著者
山田 浩之
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.453-465, 2013-12-30

教員政策や教員養成制度の改革は教員に対する不信と批判、とくに「教員の資質低下」を前提に実施されてきた。しかし「教員の資質低下」は恣意的に用いられ、客観的資料によって十分に検証されていない。本稿では教員の不祥事の統計などにより資質低下の根拠が希薄であることを指摘する。さらに教員による養成制度や職場環境の評価を明らかにし、教育政策が教員の魅力を低下させ、それが資質の低下をもたらす可能性を検討する。
著者
浅川 伸一
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.149-162, 2017-03-31 (Released:2017-06-07)
参考文献数
68

Brief introduction about current trends in deep learning was intended, including such as convolutional neural networks, and regions with convolutional neural networks. They have features as end-to-end, general purposes, and implementable based on recent advances in computer science. Object recognition of convolutional neural networks overwhelmed human performance. This tidal wave might give deep impact on all the areas in psychology.
著者
高橋 有記 大西 雄一 松本 英夫
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.5-9, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Developmental Disorder includes, Pervasive Developmental Disorders, Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Learning Disorders listed in DSM-IV-TR. Moreover, Intellectual Disabilities are thought to be included in this criteria. Although Developmental Disorder was classified into a big category of “Disorders Usually First Diagnosed in Infancy, Childhood, or Adolescence” in DSM-IV-TR, it is classified into a big category of “Neurodevelopmental Disorders” due to DSM-5 in May, 2013. In this article, we explain the outline of the “Neurodevelopmental Disorders”, and the clinical characteristics of Autism Spectrum Disorder, Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, and other disorders due to DSM-5.

4 0 0 0 OA 公理的集合論

著者
渕野 昌
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.411-421, 2013-10-25 (Released:2017-03-10)
参考文献数
19
著者
伊藤 修毅 朴 恵貞
出版者
日本福祉大学子ども発達学部
雑誌
日本福祉大学子ども発達学論集 = THE JOURNAL OF CHILD DEVELOPMENT (ISSN:18840140)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-62, 2017-01-31

本研究ノートは, 主に知的障害児・者を対象としたセクシュアリティ教育の変遷をまとめたものである. 資料を整理した結果により, 4 つの時代に区分した. 1 つ目は「黎明期」と呼べるもので, 山本直英が萌芽的実践を結集し, 1 冊の本を出版するに至った. この本の執筆者たちが, "人間と性" 教育研究協議会障害児サークルを結成し, 実践的研究を進めている. 2つ目は, 「第一次発展期」と呼べるもので, 世論にも後押しされ, 障害児・者のセクシュアリティ教育の実践が発展していった. 3 つ目の時期は, 「バックラッシュ期」と呼べるもので, 障害児へのセクシュアリティ教育を糸口とする教育内容への政治的介入から始まる. その後, 12 年にわたる法廷闘争の間は, 障害児・者への性教育実践の停滞期となった. 4 つ目の時期は「第二次発展期」と呼べるもので, 七生養護学校事件の最高裁判決後の時期である. 加えて, 障害者権利条約を批准したことも大きな影響を与えている.
著者
柴田昌吉 著
出版者
日就社
巻号頁・発行日
1873-01-01
著者
早坂 洋史 森田 克己 松岡 龍介
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement, pp.57-58, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

図形認識力における男女差は、よく知られているにも拘わらず、その理由は必ずしも明白ではなかったように思われる。A.Peaseらは、彼らの著書『話を聞かない男、地図が読めない女』の中で、人は性によって異なった構造の脳、いわゆる男脳と女脳を有しているとし、その構造の違いにより種々のシチュエーションでの行動パターンが異なっているとしている。例えば、一般的に女性は男性に比べ地図を読むのが苦手だったり、方向音痴だったりするのは、この脳の構造の違いによるものとしている。もしこれが本当ならば、特に図形を取り扱う図形科学系の授業でも、この男脳・女脳を考慮しての教授法の展開が必要となってくると考えられる。本報告では、A.Peaseらが提案している、男脳・女脳テストを紹介すると共に、男脳・女脳テストを著者らが所属する大学で実施した結果につき述べる。男脳・女脳テストの被験者数は、三つの大学で合計257名 (男109名、女148名) であった。テスト結果の点数により、男脳・女脳の分布図を作成した結果、男脳・女脳のオーバーラップ域 (150~180点) に約1/3の学生が含まれること、この範囲を男脳側に20点広げ、130~180点とすると、約半数が含まれること、男性のみの傾向としては、男脳側の130点と90点にピークを有すること、女性のみの傾向として、オーバーラップ上限値の180点と男脳域の100点の両方に二つのピークを有することなどがわかった。また、北海道大学社会工学系の学生 (男35名、女10名) の傾向と上述の全体傾向との比較の結果、約8割弱は男性であるにも拘わらず、オーバーラップ上限の180点にピークを有し、80~230点までの広範な学生層であることなどが明らかになった。今後の課題としては、男脳・女脳テスト結果と図形科学の成績や切断面実形視テスト (MCT) の点数などとの関連性、専攻の違いによる男脳・女脳テスト結果の違いや傾向、などについての詳細な検討は、今後の課題である。
著者
大井 一弥
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.498-503, 2019-10-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
12
被引用文献数
3

目的:薬剤師は,患者の薬歴,症状,検査値を把握することで患者の服用支援に努め,医薬品適正使用を推進していく責務がある.本邦は,超高齢社会の最中にあり,65歳以上の高齢者の割合が総人口の4分の1を超えている.高齢者はさまざまな疾患に罹患しやすくなり,必然的に薬剤の服用数が増え,ポリファーマシーが問題となっている.今回我々は,薬剤師による疑義照会がもたらすポリファーマシー是正効果について検討を行った.方法:2018年9月から同年11月までの3カ月間,在宅または外来において疑義照会が行われた65歳以上の患者を対象とした.対象患者の性別,年齢,疑義照会による処方変更の有無,疑義照会前後の薬剤総数,処方変更があった場合には4週間以降の症状の変化について検討した.結果:疑義照会対象患者は361例で,年齢は80歳代が最も多かった.処方改変のあった患者数は,349例で全体の96.7%であった.疑義照会前の薬剤数は,7.2剤であったが疑義照会後は6.0剤となり,平均薬剤数1.2剤減少となった.また,6剤以上処方されているポリファーマシー患者が疑義照会前の67.3%から疑義照会後53.7%へと有意に減少した.高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015にある,特に慎重な投与を要する薬物に対する提案は,33.7%であった.疑義照会による処方提案後,4週間以降の症状の変化は,変化なしが84.5%であった.結論:本研究によって,薬局薬剤師は疑義照会により高齢者のポリファーマシーに積極的に介入し,処方提案による薬剤数の減少を明らかにした.さらに,減薬の提案の中で,フィジカルチェックや検査値に基づいて行ったものもあり,今後,薬局薬剤師が疑義照会の質を上げるためにも検査値の情報は,重要なツールになるものと考えられた.
著者
中島 栄之介
出版者
奈良学園大学人間教育学部
雑誌
人間教育 = Online Journal of Humanistic Education (ISSN:2433779X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.211-219, 2018-09

特別支援学校における人権教育について、兵庫県立A特別支援学校での実践例をもとに検討した。特別支援学校における人権教育は在籍する生徒が差別を受けてきていると同時に差別をする側にもなるという特徴がある。しかし、これまでの特別支援学校の人権教育は性教育などの男女共生教育が中心であり障害者差別を取り上げることは少なかった。A特別支援学校では継続的に人権教育を行うことを目的とし、人権教育の実践を積み重ね障害者差別を題材として取り上げるまでに至った。生徒にとって障害者差別を取り上げることは生徒にとって過去自らが受けてきた差別と向き合うことであり、自身の障害と向き合うこと、さらに今後受けるであろう差別と向き合うこと、そして、自らの持つ差別性と向き合うことでもあった。また、人権教育を継続していくためには、組織やシステムを構築するとともに組織やシステムを動かしていく人材の育成も継続的に必要であると考えられた。
著者
井田 貴子
雑誌
表現文化
巻号頁・発行日
vol.7, pp.108-134, 2013-03
著者
斉藤 邦史
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.127-138, 2018 (Released:2018-11-08)

本稿では,私人間におけるプライバシーの法的保護を再検討することにより,以下の考察を得た。第一に,信頼関係に基づく情報の分配状況は,個人の自律的な選択により実現する状態としてのプライバシーそのものなのであり,米国では信認義務の法理による保護の拡張が模索されている。第二に,私人間でプライバシー外延情報の「適切な管理についての合理的な期待」を保護する日本の判例法理は,当事者間の信頼関係に基づく情報の分配状況を保護法益と捉えるものであり,信認義務の法理と共通する側面がある。第三に,情報の「適切な管理」に関する事業者の義務を,信義則に基づくものと理解するならば,秘密保持義務だけでなく,情報開示義務をも基礎付けることができる。
著者
池田 緑
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 = Otsuma journal of social information studies
巻号頁・発行日
vol.15, pp.39-61, 2006

女子大学の教育目的には、「地位形成機能」と「地位表示機能」が存在するといわれてきた。しかし男女共同参画社会の趨勢のなかで、女子大学には改めて「地位形成機能」の充実が求められている。しかしながら目を転じれば、女子大学では古風な性別役割観が再生産され、家父長制的価値観に学生を回収しようとする企図も、いまだ根強く残っている。そのような企図は、女性へのセクシャルなまなざし、ミソジニー(女性嫌悪)と共に存在している。同様な視点は女子大学を取り巻く環境にも、また女子大に勤務する教員にも共有されている。家父長制的価値観は、女子学生の「成功不安」を喚起し、学生の自己評価を貶め、男性依存への道を準備する。その結果、女子大学においては「地位表示機能」が重視され、そのことが彼女らを学問から遠ざけてしまう。このように伝統的性別役割観が再生産され、学生たちの学問への動機が奪われてゆく過程は、一種の「温室効果」に似ている。そのような状況を打ち破るためには、「温室」を、ジェンダーの政治が露見する「戦場」に作り変える必要がある。そのためには、最初に男性教員を中心に、ジェンダーを克服することが、学生自身に学業の意義を理解させるための第一歩であり、そのような学問が社会的需要とも合致していることを理解することが必要である。そのような認識の共有のためには、男性教員をジェンダーに意識的にするための制度作りが必要である。そしてすべての授業において、ジェンダーの視点から男性中心の学問体系を再構築することが求められており、その結果として行われる教育は「女性支援教育」と呼ばれるにふさわしいものとなるだろう。

4 0 0 0 OA 出版年鑑

著者
東京書籍商組合 編
出版者
東京書籍商組合
巻号頁・発行日
vol.昭和5年, 1930
著者
松本 珠希 後山 尚久 木村 哲也 林 達也 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1011-1024, 2008-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
50
被引用文献数
3

月経前症候群(premenstrual syndrome; PMS)は,身体・精神症状から社会・行動上の変化に至るまで広範囲にわたる症状が,黄体期後半に繰り返し出現し,月経開始後数日以内に軽快するという特徴をもつ.種類や程度,継続する期間を問わなければ,性成熟期女性の大半が何らかのPMS症状を自覚しているといわれているが,その成因はいまだ明らかにされていない.本研究では,PMS症状のレベルが異なる女性を対象に,"体内環境の恒常性維持に寄与し,心の状態にも影響を及ぼす"とされる自律神経活動の観点から月経前の心身不調の発症機序について探求することを試みた.正常月経周期を有する20〜40代の女性62名を対象とした.実験は卵胞期と黄体後期に各1回行った.月経周期は,月経開始日,基礎体温および早朝第一尿中の卵巣ホルモン・クレアチニン補正値を基準に決定した.自律神経活動は,心拍変動パワースペクトル解析により評価した.月経周期に伴う身体的・精神的不定愁訴および行動変化は,Menstrual Distress Questionnaire (MDQ)により判定した.MDQスコアの増加率に応じて,被験者をControl群,PMS群,premenstrual dysphoric disorder (PMDD)群の3群に分け,卵胞期から黄体後期への不快症状増加率と自律神経活動動態との関連を詳細に検討した.PMS症状がないあるいは軽度のControl群では,自律神経活動が月経周期に応じて変化しないことが認められた.一方,PMS群では,卵胞期と比較し,黄体後期の総自律神経活動指標(Total power)と副交感神経活動指標(High-frequency成分)が有意に低下していた.PMDD群では,黄体後期の不快症状がPMS群よりもいっそう強く,自律神経活動に関しては,他の2群と比較すると卵胞期・黄体後期の両期において心拍変動が減衰,併せて,すべての周波数領域のパワー値が顕著に低下していた.PMSは,生物学的要因と・心理社会的要因が混在する多因子性症状群であり,その病態像を説明するさまざまな仮説が提唱されてはいるが,統一した見解が得られていないのが現状である.本研究からPMSの全貌を明らかにすることはできないが,得られた知見を考慮すると,黄体後期特有の複雑多岐な心身不快症状の発現に自律神経活動動態が関与することが明らかとなった.また,PMDDのようなPMSの重症例では,月経周期に関係なく総自律神経活動が著しく低下しており,黄体後期にいっそう強い心身不調を経験するとともに,月経発来後も症状が持続するのではないかと推察された.