著者
矢野 健二 小林 直彦 堀田 順平 清水 明生 松崎 泰裕 谷沢 智史 山下 静雨 吉田 幸二 鈴木 雅人 市村 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.703, pp.1-5, 2005-02-26

インターネットの普及と相俟って遠隔教育は, 企業社員教育や学校教育の場において, 試用から実用の段階に入ろうとしている. これらの教育の対象は論理・科学技術分野である. 学問・教育には, 論理や科学分野以外に芸術・体育・技能等の分野がある. この分野の遠隔教育は現在実用期に入ろうとしている論理・科学分野の次にくる次世代遠隔教育と言えよう. これらでは感覚的な事柄が重要視されるため, その遠隔教育においては, 質問事項のメモ及びその意思伝達が困難である. そこで筆者は, 質問事項のメモ及びその意思伝達を容易にするために, 疑問や質問を思いついたときの前後の環境を保存し, 学習者のコンピュータにアイコン画像を表示, 後にその環境を復元・共有し, 質問・疑問の連想を支援するシステムの設計と実装方法を報告する.
著者
Yuya KIMURA Hidenobu KAWABATA Masaji MAEZAWA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1083-1087, 2011 (Released:2011-08-30)
参考文献数
31
被引用文献数
3 4

This survey explores the grief associated with the loss of a pet, and was carried out using a self-administered questionnaire. The questionnaires were handed out to 50 bereaved pet owners attending a public animal cremation service, and we received 18 responses. Participants responded within 0 to 44 (median 4) days of the death of their pet. Although most mental health problems immediately following mourning are presumed to be normal grief reactions, on the basis of several psychiatric scales, 8 of the 16 valid responses indicated depression and/or neurosis. Statistical analyses showed that the following factors were significantly associated with grief reactions: age of owner, other stressful life events, family size, age of deceased animal, rearing place, and preliminary veterinary consultation.
著者
木内 正人
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.39-48, 2006-07-31
被引用文献数
1

セキュリティ・デザインとは、偽造防止を主な目的として紙幣をはじめ証明書等に施される緻密な線画模様を指すものである。これまでセキュリティ・デザインに関する文献は国内には無く、またセキュリティ・デザインを科学的に解析した文献も存在しなかった。しかし、今まで誰にも語られることの無かったセキュリティ・デザインは、歴史、経済システム、政治システム等を背景に、社会の変遷に伴って様々な要素が複雑に関係し合って、今もなお進化を続けているデザインでもある。本研究では、セキュリティ・デザインの表現手法とその役割について現状と歴史的価値を説明し、セキュリティ・デザインの法則を空間周波数解析によって検証することで、デジタル技術を活用した将来のITソリューションへの応用など、今後の偽造防止策並びにデザインに役立てることが可能であることを明らかにする。
著者
井上 さつき 松本 彰
出版者
愛知県立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

毎年、私たちは研究の方向性を検討するために、数回の打ち合わせを行った。また、ヨーロッパと日本で数回現地調査を行った。 2010年にはドイツ南西部、2011年には中部 (旧東ドイツ)を共同で調査し、さまざまな資料を収集することができた。私たちはいくつかのシンポジウムや学会で研究発表し、また研究誌や書籍の形で成果を発表した。ヨーロッパと日本の合唱運動のいくつかの事例研究を通じて、この分野の基礎研究を行った。
著者
吉田 紘二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.279, pp.9-12, 2002-08-20
参考文献数
4

航空機や医療現場などでいち早く問題化していEMC(Electromagnetic Compatibility)について、高度な電子機器の搭載が進みつつある船舶現場での実情を調べた。航行中の船舶が外部からの電界にさらされるのは陸岸に接近した場合であり、例として大阪湾岸の電磁波環境を調査した結果、搭載電気機器に求められる耐性限度に迫る電磁界の存在を確認した。また船内においても、特に生産年度の古い機器などに、IECの規定を越える電磁輻射が測定された。特に、金属壁に囲まれた船室内では、各機器から漏れる電磁波が反射し重畳する結果、思わぬ電界強度分布を示すことも確認した。
著者
齋藤 準樹 湯川 高志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-8, 2011-03-21

本稿では,ソーシャルブックマークに含まれるタグの共起関係から階層的な類語辞書を作成し,それを用いてユーザの興味語を抽出する手法および興味語の類似性によりユーザ推薦を行う手法を提案する.また提案した手法について,Twitter を対象として興味抽出および推薦の精度と意外性に関する評価実験を実施し,有用性の確認を行った結果についても述べる.In the present paper, as a means of extracting user interest for the purpose of user recommendation, the authors propose a method for constructing the hierarchy of words based on SBM tags and to emphasize characteristic word by using this relation. Additionally, the user recommendation system based on this interest extraction is proposed. As a result of a survey on Twitter, the authors discovered that the tags in SBM and their hierarchy have a rich vocabulary for extracting the interests of Twitter users. Moreover, experimental results have indicated that the user recommendation system attains approximately 0.41-0.48 precision if the friend relations in SNS are also utilized as a user preference data.
著者
梁瀬 徹
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.195-212, 2009
被引用文献数
5

Arboviruses transmitted by Culicoides biting midges cause domestic animal diseases such as congenital abnormalities and acute febrile illnesses in ruminants. Epidemics of these arboviruses, Akabane, Aino, Chuzan and Ibaraki viruses, have been frequently reported in the western part of Japan and have brought great economical damage to the livestock industry. These arboviruses are most frequently isolated from Culicoides oxystoma Kieffer in the southern part of Japan, indicating that this species acts an important vector for transmission of these viruses. However, several outbreaks have occurred in the northern regions where C. oxystoma has not been previously observed, suggesting the existence of other vector species. Recently, several arboviruses distributed in tropical and sub-tropical regions such as the Peaton, Sathuperi and Shamonda viruses were newly isolated in Japan. Several clinical cases imply these viruses are related to congenital abnormalities in cattle. Global warming is expected to expand the range of arboviruses to higher latitudes because of the brisk activities of the vectors. Therefore, we should provide integrated surveillance systems, sophisticated diagnostic measures and effective prevention strategies to combat the threats of arbovirus infections.
著者
吉田 文久
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

現在英国の17箇所の町、村に残存する民俗フットボールのうち、14箇所のゲームの実態をできる限り正確に記録し、それらのゲームを類似性、多様性の視点から整理した。また、それらが近代化せず、存続した意味について考察した。ゲームが残存する根底には、それを近代スポーツの発展史上に位置づけるのではない、固有の意味、つまり強い伝統維持の意識、地域のアイデンティティー形成のための有効的手段という意味があった。特に儀式化されているゲームは地元の名士や長老、かつての勝者をメンバーとする独自の委員会によって組織的に運営されている。民俗フットボールは、近代スポーツからそぎ落とされていったスポーツ本来の楽しみ方を教えてくれる。
著者
酒見 佳世
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.436-441, 2008-09-01

2007年9月から2008年2月までの半年間,カナダのトロント大学図書館において研修を受ける機会を得た。本稿ではトロント大学のメインライブラリーであるRobarts Libraryと,貴重書図書館であるThomas Fisher Rare Book Libraryの目録担当での経験を元に,トロントと慶應義塾大学メディアセンターにおける目録作業とを比較しつつ,現在の目録を取り巻く状況と今後の方向性について述べる。
著者
城下 荘平 熊本 博光 永平 幸雄 西原 修
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

明治になって欧米の先進諸国から近代機械技術が導入される以前の江戸時代に、我が国に存在したからくりは複雑な動きを、機械的な機構だけで行っている。それらの動きを実現している機械機構は、近代機械技術で用いられているものも含まれている。江戸時代の機械書、『機巧図彙』や『き訓蒙鑑草』にはそれらのからくりの機械機構が図解されているが、しかしながら、描かれている図が部分的過ぎて直感的に理解し難い。本研究では、からくりの中でも特に多様な機械機構を含んでいる"茶運人形"について、人形の各動作、すなわち、発進と停止の機構、足を前後に動かす機構、お辞儀をする機構、方向転換をする機構、逃し止め(エスケープメント)機構の理解し易い機構図を作成し、アニメーションを作成した。作成したアニメーションは京都大学総合博物館のウェブサイトに掲載した。そして、それらと近代機械機構を表しているルロー教育模型とを比較することで、江戸時代の機械技術を検証した。また、からくりやルロー模型に含まれている機械要素についても比較検討した。段返り人形についてもアニメーションを作成し、同様の検討を行った。これらの検討から、木や糸や鯨のヒゲで作られた江戸時代からくりの機械機構は高度ではあったが、金属を精密に切削加工する技術がなかったため、我が国においてからくりの機械技術が広く産業に応用されることはなかった、などのことが明らかとなった。
著者
阿部 美哉 キサラ ロバート スワンソン ポール ハイジック ジェームズ 石井 研士 林 淳
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本調査の研究目的は、宗教現象を研究対象とする研究者によって、日本人の宗教行動と宗教意識に関する全国規模の世論調査を行うことであった。また調査に際しては、海外で行われる同様の調査との比較が可能となるように留意する必要があった。こうした条件のもとで調査を実施したが、完全な国際比較調査とはならなかった。その主たる理由は、海外の調査の問題数の多さにあった。海外での調査は政治、経済、社会生活全般の問題を含んで宗教の問題が設定されており、こうした大規模な調査は費用の点で困難であった。宗教に関する質問だけを取り出すことは有意味ではない、そこで海外の調査で意識されている宗教団体に主眼を置くこととした。日本においても新聞社をはじめ一般的な宗教意識に関する世論調査はあっても、宗教団体を主とした調査は行われていない。また、オウム真理教事件の後、宗教団体に関する世論調査の重要性は増していると判断した。質問には当然ながら、一般的な日本人の宗教意識と宗教行動に関するものも含めた。さらには調査期間中に収集してきた、戦後に実施された宗教に関する世論調査の結果と比較、もしくは総合的に読み解くことによって、従来指摘されてきたこととは異なった事実を明らかにすることが可能となった。こうした分析の結果、近年日本人は宗教団体に対する批判的な態度を強めているにも関わらず、実際にはほとんど接触の機会を持っていないことが明らかになった。神社や寺院に初詣やお盆の時に行く機会はあっても、それらは濃密な接触として意識されてはいない。人生における重大な問題に関しても、神職、僧侶、神父や牧師、新しい宗教の教祖や信者に相談している日本人は数パーセントに過ぎない。宗教団体としての活動には、伝統宗教だけでなく、キリスト教や新しい宗教にも関与している形跡は見られなかった。それにもかかわらず、新しい宗教団体に対するイメージは極めて悪く、日常生活における具体的な接触の欠如とは裏腹に、メディアによるオウム真理教や法の華三法行をはじめとした事件報道が、日本人の宗教団体に対する評価に大きな役割を果たしていることが分かった。
著者
坂部 晶子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

日本が「満洲国」というかたちで植民地侵略を行った中国東北地区をとりあげ、地域に残された植民地の記憶が、新中国成立以降の地域社会のなかでどのように再編成されてきたのかを、歴史資料館、記念館の展示形式や、聞きとり記録、また当事者からライフヒストリーの聞き取りといった作業をとおして実証的に解明するという本研究の目的にむけて、本年度においては、中国東北地区においてこれまで収集してきたデータや資料の整理、また日本国内における補足調査を中心に研究が進められた。中国関係資料としては第一に、黒竜江省東寧県で昨年収集された「満洲国」期の労働者(「労工」)への聞きとりデータの整理、分析を行った。第二に、中国では解放後以降長期にわたって、各省、市、県などのそれぞれのレベルで、植民地占領期の回想録や聞きとり調査の資料が「文史資料」というかたちで収集、編集されている。これらの資料は、日本での「満洲国」研究のなかではさほど重視されていないが、当事者の語りや記憶に注目する本研究にとっては重要な一次資料である。そのため「文史資料」のエクステンシブな収集と整理を行い、中国東北社会における「満洲経験」のティピカルな表現を抽出し、地域に残る植民地記憶の枠組みをとりだし分析した。さらに、日本国内における補足調査として、長野県上山田町および泰阜村、飯田市等で「満洲開拓団」の出身母村での聞きとり調査を行った。「満洲国」奥地に入植させられた日本人開拓民は、「満洲国」期と戦後とをつうじて、他の日本人植民者に比べて、一般の中国東北社会と比較的かかわりが深かったといえる。彼らの体験談や視点をとおして、植民地社会における植民者-被植民者の関係性や植民地経験のその後の記念化のあり方を分析している。今年度の調査資料およびこれまでの研究データを総合して、植民地経験の記憶化の錯綜した諸相について、後述の論考のなかで総合的に分析を行った。
著者
谷井 康子 飯村 富子 堀 みゆき 平賀 睦 徳川 麻衣子 安楽 和子 岩切 桂子
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究目的は、日米の独居する女性後期高齢者がどのように自律した生きかたをしているか、それらの支えとなっている要因を明らかにし、日米での相違の比較により、日本の高齢者の看護支援のための示唆を得ることであった。成果:日米の独居する女性後期高齢者のサクセスフル・エイジング(高齢者が老いの変化に上手く適応し、生きる意味や独自の生き方を見出していくこと)について、1.日米とも高齢者は自律した独居生活の継続を強く希望し、そのために独自のライフスタイルを自由に選択し維持していた。2.独居生活に重要なのは健康と考え、健康管理のために規則的な生活や定期的検診・受診を積極的に行っていたが、米国では、予防的行動が多く、日本では受診回数が多く、受診行動が頻回であった。3.活動面では、日本は公民館など地域の活動に参加しており、米国では教会を中心にボランティア活動への参加が活発で、また多くが車の運転をしており、行動範囲も広かった。4.福祉サービスの利用は、日本では多くのものが体力に合わせ利用していたが、米国では親族や友人など相互支援が積極的に行われており、福祉サービスの利用は少なかった。5.過去の出来事からの影響について、日本では被爆、敗戦体験があり、これらは壊滅状態から自らの力で乗り越えたという自信や誇りとなり、人生の苦難に立ち向かう原動力となっていた。米国ではキリスト教文化を基盤としたボランティア精神や自らの手で開拓したチャレンジ精神が活動の原動力となっていた。6.老いや死について、日米とも自然なこと、人生の一部と捉えていた。米国ではキリスト教的信仰により、来世への希望が霊的な安寧をもたらしていた。日本では仏壇や墓参りに見られるように先祖との繋がりが強く「お迎え」への期待があった。今後、日本の高齢者の予防的行動に重点をおいた指導的支援、個人の人生体験や価値観を尊重した支援のあり方の検討が必要である。