908年に土地局によって作成された1/1000の地籍図を基に、水系地図と、寺院と貴族が所有していた土地を中心とした土地利用地図を作成する。次に、これらの地図を再合成し、3段階の水路網を摘出し、水路と主な土地利用の関係から、各要素が強調された地図を再作成する。最後に水路網と土地の形状などの相互関係を探ることによって旧市街地の土地形成過程を明らかにする。2.バンコク旧市街地の実態 その背景:第二期のバンコク市内において宮殿と寺院の敷地以外、その他平民の住まいの配置が禁じられていた。しかし、第三期の城壁に囲まれない市街地ができた頃には、その戒律が解禁されている。ただ、貴族と寺院の敷地の構成はそのまま受け継がれていた。貴族や僧侶の居住区域と、その使用人の居住区域の2つで構成されていた。また、公安などの理由で、それらの敷地は濠沿いに構えられていた。一方、庶民はその市内の外周に位置する郊外区域で農業を行っていた。広域教士地利用と水系の実態:土地利用は大きく二つに分類できる。一つは貴族と寺院が所有していた土地である。それは、地盤が固められた部分と果樹園のままの部分と分けられる。もう一つは、庶民も含む一般市民が所有していた果樹園である。各土地利用に応じて、水路が形成されていた。それらを大きく四つに分類できる。(1)幹線水路である河川、運河と濠、(2)幹線水路を連結する支線水路、(3)寺院の濠、(4)果樹濠である。狭域的土地と水系の形状と実態:研究対象地の上部地帯において、チャウプラヤー河沿いの土地はそれを軸として形づくられた。また、その低地地帯の土地形状も第二濠よりも、その川からひかれた支線水路を軸にして形づくられた。それに対し、下部地帯では、第二濠を軸として土地が形づくられた。また、短絡運河からその第二濠に並行してひかれた支線水路を軸に土地が形づくられた。貴族が所有していた土地は広く何枚もの果樹園から成り立ていた。それに対し、寺院の土地形状も広いが果樹園と関係なく形づくられた。その貴族と寺院が所有していた土地の周りには細かく分けられた土地が多くみられる。これらの土地形状に深く関わっているのは幹線水路に囲まれている低地地帯の果樹園を支えていた灌漑用水路である。水の供給と排水の機能をもつ灌漑用水路は大きく二つに分類できる。幹線水路からひかれた灌漑用水路とその支線水路からひかれた灌漑用水路である。その灌漑用水路がその他の水路と連結され支線水路へと変化したケースもみられる3.まとめバンコク旧市街地における広域的土地形成過程:市街化区域の土地形成過程において、先に居住区域が形成されたのは、比較的安定した地盤である幹線水路沿いの堤防だとみられる。そして、その堤防の裏手に沿って果樹園が並行に形成されたと考えられる。しかし、新たな幹線水路の着工がない限り、果樹園による土地開拓がより奥へと拡張することは不可能であろう。何故なら、その水の供給と排水が容易に行われないためである。バンコク旧市街地の場合、第三濠の着工によってそれが可能になったと考えられる。狭域的水系と土地形成過程:幹線水路に囲まれた低地地帯をも含むこの旧市街地の土地形成過程は果樹園の開拓によって進行されてきたと考えられる。これを実行するには二つの過程が必要とされる。一つは、水路の連結過程で、もう一つは果樹園の形成過程である。前者の水路の連結過程においては、幹線水路から支線の掘削から始まり、それらを骨格にまた更に水路がひかれる。それらをもう一方の新たな幹線水路からできた骨格水路と連結させるのである。後者の果樹園の形成過程は、二つのステップからなる。完成した一枚の果樹園ができるまでのステップとその後の展開のステップである。第一ステップは、灌漑用水路の発展と共に増加した果樹プロットの拡張で、初段階の土地形成過程に関わったステップである。第二ステップは、その完成した果樹園の土地を分離もしくは融合するステップである。これらのステップはいわゆる、分散している一般市民が所有していた土地、そして貴族や寺院が所有していた大きい土地の形成過程に関係するステップである。また、(1)外濠と短絡運河による大ブロックの設定、(2)第二・第三水路で成り立った水路網による小ブロックの構成、(3)最小ブロックである果樹園単位の構成、といった伝統的かつ漸進的手法の導入によって、利用不可能な後輩湿地から、灌漑・排水網、果樹園、居住地への変容過程が明らかにされた。このプロセスを通し、持続的な都市の創生過程においてデルタに適応できる都市計画へと発展していくことも考えられる。
著者
久保田 尚浩 三村 博美 島村 和夫
出版者
岡山大学
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-21, 1988-02
被引用文献数
2

モモ果実の渋味と土壌水分との関係を明らかにするために,コンテナ植えモモ樹の果実肥大,屈折計示度及びフェノール含量に及ぼす乾燥ならびに湛水の影響を調査した. 1)野性モモ台`武井白鳳'について果実発育第Ⅱ期(前期)と第Ⅲ期(後期)に2週間乾燥処理した.果実肥大はいずれの処理時期とも対照区より劣り,特に後期乾燥区で著しく劣った.屈折計示度は後期乾燥区で最も高かった.全フェノール,不溶性フェノール含量ともに対照区よりも両乾燥区で多かった. 2)寿星桃台,ユスラウメ台及びニワウメ台`山陽水蜜'について果実発育第Ⅲ期に約2週間,乾燥及び湛水処理した.果実肥大は各台木いずれの処理区でも対照区より劣った.屈折計示度は,乾燥処理区では対照区に比べて共台とユスラウメ台で高く,ニワウメ台で差がなかった.湛水処理区ではユスラウメ台で差がなく,ニワウメ台で低かった.全フェノール及び不溶性フェノール含量は,共台とニワウメ台では対照区よりも乾燥処理区で多く,ユスラウメ台では乾燥処理区で少なかった.湛水処理区ではユスラウメ台,ニワウメ台ともに対照区よりも多く,特にニワウメ台で多かった。
著者
渋谷 功 山田 豊一 広田 秀憲 伊東 睦泰
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.259-269, 1979-01-31

1.本研究は,牧草群落における競争をある特定期間に限定するのではなく比較的長期にわたり年数回の剪葉を繰り返えしながら経時的にとらえることにより,群落構造変動のしくみとそれに果す競争の役割を解明しようと企画された。そのため,まずprimary canopyでの競争の初発とその自律的発現因子との関係をイタリアンライグラスを用いた5実験により調べ,ここに第1報とした。2.自律的誘発因子として種子の大小を取りあげた。大粒種子は小粒種子にくらべ胚乳のみでなく胚(幼芽,幼根)についても大きく,また離乳期間内の生長もよく,そのため出芽幼植物の生長にも勝った。出芽率は初めの1週間では小粒種子よりも大粒種子で明らかに高かったが,3週間にはその差は消えた。3.以上の結果をふまえて,大粒種子幼植物と小粒種子幼植物,あるいは早播幼植物と晩播幼植物をそれぞれ単播および混播したところ,LAIがおよそ1前後に達した頃より競争効果がみられ,小粒種子植物は大粒種子植物により,また晩播植物は早播植物により増数的形質について生長が抑圧された。早播植物は競争の結果,単播区の生長より勝ったが,大粒種子植物の場合そのような正の競争効果は明らかでなかった。4.本実験結果に既往の諸報告を加味して考えると,新播牧草のPrimary canopyにおいては,種間,種内を問わず,まず種子の大小や出芽の遅速により自律的に競争が生起するのは明らかである。
著者
小杉 健二
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.12, 2001-10-30

南極氷床上で形成される球状の雪の塊(雪まりも)の形成機構に関連し、吹雪中における雪の塊の形成条件を雪氷防災実験棟を用いて調べた。樹枝状の新雪を用いた実験で、風速が吹雪発生臨界をわずかに越えた時に雪の塊が形成された。
著者
小杉 健二 佐藤 篤司
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.12, 2001-10-30

風が斜交する場合の防雪林の効果を検討するため、雪氷防災実験棟の風洞において、道路と林の模型を用いた吹雪実験を行った。防雪林と風のなす角を変化させた実験を行い、防雪林の吹雪防止効果の角度依存性を明らかにした。
著者
久保田 文人 江川 尚志 日野 浩志 長谷川 聡 長谷川 亨 加藤 聰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.437, pp.55-60, 1999-11-19
被引用文献数
4

多様な要求に応じてユーザにカスタマイズしたサービスを提供するためには、ルータやスイッチ等のネットワーク機器の振舞いをユーザがプラグラミングすることを可能とするアクティブネットワークが有望な技術の一つである。これに対して、筆者らはネットワークの高品質化やユーザに提供するQoS (Quality of Service)の差別化への適用を目的として、ストリームコードと呼ぶアセンブリ言語をベースにしたアクティブネットワーク処理系を開発した。開発したアクティブネットワーク処理系は、ストリームコードのアセンブラならびにパケット毎に付加されたストリームコードを実行するストリームコードエンジンから構成される。本稿では、本処理系の実装概要および本処理系を輻輪制御に適用した結果について述べる。
著者
磯野 春雄 安田 稔 三輪 幸司 金山 秀行 山田 千彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.518-525, 1992
被引用文献数
13

メガネが不要な40インチ液晶投与型立体カラーテレビディスプレイ装置を試作した.この装置の特徴は, 左右2台のテレビカメラで撮像した映像を水平方向に1画素毎に縦縞のストライプ像に合成したあと, 1台の高性能液晶ビデオプロジェクタを用いてレンチキュラースクリーンの背面に投与する表示方式にある.この方式は, 液晶ビデオプロジェクタによって投与したストライプ像とレンチキュラースクリーンとの光学的な位置合わせを高精度かつ容易に行うことができる.また, レンチキュラースクリーンとして, 内部が中空構造の高性能なスクリーンを新しく開発した.この結果, 40インチの画面全体にわたって均一で明るく, 鮮明なフルカラーの立体動画像をメガネなしで見ることができた.
著者
佐方 哲彦
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
紀要 (ISSN:03852741)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-12, 1993

The purpose of this study was to investigate adolescents' attitudes or orientations toward love. Two hundred and thirty nine students under age 25 (96 males and 143 females) responded to the Sentence Completion Test (SCT) which consisted of three questions about what to do in situations of love in conflict. Half of the respondents hope to continue associtating with their best girl/boy friend even though their families and friends are against it. When a person is worrying about being attracted to a lover of his/her good friend, almost two in five would like to advise him/her to confess or disclose what he/she feels. However, about 40 percent of the students do not want to accept the feelings of love which a sweetheart of their close friend expresses to them. Some sex differences were found; for example, male students seem to be more involved in loving than females.
著者
大川 耕一 安藤 英浩 福元 暁 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.25-29, 1999-04-23
被引用文献数
1

W-CDMA 5fMHz帯域における3マルチコード多重による2-Mbps伝送特性をハードウェアフェージングシミュレータを用いる室内実験により測定した. SF=4と小さいためにパス数か増大するにつれてマルチパス干渉で特性が劣化するものの, マルチパス数が2の時に2ブランチアンテナダイバーシチ, 2フィンガ/アンテナRake受信を用いることにより所要E_b/N_0=約8dBで平均BER=10^<-6>以下を実現できることを示した.
著者
樫木 勘四郎 野原 光夫 藤本 貴 矢野 裕明 中村 博行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.395, pp.159-164, 2006-11-22
被引用文献数
2

本稿では,コグニティブ無線に適用可能な無線ビームスイッチング方式について,無線周波数利用効率の観点から,Web閲覧時のレスポンスタイムを評価関数として検討を行った.スイッチング方式とは,基地局間のリンクにおいて,1つの周波数帯域を周波数分割するのではなく,全帯域を対向する基地局間で時分割で共用する方法である.ネットワーク構成は,単純なトポロジーから2段接続,3ブランチの場合も検討を行った.その結果,ビームスイッチングを行うと,固定割当よりもレスポンス特性が良くなり,ユーザの周波数利用効率の観点からは有用であることが明らかになった.ビームスイッチングアンテナの開発も平行して行っており,通信装置も含めたシステム全体の特性についても今後検討を行っていく.