著者
Hideki Takanashi
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
Breeding Science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.57-69, 2023 (Released:2023-04-15)
参考文献数
121
被引用文献数
6

Global climate change and global warming, coupled with the growing population, have raised concerns about sustainable food supply and bioenergy demand. Sorghum [Sorghum bicolor (L.) Moench] ranks fifth among cereals produced worldwide; it is a C4 crop with a higher stress tolerance than other major cereals and has a wide range of uses, such as grains, forage, and biomass. Therefore, sorghum has attracted attention as a promising crop for achieving sustainable development goals (SDGs). In addition, sorghum is a suitable genetic model for C4 grasses because of its high morphological diversity and relatively small genome size compared to other C4 grasses. Although sorghum breeding and genetic studies have lagged compared to other crops such as rice and maize, recent advances in research have identified several genes and many quantitative trait loci (QTLs) that control important agronomic traits in sorghum. This review outlines traits and genetic information with a focus on morphogenetic aspects that may be useful in sorghum breeding for grain and biomass utilization.
著者
Miyuki TAKASAKI Ryo MOMOSAKI Hidetaka WAKABAYASHI Shinta NISHIOKA
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.251-257, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
19
被引用文献数
11 11

Nutritional complications frequently occur among patients undergoing rehabilitation, and the importance of nutrition in these patients has been emphasized. However, there is not enough evidence available on rehabilitation nutrition. The Japan Rehabilitation Nutrition Database was set up to reflect the real-world clinical practice of rehabilitation nutrition. This paper describes the construction and quality evaluation of the registry database. We constructed a large-scale database that can be used for the clinical research of nutrition for rehabilitation. To verify the data, a simple comparison of the numbers of cases, data loss, data duplication, data type errors, out of range values, and input errors in the option columns was performed. From March 2016 to June 2017, 797 cases were registered in the rehabilitation database from 18 facilities. The variable entry error frequency ranges from 0% to 0.4% and the frequency of a main item missing from 0.4% to 10.9%. Energy intake on hospitalization was missing in 10.9% of cases, and Mini Nutritional Assessment Short Form and Food Intake LEVEL Scale on hospitalization was missing in 9.7% of cases. Stroke accounted for 45.7% of the diseases registered, pneumonia for 36.5%, and proximal femoral fracture for 17.8%. Through the use of this database, research on rehabilitation nutrition can be conducted, and there is a possibility that useful results for future clinical practice may be obtained. Verification of the secondary use of the database is becoming the basis for evidence-based nutritional rehabilitation.
著者
森 直子 浅野 智絵美 永田 忠博 伊藤 輝子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.144-149, 2014-03-15 (Released:2014-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

干しいもの摂取が排便に及ぼす影響について平均年齢20±1歳の女子学生84名を対象とし,非摂取期2週間および摂取期2週間(干しいも100g/日)の単一群試験を実施した.被験者は,排便状況を毎日記録し1週間ごとに提出した.その際,食事調査と身体測定を受けた.また,週3日以上排便がない者を便秘群(15名),週4日以上排便のある者を非便秘群(69名)とし,群別に解析を行った.その結果,非摂取期と比較し摂取期では,被験者全体として排便日数,排便回数,排便量および放屁回数が有意に増加した.また便秘群では,排便日数および放屁回数が有意に増加したが,非便秘群では,放屁回数が有意に増加した以外に,他の項目での有意差は見られなかった.干しいもの摂取による排便促進効果を介入試験により示し,便秘の改善を確認したが,将来はプラセボ対照群を設定し,食事や長期摂取による影響を調べ,本試験結果を検証したい.
著者
岩下 拓哉 江上 毅
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.12, pp.832-841, 2018-12-05 (Released:2019-06-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

液体やガラスは,我々の生活にとって必要不可欠なものであるが,実はその正体は未だに謎に包まれている.ガラスは液体を急冷することで作成することができるが,その過程で粘度のような流動特性が15桁以上もの急激な増加を示し,この現象はガラス転移と呼ばれる物性物理学の未解決問題として知られている.どのように液体内部で原子・分子が運動しているのか? 液体の運動論構築もまた,統計物理学の重要な課題である.しかしながら,液体の構造とダイナミクスの関係性は未だに謎に包まれたままである.事実,単純な液体の流動特性を予測する統計力学的処方箋さえ発見されていない.このように,液体やガラスの物理は未解明な部分が多く残されており,理論的および実験的研究が精力的になされている.液体やガラスに共通する基本的な特徴のひとつは,結晶のように原子・分子が規則正しく配列している周期構造ではなく,原子配列が長距離秩序のない乱れた構造状態にあるということである.しかも,液体は気体と違って凝固体であり原子の運動や構造は強い相互関係をもっている.液体やガラスの構造はまったく無秩序ではないわけである.さて,我々はどれほど乱れた構造状態についての理解があるのだろうか? X線や中性子散乱などで得られる構造関数を思い浮かべる読者も多いかもしれない.または,丸い球が乱雑に詰め込まれた状態を想像するかもしれない.驚くべきことに,乱れた無秩序な構造がもつ基本的性質を統一するような深い議論はあまりなされていない.無秩序な構造状態がどのような経路を経て異なる構造状態へ遷移するのか? その遷移過程の素過程の基本的性質について,最近の我々の研究成果に基づいて解説する.取り扱うのは,冷却過程のガラス転移現象と高温液体の2つの問題であり,それぞれ異なるアプローチにより無秩序な状態間遷移の素過程を明らかにした.無秩序な構造の素励起に関する新しい物理を構築することは,液体やガラス,およびガラス転移現象の解明に直結すると期待している.近年,計算機能力の向上により,無秩序な構造状態の素励起に関する計算データを大量に取得できるようになっている.液体やガラスの複雑な状態を記述するために高次元のポテンシャルエネルギーランドスケープ描像という概念が提案されているが,我々は計算機を用いてその概念と状態間遷移の素過程との関連性を明らかにした.第一の問題では,分子動力学シミュレーションにより作成されたガラス構造に対してその活性化状態を探索・サンプリングする計算手法を適用し,ポテンシャルエネルギーランドスケープ上の状態間遷移の素過程の性質を網羅的に調べた.そのデータに基づいて構築した現象論モデルが,液体からガラス化の冷却過程を定量的に記述できることを示した.第二の問題では,高温液体の運動に潜む素過程を明らかにするために,隣接原子の数である配位数に着目した.液体の運動を配位数空間上での不連続な状態遷移の集合とみなし,局所構造変化と状態間遷移の関係性を明らかにした.さらに,我々の提案する液体運動の素過程が,液体の物性である粘度と密接に関連づいている明確な証拠を見出した.
著者
黒木 裕鷹 真鍋 友則 指田 晋吾 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.47-53, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

決算説明会とは,企業がステークホルダーに対し業績や計画・戦略を決算内容とともに説明する場である.決算説明会の参加者は経営者による説明を聞くことができるほか,質疑応答を通して業績と見通しに関する疑問を解消することができる.一方で,参加者はアナリストや機関投資家に限定されていることが多く,決算説明会に参加できない投資家との情報格差が指摘されてきた.しかしながら,本邦における決算説明会の情報価値についての分析例はほとんど存在しない.そこで本報告では,質疑応答を含む決算説明会のテキストデータに感情極性を付与し,説明会がもつ情報価値を定量的に分析する.具体的には,金融専門極性辞書と Fama-French のファクターモデルを利用して株価リターンに対する説明力を分析する.
著者
大倉 得史
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.33-44, 2018 (Released:2019-03-11)
参考文献数
24

近年,我が国では保育の量的拡大を目指して幼児教育・保育分野の市場化を促すような施策が相次いでおり,いくつかの自治体では公立保育所を民営化する動きが加速している。こうした中,より低コストで保育を行う事業者に保育所の運営が委託されるケースが増えつつある。こうした事業者の変更は,保育の質,あるいは慣れ親しんだ保育者から引き離される子どもたちに,どのような影響をもたらすのだろうか。本研究では,株式会社に運営を委託されたある院内保育所の事例を取り上げ,そこで生じた保育の質の低下が子どもたちの情緒的安定を脅かすまでに至った経緯を明らかにする。その上で,保育の質を保つためには,委託契約期間の延長,最低委託額の取り決め,新旧事業者の義務などの明確化,保育士の給与の改善などが必要であるという結論を導いた。
著者
三納 正美 大原 圭太郎 山舩 晃太郎 市川 泰雅 木村 颯 片桐 昌弥 橘田 隆史 西尾 友之 大原 歳之 菅 浩伸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2023年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.248, 2023 (Released:2023-04-06)

1. はじめに 島根半島の東端に位置する地蔵埼から北東に30㎞以上離れた海域に、日本海軍の駆逐艦「蕨(わらび)」が沈んでいる.1927年の夜間演習中,軽巡洋艦「神通」と駆逐艦「蕨」,軽巡洋艦「那珂」と駆逐艦「葦」がそれぞれ衝突し,「蕨」は沈没,「葦」は大破(艦尾沈没)し,殉職者119名にも及ぶ大事故となり,美保関事件として後世に伝えられている.事故直後から掃海作業や救助作業は行われたが,沈没した正確な位置は不明であり,これまで詳細な調査は実施されていないことから,蕨の沈没位置を特定し,船体の状況を確認するため,本調査を行った.2. 探査方法と結果 既存資料を整理すると4箇所の沈没候補地が挙げられ,その位置も広範囲に分布していたことから,緯度経度情報があり「軍艦」「ワラビ」と呼ばれている漁礁地点を魚群探知機で調査し,反応があった地点周辺を2020年5月にマルチビーム測深機(SeabatT50-P)で詳細に探査した.その結果,漁礁「軍艦」は全長約54m,全高5.4m,最大幅8.3mの巨大な塊であることが判明した.マルチビーム測深で正確な地点,水深,形状等を把握できたため、本調査プロジェクトチームが開発した水中3Dスキャンロボット(天叢雲剣MURAKUMO)を投入し,2020年9月に水深約90mの海底に沈没した船体を確認することに成功した.この結果,船体前部のみであること,発見した水深は約90mであるが,事故直後に調査された時の水深値と島根県の水産試験船が発見した物体の水深値は約180mであったことから,残りの船体は別の場所に沈没している可能性が出てきた.そこで,2021年7月に「軍艦場」と呼ばれている地点を中心に約2.5㎞四方の海域をマルチビーム測深機(SeabatT50-P)で探査し,これまで1つだと認識されていた地形の高まりがいくつかあることがわかった.マルチビームで得られた詳細海底地図を用いて,改良した天叢雲剣MURAKUMOで探査した結果,水深180mを超える海底に沈む駆逐艦蕨後部を発見,撮影することに成功した.3. 考察 天叢雲剣MURAKUMOで取得した画像データを用いてフォトグラメトリによる3Dモデルを作成し,画像データと合わせて検証した結果,船体のサイズや船首形状が蕨に近似し,砲塔のような筒状の構造物,舷窓等が確認できたことから,蕨である可能性が高いと判断した.4. まとめ 蕨前部と後部は約15㎞も離れているが,既往資料や現地状況から,衝突現場は蕨船体後部が沈没している場所であり,船体前部は浮遊後現在の地点に沈没したと考えられる.蕨後部周辺にはその他いくつか地形の高まりが確認されている。今後これらを探査することで,美保関事件をより詳細に解明できるものと考える.参考文献大原 歳之2020. 海の八甲田山「美保関沖事件」伯耆文化研究 第二十一号(2020)抜粋改訂版.謝辞本研究は2021-2025年度科研費 基盤研究(A)JP21H04379および2021-2024年度科研費 基盤研究(C)JP21K00991の成果の一部です。
著者
鈴木 公啓
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.45-56, 2014-08-18 (Released:2015-06-06)
参考文献数
48
被引用文献数
2

Body image disturbance and body image discrepancy considered as factors of body dissatisfaction and a drive for thinness were investigated. Participants were presented with new figural stimuli (contour drawings/silhouettes) ranging from thin to heavy developed based on real and objective data—human body size measurements and 3-D image data. Results indicated that female participants overestimated their body size, though the degree of overestimation is not particularly large. It is suggested that competition with members of the same sex generates body dissatisfaction and a drive for thinness. Furthermore, participants rated ideal body size thinner than their perceived body size. It was found that the differences between perceived body size and ideal body size relate to body dissatisfaction and a drive for thinness.
著者
須合 俊貴 藤原 博伸 大河内 博 内山 竜之介 中野 孝教 鴨川 仁 荒井 豊明
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.101-115, 2020-05-13 (Released:2020-05-10)
参考文献数
51

大気汚染物質が都市型豪雨生成に及ぼす影響の解明を目的として、早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)で降水の時系列採取を行った。さらに、都内および周辺地域の大気観測値を用いて地理情報システムによる都市型豪雨直前の大気汚染物質の空間解析を行った。2012年から2019年までの都市型豪雨の体積加重平均pHは4.41 (n=16) であり、その他の降雨より低かった。総主要無機イオン濃度は都市型豪雨と通常降雨で同程度であるが、都市型豪雨では酸性物質由来成分が高い割合を占めた (62.3%)。都市型豪雨中酸性物質由来成分は台風性豪雨に比べて緩やかな濃度減少を示し、継続的に雲内洗浄されている可能性が示唆された。一方、都市型豪雨によるH+沈着量、NO3-沈着量、SO42-沈着量は通常降雨のそれぞれ31、20、15倍であり、短時間に大量の酸性物質を地上に負荷していた。雨雲レーダー画像解析から、都市型豪雨には都心部で発達するパターン(直上パターン、東パターン)と、西部山間部から雨雲が輸送され、都心上空で発達するパターン(北西パターン)があることがわかった。都市型豪雨発生直前には発生地点付近でPM2.5高濃度域が形成されるが、豪雨発生前に消失していた。このことから、大気汚染物質が豪雨発生地点へ輸送・集積し、上空へ輸送されて積乱雲の形成および発達に関与していることが示唆された。
著者
小口 高 鍛治 秀紀 鶴岡 謙一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2023年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.106, 2023 (Released:2023-04-06)

東京大学情報科学研究センター(CSIS)は1998年に発足したGISの研究組織である.CSISは文部科学省が認定した共同利用・共同研究拠点であり,様々な地理空間情報をCSISが多数収集して「研究用空間データ基盤」を構築し,収録したデータを提供している.CSISがデータを収集・購入する際に,データの提供元と覚え書きを交わすことによって,外部の研究者がデータを利用する可能性を確保している.この仕組みにより,個人研究者がデータを入手する際の経済的な負担や手間を軽減している. 「研究用空間データ基盤」に登録されているデータはデジタルデータであるが,地理学では長年にわたり,紙の地図が基本的なデータとして活用されてきた.紙地図は現在も作製されている.この際には,地図を構成する要素のデジタルデータを用いて地図のデジタル原版を作製し,それを印刷するのが今日の一般的な状況である.一方.古い時代の紙地図は,デジタルデータから作成されたものではなく,現存する紙地図自体がデータとして意味を持つ.各所に保管されている古い時代の紙地図の一部は,スキャンやデジタイズによってデジタル形式になっている.このような古い地図の情報を活用して地域の過去の状況を明らかにし,近年の状況と比較することは,地理学の主要な研究方法の一つである.古い時代の地図は,学校教育や生涯教育の場でも活用されており,社会的にも重要である.たとえば,「ブラタモリ」のようなテレビ番組では,過去から現在に至る地理的環境と人の営みを結びつける際に,新旧の地図がしばしば活用されている. このような点を考慮し,CSISはデジタルデータとともに紙地図の資産にも注意を払ってきた.CSISが「研究用空間データ基盤」の提供のような本格的な活動を,紙地図についても行うことは,組織の性格やマンパワーの点から困難である.しかし,紙地図の活用と関連した試みをいくつか行ってきた.日本地理学会と関連した一つの事例は,2000年代後半に試みられた「デジタル地図学博物館」の構築である.これは,CSISが日本地理学会の国立地図学博物館設立推進委員会(現在は地図資料活用推進委員会と改称)と連携し,様々な機関が公開していた地図のスキャン画像を,検索によって即座に閲覧できるシステムの構築を目指したものである.この際には,古地図などの画像を公開している全国の博物館などのウェブサイトを対象とした.このプロジェクトは,画像のURLの変更に対する対応の難しさなどの課題が生じたことと,地図を含む画像の検索がGoogleなどの検索エンジンで可能になっていったこともあり,プロトタイプの構築とその試行的な運用で終了した. 2018~2019年度には,東京大学のデジタルアーカイブズ構築事業の一環として,多数の紙地図のスキャンニングと,地図画像の公開システムの構築を行った.スキャンニングの対象となった地図は,1980年に東京で開催された10th International Cartographic Conferenceの際に,約40ヶ国から日本地図学会に寄贈され,その後に東京大学柏図書館に移管された約1200枚の紙地図の一部を含む.具体的には,国土地理院、海上保安庁、日本水路協会、日本オリエンテーリング協会、U.S. Geological Survey, Geological Survey of Finlandなどが製作した紙地図をスキャンし,著作権の問題がないことを確認した後,「柏の葉紙地図デジタルアーカイブ」としてオンライン公開した.このアーカイブは,独自に開発した地図検索システムを使用しており,高解像度の地図を高速に表示するとともに,メタデータの表示や検索の機能も持っている.ただし上記の1200枚の地図の大半は著作権が消滅していない等の事情があり,公開できたコンテンツの数は限られている. 最新の紙地図と関連したCSISの活動として,埼玉大学教授だった故谷謙二氏がオンラインで公開し,教育の場を含む様々な場面で広く活用されている「今昔マップ」の保守が挙げられる.「今昔マップ」は,国土地理院およびその前身の機関が紙地図として出版した明治時代以降の地図をウェブ・ブラウザで表示する機能を持ち,さらに新旧の地図を並べて比較できる.谷氏は2022年に8月に急逝されたため,氏が管理していたサーバーで稼働している「今昔マップ」の今後の継続性が不透明となった.地理学関係者やご遺族による検討の結果,CSISが「今昔マップ」を含む谷氏が整備したオンラインコンテンツの保守の主体として協力することになった.当面の目的は,現状の「今昔マップ」の提供を継続することである.今後,現行の「今昔マップ」には含まれていない地域の地図画像を,新たに追加する可能性についても検討する予定である.
著者
小城 英子 坂田 浩之 川上 正浩
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-8, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
28

The purpose of this study was to revise the Attitudes towards Paranormal Phenomena Scale (APPle) to capture various aspects of skeptical attitudes, so that the believing and skeptical attitudes toward paranormal phenomena could be measured in detail. A questionnaire survey was conducted with undergraduates. Using exploratory factor analysis, six factors (Total Denial of Paranormal Phenomena, Denial Based on Current Situational Awareness, Inclination Towards Fortunetelling and Magic, Believing in Spirituality, Intellectual Curiosity about Paranormal Phenomena, and Fear of Paranormal Phenomena) were extracted, and a scale with 25 items called APPle II was created. From the viewpoints of internal consistency, confirmatory factor analysis, test-retest reliability, and criterion-related validity, sufficient reliability and validity were confirmed. Among the six factors, “Inclination Towards Fortunetelling and Magic” and “Believing in Spirituality” were regarded as believing attitudes, whereas “Total Denial of Paranormal Phenomena” and “Denial Based on Current Situational Awareness” as skeptical attitudes. “Intellectual Curiosity about Paranormal Phenomena” could be both believing and skeptical, and seemed to be based on analytical and critical thinking.

8 0 0 0 OA 腹部銃創の2例

著者
深見 保之 長谷川 洋 小木曽 清二 坂本 英至 伊神 剛 森 俊治
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.2495-2499, 2003-10-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
10

症例1は45歳,男性.ピストルで左側腹部を撃たれ救急外来に搬送された.血圧は触診で60mmHg,左側腹部に射入創,右側腹部の皮下に銃弾を触知した.開腹すると, S状結腸間膜と空腸間膜が損傷を受け,空腸と上行結腸が穿孔していた.空腸部分切除,回盲部切除術を施行し,術後28病日に退院した.症例2は41歳,男性.ピストルで数発撃たれ受傷し来院した.右腋窩に貫通銃創,腰部から左腹部に抜ける貫通銃創,左大腿に貫通銃創,右腹部に盲管銃創,左下腿に盲管銃創を認め,開腹し空腸部分切除,回盲部切除術を施行した.また腹壁と左下腿の弾丸は摘出した.術後45病日に退院した.銃創は本邦においては稀であるが,今後増加することが予想される.腹部銃創による腹腔内臓器損傷が疑われる場合には,迅速な手術決定が必要であると思われた.
著者
清水 勝嘉
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.87-97, 1976 (Released:2011-02-25)
参考文献数
23

In this paper, trachoma and blindness, leprosy, and parasitosis, which had been involved in the problems of public health in the early years of the Showa Era, were described. 1. Morbidity rate of trachoma in the beginning of Showa declined as compared with that in the Meiji and Taisho Era. There may be main factors of the declination of morbidity rate that emphasis was laid on the trachoma in physical examination for school children and conscriptee, that preventive measure against trachoma required small expense and that the mass examination for trachoma was simple and easy. Blindness was closely related with trachoma. 2. The goverment organization of the National Leprosarium was proclaimed in 1927 and Leprosy Prevention Law was widely revised in 1931. Since then prevention of leprosy have been made it a principle to isolate the patients in the National Leprosarium. 3. It appeared obvious in the beginning of the Showa Era that higher morbidity rate of parasitosis was 40%-60% in urban and 70%-80% in rural area. Parasitosis Prevention Law was proclaimed in 1931. However, the morbidity rate showed no decreasing tendency. Major countermeasures against parasitosis in those days were the stool examination for paraites, administration of anthelminthic, and popularization of new type of lavatory improved by the Ministry of Home Affaires.
著者
有田 佳代子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.5-20, 2021-09-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
55

本稿は,日本語教師が日本社会のマジョリティ≒日本語母語話者への日本語教育にかかわろうとする,その理由と方法について論じるものである.まず,その理由を三点に整理した.①日常的に非母語話者と場を共有している者として,母語話者に,非母語話者とのコミュニケーション方略を伝えるためである.②日本社会の大言語の教師として,少数言語の価値とその話者の権利を守る,すなわち「ことばの平等」を社会に根付かせる一翼を担うためである.③コミュニケーションの教師として,価値観の違いによる分断と対立を解消するための対話を生み,人と人をつなぐ役割を果たすためである.そして,その方法論として,日本語教師養成プログラムの枠組み転換,市民の一般教養としての日本語教育の位置付け,責任あるステークホルダーへの働きかけ,企業研修への関与をあげ,その一例として大学学部での一般教養科目としての日本人学生向け日本語教育コースの実践概要を報告した.
著者
冨岡 薫
出版者
日本倫理学会
雑誌
倫理学年報 (ISSN:24344699)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.219-232, 2022 (Released:2022-07-11)

“Autonomy,” which is a key concept for diagnosing the ethical legitimacy of one’s actions, has been argued in various ways in philosophy and ethics. In one way, the concept of autonomy is perceived as individualistic in the sense it authorizes excluding interventions by other people. In another way, it is employed by feminists to protect women’s rights. Then, along with these two ways of understanding autonomy, care ethics, which began with In a Different Voice by Carol Gilligan in 1982, was forced to deal with the predicament whether it should criticize the concept of autonomy as relational ethics against individualism or accept it as feminist ethics. The aim of this thesis is to raise a question about the current form of care ethics which uses the concept of autonomy as a criterion for good care to address the issue of oppression suffered by caretakers. To guide the conclusion, in the first section, I confirm that at the beginning care ethics criticized the concept of autonomy as being individualistic. Feminists criticized that by excluding the concept of autonomy, care ethics could not protect caretakers’ autonomy in oppressive situations. In the second section, I suggest that together with developing the theory of relational autonomy, care ethics incorporated the concept of autonomy as a criterion for good care in response to the feminists. In the last section, though, I criticize that incorporating the concept of autonomy into care ethics continues the ideology of autonomy and then makes a certain care relation invisible. So, I propose that care ethicists must distinguish the issue of oppression from the issue of autonomy, and that they can address the issue of oppression more adequately without using the concept of autonomy.