著者
青柳 憲昌
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.654, pp.2073-2080, 2010-08-30 (Released:2010-10-08)

The design for the reconstruction of the primitive dwellings at the remains of Toro was entrusted to Masaru Sekino who had been got involved with this nationally monumental research project from the beginning when the site was discoverd in 1943. In the process of making an “ideal” form of the dwellings, Sekino focused on giving a reasonable structural system to the image of ancient dwellings shown in archaeological relics, which was based on his architectural thought relating to the concept of design(style) and technology. In order to recreate the original design, as a consequence, original building technique, such as construction process, details of joints of structural members, and especially its structural system, was deliberately and eagerly recreated grounded on inevitably scarce academic evidences that was to be completed with his “imaginary restoration,” although adding structural reinforcement in the back or anti-deterioriation devices due to the actual demands as a contemporary construction.
著者
後藤 和久 小松 吾郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.10, pp.618-631, 2012-10-15 (Released:2013-02-20)
参考文献数
122
被引用文献数
2

近年の衛星画像の精度向上などにより,火星の堆積岩に関する研究が急速に進展している.火星には,水の作用により海や湖,バレーネットワーク,アウトフローチャネルが形成された痕跡がいたるところに残されており,気候変動を含む火星史を理解する上で極めて重要である.実際に,ノアキス紀の古クレーター湖の壁面の堆積岩露頭には,フィロケイ酸塩鉱物のような粘土鉱物が豊富に含まれることがわかっている.こうした堆積岩は,アメリカやヨーロッパの宇宙機関の火星探査の着陸候補地点となっており,水と生命の痕跡を発見するための重要な研究対象とみなされている.2011年11月には,アメリカ航空宇宙局の最新探査機が打ち上げられ,古クレーター湖中の露頭を対象として地質調査を行なう予定である.こうした将来探査計画の中で,地質学者の知識と経験が大いに有効であり,惑星地質学分野での貢献が期待される.
出版者
経済産業省
巻号頁・発行日
vol.平成21年度, 2008-08
著者
菅波 盛雄 斉藤 仁 廣瀬 伸良 中村 充 林 弘典 増地 克之
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-12, 2005

IJFは2001年までは「判定方式」,2002年からは「ゴールデンスコア方式」を採用している。本研究は,2000年から2003年までの4年間に国際柔道連盟が主催した4大会を対象として,試合終了時に両試合者のスコアが同一であった試合の分析を試みた。<br>2000年世界Jrナブール大会と2001年世界選手権ミュンヘン大会,全1,356試合の中で「判定」によって勝敗が決したのは73試合(5,4%)であった。2001年世界Jr済州島大会と2003年世界選手権大阪大会,全1,285試合の中で「GS」によって勝敗が決したのは42試合(3.3%)であり減少がみられた。<br>「判定」によって勝敗が決した73試合を施技ランクB,Cおよび組み手主導権の3項目で比較した結果,審判員の判定が3対0の時にプラスポイントが確認された選手が勝ちとなったのは73,8%であった。一方,2対1の時はプラスポイントでの勝ちが41.9%と減少がみられたことから,全員一致の判定の困難さが窺える。<br>同様の手法で「GS」に入る前の試合分析から,「GS」への移行が妥当と判断されたのは11試合(26.2%)であり,残りの31試合(73.8%)は項目比較によって優劣に差がみられた。「GS」導入によって試合時間は「判定方式」に比べて長くなるが,「判定」に対する「GS」の試合時間比は4分の試合で1.43倍増に対して,5分では1.28倍と減少が認められた。<br>「GS方式」の導入によって,試合終了時に同一スコアとなる試合が激減した。また,実質上の試合時間を抑制する傾向が窺え,延長時間の問題も許容範囲であると言える。「GS」による試合は,罰則よりもポイント取得によって勝敗が決する方向にあり,勝負判定の客観化を推進するためには有効な改正であった。
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1, 2021 (Released:2021-07-07)

「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを掲げる大阪・関西万博。 2025年の開催に向け「TEAM EXPO 2025」などがすでに活動を開始しています。 どんな万博を目指すのか、大阪・関西の学校や企業の取り組みなどをご紹介します。 【特集:みんなで創るぞ 2025年大阪・関西万博】 1) 人類の進歩を把握する試み、国際博覧会――展示から対話へ 《歴史研究者 佐野真由子さんインタビュー》 2) 2025年「大阪・関西万博」が本格始動!未来を共創する“巨大な文化祭” (2025年日本国際博覧会協会 今村治世さん) 3) ロボット教育×SDGsで「みんなが笑顔になれる」社会をつくる 《TEAM EXPO 2025追手門学院大手前中・高等学校ロボットサイエンス部》 4) 日本発「第5のがん治療」BNCT、いよいよ離陸 (大阪府立大学BNCT研究センター 切畑光統さん/ステラファーマ 浅野智之さん) 5) 万博までに知っておきたい!SDGsに貢献する関西発のオンリーワン技術 (スマイリーアース 奥龍将さん/大阪府立大学BNCT研究センター 切畑光統さん)
著者
津福 達二 田中 寿明 末吉 晋 田中 優一 森 直樹 藤田 博正 白水 和雄
出版者
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.1661-1665, 2007
被引用文献数
1

症例は39歳の男性で, 2004年1月, うつ病があり自殺企図にてウォッカを大量に飲用し, 高度の胸焼け, 嚥下障害を生じたため当院へ紹介となった. 食道潰瘍および食道狭窄を認め, 腐食性食道炎と診断した. 希死念慮が強かったため精神科に入院となり, 精神面の治療を行った. 2月, 狭窄症状が強くなったため, 空腸瘻を造設し, 全身状態の改善および精神状態の安定を待って, 7月, 非開胸食道抜去術, 胸骨後食道胃吻合術を行った. 経口摂取可能となり術後32日目に退院した. 高濃度のアルコール(ウォッカ)飲用による腐食性食道狭窄を経験したので報告する.
著者
長瀬 賢史 松榮 美希 森 裕美子 本多(小川) 真理子 杉谷 加代 住友 倫子 中田 匡宣 川端 重忠 岡本 成史
出版者
ウェルネス・ヘルスケア学会
雑誌
Journal of wellness and health care (ISSN:24333190)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.87-95, 2017

Organic virgin coconut oil (VCO) contains almost 50% lauric acid (LA). As lauric acid exhibits antimicrobial activity against some bacteria, VCO is thought to also possess antibacterial properties. However, it is unclear whether the antimicrobial activity of VCO is comparable to that of LA. The present study was performed to examine whether VCO demonstrates antimicrobial activity against species of gram-positive bacteria (i.e., Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Streptococcus sanguinis, Streptococcus salivarius, and Streptococcus mutans) as well as LA by disk diffusion antibacterial test. Although LA has antimicrobial activity against S. aureus, S. pyogenes, S. agalactiae, S. mutans, and S. sanguinis, VCO has antimicrobial activity against S. pyogenes, S. agalactiae, S. mutans, and S. sanguinis, but not S. aureus. Furthermore, the antimicrobial activities of VCO against several Streptococcus species were weaker than those of LA. We further compared the antimicrobial activities of VCO and LA against Streptococcus pyogenes by antimicrobial test involving the inhibition of microbial growth in broth medium. While > 4.4 mM VCO was capable of exhibiting an antimicrobial effect againstS. pyogenes, the same effect was demonstrated by as little as 0.18 mM LA. Furthermore, > 0.88 mM LA, but not VCO, was able to eliminate S. pyogenes completely. We also confirmed thatLA could eliminate bacteria within 10 minutes, and the number of bacteria did not increasefor 2 hours. On the other hand, the addition of VCO did not decrease the number of bacteria.In addition, scanning electron microscopic (SEM) analysis indicated that the antimicrobial activity of LA is mediated by a bactericidal mechanism, whereas VCO functions by inducing bacteriostasis. Taken together, we found that VCO has antimicrobial properties against some strains of bacteria belonging to the genus Streptococcus, but not Staphylococcus aureus or some gram-negative bacteria. These findings suggest that the antimicrobial spectrum of VCO differs from that of LA. We also found that the antimicrobial effect of VCO is mediated by bacteriostasis, and not a bactericidal mechanism as observed for LA.オーガニックヴァージンココナッツオイル(VCO)は、およそ 50% ものラウリン酸を含有している。ラウリン酸(LA)は、いくつかの細菌種に対して抗菌作用を呈することから、 VCO も抗菌作用を有すると考えられている。しかし、VCO がラウリン酸と同等の抗菌効果を示すか否かは明らかではない。今回我々は、VCO が LA と同等に数種類のグラム陽性細菌に対する抗菌作用を示すかディスク法を用いて検討した。LA は、黄色ブドウ球菌、A 群化膿性レンサ球菌、B 群レンサ球菌、ストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・サングイニスに対する抗菌効果を示したが、VCO は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果を有さず、残りの菌種に対する抗菌効果も LA と比べて効果は弱小であった。次に我々は A 群化膿性レンサ球菌を用いて液体培地での細菌培養系における VCO および LA に対する増殖抑制効果について比較検討を行った。その結果、VCO では 4.4 mM 以上の濃度でないと抗菌効果を発揮しないのに対し、LA では 0.18 mM 以上の濃度で同等の抗菌効果を発揮した。また、LA では、わずか 10 分で細菌を死滅させる一方、VCO は死滅させないことを見出した。また、走査型電子顕微鏡による観察で LA による抗菌効果は菌体破壊による殺菌効果によるものに対し、VCO は、菌体破壊のない静菌効果によるものであることを見出した。以上より、VCO が一部のレンサ球菌属に対して抗菌効果を示し、黄色ブドウ球菌には抗菌効果を示さないこと、VCO による抗菌効果が静菌効果によることを明らかにし、VCO の抗菌効果が LA と異なることを示唆した。
著者
服部 隆充
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.399-403, 2014

液体シンチレーションカウンタ(LSC)計測実習への適用性の観点から,ベトナムウォッカは,たとえば,無色透明でエタノール濃度は高く,蒸留酒のためエタノール以外の不純物をほとんど含まない,などの優れた特徴を有する。このベトナムウォッカがLSC計測実習用の測定試料として適切であるか否かの検討を行った。化学的な前処理操作を行わない<sup>14</sup>Cの直接測定により3種類のベトナムウォッカと純粋な試薬エタノールについて,放射能濃度と比放射能を求めた。その結果,放射能濃度は試料中のエタノール濃度に比例し,ベトナムウォッカと純エタノールの比放射能は標準データである0.25Bq/g炭素と良い一致を示した。このことから,ベトナムウォッカは高い精度でLSC計測実習の測定試料として適用可能であることが結論づけられた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.281, pp.86-93, 1998-11-02

一般に不正アクセスやウイルスの被害を受けた企業は,その事実を公開するのをためらうことが多い。企業イメージの低下や,便乗犯や愉快犯などによる2次攻撃にさらされる危険を恐れるからである。日本企業のセキュリティ被害の実態は,これまでよくわかっていなかった。 そこで本誌は,国内の上場企業を中心とした2088社にアンケート調査を実施した。
著者
柳内 忠剛
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
思想と文化
巻号頁・発行日
pp.477-492, 1986-02-05

我が国においては近年とみに国際化の必要性とか国際人の養成とかが各方面で叫ばれ,また我が国は国際的に誤解されているとか,文化摩擦とかいうことが一般の話題にもなるようになってきた。そしてそのような話題を論ずる際に,しばしば日本と外国,あるいは日本人と外国人の間のコミュニケーションが問題点のひとつとして言及される。そこで本稿では異文化間のコミュニケーション,特に日本文化に帰属する我々日本人と日本文化に属さない日本人ではない人々とがコミュニケートしようとするとき,どのようなことが問題として生じ,それらを解決するには,またはより好ましくは,そのような問題が生じないようにするためには,我々にはどのようなことが必要であるかを考察し,その際大方の日本人の閉ざされた意識を解放することが何よりも大切であることを指摘する。
著者
藤井 薫和 重信 智宏 吉野 孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.63-71, 2007-01-15

異文化間コミュニケーションにおいて,言語や文化の違いは大きな障壁である.多くの人にとって,新たな言語を習得することは大きな負担であり,お互いの母国語で円滑なコミュニケーションが成立することが望ましい.本研究では,機械翻訳機能と語句への意味づけ(アノテーション)機能を持たせたチャットシステムAnnoChat を開発し,日本人,中国人,韓国人の間のコミュニケーションに適用し,異文化間コミュニケーションにおけるアノテーションの評価を行った.実験の結果,被験者によって付与されたアノテーションの約7 割は,チャットのコンテキストに依存しない知識情報であり,蓄積し共有することで異文化間コミュニケーションにおける有用な知識情報になると考えられる.また,約2 割はチャット中に説明できなかった情報を補足するために利用されており,リアルタイムコミュニケーションにおいてチャット中のアノテーション付与が有効な例であると考えられる.
著者
石浜渉榎本兵治
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.195-212, 1975-08-15 (Released:2018-06-30)

本文は,粉じん雲主として炭じん雲の爆発について,従来行われた内外の実験研究方法を,実験室規模と大型試験坑道によるもとに分けて述べ,特に実験室規模のものについては,粉じん雲の作成方式によって分類し,その歴史的変遷と各方式の得失などについて概説したものである.