出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.206, pp.30-33, 2001-11

限界点を正しく見極め、廃業のタイミングを逃さないために、経営者は何を心がけるべきなのか。廃業の手続き過程では、冷静沈着さをできる限り保ち、常に合理的な判断を下すことが求められる。焦って判断を誤らないためには、日頃から金銭的、精神的な余裕をつくっておくことが必要だ。 廃業するか否かの限界点は、経営者自身にも見極めがつきにくい。
著者
原 圭寛
出版者
湘南工科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は,学士課程のカリキュラム編成の際に「知識」と「能力」の関係がどのように問われてきたのかについて,思想史的に研究するものである。特に本研究では,1828年にイェール・カレッジが出版したカレッジ・カリキュラムについての報告書において1つのキーワードとなっている"discipline"という概念に着目する。この報告書は,学士課程の編成意図について論じられたまとまった文書としては,アメリカ最古のものの一つであるとされている。この文書における中心的な概念がどのような経緯で出現し,またその後のアメリカの学士課程編成にどのような影響を与えたのかについて分析を進めることで,上述の課題に答える。
著者
福長 秀彦
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.2-24, 2020 (Released:2021-04-16)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、トイレットペーパーをめぐる流言と買いだめが如何にして発生したのか、また、両者がどのように関わり合っているのかを検証した。そのうえで、流言と買いだめを的確に抑制する報道のあり方を考察した。検証と考察の結果は以下の通り。 ■「トイレットペーパーが不足する」という流言の発生には、マスク不足、オイルショック、海外の買い占め騒動が心理的要因として作用していた。日本とシンガポールなどで拡散した流言はほぼ同じ内容であり、感染症の流行による国際社会の不安から、流言は国境を越えて拡がった。 ■買いだめの動きは、流言がきっかけとなって各地で散発的に始まり、2月28日に急加速した。急加速を主に促したのは、品切れの様子を伝えたテレビだった。 ■流言を信じて買いだめをした人は少なかった。多くの人は流言を信じていなかったが、「他人は流言を信じて買いだめをしているので、このままでは品物が手に入らなくなる」と思い、買いだめをしていた。そうした心理は品切れとなる店舗が増えるにつれて増幅し、買いだめに拍車をかけた。 ■流言を否定する情報は、店頭から現実にモノが消えているので、説得力を欠いた。買いだめが加速すればするほど、品不足への不安が高じて、流言の打ち消しは効果が逓減した。 ■流言が社会に悪影響を及ぼす群衆行動へとエスカレートする前に、流言の拡散を抑え込まなければならない。
著者
藤尾 孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.194-197, 1959

カラー・テレビジョンの映像を再生するには多重化された映像伝送信号から三つの色, または色差信号を得る必要がある.ここでは任意に選んだ一対の色度軸と, これと組合わせた真空管マトリクス回路から所要の色差信号を得る色デコーダ回路について述べる.
著者
安藤 哲郎
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.41-54, 2008 (Released:2018-01-06)
参考文献数
37

This paper gives a synoptic view of the distribution of places mentioned in the setsuwa stories compiled in the late Heian and early Kamakura periods (the 12th and first half of the 13th centuries). The author deals with places that were described as the staging areas for various events occurring during the Heian period, in and around Heian-kyo (present-day Kyoto).The author presents a geographical analysis of classical Japanese literature. Existing studies of the field have tended to focus on individual works or authors. In this paper, various stories including similar contents from different compilations are classified and analyzed in temporal and spatial dimensions.The category of setsuwa literature consists of many stories that include miracles and reasoning based on Buddhist teachings. Those stories were collected and resulted in several compilations (setsuwa-shu) in the late Heian and early Kamakura periods. The events told in the stories were distinguished ‘desirable’ from ‘undesirable’ for the people described. Then the locations of the events were plotted on maps of different times during the Heian period.By examining such maps, we can see that the locations of those events were familiar to the inhabitants of Heian-kyo. We can also see that residences and Buddhist temples related to the ruling people of the time were mentioned frequently. This suggests that the events in the stories were told as occurring in reality, reflecting the nature of setsuwa literature.In analyzing the contents of the stories, we can see that undesirable events often occur within the city boundary, whereas desirable events tend to happen in the peripheral zone. This peripheral zone can be associated with Buddhist temples and Shinto shrines which were religious foci for people of that time. Several events were described as having occurred just outside the city boundary, suggesting that the city area was not clearly circumscribed.The author concludes that the locational nature of events mentioned in the setsuwa literature can be considered to reflect the spatial structure of the metropolis of the Heian period. Further research should analyze factual records in diaries written by noblemen for comparative studies with literary materials.
著者
鈴木 宏幸 石井 賢二 飯塚 あい 小川 将 村上 深
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、認知機能の低下のない高齢者を対象とする囲碁を活用した認知機能低下抑制プログラムを開発し、その効果を多面的に評価した。対象者を、集団でコミュニケーションをとりながら囲碁を学習するグループ(集団群)、タブレットPCを用いて個人で学習するグループ(個人群)、囲碁を学習しない対照群に振り分けた。認知機能検査の結果、集団群と個人群では視覚情報処理に関する記憶機能が向上し、その効果は個人群よりも集団群で大きかった。また、プログラム受講により脳活動の増加が示され、1年後のフォローアップ調査の結果では囲碁の学習を継続している者は精神的健康が向上することが示された。
著者
ムルング デオグラティアス 椎葉 充晴 市川 温
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.555-568, 2002
被引用文献数
3

降雨遮断に対する三種類のモデル(Deardorffのべき関数式を用いたRutterのモデル,Deardorffのモデル,修正近藤モデル)に気象外力を与えて一年間のシミュレーションを行い,その結果を比較した.それぞれの降雨遮断のモデルには,ペンマンーモンティース式を組み合わせた.修正近藤モデルは,水収支を構成する種々の要素を考慮したものであり,降雨イベント間の蒸発散機構も取り入れられている.この蒸発散の計算には,Deardorffのべき関数式,キャノピーでの貯留量の変化,キャノピーからの流出が考慮されている.ペンマンーモンティース式は蒸発散量を決定するうえで核となる部分である.この式は日本あるいは試験流域で広く適用されており,本研究においても,降雨遮断モデルの比較の基礎として用いることにした.本研究では有効降雨に着目していることから,水収支のコントロールボリュームはキャノピーの上端から地表面までの間としており,水収支の計算には土壌水分量や蒸散量は含まれていない.モデルの計算結果から,森林キャノピーからの蒸発量は全降水量の22%から29%となることが明らかとなり,また,モデル間の差異は冬季の計算で大きくなることも明らかとなった.冬季は降水量が少なく,キャノピーの貯留量や降水量がポテンシャル蒸発量を満たさなくなるために,モデル間の違いがはっきり現れたものと考えられる.年間の有効降水量は総降水量の71%から78%,年間の蒸散量は727mmから733mm程度と算定された.また,修正近藤モデルにべき関数式を適用したところ,蒸散量の値には大きな影響が,蒸発量の値には若干の影響が見られた.修正近藤モデルによる計算結果は他の二つのモデルの結果とほぼ同等であり,水文モデルに対する時間単位の入力を算出するために使用できると考えられる.モデル間の蒸発散量の違いは,主として樹冠通過率と貯留量流出量関係の定式化の違いから生じている.
著者
高木 信
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.11-24, 2006-06-10

『平家物語』研究において、あるいは学校教育において、知盛は運命の人として称揚され続けてきた。しかし中世から近世にかけての享受としては、諦念を抱いた知盛像よりも怨みを持ち怨霊化する知盛像が主流であった。そこで、知盛を運命の人とする近代的な読み方を検証し直す必要が生じる。延慶本以外のほとんどの諸本は、知盛が阿波の民部裏切りを知ると、女房たちの船に乗り移り、掃除をして、東国の武将たちに陵辱されるであろうと脅しをかける。このような知盛の作り出す文脈は、己の理想とする美的最期を達成しようとするものでしかない。しかし中等教育では、知盛を英雄とすることで、死を美学化してしまっている。このような死の美学化に抗するためにも、英雄・知盛像とは違う知盛像をテクストから還元しておく必要性がある。
著者
荻原 成騎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.16, 2019 (Released:2019-07-03)

Yooperlite とは、2017 年の夏に Superior 湖の湖岸にて発見された“紫外線蛍光を示す石ころ”である。Yooper とは、発見された場所である Michigan 北部の Upper Peninsula、略して U.P. に由来する。Yooperlite の紫外線によるオレンジの蛍光は、まことに麗しく神秘的であり、パワーストーン愛好者を魅了している。岩石学的には、Syenite の円礫で、蛍光の原因は Sodalite である。蛍光する Sodalite について、特に区別して Hackmanite と呼ぶことがある。Greenland や MontSaint-Hilaire、コラ半島などからの産出が知られるが、いずれも母岩は Syenite である。これらの Hackmanite 蛍光の原因として S や Be が指摘されている。岩石学的には、珍しい石ではない。本研究では、薄片観察に基づき、Sodalite の産状を記載し、XRD による結晶学的特徴付け、EPMA および LA/ICP-MS による主成分/微量成分分析により蛍光の起源を明らかにする。Yooperlite は湖岸に転がる石ころの中でも稀な石であり、現在ではほぼ取り尽されている。そのため現地調査は行っていない。Yooperlite は氷河堆積物中の円礫であるため、礫の母岩である Syenite の産状は見ることはできない。顕微鏡観察に基づく Syenite の特徴は、nepheline を欠くことである。Nepheline については、XRD からも検出されなかった。顕微鏡観察から、Sodalite は matrix を充填しており、もともと nepheline があった場所に置換して分布しているように見える。Sodalite が matrix の Nepheline を置換していると考えると、Sodalite の成因は、単純に Nepheline とアルカリの反応3NaAlSiO4 + NaCl → Na4Al3Si3O12Cl(3Nepheline + NaCl →Sodalite)で説明できる。本研究における Sodarite の分析の結果格子定数 a=8.8594(49)組成 Na3.49Al3.15Si3.07O12Cl1.22発表では、Sodalite 中の蛍光に関与している微量元素組成について言及する。研究で用いた Yooperlite は、Mr.Stone 吉田様から提供された。質問などは ogi@eps.s.u-tokyo.ac.jp まで
著者
堤 理恵 大藤 純 福永 佳容子 筑後 桃子 瀬部 真由 井内 茉莉奈 堤 保夫 西村 匡司 阪上 浩
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.803-806, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
12

重症患者における栄養管理の重要性は広く認識されつつある。一方で、侵襲下においては有効な栄養指標や予後指標とされるものはなく、栄養投与量や適切な栄養組成についても議論の余地が大きい。また、その栄養投与の効果をどのように評価するか、モニタリングのポイントをどこにするか、これについても十分な見解がないのが現状である。近年多くの施設で身近に使用されつつある体組成計による体組成の評価は重症患者の栄養評価に有用であろうか?あるいはどのように使いこなせばよいのだろうか?本稿では、体組成評価に着目し、重症患者における有用性と課題について概説したい。
著者
有元 伸子
出版者
広島大学大学院文学研究科附属内海文化研究施設
雑誌
内海文化研究紀要 (ISSN:03863182)
巻号頁・発行日
no.40, pp.49-70, 2012

冊子版校正終了後に発見された新資料による補記を末尾ページに付す。