著者
道城 裕貴 原 説子 山本 千秋 田中 善大 江口 博美 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.175-186, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
3

本研究の目的は、(1)発達障害児に模擬授業場面において個別およびグループトレーニングを行い、小学校で必要な行動を身につけさせること、(2)母親へのチェックリストにより教室場面での般化を確認することであった。対象児は、広汎性発達障害と診断された就学前の6歳2か月の女子1名であった。トレーナーおよびアシスタントは大学院生であった。模擬授業場面は、大学内に設置した小学校の教室場面と類似した環境であった。標的行動は、予備観察から「手を挙げて発表する」などの34の授業準備行動を選択した。個別トレーニングは1対1、グループトレーニングは1対2以上で行い、(1)個別トレーニング、(2)グループトレーニングという順で導入した。トレーニングでは、課題分析、モデリングやプロンプトなどの行動的技法を用いた。フォローアップでは、参加児が就学後に母親のチェックリストの記入により教室内における般化を検討した。結果として、大学の模擬授業場面において、発達障害児はさまざまな授業準備行動を身につけ、教室場面においても般化を確認することができた。
著者
片田 房 上野 義雄 CAMPOSANO Siverlyn M.
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、社会性やコミュニケーションの障害を特徴とするギーク症候群(発達障害)の大学における実態を日本とフィリピン共和国を中心に調査し、ギーク症候群的気質を考慮したカリキュラム開発の妥当性を示した。特に英語によるコミュニケーション能力開発が求められる理工系学生においては、基礎数学や科学分野の材料を使用した理工系ESP(English for Specific Purposes)が有効であることを提言した。本研究は、才能と障害の連続性を啓蒙し、多様性を尊重するインクルーシブ教育の理念と大学の統一カリキュラムとの間に乖離が存在することを指摘すると共に、その一対策を提示することに貢献した。
著者
太田 匡彦 大園 誠一郎 池田 朋博 中農 勇 平尾 佳彦 渡辺 秀次 高島 健次 平尾 和也
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.705-710, 2004-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

(背景) 最近, 健康ブームで, スポーツ人口が増加しているが, 一部に運動後血尿を認める場合があり, 運動性血尿として注目されている. そこで, 最も一般的な運動であるランニングと血尿の検討を夏季において行った.(対象と方法) 泌尿器科的疾患のないヘルシーボランティア109名に運動前安静時尿採取後, 5kmランニングを行い, 運動後尿を採取した. 評価可能例は90名で運動前後尿につき, 検尿, 尿沈査, フローサイトメトリーにより赤血球数, 赤血球形態について比較した.(結果) 運動後の尿中赤血球数増加例が83名であり, 運動後顕微鏡的血尿例 (赤血球数3個/hpf以上) は32名であった. そのうち赤血球形態学的検討で dysmorphic pattern が23名と最多であった.(結論) ランニングにより血尿が誘起され, 糸球体性血尿が中心と考えられた.
著者
南畝 晋平 東 純一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.4, pp.212-215, 2009 (Released:2009-10-14)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

チトクロムP-450(CYP)遺伝子多型が,薬物血中濃度の個人差を引き起こす原因の一つとなることは,もはや周知の事実である.CYP遺伝子多型情報は,これまで,臨床上問題となる薬物反応性,副作用発現の個人差の原因を明らかにするための手段として用いられてきた.近年,医薬品の開発成功率の低下から,遺伝子多型情報を医薬品開発に利用し開発の効率化を図ろうとする動きが議論されており,CYP遺伝子多型は最も有力なターゲットになると考えられる.実際,被験者のゲノムDNAをバンキングし,予想外の有効性や安全性の結果が出たときに遺伝子多型解析が可能な体制をとる製薬企業が増えてきている.さらに,2008年3月には「医薬品の臨床試験におけるファーマコゲノミクス実施に際し考慮すべき事項(暫定版)」が日本製薬工業協会から発表された.今後,医薬品開発における遺伝子多型情報の利用が一般的になっていくと思われる.
著者
長谷川 智子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-171, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
12

日本における看護師の資格認定制度は,1987年厚生省の「看護制度検討会報告書(21世紀に向けての看護制度のあり方)」において,専門看護師,看護管理者の育成が提言されたことを契機に始まった.そこでようやく誕生したのが1994年に専門看護師制度,1995年に認定看護師制度,1998年に認定看護管理者制度で,日本看護協会がその核となった.認定看護師(Certified Nurse: CN)の役割としては,実践・指導・相談があり,高度実践看護師と同等レベル,あるいはそれ以上の能力を有する者が多数存在している.2020年度からは新たな認定看護師教育課程が開講され,呼吸器看護でも2021年「呼吸器看護認定看護師」としての教育が開講されるようになった.新カリキュラムでは特定の医療行為ができるようになる教育が組み込まれ,臨床推論力と病態判断力に基づいた高度な実践を展開できるようになることを期待されている.
著者
小野塚 満男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.620-624, 1964-07-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
30
被引用文献数
3 1
著者
伊藤 諒 山本 倫久
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.421-425, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
19

伝搬する電子を用いて量子光学的な実験を行う量子電子光学の分野では,制御対象が空間的に波動関数が大きく広がった電子から有限のサイズを持つ量子的な単一電子の波束にシフトしつつある.生成可能なさまざまな電子波束の中で空間的な広がりが最小のものが,表面弾性波の動くポテンシャルに束縛されて伝導する単一電子である.本稿では表面弾性波による単電子の伝送手法およびその量子的な伝導の制御について紹介する.
著者
小山 彰彦 乾 隆帝 伊豫岡 宏樹 皆川 朋子 大槻 順朗 鬼倉 徳雄
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.191-216, 2022-03-17 (Released:2022-04-20)
参考文献数
55

堤体高 15 m を越えるハイダム撤去に対する河口域の生態系の応答を調査した事例は世界的に限られている.本研究では荒瀬ダム撤去前に該当する 2011 年から撤去後の 2018 にかけて調査を行い,球磨川水系の河口域の底質と生物相の変化を評価した.調査期間の秋季と春季に調査を計 14 回実施し,球磨川と前川に設置した 178 定点が調査された.このうち,本研究では 138 定点を解析に使用した.底質変化の指標として,調査定点のシルトと粘土の割合を算出した.結果,2012 年の春と 2014 年の春にそれぞれ粗粒化が認められた.これらの粗粒化は主に 2010 年の荒瀬ダムゲートの開放と 2011 年の大規模出水と関連すると考えられる.底生生物群集の変動を解析した結果,定点ごとの生物相の変動は,特定の調査時期,あるいは季節性に基づかないことが示唆された.この結果から,ダム撤去が河口域の底生生物群集に与えた影響は決して大きくなかったと考えられる.一方,球磨川と前川の両河川では内在性種が 2012 年の秋季から 2013 年,あるいは 2014 年の秋季にかけて顕著に増加した.同時期に,内在性種のアナジャコとニホンスナモグリ,およびこれらの巣穴を利用する共生種の出現定点数の増加が認められた.アナジャコとニホンスナモグリは砂泥質,および砂質環境に生息するため,底質の粗粒化が本種らの生息地の拡大を促進した可能性が示唆される.しかしながら,本調査を開始する前には河口域で底質のかく乱が既に観測されている点,本調査域では河川改修や自然再生事業に伴い直接的な土砂の投入が行われている点などから,本研究で観察された底生生物の出現パターンの変化が荒瀬ダム撤去とどの程度直接的に関係しているのかは十分に検証できていない.この関係を明らかにするために,今後,荒瀬ダムの堆積土砂の動態を評価すべきであろう.
著者
財津 桂 片木 宗弘 中西 啓子 志摩 典明 鎌田 寛恵 鎌田 徹 西岡 裕 三木 昭宏 辰野 道昭 岩村 樹憲 佐藤 貴子 土橋 均 鈴木 廣一
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.73-90, 2011 (Released:2011-08-12)
参考文献数
31
被引用文献数
4 3

Comprehensive analytical method to identify 11 kinds of synthetic cannabinoids has been investigated by thin layer chromatography (TLC), gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) and liquid chromatography/tandem mass spectrometry (LC/MS/MS). The analytes used in this study have already been detected from various herbal-type designer drugs: 8 kinds of aminoalkylindoles (AAIs) (JWH-015, JWH-018, JWH-073, JWH-081, JWH-200, JWH-250, JWH-251 and JWH-398), two kinds of cyclohexylphenols (CPs) (CP 47,497 and Cannabicyclohexanol), and a Δ9-tetrahydrocannabinol analog (HU-210).   Although specific color changes were observed for the cannabinoids using Marquis reagent, identification of each analyte based on Rf values was difficult to be obtained by TLC.   On the other hand, GC/MS and LC/MS/MS were appropriate for their qualitative analyses because of their chromatographic and mass spectral differentiation. A semi-polar capillary column DB-5MS showed the best separation and retention properties of the targeted cannabinoids among the tested GC column phases. Also, characteristic fragment ions were observed in each electron ionization-mass spectrum. The observed fragment ions were mainly derived from α-cleavage of ketone and α-cleavage of amine for AAIs, simple cleavage for CPs, and McLafferty rearrangements for HU-210.   Based on the ionization efficiency of the target analytes using LC/MS/MS, electrospray ionization positive mode was selected for AAIs, and negative mode for CPs and HU-210. All analytes were completely separated by gradient elution of ammonium formate aqueous solution-acetonitrile mobile phase on a C18 (ODS) separation column. In addition, characteristic fragment ions were observed in product ion spectra of AAIs and second generation product ion spectra of CPs and HU-210, enabling reliable confirmation.   These results provide useful information not only for simultaneous analyses of the targeted cannabinoids but also for structural assignment of future cannabimimetic compounds that may appear in the illicit drug market.
著者
森 光輝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.699-701, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
13

認知症ケアチームおける薬剤師の活動は用法調整などの適正使用、副作用マネジメントだけでなく、新規追加の処方提案が行われていた。それにより抗認知症薬の使用割合を増加させる効果があった。抗認知症薬はアルツハイマー型認知症の治療において重要な薬剤である。そのため、薬剤師が認知症ケアチームに参加することにより、薬物療法を介して認知症治療に貢献できると考える。
著者
中牟田 智朗
出版者
近畿大学産業理工学部
雑誌
かやのもり:近畿大学産業理工学部研究報告 = Reports of Faculty of Humanity-Oriented Science and Engineering, Kindai University (ISSN:13495801)
巻号頁・発行日
no.27, pp.12-18, 2017-12-15

The corporation profit tax doesn’t tax the religious corporation as a principle. It’s when profit business was managed, that the religious corporation taxes. There are various views about this profit business. I’d like to understand what profit business is by seeing a precedent. It’s easiest to understand that profit business checks the precedent. When understanding profit business, the problem of religious corporation taxation can be settled. This paper treats a religious corporation, but the corporation profit tax is analyzed in the center. It’s expected that a religious corporation is able to understand.