著者
Satoru Iwashima Takamichi Ishikawa
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.2009-2014, 2012 (Released:2012-07-25)
参考文献数
30

Background: The ophthalmic artery Doppler waveform (OADW) is thought to correlate with severity of systemic atherosclerosis. The goal of the present study was to evaluate risk of cardiovascular disease (CVD) in newborns small for gestational age (SGA) and appropriate for gestational age (AGA). Methods and Results: A total of 15 SGA and 26 AGA newborns were enrolled in the study. OADW was compared between SGA and AGA groups. The median Doppler maximums of both eyes in the SGA group were significantly smaller than in the AGA group (maximum average velocity (max A) 6.4cm/s vs. 8.3cm/s, P=0.028; maximum end diastolic velocity (max D) 2.2cm/s vs. 3.4cm/s, P=0.003). The maximums of both eyes for the maximum resistivity index (max RI) and maximum pulsatility index (max PI) in the SGA group were significantly greater than in the AGA group (RI, 0.88 vs. 0.82, P=0.005; PI, 2.23 vs. 1.72, P=0.002). When a multiple linear regression analysis of the SGA group with a stepwise procedure was applied to positive variables from 2-sided comparisons, significant correlations were noted for max A and max PI (max A: R2=0.495, β=0.541, P=0.034; max PI: β=-3.318, P=0.012). Conclusions: OADW in SGA newborns may be related to future risk of CVD, which is undetectable in infancy, and can provide information to estimate future cardiovascular health.  (Circ J 2012; 76: 2009–2014)
著者
佐藤 寛 高橋 史 杉山 恵一 境 泉洋 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.33-44, 2007-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、攻撃行動をパーソナリティ変数としてではなく、観察可能な行動として測定する尺度である攻撃行動尺度を作成し、信頼性と妥当性を検討することであった。まず、研究1では大学生372名を対象に調査を実施し、攻撃行動尺度の作成と内的整合性の検討を行った。その結果、「身体的・物理的攻撃」「言語的攻撃」「間接的攻撃」の3因子17項目からなる攻撃行動尺度が作成された。また、攻撃行動尺度はある程度の内的整合性があることが示された。次に、研究IIにおいて、大学生406名を対象に、攻撃行動尺度とAnger Expression Scaleを用いた調査を実施し、攻撃行動尺度の妥当性を検討した。分析の結果、攻撃行動尺度は適切な交差妥当性と構成概念妥当性を有していることが示唆された。最後に、本研究の限界と今後の課題に関する議論が述べられた。
著者
岸本 千佳司 Chikashi Kishimoto
雑誌
AGI Working Paper Series
巻号頁・発行日
vol.2015-13, pp.1-65, 2015-07

本研究の課題は、台湾ファウンドリ企業(主に TSMC、一部 UMC を念頭に置く) の技術能力、具体的には、1柔軟・高効率の生産システムの構築、および2プロセス(関 連)技術の開発について、筆者自身の面談記録や『公司年報』のような原資料を活用し、 その詳細に踏み込むことである。既存研究では、1990 年代以降、台湾ファウンドリ(特に TSMC)が先発企業との技術 ギャップを急速に埋めていったのは、半導体製造装置の大モジュール化・標準化が進ん だことを背景に、こうした歩留まりが高く加工時間が短い最先端装置を積極的に導入し たことによるところが多く、しかも、その資金的負担は台湾の投資優遇制度によりかな りの程度軽減されたということが指摘されている。本研究は、それを重要な要因と認めつつも、その後の台湾ファウンドリ(特に TSMC) の持続的発展については、技術能力構築の独自の取組みがあったことを明らかにする。 即ち、プラットフォーム戦略による多品種少量生産への対応、工場の自動化・ICT 管理 の活用、その前提の装置・ツール等の標準化推進、日常的な改善、経験・ノウハウの全 社的共有の仕組み、研究開発と量産部門の連携による迅速なプロセス量産立ち上げなど である。また、プロセス関連技術でも、先端ロジックの 1~3 年ごとの世代交代実現、 システム LSI 向けのロジック以外の特殊プロセス拡充、近年の後工程・実装分野への進 出と先端トランジスタ研究の実施などがある。しかもこれらの取組みが、専業ファウン ドリというビジネスモデルの要請に沿って、技術的潮流の変化を踏まえつつ高度化する 顧客ニーズを満たすために、全体最適化を考慮して進められてきたことを明らかにする。なお、技術能力の分析に際しては、藤本隆宏教授の「能力構築競争」の枠組みを参考 にしそれを簡略化した形で、「表層の優位性」(生産性・品質・コスト管理や技術開発力、 オペレーション能力のレベルの高さを反映すると思われる表面に表れた事象)と「優位 性の土台」(表層の優位性の背後でそれを支える活動や仕組み、それに影響する事業戦 略やビジネスモデル)の 2 層から整理した。
著者
尾崎 米厚 福島 哲仁 阿部 顕治 中川 昭生 岡本 傳男 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.937-941, 1987

島根県農村部における輸入赤痢アメーバ症の2例について報告した。2例とも中華人民共和国のツアー中に, 北京にてスイカを食べており, これが感染経路と考えられた。<BR>症例1は, 帰路上海にて発症し, 患者は, 悪心・嘔吐・下痢・意識消失を来し, 上海病院に緊急入院し, 脱水症状に対する治療を受けた。帰国後, 糞便検査にて<I>Entamoeba histolytica</I>の栄養型が認められ, 赤痢アメーバ症と診断された。メトロニダゾールにて治療を行なったが, 高令で激症アメーバ性大腸炎を呈した本例においては, 効果があまりなく, チニダゾールの方が効果を示した。<BR>症例2では, 自覚症状が認められなかったが, 糞便検査にて, <I>Entamoeba histolytica</I>の嚢子型が認められ, キャリアと診断され治療を受けた。<BR>近年は, 都市部のみならず農村部においても海外渡航者が増えており, 旅行者における輸入赤痢アメーバ症の多発, およびその集団発生に, 今後注意を払う必要があるものと考える。
著者
尾崎行雄 著
出版者
公論社
巻号頁・発行日
vol.第10巻, 1955
著者
荻野 晃
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-72, 159-160, 2002-03-31

このペーパーの目的は、1956年11月のハンガリー事件の後、社会主義労働者党第一書記カーダール・ヤーノシュがどのように党内基盤を固めたかを探ることにある。冷戦終結後にハンガリーの公文書が公開されると、ハンガリー事件当時の首相ナジ・イムレの裁判が、戦後史の見直しにおける重要な争点となった。ハンガリー事件の最中に一党支配の放棄、ハンガリーのワルシャワ条約機構脱退と中立化を宣言したナジは、最終的に1958年6月に処刑された。筆者は近年の研究動向を踏まえながら、ナジ問題とカーダールを中心とする社会主義労働者党中央委員会の発足との結びつきを検証する。56年11月4日のソ連のハンガリーへの軍事介入の後、カーダールが政権を握った。成立当初、カーダール政権は困難な状局に直面した。軍事介入の直後、ナジと彼の同僚たちがブダペシュトのユーゴスラヴィア大使館に避難し、カーダール政権への支持を拒否したのである。ナジの処遇は、社会主義労働者党内部における国内政治の路線をめぐる論争の争点の一つになった。ソ連型社会主義制度の改革を意図する党内の穏健派は、国内の安定化をはかるためにナジや反体制派との妥協を意図した。それに対して、早急に一党支配体制の再建をはかるカーダールを含めた強硬派には、秩序の回復のために反体制派に対して強硬姿勢でのぞむ用意があった。実際に、カーダールはソ連によるナジの身柄拘束に協力した。ナジが社会主義労働者党との妥協を拒否した時、カーダールと彼の協力者たちは、ソ連の圧力にかかわりなく、自発的にナジを反革命の罪で起訴する方針を固めた。カーダール自身、国内改革の必要性を認識していた。しかし、カーダールはナジに強硬姿勢を取ることで、改革よりも社会主義体制を強化することを優先させた。カーダールはナジを葬り去ることなしに、一党支配体制を堅持した彼自身の穏健な改革路線を確立できないと判断した。さらに、ナジの起訴の決定後、ナジとの妥協に固執した穏健派は、党中央委員会から排除された。57年4月の社会主義労働者党暫定執行委員会(政治局)によるナジの起訴の決定は、ソ連の軍事介入後のハンガリーにおける社会主義体制の再建とカーダールのリーダーシップの確立へ向けた重要なターニング・ポイントになった。カーダールがナジの急進的な改革路線との連続性を絶った時、カーダール時代が始まったのである。
著者
和田 俊二
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.146, pp.24-51, 1970-11

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1919年04月16日, 1919-04-16
著者
加地 雄一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-4, 2012
参考文献数
8

本研究の目的は未知漢字の記憶における書字動作の効果を検討することである.漢字の自由再生と手がかり再生について2つの学習条件(書字,目視)間で比較した.学習リストはJIS第4水準から選定した12の漢字の形態・意味ペアで構成されていた.参加者は大学生47名であった.形態,意味の自由再生成績は,学習条件間で有意な差は見られなかった.一方,手がかり再生(形態を手がかりにした意味の再生,意味を手がかりにした形態の再生)成績では,目視条件が書字条件よりも有意に高かった.これらの結果から,書字動作は未知漢字の記憶を促進させず,むしろ干渉的な効果をもたらす場合があることが示唆された.
著者
田北 徹 川口 和宏 増谷 英雄
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.497-503, 1988-02-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

Distribution of the salangid fish, Neosalanx reganius Wakiya et Takahasi was investigated in the rivers around Ariake Sound which is located in western Kyushu. They were only found in the Chikugo River and the Midori River located about 50km apart from each other and were regarded to be endemic to those rivers. They inhabit the tidal area of the downstream occur-ring mainly in fresh water, although some are found in the waters having low seawater con-centration near the mouth of the rivers. Morphological examination revealed no meristic difference, but some statistically significant differences in the body proportions between the two populations indicating their entire isolation from each other.
著者
谷口 直樹 山内 一信 近藤 照夫 横田 充弘 外畑 巌
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.463-468, 1981-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10

aspirin は抗血小板薬として従来より各種血栓症の治療に使用されている. 近年 aspirin の大量投与は prostacyclin 合成を阻害し, 血栓生成に作用すると指摘され, その投与量が再検討されつつある. 本研究の目的は aspirin の種々の単回および連日投与における血小板凝集能抑制効果を検討することより, その至適投与量を決定することである. 対象は虚血性心疾患, 弁膜症および大動脈炎症候群などの心疾患患者71名であり, 健常人13名を対照とした. aspirin 1日80, 160, 330, 660および990mg連日投与群における4μM ADP最大凝集率には有意差は認められず, いずれの群の凝集率も aspirin 投与を受けていない健常群のそれに比して低値を示した. aspirin 160mg以上の単回投与では投与後1時間以内に凝集能抑制効果が出現した. 単回投与の凝集能抑制効果持続日数の平均値は330mg投与では4日, 660mgでは5.5日, 1320mgでは6日であった. aspirin による胃腸障害, 出血等の副作用の出現頻度は dose dependent であることを考慮すると, 本薬を長く投与する必要がある場合, 可及的少量が望ましい. ADP凝集抑制効果の観点からは1日量80mgの連日投与または160mgの隔日投与が至適投与法と考えられた.