著者
塩谷 芳也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.157-169, 2014-03-17 (Released:2017-02-28)

Th purpose of the study is to examine the impact of received social support on the mental health of victims of the Great East Japan Earthquake. An Internet survey was conducted on September 9, 2011. Participants were victims of the disaster aged 18-69 years who lived in Miyagi prefecture (N=1,000). Depression was measured using the Japanese version of K6. Types and times of social support received within one month from the earthquake were measured. Samples were divided into lightly damaged victims (n=781) and severely damaged victims (n=219). Statistical analyses showed that cases who received "psychological encour-agement" tend to have depression after half a year of the earthquake only in the case of lightly damaged victims. Controlling for stressful events such as the death of family members and depression in the one month following the earthquake, psychological encouragement maintained a significant effect on depression for half a year from the earthquake. The mechanism that produced this correlation was explained in terms of the ambiguous and unstable identity of lightly damaged victims of the disaster.
著者
中東 靖恵
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.72-87, 2011-03-31 (Released:2017-05-01)

日本国内では,戦後,全国共通語化をはじめとする言語変化が顕著となったが,日本から遠く離れた海外日系移民社会ではどのように日本語が継承され変容しているのか.本研究は,かつて筆者が行った広島市および山陽地方におけるアクセントの世代的地理的動態に関する一連の調査研究に基づき,パラグアイの日系社会に暮らす広島県人家族を対象に調査を行い,日本語のアクセントの継承と変容の実態と,それに関わる諸要因を明らかにするものである.本稿では,2拍名詞,3拍名詞,4拍名詞,外来語,3拍形容詞を取り上げ,アクセントの世代的動態を中心に考察を行った.調査の結果,移民1世の持つ広島方言の伝統的アクセントは,2世・3世にもよく継承されている一方で,変容も認められた.特に世代的変動が顕著である語の多くが,広島方言で見られる共通語化と同じアクセント変動であり,パラグアイ日系社会の日本語に,日本の日本語と同様な言語変化が認められることは特筆すべき事実である.1980年代以降に始まる日系移住地のインフラ整備や日本との人的交流の活発化,日本語教育環境の充実,メディアを通じての日本の日本語との日常的接触は,移住地における日本語の維持・継承と新しいアクセントの獲得に寄与したものと考えられるが,一方で,アクセントの曖昧化・アクセント型の消失傾向も認められ,この傾向は,今後,スペイン語への言語シフトとともに,進行していくと思われる.
著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
吉井 稔雄 桑原 雅夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.653, pp.39-48, 2000-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

本研究は, リアルタイムの交通情報提供が交通状況に与える影響について, 考察を加えるとともに, その評価方法を提案し, 実際の道路ネットワークと交通量を用いた試算を行うものである. 簡単なネットワークを用いた考察を加え, 需要が変動すると, 場合によっては情報の提供が逆効果になるということを確認した. 都市内の道路ネットワークを対象として, 情報提供効果を試算する方法を提案し, 実ネットワークと実交通量を用いた試算を行った. その結果, ODパターンに変化がある場合には情報提供効果が認められるが, 平常時に関しては, 渋滞の立ち上がり時に効果が得られるものの, その他の時間帯については効果がほとんど期待できない等の知見を得た.
著者
向井 洋子
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (政治学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6372号)
著者
岩崎 亘典 和山 亮介
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

地図タイルとはWeb上で地理空間情報を利用するために最も一般的なデータ形式である。本研究では、この地図タイルのDeep Learningで活用することを試みた。まず、旧版地形図の地図タイルからConvNetにより土地利用分類図を作成した。次に、Conditional GANを用いて様々なタイル画像の変換を試みた。地図タイルはDeep Learningのとして有効であることが確認できた。
著者
鈴木 健司
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.172-145, 2013-03-15

「宮沢賢治文学における地学的想像力」というテーマのもと、「文学部紀要」を中心に十一本ほどの論文を継続的に書き、単行本『宮沢賢治文学における地学的想像力―〈心象〉と〈現実〉の谷をわたる―』(蒼丘書林、二〇一一年)として上梓した。しかしその後、新たに書き足したいテーマがあらわれ、調査、研究を続けてきた。それがまとまったので、「補遺二題」として発表することにした。第一章は、〈種山ヶ原〉に関し、賢治の岩石認識に異なりがあることを明らかにした上で、それが、〈種山ヶ原〉の体験時期の異なりや、その体験で受けたイメージと深い関連があることを指摘し、そのことが賢治文学の想像力の展開を考える切り口になるのではないか、という主旨である。第二章は、賢治テクストにあっても実在しない〈鬼越山〉を取り上げ、これまで、〈鬼古里山〉を想定していた先行研究に対し、〈燧堀山〉こそが〈鬼越山〉に当たるのではないか、という新見解を提示し、立証する。
著者
中山 心太
雑誌
夏のプログラミング・シンポジウム2011報告集
巻号頁・発行日
pp.7-10, 2012-01-06

ITの現場で運用されているプログラムは、正常系が2割、異常系8割程度の比率で記述されている。C言語などの既存言語ではプログラムフローの制御と、エラートラップが同一の記法(if文)で記述されており、静的解析においては区別がつかない。そのため、新たにプロジェクトに配属された人にとっては、運用されているコードを読んでも、正常系も異常系も同様に見えてしまい、プログラムの動作を把握するのが難しい。そこで、テストコードは正常系と異常系が仕様書から定義できるため、テストコードを用いてプログラムの動的解析を行うことによって正常系のみを効率的に抽出し、正常系のみを表示するエディタを提案する。これにより、短期間にプログラムの動作を把握することができ、プロジェクトの開発効率の向上が期待できる。
著者
西岡 拓哉 北 和之 林 奈穂 佐藤 武尊 五十嵐 康人 足立 光司 財前 祐二 豊田 栄 山田 桂太 吉田 尚弘 牧 輝弥 石塚 正秀 二宮 和彦 篠原 厚 大河内 博 阿部 善也 中井 泉 川島 洋人 古川 純 羽田野 祐子 恩田 裕一
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

背景・目的東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、原子炉施設から多量の放射性物質が周辺地域に飛散・拡散し土壌や植生に沈着した。地表に沈着した放射性核種が今後どのように移行するか定量的に理解していくことが、モデル等により今後の推移を理解する上で重要である。重要な移行経路の一つとして地表から大気への再飛散がある。我々のグループのこれまでの観測で、山間部にある高線量地域では、夏季に大気中の放射性セシウムが増加していることが明らかになっている。夏季の森林生態系からの放射性セシウム再飛散過程を明らかにすることが本研究の目的である。観測2012年12月より浪江町下津島地区グラウンドにおいて約10台のハイボリュームエアサンプラーによって大気エアロゾルを高時間分解能でサンプリングし、Ge検出器で放射能濃度を測定している。この大気エアロゾルサンプルの一部を取り出し化学分析及び顕微鏡観察を行っている。2015年よりグラウンドおよび林内で、バイオエアロゾルサンプリングを月に1-2回程度実施している。また、感雨センサーを用い、降水時・非降水時に分けたサンプリングも行っている。200mくらい離れた林内でも同様の観測を行っている。さらに、パッシブサンプラーによる放射性核種の沈着フラックスを測定するとともに、土壌水分と風速など気象要素を自動気象ステーション(AWS)にて、エアロゾル粒子の粒径別濃度を電子式陰圧インパクタ(Electric Low-Pressure Impactor, ELPI)、黒色炭素エアロゾル濃度および硫酸エアロゾル濃度をそれぞれブラックカーボンモニタおよびサルフェートモニタにて連続的に測定している。結果と考察2015年夏季に行った観測と、そのサンプルのSEM-EDS分析により、夏季の大気セシウム放射能濃度は炭素質粒子濃度と正相関していることが分かった。夏季には粒径5μm程度の炭素質粒子が多く、バイオエアゾルサンプリングとその分析の結果、真菌類の胞子、特にキノコが主な担子菌類胞子が多数を占めていることが分かった。但し、降水中には、カビが多い子嚢菌類胞子がむしろ多い。大気粒子サンプルの抽出実験を行った結果、夏季には放射性セシウムの半分以上が純水で抽出される形態(水溶性あるいは水溶性物質で付着した微小粒子)であることもわかった。そこで、2016年夏季には、大気粒子サンプル中の真菌類胞子の数密度と大気放射能濃度の関係を調べるとともに、キノコを採取してその胞子の放射能濃度を測定して、大気放射能濃度が説明できるか、また大気粒子サンプルと同様に、半分程度の純水抽出性を持つか調べた。その結果、大気放射能濃度と胞子と思われる粒子の個数とは明瞭な正相関を示し、降水時には子嚢菌類が増加することが示された。また、採取したキノコ胞子の放射性セシウムは、半分以上純水で抽出され、大気粒子サンプルと同様に性質を示すこともわかった。但し、採取した胞子は放射能は高いものの、それだけで大気放射能を説明できない可能性がある。
著者
高橋 雄介 山形 伸二 星野 崇宏
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.63-76, 2011 (Released:2011-08-29)
参考文献数
119
被引用文献数
4 4

Research has shown that personality traits have strong predictive validity for economic variables (e.g., income, work attainment) and epidemiological variables (e.g., longevity, physical health), as well as for psychological variables such as problem behaviors, and mental disorders. Importantly, personality traits are predictive even after controlling for socioeconomic status and cognitive abilities. The authors believe that current personality research in Japan almost completely overlooks this perspective. In this article, the authors review these new trends in personality psychological research. They propose a model for research involving A (accurate assessments), B (big samples), C (controlling for covariates and confounders), D (developmental trajectories), and E (economic and epidemiological variables). They outline three future directions to embody personality psychology for prediction, prevention, public wealth, and population health.

4 0 0 0 OA 自識録

著者
西村茂樹 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1900
著者
中西副松 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1902
著者
井上操 著
出版者
井上操
巻号頁・発行日
1922
著者
楠戸義昭著
出版者
PHP研究所
巻号頁・発行日
2006