著者
足立 芳宏
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.73-98, 2016-03-25

Recent studies have focused on the "silent" agricultural revolution that occurred in rural West German society during the postwar period. The purpose of this paper is to provide a new framework by reviewing these recent studies in three research fields: (1) German rural social history, (2) the history of German agricultural policy, and (3) the ecological aspects of the land consolidation program ("Flurbereinigung"). First, social historical studies revealed that the mass influx of refugees from the former eastern territories of Germany heavily influenced rural society and caused a radical change in the local political culture and the "habitus" of rural residents. However, the pathways to rural modernization demonstrated regional diversity. Second, historical studies on the German agricultural policy revealed the following: (1) how people under occupation experienced the postwar food crisis; (2) the transition from a national agricultural policy to the European common agricultural policy in the 1950s; and (3) how farmers revolted against the agricultural structure policy in the European Economic Community (EEC), known as the "Mansholt-Plan" (1968–1972). Third, we examined the postwar land consolidation program, with a focus on the discourse on the ecological elements of the rural landscape. We found conflicts between the "euphoria" of technological innovation and the social desire of making a new home village ("Heimat").
著者
田原 雄一郎 神谷 桜 渡部 泰弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.101-107, 2011-06-15 (Released:2011-12-15)
参考文献数
10

粘着トラップによる3種ゴキブリ(チャバネゴキブリ,ワモンゴキブリおよびトビイロゴキブリ)の捕獲率「(捕獲数÷放飼数)×100」は日ごとに低下した.これは粘着トラップを避ける個体が増加したことによると判断した.チャバネゴキブリでは令別,雌雄での比較で♂>♀>老齢>若令の順に捕獲率は高かった.特に,若令は捕獲されにくかった.一週間にわたり捕獲をまぬがれた個体(経験群)と新しく放飼された個体(未経験群) では,常に前者の捕獲率が低かった.これは,経験ゴキブリ群が粘着トラップに捕獲されないような行動を「学習」したものと推察した.経験群をしばらくトラップから避けて飼育する中断期間を与えたところ,トラップを避ける行動は5週間まで維持された.粘着板を避けるには触角の働きが大きいと思われる.触角の先端部の微毛は粘着面を感知するだけでなく,粘着面への付着を防いでいると考えられる.生きている間は触角を空中に保持し,死亡すると付着した.モニタリングや殺虫剤の効果判定の目的で,粘着トラップを連続して使用したり,頻繁に使用したりすると,トラップ捕獲率が低下し,得られたゴキブリ指数がその場のゴキブリ生息状況を正しく反映しない可能性があることに留意すべきである.
著者
永森 光晴
巻号頁・発行日
2014

科学研究費助成事業 研究成果報告書:基盤研究(C)2011-2013 課題番号:23500295
著者
西村 大志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.17-17, 2008

人体模倣の多様な現場(具体的にはダッチワイフ、ドール、人体模型、ヒューマノイド型ロボットなど)では、どこまでも人間そっくりをめざす技術と、そこから独自の距離をおく手法が開発されてきた。また、人体模倣が精緻をきわめるなかで、「性」の問題が浮上してきた。これを、具体的に考察することで、人工身体における「性」の利用と隠蔽の問題を明らかにする。

3 0 0 0 OA 愛国運動年鑑

著者
国民政治経済研究所 編
出版者
国民政治経済研究所
巻号頁・発行日
vol.昭和13・4年版, 1938
著者
Ishizaki Sharon
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.43-49, 2015-03-01

The developing topic of NeuroELT (Neuroscience and English Language Teaching) is an area of research that has the possibility to inform ELT practitioners with an exciting pedagogy, which could further enhance their teaching repertoire. Most instructors may attempt to provide learning environments that include aspects of the teaching and learning construct they felt were lacking when they were students, and NeuroELT may be able to provide those missing elements. In this discussion, I have attempted to explain how the choices teachers and students are presented with can affect learning environments and outcomes; I have endeavoured to demonstrate that when tasks or classroom material have meaning and make sense to the learners, then long-term storage of information has a higher probability of taking place, and how emotions can adversely affect the storage of data.NeuroELT(神経科学と英語教授法)という開発中のトピックは、英語教育の実践家たちに心躍る教授法を知らせることができる可能性のあるリサーチ分野であり、教授法のレパートリーを更に広めるかもしれない。多くの講師たちは、自分たちが学生だった時に欠けていると感じた部分を指導と学習の構造に組み入れた学習環境を提供しようと努めるであろう。NeuroELT は、それらの欠けている要素を提供することができるかもしれない。本稿では、教師や学生が提示される選択がどのように学習環境や目標の達成状況を示す結果に影響するかということを説明しようと試みた。つまり、タスクもしくは学級教材がその学習者にとって意味があり、理解できれば、情報の長期保存がより高い可能性で起こるということ、また、どのように感情がデータの貯蓄に悪影響を及ぼすかということを論証することを試みた。
著者
中川 佳奈
出版者
別府大学
雑誌
史学論叢 (ISSN:03868923)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.A50-A63, 2006-03
著者
吉川 聡 渡辺 晃宏 綾村 宏 永村 眞 遠藤 基郎 山本 崇 馬場 基 光谷 拓実 島田 敏男 坂東 俊彦 浅野 啓介 石田 俊 宇佐美 倫太郎 海原 靖子 大田 壮一郎 葛本 隆将 黒岩 康博 桑田 訓也 古藤 真平 小原 嘉記 坂本 亮太 島津 良子 高田 祐一 高橋 大樹 竹貫 友佳子 谷本 啓 徳永 誓子 富田 正弘 中町 美香子 長村 祥知 根ヶ 山 泰史 林 晃弘 藤本 仁文 水谷 友紀 山田 淳平 山田 徹 山本 倫弘 横内 裕人 栗山 雅夫 佃 幹雄
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

東大寺図書館が所蔵する未整理文書のうち、中村純一寄贈文書と、新修東大寺文書聖教第46函~第77函を調査検討し、それぞれについて報告書を公刊した。中村文書は内容的には興福寺の承仕のもとに集積された資料群であり、その中には明治維新期の詳細な日記があったので、その一部を翻刻・公表した。また中村文書以外の新修東大寺文書からは、年預所など複数の寺内組織の近世資料群が、元来の整理形態を保って保存されている様相がうかがえた。また、新出の中世東大寺文書を把握することができた。
著者
柴田 悠
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011-07-25

新制・課程博士(人間・環境学)
著者
Polutov Andrey V.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.638, pp.104-111, 2005-02
著者
外山 秀一
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.317-329, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
41

遺跡の発掘調査や地形分析, プラント・オパール分析その他の成果に基づき, 縄文時代晩期~弥生時代の稲作農耕に関する諸問題を検討するとともに, 弥生時代~15・16世紀の土地条件の変化を明らかにした.稲作農耕文化を構成する要素のうち, イネ (Oryza sativa L. あるいは Oryza) に関する資料, すなわち籾殻圧痕土器や炭化米, プラント・オパールや花粉化石, そして水田址の検出状況を整理し, これらの波及の状況を検討した. その結果, それらの波及には時間的なズレが生じており, 初期の水稲作を大きく2段階に分けて考える必要がある. すなわち, 稲作農耕文化を構成する要素が徐々に波及する第I段階と, これらの要素が集まり稲作農耕文化として完成し, 本格的な水田造営がおこなわれる第II段階である. また, 水田址の増加の時期や分布の状況に地域的な差違がみられた. その原因の一つとしてイネの品種の違いが考えられ, 自然交配によって出現した早生種が, 弥生時代の比較的短期間のうちに東日本に拡大したとみられる.さらに, 弥生時代以降の土地条件の不安定な時期とその状況が明らかになった. 不安定な時期は, 弥生時代前期末~中期初頭, 弥生時代後期~古墳時代前期, 古代末, そして中世の15・16世紀のそれぞれ一時期である. こうした不安定な状況は河川流域の段丘の形成, あるいは洪水などによる地形の変化に対応している. また, 土地条件の変化は土地利用をはじめとする土地の開発の問題と密接に関わっている.
著者
野澤 淳史
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
vol.20, pp.165-179, 2014

本稿は,福島第一原子力発電所事故の影響によるリスクと被害の結びつきを明らかにすることを目的とする。具体的には,福島市で自立生活を送る障害者を対象に,生活環境の変化をリスクと捉え福島に留まらざるをえなかった障害者が直面した介助者不足の深刻化について,福島市にある自立生活センターのスタッフを中心とする聞き取りにもとづいた分析を行うことで,具体的に現れた被害がどのようなことがらであるのかを考察する。福島原発事故発生以降,障害者にとってリスクとは,むしろ福島から離れることを意味していた。避難や移住をめぐって制度的な制約を受けやすい重度の障害者であるほどこのリスクは高くなり,福島に留まらざるをえない。そうした状況の中,子どもを守る親のリスク回避行動によって介助者が減少し,かつ震災後の介護労働現場の選好の偏りを受けて新規の介助者が集まらなくなり,不足の問題は深刻化した。障害者が留まらざるをえないという「選択」の結果として介助者不足が深刻化し,自立の機会が奪われていくとすれば,それは被害の具体的な現れとして規定することができるのではないか。