3 0 0 0 OA 合歓の並木

著者
加藤武雄 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1942
著者
辻 寛之 田岡 健一郎
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、フロリゲン活性化複合体の機能を明らかにするためにイメージングと生化学的手法の両面から研究を進めている。まずフロリゲン活性化複合体の極めて高精細な分布を明らかにするために超解像度イメージングを試みた。しかしHd3aプロモーターでHd3a-GFPを発現するイネでは発現量が弱いため高感度な観察が困難である場合が多かった。そこで、維管束特異的で強力なプロモーターでHd3a-GFPを発現するイネを作成し、その茎頂メリステムを観察する実験系を作出した。また、一分子イメージングに適したmNeonGreenとフロリゲンHd3aの融合タンパク質を発現するイネを作成している。並行して、フロリゲンによる核内の状態変化を観察するために、H2B-GFP発現系統の茎頂メリステムの核内の超解像度観察を行った。その結果、H2B-GFPは核内でも核膜周辺に集まる蛍光があり、細胞層依存的に特徴的な核内微小構造を形成することが明らかとなった。フロリゲン相互作用因子の同定のために、イネ培養細胞へのFAC発現ベクター導入と共免疫沈降実験のための条件設定を行った。また、転写メディエーターがフロリゲン直接相互作用因子である可能性を酵母2ハイブリッド法で検証した。シロイヌナズナの28種の構成因子のうち、クローニングできた13種(うち3つは遺伝学的に花成に関与することが知られている)について、Hd3aとの相互作用を調べた。しかし、有意な結合は観察されなかった。また、フロリゲン活性化複合体の重要な構成因子であるフロリゲン受容体14-3-3タンパク質についても解析を行った。茎頂メリステムのプロテオーム解析から14-3-3タンパク質が茎頂メリステムに高蓄積していることが明らかになり、またその機能欠損が花成遅延を引き起こすことが明らかとなった。
著者
小野 永貴
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

新学習指導要領では学校図書館を利用した学習内容の記述が増加したが、学校図書館単独では高度な教育内容へ全て対応することは困難な場合も多い。そのため、図書館連携による資料やサービスの補完が注目されるが、学校図書館と公共図書館の連携に関する事例調査は多数あるものの、学校図書館と大学図書館の連携に関する研究は少ない。そこで本研究は、図書館における高大連携の実態を明らかにすることを目的とし、調査を通して連携形態の類型化を行った。本研究期間では、対象を国立大学附属学校の一部に絞り、公開されている学校要覧やオンライン資料の調査、実地訪問および聞き取りを実施した。その結果、主に以下のような連携形態が確認された。(1)附属高校生に対する大学図書館利用権の発行による、附属高校生の自主的な大学図書館活用(2)附属高校教員が教材資料を大学図書館で収集したり、授業のための団体貸出・学内配送等の授業支援(3)附属高等学校を有しない大学等における、近隣の高校生への学習環境の開放や、修学旅行等の見学としての高校生の受け入れ(4)附属学校の学校図書館担当職員が、大学図書館職員の人事異動の一環で配置される人的体制(5)大学図書館職員・教員や学生スタッフによる、高校生への図書館活用指導や学校図書館運営支援の直接的な実施一方で、大学図書館の物理的受け入れ能力の限界や、利用指導の不十分、図書館システムの非連携等の制約により、連携体制が有効活用されていない場合も多いことが明らかとなった。また、多くの連携は学校図書館が大学図書館から支援を受ける形態であり、大学図書館が学校図書館からメリットを得られる事例は少なく、連携の非対称性も明らかとなった。将来的な持続的連携のために、相互に利点のある連携形態を構築することが、今後の課題となる。
著者
中山 貴弘
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

ラーニング・コモンズ(LC)は、もともと北米の大学図書館において、情報機器の普及と、インターネット化時代に対応した情報リテラシー能力の養成に重点を置く、学習支援の場としてのインフォメーション・コモンズ(IC)から発展してきたものである。しかし、日本においてLCは、それとはやや異なる文脈で捉えられ、設置されてきたと言える。本研究では、その相違が何に起因するかを調べるため、次の調査およびワークショップを行った上で、日本の現状との対照を行った。①米国大学への訪問調査2015年初秋、カリフォルニア大学ロサンゼルス校およびサンディエゴ校、そして南カリフォルニア大学の図書館を訪問し、LCの運営担当者に聞き取り調査を行った。②北米におけるIC/LCに関連する学説の概観IC/LCに関連する国内外の文献を調査し、北米においてICの基本要件とされているものは何か、またICからLCへの移行がどのような場合に起こるかを概観した。③研究者招聘によるワークショップ開催北米におけるIC/LC研究の第一人者であるBarbara Tierney氏(中央フロリダ大学)を神戸大学へ招聘し、「日米LCの比較」をテーマとして、教職員を対象としたワークショップを開催した。その結果、米国においてICの基本要件とされている「テクノロジーとコンテンツとサービス」について、日本での捉え方に相違があること、またグループ学習の捉え方について日米の相違があることを明らかにした。本研究は、日本において北米とは違った発展経路をたどってきたLCの、日本の大学教育における存在理由を明確にするための基礎的な研究としての意義を持つ。
著者
吉田 文和
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.14-24, 2013-04-20

If we review the accident at Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant on 11 March 2011 and examine the nuclear disaster that has followed it from the standpoint of the theories that have been developed to deal with the problems of pollution, and analyze it first from the point of view that focuses on "the causes of pollution" and "the damage that pollution causes", and then, further, to go on to consider the various theories or concepts that relate to issues of "responsibility", "countermeasures", "social cost", "relief", and finally to weigh up proposals for "an alternative policy", it should become possible to determine the extent of the problem, the issues that have to be faced and the courses of action that we need to take, the prospects for finding a solution, and a timeline that may lead to its resolution.
著者
菊池 憲和 今井 徹 中馬 真幸 鏑木 盛雄 吉田 善一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.46-51, 2016-02-29 (Released:2016-02-29)
参考文献数
7

目的:救急認定薬剤師の現状と今後の課題を把握するために,救急認定薬剤師の業務実態と展望を調査した。方法:2014年4月1日時点で日本臨床救急医学会により認定を受けた救急認定薬剤師に択一選択および自由記述の調査用紙を郵送した。結果:調査用紙の回収率は75%,所属施設の病床数は平均649床,救急・集中治療業務への従事率は77%であった。現在の業務内容として,処方提案,注射薬の監査,麻薬等の管理,投与速度の算出,治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring; TDM),持参薬の確認については80%以上が行っており,救急認定薬剤師が精通している領域は,救急医療が最も多かった。今後実施したいと考えている業務は初療が60%,今後の展望として,業務のガイドライン作成が73%と最も多かった。考察:救急認定薬剤師が大小さまざまな施設で救急・集中治療に従事しており,今後は初療に関与してゆくことが課題であり,早急に業務ガイドラインの作成を行う必要があると考える。
著者
小林 啓治
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、京都府竹野郡木津村(現京丹後市)の役場文書の整理と翻刻を行いながら、行政の最小単位としての地域社会の中で、1930年代以降の戦争がいかなる歴史的意味をもっていたのかを、社会史的かつ総合的に考察することを課題とした。その結果、明らかになったのは、明治以降、地域社会に埋め込まれた徴兵制とそれによって形成された戦争文化が総力戦体制の基軸となったこと、経済更生運動にともなって形成された行政村の組織化を利用して総力戦体制が構築され、やがて戦時体制が地域社会に覆いかぶさり、はぐくまれつつあった自治の契機を破壊していく、ということである。
著者
藤原 勝紀 田畑 治 岡田 康伸 皆藤 章 一丸 藤太郎 下山 晴彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

こころの問題が複雑化・深刻化している現代において、臨床心理士をはじめとする専門家、心理臨床家には、高度な専門性が求められている。心理臨床家の養成の難しさは、内面的な心と心の使い方、あるいは全人格に関わる生き方について、いわゆる教育指導が可能かという本質的な課題を提起する点にある。直接の人間関係による臨床実践をつうじて生成する学問、学問を基盤に臨床実践を行う心理臨床家、という学問と臨床実践の相互不可分な専門性の中で、従来の知識伝授型の教育過程とは異なる「臨床実践指導」の在り方に焦点を当てることになった。そこで、臨床心理士の養成と資格取得後の教育研修、ならびに臨床実践指導者の養成に関する教育訓練、教育研修の仕組みや在り方と、その指導内容や方法について検討がなされ、大学院附属心理教育相談室など臨床実践指導機関の役割や位置づけ、大学院教育カリキュラムにおける臨床実践指導の位置と在り方を討議する中、新しい臨床実践指導のパラダイム(従来の「講義-演習-実習」から「実習-演習-講義」への変換)が示された。これは、高度専門職業人として不可欠な倫理教育も含んでおり、臨床実践に根ざしたボトムアップ型の重要性が認識されることになった。このような技術だけではない臨床実践技能の質をどう担保し高めるかという点が、心理臨床家の養成において焦点であり、かつ臨床心理士有資格者にとっては生涯学習的なテーマである。本研究を通して、臨床実践指導の本質が問い直され、その特徴として、指導を受ける側と指導者側との双方向的な視点の重要性も明らかにされた。なお、京都大学大学院教育学研究科では、平成16年度から「臨床実践指導者養成コース」という独立した博士課程が設置され、「臨床実践指導学講座」が新設される運びとなっている。

3 0 0 0 OA 男女交際論

著者
福沢諭吉 立案
出版者
岡本直蔵
巻号頁・発行日
1886
著者
宮島 喬 藤田 英典
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.398-399, 1992-08-07
著者
芹澤 知広
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.29, pp.215-229, 2001-03

この論文においては、映画を媒介にして現代香港の社会生活における住居、家族及び都市性について論じる。香港の独特の社会生活は、都市社会研究者に対して多くの興味深い材料を提供してきた。そしてその社会生活を特徴づけるもののひとつとして、「香港映画」といわれる香港で制作された商業映画がとりあげられることがしばしばある。ここでは近年の文化研究の映画批評とは対照的に、この香港映画が単なる芸術作品ではなく、それが生産され、流通され、消費されるローカルな社会をもっていることを強調する。家族関係など住居をめぐる生活の細部を記述・検討することから、香港社会と香港映画の双方にとっての住居の重要性が明らかになる。
著者
向井 良人
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-62, 2012-03-31

戦争,公害,災害など,暴力的な出来事を「なかったこと」にしないためには,その体験者の記憶が語られなくてはならない。そこで体験者は〈語り部〉となる。また,災厄の痕跡は博物館や資料館に保存され展示される。あるいは災厄の現場自体が巡礼地となる。語りは痕跡に文脈を与え,痕跡は語りを媒介する。こうして,体験者の語りと物理的な痕跡によって出来事の記憶は聞き手の前に可視化される。そのストーリーは,語り手と聞き手の出会いの産物である。ただし,想像を絶するほど凄惨な出来事は,体験者にとって語ることのできないものでもある。他方,聞き手が期待しているのは,悲劇の再演やモデル・ストーリーの補完かもしれない。それゆえ,出来事は聞き手の日常を脅かすことのない,一過性のものとなりがちである。語り手が発するメッセージは,聞き手による共感も解説も受け付けないものであるかもしれないが,両者が出会う意義は,まさにそうした断絶を可視化することにある。