著者
西海 功 山崎 剛史 濱尾 章二 関 伸一 高木 昌興 岩見 恭子 齋藤 武馬 水田 拓
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本列島の島嶼部を中心に分布する陸鳥類の14分類群(19種)について、異所的な集団の種分化と種分類に関する研究をDNA分析、形態学的分析、およびさえずりの音声分析を含む生態学的分析によっておこなった。日本列島の島嶼部を中心とした陸鳥の集団構造や種分化が極めて多様なことが示された。つまり、遺伝的な分析からは、南西諸島の地史を直接に反映した集団構造は陸鳥類では全くみられず、集団の分化のパターンが種によって大きく異なることがわかった。遺伝的に大きく分化している地理的境界線の位置も種によって異なるし、遺伝的分化の程度も分化の年代も種によって大きく異なることが示唆された。また、形態的分化や生態的分化の程度も種によって異なり、それらは必ずしも遺伝的分化の程度と相関しないことが推測された。近縁種の存否がさえずりの進化に影響する、すなわちさえずりの形質置換があったり、人為的環境の改変への適応が行動を通して形態的適応進化を促進したりすることがわかった。また、リュウキュウコノハズクやキビタキなど多数の種で亜種分類の見直しの必要性が示唆され、ウチヤマセンニュウなどいくつかの種では種分類の見直しの必要性が示唆された。今回の研究期間ではっきりと種・亜種分類の見直しの検討が出来たのはメボソムシクイ類とコトラツグミのみであったので、それ以外の見直しは今後の課題として残された。

2 0 0 0 OA 日向国史

著者
喜田貞吉 著
出版者
史誌出版社
巻号頁・発行日
vol.古代史, 1930

2 0 0 0 酒と経営

著者
山崎 誠三
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.3-5, 1978

筆者の父君は山種証券の創業者で, 現在では第一線を退いて会長の役仁あるが, 伊豆の来宮で悠々自適。その波乱にみちた生涯は, 自伝『そろばん』(日経刊) で詳細をうかがうことが出来る。会長の事業は二分されて継承され, 辰巳倉庫は筆者が社長となり, 山種証券は兄上が主宰しておられる。<BR>米が筆者を愛酒家たらしめたか, はたまたその逆であるかは, さだかではないが, 酒類業界に対する関心と研究熱心には年季が入っているようである。大企業対中小企業の比較検討をビール業界と清酒業界との次元で行っているのには興味がそそられる。秋の夜に白玉の歯にしみとおる美酒を愛するが故に憂国の惰を洩らしている。
著者
八ッ塚 一郎
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.103-119, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

日本社会における「ボランティア」と「NPO」の普及・興隆という現象を,社会的現実の生成と変容のプロセスとみなし,社会的表象論に依拠してその機制を検討した。各々の語を含む新聞記事の量の経年的変化を検討したところ,いずれの語も記事量を増大させていた。さらに,各々の語について,助詞を付して用いられる比率を算出する「助詞分析」を試みた。ボランティアは,阪神大震災以前には高かった主語としての用法の比率を,震災後には相対的に低下させていた。一方,NPOでは,主語としての使用比率は一貫して高かった。このことから,NPOは,生成の渦中にあるものの,社会的現実としては未だ単調であり,生活世界にとって疎遠であることが示唆された。それに対しボランティアは,震災を契機にその多層性を確立し,豊かな意味をもつ社会的現実として,生活世界の細部へと浸透しつつある。このことは記事内容に関する分析によっても支持された。2つの社会的現実について今後の変容可能性を展望するとともに,新聞記事を活用した分析技法について,社会的表象論に基づく展開の方向性を考察した。
著者
大西 智樹
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.183-186, 2019

<p>「しでんの学校」では市民の方から集めた横浜市電の写真をデジタルアーカイブとしてウェブサイトで公開する「しでんちゃん横浜プロジェクト」を2013年から始め、現在では700枚を超える写真の提供を頂いている。同時に、デジタルアーカイブ「デジタルでみる横浜市電の写真マップ」(通称;しでんマップ)の構築を進めており、2018年9月に限定的な公開を開始した。また、提供された写真をデジタルアーカイブとして公開するだけではなく、街歩きや写真展への活用など、デジタルアーカイブを活用した取り組みについても実績が蓄積されつつある。そこで本稿では、これまでの実践をもとに、市民団体がデジタルアーカイブを構築・公開した上で、ウェブサイトと団体の継続的な運営、さらにはデジタルアーカイブを利活用するための一方法論を提案するとともに、それらの課題を明らかにすることを目的としている。</p>
著者
松村 拓大
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.167-175, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
22

ボツリヌス神経毒素は,ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)などによって産生されるエンドペプチダーゼ活性を持つ極めて生物活性(毒性)の高いタンパク質毒素である。本毒素は常に無毒成分との複合体として産生される。食餌性ボツリヌス症(ボツリヌス食中毒)は,神経毒素複合体が経口摂取され腸管から吸収された後,神経・筋接合部において神経毒素がSNAREタンパク質に作用することにより引き起こされる。本症の発症には,毒素が活性を保持したまま腸管から吸収される過程が必須であるが,巨大分子である本毒素が腸管上皮細胞バリアを通過する機構については不明であった。我々は腸管上皮細胞株を用いたin vitroの解析から無毒成分の一種であるhemagglutinin(HA)が細胞間バリアを破壊する強力で新規の作用があることを発見し,その標的分子がE-cadherinであることを明らかにした。さらに実際の生体内(in vivo)では神経毒素複合体がパイエル板を覆う濾胞被覆上皮に存在する特異的な細胞,Microfold cell(M細胞)から吸収されることを発見した。 本稿では我々の解析の結果から明らかとなったボツリヌス毒素の巧妙な体内侵入機構について述べたい。
著者
Slater Robert
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.910, pp.72-76, 1997-10-06

もう66歳だ。ジョージ・ソロスにとってすれば、「世界的な相場師」と言われていた日々はもう過ぎ去ったはずだが、各国の政府関係者は依然としてソロスの存在に脅威を感じている。 先物など金融派生商品も組み合わせて株式や為替に投資するヘッジ・ファンド。その日常業務を後継者に任せるようになってからすでに10年の歳月が流れている。
著者
清水 長正 山川 信之 池田 明彦 大和 美佐枝 山田 祐子 柿下 愛美 石井 正樹 島立 正広
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.193-200, 2020 (Released:2021-04-28)
参考文献数
6

Jigokudani Crater is located at the altitude of 2,100m a.s.l. in the subalpine zone of northern area of the Yatsugatake volcanic chain (Kita-Yatsugatake). The relations between seasonal crater lake appearance and ground-ice development under the algific environment of talus slope in the crater were observed through 6 years from 2009 to 2014. The crater lake appeared during more than two months in early summer of 2010, 2012 and 2014 and ground-ice disappeared in autumn in each year except 2014. On the other hand, perennial ground-ice was formed in 2009, 2011, 2013 and maintained until next summer, and crater lake appeared. These periodic phenomena suggest that the appearance of crater lake depends on the frozen ground as an impermeable layer represented by ground-ice which was maintained from former year.

2 0 0 0 OA 薪水帖

著者
松根東洋城 著
出版者
同文社
巻号頁・発行日
1942
著者
丸山 佳久
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.629-632, 2014-09-10 (Released:2014-10-02)
参考文献数
2
著者
長谷部 雄飛 福田 浩二 中野 誠 近藤 正輝 佐竹 洋之 平野 道基 下川 宏明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SUPPL.3, pp.S3_36-S3_42, 2014 (Released:2015-10-26)
参考文献数
7

症例1は, 15歳女性. 小学生の時にWPW症候群を指摘. 運動中に出現した心拍数300/分台の偽性心室頻拍で当科紹介. C型顕性WPW症候群, デルタ波はⅡ誘導で陰性であり, 心外膜側Kent束と予測された. 順伝導ERPは220msec, 心室早期刺激にて容易に房室回帰性頻拍が誘発された. 冠状静脈洞 (CS) 内の順伝導最早期部位における心室側への通電で離断に成功した.  症例2は, 22歳男性. 小学生の時にWPW症候群を指摘. 強い精神的ストレス下で, 心拍数280/分台の偽性心室頻拍を発症. ピルジカイニド内服後もデルタ波残存し, Ⅰ, Ⅱで陽性, V1, aVFで (±) であり, 後中隔Kent束と予測された. Kent束の順伝導ERPは240msec未満. CS入口部前面に順伝導最早期を認め, 入口部から内部に入った逆伝導最早期部位への通電と, さらに奥での追加通電にて離断に成功した. CS内通電を要した後中隔Kent束で, 心房細動合併時に速い心室応答を示したハイリスク偽性心室頻拍の若年2症例経験したので文献的考察を加えて報告する.
著者
山田 祐也 迫田 寛人 井上 徹 久保 正治 伏見 尚子 南 武志 亀山 正邦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.933-936, 1998-10-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8

鉛中毒を合併したインスリン非依存型糖尿病を短期間に2例経験した. 2例とも腹痛, 強度の便秘, 不眠などの自覚症状と貧血, ポルフィリン尿症を呈し, 血中尿中鉛濃度は高値を示した. 内服中の漢方薬 (珍芹降糖) に高濃度の鉛を検出した. 同薬の鉛含量にばらつきを認め長期内服で未発症例もあることから, 鉛の混入が推定された. Dimercaprol筋注により治療し症状, 検査所見ともに改善中である.
著者
八木 奘三郎
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-6, 1917-01-25 (Released:2010-06-28)