著者
大槻 美佳
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.179-186, 2009-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

脳梁損傷は,たとえ部分の損傷でも,損傷部位によってさまざまな症状が出現する.脳梁で,機能的に重要でない部位はないといえるほどである.しかし,多くの脳梁離断症状は,日常生活に大きな影響を与えることなしに,数週間で改善する.ただし,中には患者の日常生活に多大な影響を与える症状もある.例えば,行為障害や発話に関する障害である.これらに対しては,その障害の評価と適切なアプローチが必要である.本レビューでは,脳梁損傷によって出現する症状を概説し,その脳梁内の解剖学的な関連部位の最新の知見を提供する.
著者
三浦 太郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.393-401, 1998-03-26

In the Edo period, among Japanese people who went abroad there were some who were keen about the difference between Western and Japanese libraries. Okataro Morita created the word "Shojaku-kwan (or Shoseki-kwan)" in order to express huge scale of the Western library. Then Seiryu Ichikawa used the word to give expression to a new library which would be open to the public and overcome the limit of the previous Japanese governmental library, Momijiyama Bunko, whose use had been restricted to the tycoon as a rule. The idea "Open to the public" was realized in 1875 when the Tokyo Shoseki-kwan was established as a free public library.
著者
清野 昌一 石田 元男 石川 淑郎 塚原 昭二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.335-338, 1960 (Released:2011-10-19)
参考文献数
5

Seventy five mg of DMAE (2-dimethylaminoethanol) was daily administered per os for two months in succession to 7 chronic and deteriorated schizophrenics who had been treated with specific psychiatric therapies and at present so-called schizophrenic dementia. Disturbance of volition shuch as apathy, mutism and motionlessness in bed was remarkably improved. Among 7 cases, 3 were apparently found to be effective, 2 were fairly and 2 were not so effective. Severe insomnia and neurological side-effects were not observed.DMAE (2-dimethylaminoethanol) can be applied to withdraw schizophrenic patients according to motivate the volition for play or work-therapy and to mitigate cares on nursing and ward-management.
著者
山根 ますみ 篠原 修 堀 繁
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.215-220, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
34
被引用文献数
5

長期的にみた場合の景観に対するイメージ形成のメカニズムを解明するための試論として, 東京の自然の代表である武蔵野を取りあげ, 各時代毎のイメージの内容とその変化の過程, イメージ変化と景観変遷との関係, イメージ変化の要因について分析した. その結果, イメージと景観は異なる変化のしかたをしてきたこと, イメージ変化のきっかけとして文学作品などが重要であったことが明らかになった.
著者
小方 芳郎 木村 眞
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.581-594, 1979-07-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
85
被引用文献数
3 8

Metal hypohalites (e. g. NaOCl) can be used not only for selective oxidation and halogenation of organic compounds, but also for oxidative removal of pollutants such as aromatic compounds and surfactants, especially nitrogen compounds which results in the eutrophication of sees and lakes.The present article reviews the properties and oxidative preparation, reactions of hydrocarbons (aliphatic and aromatic), alcohols, aldehydes, ketones, ethers, carboxylic acids, ammonia, amines, amides (including urea), and sulfur compounds (including sulfonic acids) with the hypohalites. On UV irradiation hypohalites delivers atomic oxygen and HO·which are highly active oxidants, thus initiate a chain reaction by abstracting hydrogen atom, and can be used for removal of pollutants. The review emphasizes the mechanisms for hypohalite oxidation and photo-oxidation of compounds polluting waste water.
著者
澤山 郁夫 三宅 幹子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.137-146, 2015
被引用文献数
1

本研究では,ヘビーユーザーが多いことで知られるTwitterにおいて,ヒマさえあれば1日のうちに何度も閲覧してしまう者の心理特性が検討された。大学生を対象に質問紙調査を実施した結果,ヒマさえあれば1日のうちに何度も閲覧する者は,Twitterを利用していない者に比べて,公的自意識や同調志向,自己認識欲求,ネガティブ情報回避欲求について,高い傾向にあることが示された。また,高頻度閲覧者は,直接会うことの多い知人・友人の独り言のようなツイートが気になっていることも示された。これらの結果より,Twitterが身近な他者との同調や自己関連情報の収集を目的として利用されている可能性が示された。ただし,これらの心理特性はいずれも,Twitter利用の有無への影響は示唆される結果となったものの,閲覧が高頻度であるか中低頻度であるかといった頻度間では,明確な差はみられなかった。今後は,高頻度閲覧を規定する別の要因を含めた検討が必要であろう。
著者
平尾 良光
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

1533年に灰吹き法という鉛を用いる銀製錬法が導入され、また1543年に火縄銃という武器がもたらされた。この2つの事実に共通する材料は鉛である。そこで、戦国時代に利用された鉛の産地を明らかにするために、発掘資料の中から、一般資料(分銅、キセル、簪など)やキリスト教用品、各地の戦跡から鉛玉などを得て、鉛同位体比を測定した。その結果、少なくともその40%は中国や東南アジア産などの外国産鉛であった。タイにおける現地調査で東南アジア産の鉛はタイ国カンチャナブリ県のソントー鉱山産(バンコクから北西約250km)であることが判明した。佐渡金銀鉱山や石見銀鉱山で利用された鉛は日本産材料であり、利用されたそれぞれの鉛鉱山が判ってきた。鉄砲玉と銀製錬に利用された鉛の産地が系統的に異なっていることは日本史の中で何を示唆しているのであろうか。
著者
赤倉 康寛 瀬間 基広
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.369-382, 2010 (Released:2010-08-20)
参考文献数
28

中国・インド等の旺盛な資源需要を背景に,石炭,鉄鉱石,穀物等のドライバルク貨物を輸送するバルクキャリアの大型化が,急激に進展している.我が国産業の国際競争力の維持・強化や,より安定した食糧原料の供給のためには,この大型化動向に対する我が国港湾の対応方策を,十分に検討しておく必要がある.一方,ドライバルク貨物輸送は,特定荷主のための不定期輸送であり,その情報は非常に限られている.以上の状況を踏まえ,本研究は,バルクキャリアの大型化動向の分析,我が国港湾施設の輸送船大型化に対する制約状況の把握,大型化による輸送コスト削減効果の算定により,我が国への三大バルク貨物輸送船の大型化に向けた方策について考察したものである.

3 0 0 0 OA 新鹿児島

著者
下園三州児 編
出版者
吉田書店
巻号頁・発行日
1915
著者
杉下 守弘 朝田 隆
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.87-90, 2009 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2
被引用文献数
3

高齢者用うつ尺度短縮版(GDS)の日本版(GDS-S-J)を作成した。作成に際して、質問項目が現在の日本文化からみて妥当であるか否かを検討した。また、聞いて分かりやすい訳語を使用した。さらに、各項目の日本文が長くならないように配慮した。このように、文化的および言語学的妥当性を高めてあるので、実際に用いることができると考えられる。英語版から翻訳された心理検査では文化的妥当性と言語学的妥当性を考慮する必要があるが、同時に英語版との等価性にも配慮する必要がある。これによって英語版のデータと日本語版のデータを比較しやすくなるからである。
著者
落合 教幸
雑誌
大衆文化 = Popular culture
巻号頁・発行日
vol.6, pp.57-68, 2011-09-30
著者
赤瀬 広弥 吉岩 豊三 宮崎 正志 野谷 尚樹 石原 俊信 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.362-366, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
10

【はじめに】Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提言した最尾側腰椎の肥大した横突起と仙骨間に関節を形成し,腰痛を生じる症候群である.今回,Bertolotti症候群に対し横突起切除術を施行した2例を経験したので報告する.【症例】28歳女性と64歳女性.いずれも保存的治療に抵抗性の腰痛があり,単純X線,CTでは片側性に横突起と仙骨翼での関節形成が見られた.両症例とも横突起直上より侵入し,横突起切除術を施行した.1例目では,横突起基部から関節突起間部にかけての視認性が不良であり,横突起基部の切除に難渋した.2例目では顕微鏡を使用し,L5神経根に対して,より愛護的に施行し得た.いずれも術後,症状改善を認めた.【考察】手術的治療には横突起切除術と固定術があり,いずれも良好な成績が報告されている.われわれの症例では,横突起切除術を施行し,症状の改善を認めた.横突起基部の切除には,L5神経根が近接するため慎重を要するが,愛護的な処置のために顕微鏡が有用であった.
著者
酒井 良清 Sakai Yoshikiyo
出版者
神奈川大学経済学会
雑誌
商経論叢 (ISSN:02868342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.87-96, 2018-08-25

論説
著者
陳 秀琴 元島 栖二
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.230, pp.338-344, 2007-11-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

Carbon micro-coils (CMCs) with 3D-helical/spiral structures and coil diameters of orders were obtained by the metalcatalyzed pyrolysis of acetylene at 700-800°C. In this review, the preparation process, morphology, microstructure, properties, and some applications of CMCs are introduced and their future prospect is discussed. The as-grown CMCs have almost amorphous structure, but were graphitized by high temperature heat treatment with full preservation of the coiling morphology. The CMCs could effectively generate inductive electromotive force, inductive current and thus Joul's heat under the application of microwaves. The CMCs/elastic polymer composite elements showed high tactile/proximity sensing properties which are comparable to that of human skin. The CMCs are a possible candidate for electromagnetic wave absorbers, remote heating materials, visualization elements of microwaves, tactile/proximity sensor elements, micro-antenna, chiral catalysts, bio-activators or bio-deactivators, energy converters, etc.
著者
越野 剛
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.43-56, 2001-03-31

ドストエフスキーの作品における人間の心理描写は、フロイト流の精神分析の視点からアプローチされることが多い。しかし作家と同時代の精神医学が創作に与えた影響の方が歴史的には重要である。F.A.メスメルを創始者とする動物磁気説(後の催眠術)は、19世紀にすでに人間の無意識の現象を発見しており、ロマン派の文学や自然哲学に大きな影響を与えた。ドストエフスキーはK.G.カールスの無意識論やホフマン、バルザック、グレチ、V.オドーエフスキー等の文学作品を通じてメスメルの説を知っていた。当時の文学作品に特徴的な催眠術のモチーフは、催眠状態における幻覚や無意識の行為、そして視線の持つ磁気的な力のふたつであった。その点でドストエフスキーの初期作品のひとつ、『主婦』は分析の対象として最もふさわしい。『主婦』のプロットの中心は、3人の主要登場人物、オルドゥイノフ、カテリーナ、ムーリンの間の視線による心理的闘争である。中でもムーリンは邪悪な眼差しの描写で際立っている。ムーリンが催眠術師の役割を担っているとするなら、無意識のままに行為し幻覚を見るオルドゥイノフは催眠をかけられやすいタイプといえる。ただし3 人の力関係は一方的なものではなく、しばしば逆転し、互いに催眠術をかけ合っていると見なすことができる。同じような構図は『白痴』のムイシュキン、ナスターシャ、ロゴージンの関係にも当てはまる。19世紀の中頃、催眠術はオカルト的な傾向を批判され、医学者からは敬遠された。ドストエフスキーは『主婦』や『白痴』の中で、そのモチーフは明かであるにもかかわらず、催眠術の用語を直接には使用していない。一方で『分身』や『虐げられた人々』ではそうした言葉が必ずコミカルな状況で用いられ、テキストにロマン主義文学のパロディーという性格を与えている。ドストエフスキーは催眠術(動物磁気説)のテーマを慎重に扱いつつも、実証主義的・唯物論的な同時代の医学では見逃されるような人間の深層心理を描写する手段として重視していたのである。
著者
榮 昭博 関崎 悦子
出版者
桐生短期大学
雑誌
桐生短期大学紀要 (ISSN:13424076)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.13-17, 2005-12-06

茶の抗肥満効果を検討するため,鶏膵臓から租酵素を調製し,これを用いてリパーゼ活性に及ぼす茶の影響を調べた.その結果,次のことがわかった.1.緑茶,ジャスミン茶は顕著にリパーゼ活性を阻害した(p<0.001).2.ウーロン茶はリパーゼ活性を阻害した(p<0.01).3.プアール茶はリパーゼ活性を高めた(186%).4.緑茶よるリパーゼ活性低下には濃度依存性が認められた.5.緑茶よるリパーゼ活性低下はショ糖,でんぷんの添加では影響を受けなかったが,卵アルブミンの添加によりリパーゼ活性低下が抑制された.また,カゼインの添加ではリパーゼ活性が逆に増加した.6.にがりは顕著にリパーゼ活性を阻害し(p<0.001),そのリパーゼ活性低下には濃度依存性が認められた.