著者
大辻 英吾 菊岡 範一 辻本 洋行 桑田 克也 中村 隆一 菅 啓祐
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.991-994, 1993-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

22年前に胃潰瘍のために胃切除術を受けて, BillrothII法により再建された既往歴を持つ54歳の女性が,シラタキコンニャクによる食餌性イレウスを発症した.夕食にシラタキコンニャクを食べ,その翌朝から嘔気,嘔吐と共に上腹部に激しい痔痛を訴えて来院した.腹部レントゲン検査で鏡面像を伴う小腸ガスを認め,癒着性イレウスと診断した.保存的治療では改善しなかったため,開腹術を行ったところ,回腸末端より約210cmの小腸に閉塞物である食物塊が透見された.腸切開を施行して食物塊を摘出したところ,前日の夕食に食べたシラタキコンニャクが一塊となっていた.食餌性イレウスの原因となる食物には,柿,昆布,コンニャク,オレンジなどがあり,特に胃切除後の患者に多いと報告されている.イレウス状態の胃切除後患者の診察にあたっては,食ぺ物に関する問診が重要であると考えられた.
著者
藤原 雅俊
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.56-66, 2013-06-20 (Released:2013-11-07)
参考文献数
26
被引用文献数
3

本稿の目的は,消耗品収益モデルを採用した企業がジレンマを抱え陥穽に落ちるメカニズムを論じることである.具体的には「なぜインクジェット・プリンター産業において非純正カートリッジあるいは非純正インクが普及してしまっているのか」という問いを,収益モデルが社外のプレイヤーに与える社会的作用に主に注目して分析する.本稿の分析から,ビジネスモデルが引き起こす学習メカニズムを分析することの意義が強調される.
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-34, 2013-03-19

本研究の目的は、ある時点において恋人がいる青年(大学生)を対象として調査を実施し、その対象者に対し全3回の縦断的な追跡調査を実施することにより、アイデンティティ及び「恋愛関係の影響」が恋愛関係の継続/終了の予測可能性を、明らかにすることであった。第2回調査の時点の恋愛関係の継続/終了、及び第3回調査時点での恋愛関係の継続/終了を独立変数に、アイデンティティや「恋愛関係の影響」について比較したところ、「恋愛関係の影響」の「他者評価の上昇」が短期的な恋愛関係の継続/終了を予測することが明らかになった。またアイデンティティの感覚や「恋愛関係の影響」の「充足的気分」も、短期的な恋愛関係の継続/終了を予測する可能性が示された。

2 0 0 0 将棋月報

出版者
将棋月報社
巻号頁・発行日
no.244, 1943-05
著者
江尻 愛美 河合 恒 安永 正史 白部 麻樹 伊藤 久美子 植田 拓也 大渕 修一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-155, (Released:2022-06-30)
参考文献数
27

目的 住民主体の通いの場の支援では運営に関わる住民の負担軽減と心理社会的健康の維持が必要である。本研究では,通いの場における役割の違いによる課題認識について把握し継続支援方法を検討すること,役割と心理社会的健康との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2018年に,島嶼部を除く東京都内53区市町村の担当者を通じて住民主体の通いの場活動を行う自主グループへ調査員訪問による自記式質問紙調査への協力を依頼し,40区市町155グループ2,367人より回答を得た。グループの運営における役割は,グループのメンバーをまとめるリーダー,リーダーとともにグループを運営するサポーター,とくにグループの取りまとめに関する役割のない参加者の3種類から選択させた。対象者を,通いの場活動における課題(10種類)を1つでも感じている者とそうでない者に分けた。心理的健康はWHO-5精神的健康状態表を,社会的健康はLubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6)を尋ねた。役割と認識している課題の内容との関連をカイ二乗検定で,役割および課題認識の有無と心理社会的健康の関連を二元配置共分散分析で検討した。結果 有効回答者数は2,096人で,リーダー174人,サポーター296人,参加者1,626人だった。課題を感じていない者は,リーダー8.6%,サポーター27.7%,参加者53.6%であり有意な関連が認められた(P<0.001)。リーダーは運営メンバー不足,グループの高齢化などの課題を参加者よりも多く認識していた。二元配置共分散分析の結果WHO-5とLSNS-6のいずれも役割の主効果のみ有意であり(いずれもP<0.001),役割と課題認識の交互作用は認められなかった(それぞれP=0.729, P=0.171)。役割間の多重比較の結果リーダーとサポーターは参加者よりWHO-5とLSNS-6の得点が有意に高かった。結論 通いの場において運営に関わる役割を担う者ほど活動時の課題を多く認識し,運営に関わる課題は役割間の認識の差が大きく,役割間での課題の認識のされやすさに応じた支援が有効であると考えられた。一方,課題認識の有無に関わらず,リーダーやサポーターは参加者より心理社会的健康が高かった。通いの場で役割を持つことが心理社会的健康に良い影響を与える可能性について今後は縦断研究による検証が期待される。

2 0 0 0 OA 神代秘史

出版者
国教宣明団
巻号頁・発行日
vol.第4巻, 1936
著者
安藤 礼二 杉本 良男 吉永 進一 赤井 敏夫 稲賀 繁美 橋本 順光 岡本 佳子 Capkova Helena 荘 千慧 堀 まどか
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

これまで学術的な研究の対象とは見なされてこなかったが、神智学が宗教、政治、芸術などの近代化で重要な役割を果たしたことは近年認められている。本研究では、それらをグローバルな視点から再検討し、新たな研究の可能性を探ることに成功した。プロジェクトメンバーたちによる国内外の調査によって貴重な一次資料を収集しただけでなく、海外の研究者たちとの連携を深めた。日本ではじめて神智学を主題として開催された国際研究集会など、いくつかの研究会を開催し、神智学研究を代表する世界の研究者たち、日本の研究者たちが一堂に会した。これらによって、さまざまな分野の研究者のネットワークを構築し、今後の研究の礎を築くことができた。
著者
吉永 進一 GAITANIDIS IOA 大澤 絢子 荘 千慧 栗田 英彦 大道 晴香
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、第一に、終戦直後から1960年代までを中心として、インド、アディヤールにある神智学協会本部所蔵の資料や、戦後日本の神智学系の運動の調査を行い、神智学思想の伝播と流布についての通史を記述する。第二に、同時期の出版メディアの調査を通じて、神智学以外の西洋秘教思想の一般への流布を調べる。第三に、それら1960年代までの動きが、1970年代のオカルト流行とその後のニューエイジへの発展へどう発展し、あるいは断絶したかを検証する。
著者
今野 雷 稲垣 厚至 神田 学 宮本 康司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_763-I_768, 2012 (Released:2013-03-26)
参考文献数
6

This study focuses on the problem of "mosquito swarm" along urban rivers. Different from general biological methods (capture, counting and photograph), we adopted a fluid dynamical approach to investigate the temporal-spatial distribution of mosquito swarm. First, a novel device composed of multiple laser sheets is developed as a mosquito counter in order to quantify the density of the swarm. Second, filed observations are done in Nomi River by utilizing this laser device as well as the other conventional meteorological observations. The followings are the major results obtained: (1) Mosquito swarms are apparent only about 1 hours before the sunrise heavily on one-sided (sunlit side) along the river. (2) The hot-sopt of mosquite swarm seems to exist ; the cross sections of urban street perpendicular to the river. The locations were roughly fixed with slight perturbations. (3) The suitable temperature to make swarm is about 22.5ºC.
著者
加藤 周
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

affine Hecke代数やKhovanov-Lauda-Rouquier代数(KLR代数)といった重要な代数系において標準加群と呼ばれる加群族が複数存在し、それらが皆古典的な準遺伝代数の枠組みで現れるのと同じ直交性と呼ばれる性質を持つことを発見し、証明した。このような直交性(+既約表現の順序)は特に既約表現の指標を決定し、表現論的により原始的な意味で指標の直交性を捉えていると考えられる。応用として(ADE型)KLR代数の大域次元有限性(柏原の問題)、対応する量子群Poincare-Birkoff-Witt基底と標準/大域基底の遷移行列の正値性(Lusztigの予想)を解決した。