著者
井上 圭一 今野 雅恵 川﨑 佑真 María del Carmen MARÍN
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.257-260, 2023 (Released:2023-11-25)
参考文献数
16

シゾロドプシンは真核生物の最終共通祖先に最も近縁な現生種のアスガルドアーキアから見付かった光駆動型内向きH+ポンプロドプシンであり,アスガルドアーキアが光を使って生きている可能性を示唆するものである.H+輸送機構など多くの点でシゾロドプシンは他のロドプシンと異なる.その最新の研究を解説する.
著者
Tomoe Yamada-Kato Isao Okunishi Yosuke Fukamatsu Hidenori Tsuboi Yusuke Yoshida
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.567-572, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3 4

Wasabi is a member of the Brassicaceae family and produces various isothiocyanates (ITCs). Because 6-methylsulfinylhexyl ITC (6-MSITC) is stable among wasabi ITCs, it has potential as a functional compound. Hair loss can have psychological and social effects on an individual because of its impact on appearance. In this study, we investigated the stimulatory effects of 6-MSITC by culturing on human follicle dermal papilla cells (DPCs). Results showed that 6-MSITC significantly promoted DPC proliferation and upregulated vascular endothelial growth factor (VEGF) mRNA levels compared to control. Furthermore, 6-MSITC significantly upregulated adenosine A2b receptor (ADORA2b) mRNA levels. Previous studies have reported that VEGF was induced through ADORA1 and ADORA2 pathways. We suggest that 6-MSITC stimulates hair growth on DPCs related to the upregulation of ADORA2b mRNA level. Thus, 6-MSITC may be used as a functional compound.
著者
Tomoe Yamada-Kato Saori Momoi Isao Okunishi Motoyasu Minami Yuichi Oishi Toshihiko Osawa Michitaka Naito
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.665-671, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
39
被引用文献数
5 8

Wasabi is a plant of Japanese origin belonging to the Brassicaceae family. Although the wasabi rhizome is a popular condiment in Japan, the leaf is typically discarded. For utilization of the wasabi leaf, we investigated its anti-obesity effect on Wistar rats fed a high-fat diet containing wasabi leaf extract (WLE) prepared with 50% ethanol. At the experimental endpoint, WLE had significantly decreased the body weight of rats and upregulated the mRNA expression of the β3-adrenergic receptor (Adrb3) in the interscapular brown adipose tissue (BAT). WLE may have promoted lipid absorption from the dietary fat, as the fecal lipid content was considerably lower in the WLE group. These results suggest that WLE suppressed obesity in rats fed a high-fat diet, which was related to the upregulation of Adrb3 mRNA expression in the interscapular BAT without increased fecal lipid excretion. Thus, wasabi leaves may be used as a functional food material for the suppression of obesity.

2 0 0 0 OA 医の心

著者
松田 邦夫
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.103-112, 2011 (Released:2011-07-08)
参考文献数
55

漢方医学の最盛期であった江戸時代を中心とした名医といわれた12人を選び,彼らがその弟子に,診察治療の心構えをどのように教えていたかを検討し,現代の漢方医学を学ぶ者が優れた漢方医になるための参考点を探った。その結果,名医とは,病人を治せる知識や技術を持つことは当然であり,さらに人の心をわかる誠実な医師でなければならないと結論づけた。漢方を学ぶことは,観察力を鋭くする。現代医学に加えて漢方および医のこころを学ぶならば名医に近づけると考える。
著者
奥田 純子
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-18, 2022 (Released:2023-03-31)
参考文献数
22

本研究では、第8回人口移動調査の個票データを活用し、効用理論に基づく離散選択モデルによって、次の2点を計量的に明らかにすることを目的として分析を行った。1点目は、初職時Uターンにおいても出身地(目的地)の経済的要因が移動に影響を与えるのか、2点目は、どの地域出身であることが初職時Uターンに影響を与え、それは男女で違いがあるのか、である。 分析の結果、地域間移動に影響を与えると予想された出身地の経済的要因に関して、東京圏進学者の場合、特に出身地の有効求人倍率は男性の初職時Uターン確率と関連するが、女性の初職時Uターンに関しては十分に説明することはできないことが示された。ただし、出身地と進学先との格差を考慮すると、男性は県民所得の格差、女性は有効求人倍率の格差が初職時Uターンと関連する。しかし、女性の場合コホート別に分析すると有意な結果ではなくなることから、有効求人倍率の格差はコホートの影響が反映された結果であり、出身地がより経済的に豊かで仕事を見つけやすいかどうかは、女性の初職時Uターンと関連するとは言いがたいことがわかった。 出身地ごとの影響に関しては、コホート全体でみれば新潟県、長野県、大阪府、佐賀県出身の女性が初職時Uターンしやすいようにみえたが、コホート別にみると、実際1957-76年生まれである場合に、新潟県、長野県のプラスの影響が示されたのみであった。東京圏進学者の場合でも同様である。このことから、新潟県、長野県出身であることがコホート全体で女性の初職時Uターン確率にプラスに働いていたのは、1957-76年生まれの影響が強く表れていたためであると考えられる。それに対して、男性はより若い世代である1977-91年生まれの場合に、長野県出身であることが初職時Uターン確率にプラスに働く。長野県出身の女性は若い世代で有意な結果を示さなかったが、男性は逆に、若い世代で初職時Uターンする傾向にあることが示された。このように、同じ都道府県でも男女でコホートによって初職時Uターン確率に与える影響が異なるのは、国や都道府県で実施するUターン政策が男性にとって有益になっている可能性も考えられるため、政策の内容も精査する必要がある。
著者
後小路 隆 田口 健蔵
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.734-738, 2021-10-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
7

ある一定以上の重症者に対して医療を提供しようとすれば,救急救命士制度の拡充だけでは対応しきれず,医師が現場にいることによって現場治療や搬送の優先順位,搬送方法の決定をより高い精度で実施することができる。今回,高速道路上で複数の傷病者が発生した事故を経験した。生理学的徴候に異常をきたす重症者が1名いたが,先着した救急隊は,事故概要,傷病者数を十分把握しているとはいえない状況であり,医師は,事故概要の把握と評価を行う必要があった。ともに活動した診療看護師が医師の指示のもと,生理学的徴候の安定を目的に静脈路確保や超音波検査の実施,詳細な診察を行い,医師に報告後,現場搬出を実施した。プレホスピタルにおいて診療看護師の存在は,複数の傷病者が発生した事案などで生じる人的医療資源不足の解消と,医療の質の向上に貢献できる可能性があると考える。
著者
西原 巧
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.97-111, 1990-10-01 (Released:2019-08-13)
参考文献数
5
著者
椿 広計
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1-2, pp.17-30, 2015 (Released:2016-01-22)
参考文献数
12

本フォーラムは,ビジネスのアウトプットを 幾つかの入力変数で説明する入出力システムモデル,すなわち支配法則を 形成する際に必要な基本的視点を議論する.このために, 日本の財務多変量データ解析を事例として用いる.先ず, 労働生産性のような単純な比例関係に誤差が含まれる形で ビジネスの静的法則が記述されることを紹介する. 次に,その法則は適切な分類を通じて正当化されることに注意する. 更に,動的法則の記述のためには,入出力の適切な差分に対して構造を 計量するのが簡便な接近であることを示す.一方, これらの法則当てはめの残差分布は,見かけ上裾の重い分布に従う.しかし, それから外れたデータ群が原入力変数群で説明可能な場合があり, それによってハイパフォーマンスやローパフォーマンスのフロンティアを 形成するデータ群に対する要因解析がランクロジットモデルを 通じて可能となることを示す.最後に,単一方程式モデルを 連立方程式モデルに拡張することで, 利益など財務パフォーマンスに関わる指標の向上に資する ビジネスモデリングが可能となることを示す.
著者
金森 紘代 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.22-00205, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
5

開始から70年以上が経過している地籍調査事業だが,その進捗率は52%にとどまり,残り138,361km2とされる地籍調査の全域完了に要する事業費や期間は明らかになっていない.本研究は,地籍調査の全域完了を見据えた事業計画策定の一助とするため,残る調査対象地域における事業費の試算を行うものである.試算手法としては,公開されているGISと固定資産に関するデータをもとに「地籍調査事業費積算基準書2022年版」に則り全国の残事業費を積算する.その結果,調査完了に必要な費用は約6.43兆円であり,現行の年間事業費ベースでは今後243年を要することが示された.そのうえで事業完了を現実のものとするための具体的な改善策について検討する.
著者
那須川 佳祐 升井 尋斗 車谷 麻緒
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.23-00190, 2023 (Released:2023-11-20)
参考文献数
23

本論文では,鉄筋コンクリートの詳細なメゾスケールモデルの作成から,非線形メゾスケール解析までを行える方法を開発し,鉄筋コンクリートはりのメゾスケールにおける3次元破壊挙動をできるかぎり忠実に再現することを目的とする.メゾスケールモデルの作成では,異形鉄筋の3次元形状に加えて,ボロノイ分割法を利用して粗骨材の3次元形状と粒度分布を再現する.モルタルと粗骨材で構成されるコンクリート相には,異種材料を表現可能な損傷モデルを適用し,コンクリートのメゾスケールにおけるひび割れ進展挙動を再現する.曲げ破壊型およびせん断破壊型の鉄筋コンクリートはりの4点曲げ実験と同様の数値実験を行い,メゾスケールにおける複雑な3次元破壊挙動を再現するとともに,シミュレーション結果と実験結果が定量的に一致することを示す.
著者
小杉 大輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.129-132, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究は,大学生がインターネット上で現実の自己に近い自己を表出するのか,あるいは,より理想に近い自己を表出するのかについて,自己呈示の観点から明らかにすることを目的とした.大学1年生に対し,Big Five 尺度を用いて,現実の自己・理想の自己・インターネット上の自己のパーソナリティ特性についての評価を求め,Big Five の5因子の特性が,これら3つの自己においてどのように変わるのかについて分析を行った.その結果,調査対象は,インターネット上において,開放性については現実の自己に近い自己を,その他の4因子では現実の自己よりも理想に近い自己を表出する可能性が示唆された.
著者
山里 敬也
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.17-20, 2014-01-01 (Released:2019-11-02)

Visible light communications (VLC) is the latest optical wireless communications technology that uses low-power light emitting diodes, or LEDs, not only to provide light but also to broadcast data. LEDs are extremely energy-efficient and predicted to become widespread in general lighting application. Because LED is a solid-state lighting device, it can be modulated at high-speed compared with other lighting sources. VLC uses LEDs, which send data by flashing light at speeds undetectable to the human eye. Widespread use of LEDs in traffic applications and growing interest in Intelligent Transport System (ITS) presents an opportunity for VLC. Data transmission using LED traffic lights, LED road illumination, and LED brake lights are typical application. In this paper, an on-going research, road-to-vehicle visible light communication, will be introduced. The LED array, assumed to be an LED traffic light, is used as a transmitter and it sends data to a moving vehicle. By providing data together with a traffic signal that is visible to a driver, a safety driving support can be realized. Finally, the author suggests readers a glimpse of wealth on "dual use of LEDs" and concludes the paper.