著者
中川 博雄 伊東 潤一 岡田 昌之 岩村 直矢 今村 政信 北原 隆志 佐々木 均 室 高広
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.176-181, 2019-05-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
6

病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤に対して,これまでに管理方法や微生物汚染の実態を複数施設で調査した報告はない.そこで本研究では,長崎県病院薬剤師会感染制御ワーキンググループの会員施設で協力が得られた3施設を対象に,病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤の衛生管理に関する聞き取り調査および微生物汚染の実態調査を行った.さらに,病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤の開封後の使用期限について検討する目的で,基剤の異なる代表的な軟膏剤やクリーム剤に手指の常在微生物を塗布する評価法を用いて,微生物汚染までの期間を調査した.その結果,3施設いずれにおいても軟膏剤やクリーム剤の衛生管理マニュアルは整備されていなかった.また,微生物汚染の実態調査では,3施設の軟膏剤やクリーム剤128個全てで微生物汚染は認められなかった.さらに,実験による評価では,基剤の違いや防腐剤の有無に関わらず,6か月間にわたり軟膏剤やクリーム剤で微生物汚染は認められなかった.よって,処置用の軟膏剤やクリーム剤は直接素手で採取しないなどの衛生管理に注意を払えば,開封後6か月間まで使用可能であることが示唆された.
著者
和田 哲也
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.10-16, 1986-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
28

The practical characteristics of Iai and Kenjutsu are quite distinct when they are phenomenally judged. In Iai, on the whole, unsheathing the sword is the most important technique and great weight is given to the process of unsheathing it. In Kenjutsu, on the other hand, the technique begins after unsheathing the sword and taking a certain posture (kamae). So we can regard the relation between the two as “mihatsu” (before unsheathing) and “ihatsu” (after unsheathing).Closer investigation, however, reveal that Iai has “kata” not only of “mihatsu”but also of“ihatsu”in the case of “tachiai” (initial moving from standing posture), and that Kenjutsu also has its own techniques to unsheathe the sword. Thus these two martial arts, in which to use the Japanese swords, have the technique in common with each other. But, the main purpose of Iai is to cope with emergencies in daily life, so the point of view was directed to various, broad aspects of daily life, and in Kenjutsu, the point of view was directed only to the aspects of fighting after taking a certain posture. On that point these two were remarkably different from each other.Iai and Kenjutsu, after Ede era, had tendency to develop in their own way and to specialize as well. But on account of this, there appeared reversed thought that these two should be regarded as compensating each other.
著者
程 近智
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.30(1988-IS-019), pp.1-10, 1988-05-17

今日の情報システムは単に業務の自動化、効率化を目指したものではなく、経営戦略を実践に移す際の有効かつ不可欠な手段である。いかに経営戦略に適応した情報システムを構築するかは、今や企業にとって大きな課題であり、競争優位性を保つための重要なポイントとなっている。METHOD/1はこのような背景を踏まえた高品質な情報シネテムをスケジュール通りに、予算内で構築する方法、手順、技法を明確化したトップダウンアプローチ型の体系的システム化方法論である。本報告では、METHOD/1の構成と主な特徴を概説するとともに、筆者の経験より、システム化方法論を実践に生かすために重要と思われるポイントを述べた。
著者
日下 渉 初鹿野 直美 伊賀 司 小島 敬裕 宮脇 聡史 今村 真央 日向 伸介 北村 由美 新ヶ江 章友 青山 薫 小田 なら 田村 慶子 岡本 正明
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

世界各地の国家と市民社会は、性的マイノリティに対して「黙認」「抑圧」「矯正」「支援」など多様な対応をとってきた。なぜ国家と市民社会による性的マイノリティへの対応は、かくも多様なのか。一般に西洋では、民主主義と自由な市民社会が性的マイノリティの権利拡大に寄与するとされる。しかし東南アジアでは、性的マイノリティの権利要求は、民主主義体制のもとで何十年も放置されたり(フィリピン)、暴力的な弾圧されたり(インドネシア)、一党独裁制や軍政の下で進展を見せたり(ベトナム、タイ)、権威主義体制下で限定的に認められることもある(シンガポール)。このように、性的マイノリティの権利拡大の異なる程度は、政治体制の違いや市民社会の自由度からでは説明できない。本研究では、諸国家と市民社会による性的マイノリティへの異なる対応は、国民国家の正統性を支える「象徴」として、彼女/彼らがどのように利用されているかによって説明できるのではないかと仮説を立てて研究してきた。本年度は、6月にアジア政経学会において「アジアにおける性的マイノリティの政治:家族・宗教・国家」と題したパネルを開き、田村慶子が台湾とシンガポールについて、伊賀司がマレーシアについて、宮脇聡史がフィリピンについて、それぞれの事例を報告した。10月中旬には合宿を行い、2日間にわたってメンバー全員が報告を行い、共通の課題について徹底的に議論した。10月末には、マレーシアからPang Khee Teik氏 、インドネシアからAbdul Muiz氏を招いて、国際ワークショップを開催した。翌年2月にも、マレーシアからtan beng hui氏、フィリピンからJohn Andrew G. Evangelista氏、オーストラリアからPeter A. Jackson氏、タイからAnjana Suvarananda氏を招聘して、国際ワークショップを開催した。
著者
高橋 洋子 安藤 友里恵 山口 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】 新潟県内の家庭で親しまれてきた郷土料理のうち、これまで研究の対象にされたことが殆どなかった&lsquo;くじら汁&rsquo;に着目した。地域や世代による喫食経験や喫食状況を明らかにするとともに、その背景について検討することを目的とした。<br>【方法】 2012年10~12月に、新潟県内在住の男女を対象にアンケート調査を行い、868名の回答を年代・性別・居住地域に分けて分析した。<br>【結果】 &lsquo;くじら汁&rsquo;について、新潟県内の次のような状況が明らかになった。(1)認知・喫食状況:認知度・喫食経験度とも若い世代ほど低く、70歳以上では全員が「食べたことがある」のに対し、19歳以下では認知度が48%・喫食経験度は21%であった。なお、喫食回数は全ての年代で減少傾向にあり、喫食経験者の62%が「以前に比べて食べる回数が減った」と回答した。これらのことから、鯨肉の流通状況の変化が&lsquo;くじら汁&rsquo;の認知・喫食状況に影響を及ぼしている様子が示唆された。(2)嗜好性:性別では男性に、年齢では年代が高いほど、好まれる傾向にあった。独特のにおいと油っぽさ、食感などにより、好き嫌いが分かれ、喫食経験者のうち「好き」は46%、「嫌い」は24%であった。(3)具材と喫食時期:塩くじらのほか、新潟市周辺では&lsquo;なす&rsquo;、中越地方では&lsquo;ゆうがお&rsquo;が多く使われ、夏に食す人が多かった。一方、下越地方の阿賀町では&lsquo;うるい&rsquo;(山菜)を使用し、春に食す人が多くみられ、地域による使用具材の特徴と、それを反映した喫食時期が明らかになった。今後は、他県の&lsquo;くじら汁&rsquo;と比較するなどして、新潟県の郷土料理としての&lsquo;くじら汁&rsquo;の実態を明らかにしていきたい。
著者
石井 正則
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.419-420, 1984-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
1

Although the author reported a one-hand ligation method previously two disadvantages were noted later; firstly it required complicated manipulation, and secondly the thread would be prone to severing because of frequent tangling. The new method presented here using two hands is simple quick and secure, and can be used as easily as the conventional methods.
著者
村尾 忠廣 疇地 希美
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.74(1998-MUS-026), pp.31-38, 1998-08-07

本研究では次の3点について明らかにする。1)60?90年代の日本のポピュラーソングのリズムを日本語の音数律にしたがって統計分析し、年代ごとのパターンの特徴を示すこと。分析の中心は3文字文節が拍節的にどう処理されてきたかという問題で、これは小泉文夫によってすでに提起されていたが、今回あらたに変形2(詰め込み型)を設けて分析、このパターンが90年代の特徴という結論をえた。2)90年代のもう一つの特徴は弱化モーラのシラブル化が外国語のような日本語の歌をつくりだしたことだといわれる。しかし、1音多文字のシラブル的な歌はすでに大正年代の歌にもみられることであり、そのこと自体は中高年世代にとっても難しいことではない。問題は、変形詰め込み型とシラブル化が同時におこり、それによって「配字シンコペーション」がおこってきたことである。そのパターンの頻度を調査すること。3)そうした分析結果ともとに、理論的に90年代の「配字シンコペーション」を作り出し、中高年世代がこれをどう歌うか実験をこころみることである。
著者
Ikuo Miura Masataka Tagami Takeshi Fujitani Mitsuaki Ogata
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
Genes & Genetic Systems (ISSN:13417568)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.189-196, 2017-08-01 (Released:2018-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1 6

The present study reports spontaneous tyrosinase gene mutations identified in oculocutaneous albinos of three Japanese wild frog species, Pelophylax nigromaculatus, Glandirana rugosa and Fejervarya kawamurai. This represents the first molecular analyses of albinic phenotypes in frogs. Albinos of P. nigromaculatus collected from two different populations were found to suffer from frameshift mutations. These mutations were caused by the insertion of a thymine residue within each of exons 1 and 4, while albinos in a third population lacked three nucleotides encoding lysine in exon 1. Albinos from the former two P. nigromaculatus populations were also associated with splicing variants of mRNA that lacked either exons 2–4 or exon 4. In the other two frog species examined, missense mutations that resulted in amino acid substitutions from glycine to arginine and glycine to aspartic acid were identified in exons 1 and 3, respectively. The two glycines in F. kawamurai and G. rugosa, and the lysine deleted in one P. nigromaculatus albino, were highly conserved in vertebrates, which suggested that they were situated in regions of critical importance to tyrosinase function. In fact, the glycine of G. rugosa is located within a predicted copper-binding domain. The five mutations identified in the present study are candidates for causing the albinic phenotypes, and, if directly confirmed, they are all unique among vertebrates, which suggests that molecular analysis of albino frogs could contribute to research on albinos in humans and vertebrates by providing new information about tyrosinase structure and transcript processing.
著者
篁 宗一 清水 隆裕 猫田 泰敏
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.73-81, 2015 (Released:2015-04-10)
参考文献数
29

目的 本研究は,新聞紙のテレビ番組表から,自殺およびメンタルヘルスに関する情報を抽出し分析することによってテレビ番組による自殺報道の実態を明らかにすることとした。方法 一つの主要新聞紙から2004~2009年 6 月までのテレビ番組表の紹介欄から情報を抽出した。情報抽出においては,精神保健を専門とする研究者 2 人が独立に判断し,信頼性を保った。分析データは,テレビ番組表内の地上波 6 局の「番組名および紹介」の欄(最終の一面全体,以下紹介欄)を対象とした。「自殺と関連情報について事前に決定した選択基準に沿って抽出を行った後番組内のサブテーマの情報抽出を行った。また体験談の有無など,その他の属性および番組ジャンルや専門性についても情報を分類した。これら収集した情報データは質的な分類を行った他,件数および割合(%)を時系列および属性で比較した。また番組紹介の内容に関する傾向とメディアにおいて,一事例を繰り返し取り扱った番組の分析をそれぞれ行った。結果 期間中コンスタントに自殺を取り扱う番組がみられた。季節は春と秋,曜日は火曜日と水曜日の順であった。同一の事例が繰り返し10回以上報道されたのは 8 ケースであった。自殺のサブテーマとしてはいじめや殺人,うつ病であった。対策なども含み専門性の高い番組は47件(7.6%)で,504件(81%)の番組は専門性の低い番組であった。結論 自殺はテレビ番組で継続的に取り扱われている。番組の動向から,季節や曜日によって変動がみられた。いじめなど注目を集めやすいテーマが多く,専門性が低い傾向にあることが予測された。集中する報道による当事者の二次的な被害も考えられた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1626, pp.2-3, 2018-09-24

中京テレビ放送が新事業創出に向けた取り組みを進めている。2018年5月にはサムライインキュベートと共同で実施したオープンイノベーションプログラムである「CHUKYO-TV INNOVATION PROGRAM」の成果発表会を開催した。このプログラムにおいて中京テレビは、スタート…
著者
Alam Djumali
出版者
山口大学哲学研究会
雑誌
山口大学哲学研究 (ISSN:0919357X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-23, 2011

本稿は、宗教という言葉がいろいろな側面、定義、解釈、見方があって理解しにくくなったいま、改めて「宗教とは何か?」ということを、一定の視点から問い直そうと試みるものである。ここでは宗教は、一方では人間にとっての普遍的な心の機能・メカニズムとして位置づけ、他方では個々の固有な文化現象として捉え、ダイナミックかつ包括的・本質的な視点に依拠する。筆者はそれを、認知宗教学的なアプローチと呼んでいる。こうした課題とアプローチそのものを明らかにするため、本稿の前半では、宗教そのものではなく、宗教と密接な関係にある、次のような人間現象に注目しつつ、宗教との関係を探ってみた。すなわち「宗教と言語」「宗教と芸術」「宗教と国家」「宗教と暴力」「宗教と歴史」「宗教と○○教」である。そしてこれらの考察から、宗教の正体に近づくさらなる試みとして、「宗教の起源」について若干の探究を加えた。本稿の後半では、ある程度の輪郭が見えた、宗教の漠然とした正体とそれに接近する妥当なアプローチと思われる認知宗教学に、一定の具体性を見るため、身近なケースとしての「人と動物との関係」(動物との触れ合いから見る宗教性)について、その実態を幾つかの角度からたどってみた。最後に「宗教とは何か?」という一定の結論を簡潔に提示した。
著者
小野 著
出版者
吉田桂之助
巻号頁・発行日
1887