著者
佐藤 守俊
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

本研究では,研究代表者が現在までに開発してきたゲノムの光操作技術とは全く異なるコンセプトに基づいて新しいゲノムの光操作技術を開発する.さらに,この光操作技術を用いることで,マウスの生体(in vivo)での全く新しい細胞標識技術を開発する.本技術により生体内での様々な細胞の動態を解明できるようになれば,生命科学の諸分野や再生医療,がん医療等に与えるインパクトは計り知れない.
著者
佐藤 真一 LIU HONG 佐藤 真一 LIU HONG
出版者
国立情報学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-03-08

2021年度には、証明可能な深層学習の枠組みについて検討を行う。次いで2022年度は、説明可能かつ頑健な深層学習の枠組みの検討を行う。最終年度である2023年度は、全体を総合し、証明可能・説明可能・効率的・頑健な深層学習の枠組みを構築する。その枠組みの実用性の検証のため、マルチメディア検索並びに人物再同定を対象として、この枠組みが実際に効果的に機能することを示す。
著者
谷口 尚平 (2023) 谷口 尚平 (2021-2022)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-03-08

深層学習に代表されるような大規模で複雑な統計モデルの応用を進めるためには、統計モデルに含まれる大量のパラメータを効率よく推論するための技術が不可欠である。本研究では特に、深層ニューラルネットワークを活用した償却推論と呼ばれる技術を用いて、潜在変数モデルや強化学習における統計モデルの推論を効率よく行うための手法の開発を行う。この研究は、深層学習のような大規模なモデルを実世界応用にスケールさせるための重要な基礎技術となることが期待される。
著者
新倉 雄一
出版者
城西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

卵巣は女性に美と健康をもたらす器官ですが、その機能を司る卵胞は加齢によって消失します。新たに卵胞を形成することで卵巣の機能を維持したり、若返らせたりすることが理論上可能です。しかし、その具体的な方法はまだ確立されていません。この研究は、卵胞形成になくてはならないStra8という分子の働きを人為的に制御する方法を確立し、この分子を標的とする治療によって卵巣の機能再生と老化現象の抑制が可能となるのかを検証します。この研究が成功すれば、卵巣を若い状態に保つことで、健康的に年をとることを可能にし、また妊娠とキャリアの両立といった社会で活躍する女性の生き方に新たな選択肢をもたらすことが期待されます。
著者
キタイン アルマンド
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

マイクロ波-水熱及び炭素系触媒のアプローチを活用して、200 ℃ のより穏やかな条件で酸化グラフェン (GO) を還元することに成功した。還元された GO は、糖 (例え:グルコース、フルクトースなど) を 5-ヒドロキシメチルフルフラール (5-HMF) などの有用な生成物に変換する際に高い触媒活性を示し、50% 以上の収率が得られた。 rGO に Fe や Cu などの金属イオンをドープすると、触媒活性がさらに向上した。出発物質としてのフルクトースへの影響は、グルコースよりも有意であることが観察された。反応機構を解明し、コンピュータシミュレーションによりパラメータを計算した。
著者
福村 一成
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

事前調査でレンガ造り構造物遺跡のうち東南アジア(タイ、カンボジア)に多くみられる(低温の)焼成レンガ遺跡では塩害による劣化が報告されているがその範囲・程度は、日干しレンガ遺跡建造物に比較して限定的であった。これは東南アジアでは雨季に乾季中にレンガに蓄積した塩分が洗脱されること、さらに降雨侵食対応した焼成レンガ(日干しレンガより塩分結晶成長による劣化を受けにくい)が用いられていることが報告されている。それに対し、乾燥・半乾燥地域(南西アジア〜北アフリカ)の遺跡では日干しレンガ(焼成していない)日干しレンガを使った遺跡構造物が多くみられ、その構造物基底部(地表面近く)で塩類集積による日干しレンガの劣化が報告されている。日干しレンガの塩害実験を行うために模擬日干しレンガの作成を行った。文献にある日干しレンガ材料の情報、土質(砂混じり粘土)、補強材料(スサ、麦わら)と現地の日干しレンガ作成過程の写真を参考に、日本家屋の土壁施工職人からアドバイスを得つつ、20×10×30cmの模擬日干しレンガ(乾燥密度1.5Mg/m3)を作成して電気浸透験の供試体とした。電気浸透による水分、塩分移動実験では電極に白金メッキしたラス電極を用いた。実験結果から塩分移動量と印加電圧、印加時間、電流の条件と水分、塩分移動量の関係を解析した。その結果、水分、塩分移動量と消費電力量に有意な相関関係を得ることができたが、当初予想した印加時間、印加電圧初期塩分量と水分、塩分移動量の間に有意な関係を見出すことはできなかった。また初期含水量の大小は水分、塩分の移動量に顕著な影響を与えるとの結果が得られたが、統計的に有意な関係を得るには至らなかった。以上の結果から、除塩に電気浸透を利用できる可能性を示し、除塩量の指標として消費電力量が有用であることを示した。しかし、初期水分量を大きくすることで移動量が大きくなることが指摘ができたものの、日干しレンガの含水量のコントロールと除塩の関係については十分な知見を得るに至らなかった。
著者
脇谷 草一郎
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

地盤とつながった状態で置かれている磨崖仏や露出展示された遺構では、石材や土などの材料表面で塩が析出することで、材料表面の破壊がしばしば引き起こされる。とりわけ、磨崖仏や装飾古墳のように、材料表面に彫刻や装飾が施されているものでは、表面一層の滅失は文化財的価値を大きく失うことになる。塩析出による遺構の劣化を抑制するためには、塩析出を抑制する温熱環境を実現するとともに、遺構表面に濃集した塩を除去することが効果的と考えられることから、本研究では遺構に含まれる塩分を効果的に除去する手法の開発を試みる。
著者
新津 富央 伊豫 雅臣 橋本 謙二 橋本 佐 佐々木 剛 小田 靖典 木村 敦史 畑 達記 井手本 啓太
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

注意障害を伴う精神疾患(気分障害、注意欠如/多動性障害:ADHD)患者を対象に、生体サンプル採取と注意機能測定とを行い、血液中のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)濃度と注意機能との関連を探索した。その結果、血清中GDNFは成人ADHDにおける注意障害の病態に関連している可能性が示唆された。また、血清中GDNFはうつ病と双極性障害における臨床的重症度と関連していた。血清中GDNFは、ADHDや気分障害のバイオマーカーになる可能性が示唆された。
著者
新津 富央
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

薬物治療中かつ抑うつ状態にある気分障害(双極性障害及び大うつ病性障害)患者において、血清中グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)濃度が健常者よりも低下していることを報告した。この知見に基づいた本研究の目的は、①治療抵抗性気分障害における血清中GDNFのバイオマーカーとしての可能性を、縦断的観察研究により探索すること、②GDNFを治療抵抗性気分障害の新規治療ターゲットとして捉え、GDNF発現増強作用を有する既存薬の効果を自主臨床試験により探索することである。本研究により、治療抵抗性気分障害の病態解明と新規治療薬開発への応用が期待される。
著者
杉野 健太郎
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

デビュー作『楽園のこちら側』の「すべての神は死に、すべての戦争は戦われ、そして人間への信頼はすべて揺らいでいる(中略)心に神はいなかった」という「失われた世代のマニフェスト」は「罪の赦し」(1924)というカトリック教会からの離脱物語まで続く。しかし、翌年の代表作『グレート・ギャツビー』(1925)で私がモダンな信仰と呼ぶような近代的信仰が成立する。モダンな信仰とは、近代的の啓蒙思想の流れにあり、アメリカのポジティヴな思想などとも通底する世界と自己に関する楽観的信仰であり、現在もよりどころとされる人権思想とも深く関わっている。しかし、その信仰も次作『夜はやさし』(1934)では失われてしまう。
著者
前田 綾 宮脇 正一 大賀 泰彦 中川 祥子 古川 みなみ 上村 修司 井戸 章雄 日野 沙耶佳
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、胸焼けなどの不快感と求心性の内臓知覚とストレス物質の動態に着目し、食道内酸刺激で産生されるメディエーターおよびストレス物質の動態などの神経免疫学的観点からブラキシズムの発症メカニズムを解明することである。また、求心性知覚神経を介した胸焼け等の不快感を自覚させる食道知覚とストレス物質の動態が咬筋活動を増加させることに着目し、ブラキシズムの発症のメカニズムを解明する。これらが明らかとなれば、上部消化器疾患と精神疾患およびブラキシズムに関する難治性の病因について新たな知見を提供して新規治療方法の開発に繋がる可能性があり、患者のQOL向上ひいては健康寿命の延伸に繋がると考える。
著者
渡辺 能行 尾崎 悦子 松井 大輔 小山 晃英 栗山 長門
出版者
京都先端科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

過敏性腸症候群は腹痛や腹部不快感、便通異常を主症状とした消化器症状が持続、または寛解と増悪を繰り返す機能性消化管障害の一つである。これまでの国内外の研究では偏りのある有病症例が対象となっていて罹患率や罹患のリスク要因も全く検討されていないので、主として臨床症状に基づいた診断の国際基準である「RomeⅢ」日本語版質問紙票を用いた調査が既に5年前に実施されている40~74歳の一般京都府民3,910人において再調査を行い、その罹患率と罹患に関わるリスク要因を前向き研究として実施する。
著者
大野 正夫 山本 裕二 畠山 唯達 田尻 義了 渋谷 秀敏 加藤 千恵 足立 達朗 齋藤 武士 桑原 義博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、地磁気の強さの「永年変化」を用いた過去3500年間(縄文時代後晩期以降)の遺跡・遺物の年代の決定方法を確立する。そのため、従来あまり利用されてこなかった土器片・甕棺・瓦などを主な資料とし、新手法である「綱川―ショー法」を用いて地磁気強度の推定を行い、地磁気強度変化の標準曲線を構築する。この地磁気強度永年変化曲線は東アジアの遺物・遺跡の新たな年代指標となると考えられる。
著者
谷口 彰
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

複雑な実世界環境に適応するためにロボット自身における不確実な事象や知識に対する効率的な環境や人とのインタラクションの実現は,重要な喫緊の課題である.本研究では能動的に環境内を動き回り,人に問いかけることで知識獲得していくロボットの実現を目指す.そのため計算論的神経科学の分野で提唱されている自由エネルギー原理に基づく能動的推論をロボットの場所概念学習に適用する.こうした統一的な理論枠組みを基盤に自在な質問生成によるロボットの知識獲得を実現することで,人とロボットの言語的インタラクションおよびロボットによる生活支援のために大きく貢献する.
著者
上條 信彦 宇田津 徹朗 高瀬 克範 田中 克典 米田 穣 宮田 佳樹 田崎 博之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、環境激変に脆弱な北日本に導入されたイネの自然環境に対する適応過程および文化的な選抜過程を品種と栽培・加工技術の観点から生物学的・考古学的に解明することを目的とする。具体的には、出土イネ品種に関する本研究独自の分析技術を駆使して炭化米の形態・DNA分析、脂質・炭素窒素同位体分析、および本州最北端における水稲農耕開始期の遺跡発掘調査を通じて、これまで不明確であった本州最北端の水稲導入後の文化変容を探るとともに、品種の歴史的展開と、耕起や施肥、調理などの技術的革新の時期や内容を明らかにし、日本列島の稲作展開モデルの構築を目指す。
著者
松沢 哲郎 杉山 幸丸 藤田 和生 友永 雅己
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、アイ・アキラと名づけられた「言語」習得訓練を受けてきた2頭のチンパンジーと、未経験の若いチンパンジー4頭の計6頭のチンパンジーを主たる対象として、チンパンジーのもつ認知機能を「シンボル操作」の階層構造という視点から捉え、ヒトとの比較において理解することを目的とした。シンボルの操作は、まさにヒトをヒトたらしめているきわめてヒトに特異な能力だからである。シンボル操作のトピックスとしては、ストループ効果(視覚シンボルのもつ言語的意味と知覚的見えのあいだの相互作用)について検討した。人工言語習得の研究を継続してきたアイ17歳、アキラ17歳と、さまざまな見本合わせ課題の経験をもつ4頭のチンパンジー(ペンデ-サ16歳、クロエ13歳、ポポ11歳、パン10歳)を主たる対象として、ヒト幼児からおとなまでを対象とした比較研究により、以下に述べるシンボル操作の階層性を実験的に分析した。シンボル操作を検討する汎用の実験装置は、コンピューター本体に、ハイパータッチとよばれる新しいタッチパネルシステムと画像処理装置を組みあわせた刺激提示・反応記録装置をもちいた。そのために必要なインターフェスについては自作した。シンボル操作と概括する上述の高次認知機能をひきだす場面は、具体的には見本合わせ場面(同一見本合わせ、象徴見本合わせ、構成見本合わせ、遅延見本合わせなど、およびそれらの複合課題)である。10色を色名図形文字と色名漢字の両方で表現できるようにチンパンジーを訓練し、ストループ干渉の予備実験をおこなった。
著者
原 百合恵
出版者
玉川大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

2型糖尿病治療薬のメトホルミンは、AMPK(AMP-activated protein kinase)の活性化により肝臓での糖新生を抑制し血糖値を低下させるが、効果が十分に得られない場合も多い。申請者は、クエン酸摂取はメトホルミンの効果とは逆に肝臓での糖新生を亢進させ血糖値を上昇させることを明らかにしてきた。クエン酸とメトホルミンは拮抗的な作用を持つことから、クエン酸摂取がメトホルミンの効果を減弱させる可能性がある。本研究では、糖尿病モデルマウスを用いて、クエン酸摂取がAMPK活性化を抑制しメトホルミンの作用を減弱させるか検証し、メトホルミンと相互作用する食品成分を提示することを目的とする。
著者
尾関 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、「分子状水素水を用いた間質性肺炎(IP)に対する新たな治療法の開発」である。本研究ではマウスによる肺線維症モデルおよびIPの一因であるARDSモデルを用いて、分子状水素水のIPに対する治療効果とそのメカニズムを系統的に分析する。分子状水素の活性酸素(ROS)に対する防御機能や、Nrf2を介したヘムオキシダーゼ(HO)-1、制御性T細胞(Treg)の誘導機能により、IPやARDSが制御されることが期待される。
著者
市江 雅芳 関 敦仁 関 和則 半田 康延 藤居 徹 山本 澄子 大澤 治章
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、治療的電気刺激が片麻痒患者の歩行能力を改善するメカニズムを、筋音図・筋電図・動作解析を用いて明らかにすることが当初の目的であった。しかし、測定用マイクロフォンの質量が大きく、慣性による雑音が生じることが判明した。これは根元的な問題であるため、片麻痺患者の歩行動作時筋音図測定は断念せざるをえなかった。そこで、臨床研究は治療的電気刺激の効果確認に留め、測定システム更新後の布石として筋音図の基礎的な研究を行うこととした。1.2チャンネル表面電極式電気刺激装置を用いて、慢性期脳卒中患者5名に対し治療的電気刺激を行った。刺激部位は、大腿四頭筋および総腓骨神経で、交互刺激を1回15分間、一日2回行った。治療期間は約3ヶ月であった。その結果、歩行速度に改善が認められ、膝伸展力にも増加が認められた。2.筋音図計測の基礎実験を健常被験者で行った。大腿直筋および外側広筋、内側広筋を対象に、筋電図および筋音図の特性の違いを検討した。その結果、筋電図よりも筋音図において、膝の回旋肢位による違いが鮮明に現れることが判明した。また、筋電図は収縮力の増加に伴い比例的に積分筋電図が増加する現象が確認されたが、筋音図は、最大膝伸展の80%において、積分筋音図が減少する現象が認められた。3.次に等尺性筋収縮時における筋音図と筋電図の周波数特性を比較検討した。膝関節伸展時の大腿直筋の筋活動を、筋質図と筋音図により測定し、これらをFourier変換とWavelet変換を用いて周波数解析を行った。その結果、筋電図は筋の電気的活動そのものをとらえているが、筋音図は筋コンプライアンスの変化に伴う筋の固有振動周波数の変化をとらえていることが判明した。4.今後、質量の少ない筋音図測定装置を開発すれば、脳卒中片麻痺者の歩行が治療的電気刺激によって改善する筋に関する要因を明らかにすることが出来ると考えられる。