著者
曹 婷
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.416-431, 2007 (Released:2018-01-06)
参考文献数
31

Xi’an is one of China’s most historically and culturally renowned cities and is well known for its preservation and maintenance of local historical sites. During the 1990s three representative historical streets, Shu Yuan Men, Bei Yuan Men and De Fu Xiang were restored. By focusing on the management of these three streets this paper examined the present state of Xi’an’s conservation strategy.The author introduced the history and origin of these streets, as well as their conservation plan. Due to oversights in the conservation philosophy and unscientific techniques used in the reconstruction, the residents of these streets now face many problems.From data collected in June 2005, the author examined in detail the conservation of the three streets, changes in the local population make-up, the operation of local stores, and references interviews with locals and residents of Si He Yuan traditional housing. Through this examination, the author demonstrated that the attempt at conserving these historical streets was unsuccessful given that the small alterations to the landscape only caused more problems for the local residents.By referring to information gained from Japanese conservation strategies, the author proposed several solutions. For example: private initiative conservation, intensive studies of architectural criteria and character, and other recommended improvements to the restoration process.
著者
中野 倫靖 後藤 真孝 平賀 譲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.227-236, 2007-01-15

本論文では,歌唱力を自動的に評価するシステム開発の第1 段階として,ポピュラー音楽における歌唱力の「うまい」「へた」を,楽譜情報を用いずに自動的に識別する手法を提案する.従来,訓練された歌唱者の歌唱音声に関する音響学的な考察は行われてきたが,それらの研究は歌唱力の自動評価に直接適用されたり,人間による評価と結び付けて検討されたりすることはなかった.本論文では,聴取者の歌唱力評価の安定性を聴取実験によって確認し,そこで得られた結果から歌唱音声に「うまい」「へた」をラベル付けして自動識別実験を行った.そのための特徴量として,歌唱者や曲に依存しない特徴であることを条件に,相対音高とビブラートの2 つを提案する.聴取実験では,22 人の聴取者を被験者とし,聴取者間の評価に相関があった組の割合は88.9%(p < .05)であった.また,600 フレーズのラベル付けされた歌唱音声に対して識別実験を行った結果,83.5%の識別率を得た.
著者
白井 暁彦 久米 祐一郎 津田 元久 畑田 豊彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.77-84, 1997-02-03 (Released:2017-06-23)

3次元ディスブレイによって生成された物体との対話において、視覚に加えて触覚や力覚情報の人間への提示が重要である。本研究では皮膚の2点に振動刺激を与えることによって生じるファントムセンセーションを用いて、把持時の疑似力覚の提示を試みた。小型の工具を把持する際に指・手掌部との接触握部に振動子を組み込むことにより、刺激素子の装用感が少ない状態で、皮膚に振動刺激を与えることが可能である。本報告では指・手掌部の振動刺激に対する皮膚感覚の受容特性、静的や動的ファントムセンセーションの生起条件等を明らかにした。また2つの振動子と、PSDを用いた光学式3次元位置検出法と組み合わせ、力学的なバランス感覚も提示できる3次元画像との仮想対話作業ツールを試作した。
著者
志水 太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.2133, 2020-11-10

生坂政臣先生門下の鈴木慎吾先生のご本が出たということで,とても楽しみに拝読させていただきました.千葉大学の総合診療科は「診断推論学」を屋号にされることからも,最近では同門の鋪野紀好先生も診断学の探求を中心に同分野の本を出版されるなど,日本の診断学シーンを牽引される総合診療科だと思います.読後,その伝統のエッセンスが本書に満ち満ちていることが実感できました. 本書が画期的であり,また多くの若手にとって希求の書である理由は何でしょうか.それは,外来診療の診断学の原則論に言及した本であることが第一と感じます.鈴木先生は本書を通して何を伝えられたかったのかを考えました.それは,多面において教育リソースの限られた日本の臨床教育現場において,最も難しいセッティングの1つである外来での診療における指導・学びの羅針盤を提示されたかったのではないか,と想像します.外来・救急・病棟という“3大臨床現場”のうち,キャリアの初期であまり立つことができないのが外来です.(おそらく)日本の多くの現場では,2年間の臨床研修を終え,3年目になれば外来の枠を持たされることが多いです.連続性のある病棟のケアとは異なり,リアルタイムでの即応性が求められ,かつ外来と外来の「ドット」同士をつなぐような非連続の時間軸で勝負していかなければならないのが外来におけるケアの難しさです.臨床実習の学生や臨床研修の初期臨床研修医は,制度上外来に立つことが多くなってきた現在,一方ではそこの訓練に必要な指南書は国内にほぼ存在しません.そこに登場したのが本書というわけです.そして,皆が潜在的に期待していた「型」が提示され,しかもそれが症状ごとにアレンジされた型であれば,これに比肩する書籍もそうないのではないかと感じます.
著者
内海 彰
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第17回全国大会(2003)
巻号頁・発行日
pp.195, 2003 (Released:2004-02-03)

本研究では,文学に用いられる比喩がどのように詩的効果を喚起するのかについて,その認知機構を提案する.そして比喩の解釈として得られる創発特徴が詩的効果の喚起過程にどのように関わるのかを,心理実験の結果とともに論じる.
著者
佐藤 節子 水枝谷 幸恵 日野 陽一 於保 孝彦
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.117-125, 2007-04-30
被引用文献数
5

容易に入手できるペットボトルや缶入り飲料の種類は多岐にわたる.われわれはう蝕予防の観点から62種類の飲料のう蝕誘発性に関する4つの要因,すなわち飲料のpH,中和に要するアルカリ量,う蝕細菌Streptococcus sobrinusによる酸産生および接着性不溶性グルカン合成を評価した.その後,4つの評価で得られたスコアを統合してう蝕誘発性リスクのレーダーチャートを作成した.その結果,炭酸飲料,スポーツドリンク,果・野菜汁および乳飲料のpHは,エナメル質脱灰の臨界値5.5より低かった.それらの飲料の中和には多量のアルカリが必要であり,特に果・野菜汁の中和には最も多くのアルカリを必要とした.また, S. sobrinusとの反応の結果,天然水飲料,無糖茶飲料および無糖コーヒー以外の飲料は, 5.5以下のpHを示した.さらに調査した飲料の半数が,接着性不溶性グルカンを産生した.レーダーチャートの評価により,全飲料は4つの特徴的なパターンに分類された.このレーダーテャートを用いて,茶飲料や天然水飲料等の低う蝕誘発性飲料とその他の高う蝕誘発性飲料を容易に区別することが可能であった.以上の結果から,われわれは飲料の潜在的なう蝕誘発性について認識する必要があること,そしてそのリスクについてのレーダーチャートは飲料の特徴を認識するのに有用であることが示唆された.
著者
片岡 洋右 山田 祐理
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.18-21, 2015 (Released:2015-03-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1 1

EXCELによる分子動力学プログラムを開発した.採用した分子模型はレナードージョーンズ関数である.実行方法,結果の読み方,設定条件の入力の仕方などを示した.ワークシートから系の状態を規定する温度と数密度を与える.熱力学量の他にニ体相関関数,積算配位数,平均ニ乗変位,速度自己相関関数,自己拡散係数などが計算できる.プログラムはEXCEL worksheet として付録に示される.
著者
Pradeep Khatri Hiroaki Ooashi Hironobu Iwabuchi
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
pp.2020-038, (Released:2020-10-22)
被引用文献数
5

Aerosol effects on deep convective cloud (DCC) have been recognized as one of the complex subjects in climatic studies because of the difficulty in quantifying the sole effect of aerosols on DCC. The complexity further arises if the atmosphere has very strong temporal and spatial variations such as that of Indo-Pacific Warm Pool (IPWP) region. Considering the strong influence of IPWP region on global climate change and water circulation, we investigated aerosol effects on DCC over this region by using data of 2015-2016 El Niño and the 2017-2018 La Niña events. We developed a spectral analysis based framework to identify and decouple the influences of major external factors on aerosol-DCC relationship. We found that temporal variations of aerosols, clouds, and meteorology longer than 2 days' time scale can have larger influences than their diurnal and spatial variations on aerosol-DCC relationship. By removing the effects of those spatial and temporal variations of different scales, the study suggests that aerosols of IPWP region can affect DCC properties with time lags less than ∼5 hours and by increasing cloud-top height, cloud coverage, and DCC number concentration with the increase of aerosols.
著者
藤田 茂 平尾 智広 北澤 健文 飯田 修平 永井 庸次 嶋森 好子 鮎澤 純子 瀬戸 加奈子 畠山 洋輔 大西 遼 松本 邦愛 長谷川 友紀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.95-104, 2020-07-31 (Released:2020-11-11)
参考文献数
48

医療従事者の働き方改革は,医療従事者の健康や幸福だけでなく,医療安全の向上にも寄与すると推測される。本研究は,コメディカルの労働量と医療安全に関するアウトカムとの関係を明らかにすることを目的とした。1964年1月から2018年8月までに出版された医中誌Web収載の文献と,2008年8月から2018年8月までに出版されたPubMed収載の文献を対象に,システマティックレビューを行った。その結果,看護師の労働量に関する文献を26件,薬剤師の労働量に関する文献を2件,その他の文献を7件得た。それらの文献には,システマティックレビューが7件,対照群のある観察研究が28件含まれ,無作為化比較試験は無かった。コメディカルの労働量の多さが患者の死亡率に負の影響を与えるという明確なエビデンスは得られなかった。一方で,看護師の労働量が多いと,与薬エラーや集中治療室における院内感染症が増加する可能性が示唆された。
著者
相川 博 榎日 出夫 友田 靖子 高田 弘幸 山内 俊雄
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.195-203, 2000-10-31 (Released:2012-07-17)
参考文献数
12

TVアニメ「ポケットモンスター」視聴時に発作性症状を呈して医療機関を受診した175名 (平成9年度厚生科学特別研究対象症例) のうち、98名について、その後の経過について追跡調査を行い、発作性症状の出現と脳波所見との関連について検討することができた。脳波所見をもとに一般脳波で突発性異常波を示し、かっ光突発反応がみられたI型、一般脳波で突発性異常波がなく光突発反応がみられたII型、脳波異常のみられなかったIII型に分類した。その結果、I型に分類された35名のうち4名に光感受性発作、7名に自発発作の出現がみられた。自発発作のみられたもののうち3名は「ボケモン視聴時」以前にはてんかんの既往はなかった。II型に分類された18名のうち自発発作は1名のみで、4名に光感受性発作の出現がみられた。III型に分類された23名では、てんかんの既往のある1例のみに自発発作がみられた。追跡調査期間中に光感受性発作のみられたものは、すべて未服薬者か、たまたま怠薬していた者であった。
著者
アーヴィング・バビット 著
出版者
改造社
巻号頁・発行日
vol.上, 1939
出版者
育徳財団
巻号頁・発行日
vol.巻第1, 1941