著者
鈴木 信哉 中林 和彦 大河内 啓史 畑田 淳一 川口 真平 酒井 正雄 佐々木 徳久 伊藤 敦之
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.61-66, 1997-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

閉鎖環境の条件が厳しい潜水艦において感染性が低い結核患者の周囲の乗員に結核感染が疑われた例を経験した. 本症例は艦艇の環境と感染性及びその対策を考える上で貴重な症例と考えられたので, 考察を加えて報告した. 症例は35歳男性の潜水艦乗員. 定期健康診断の間接胸部X線で異常陰影を指摘され精査した. 咳嗽なく喀痰塗抹陰性であったが,胃液検査にて塗抹陽性であった. 定期外集団検診時のツベルクリン皮内反応 (ツ反) では強陽性者が, 発見2ヵ月のツ反では陽転者が発生源の周囲に多くみられた. 発生源と離れた場所に居住し接触があまりない乗員にも感染が疑われたので, 閉鎖循環方式の空調が関与した可能性も示唆された. 閉鎖環境における結核発生例に対しては環境の的確な把握が必要であり, 化学予防は積極的に行うべきで環境の除染には薬品による消毒よりも換気及び紫外線照射が有効であり, 艦艇には防疫対策として標準装備されることが推奨される.
著者
内山 勝利
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.41-52, 1981

The main purpose of this paper is to reconsider the true standpoint of Socrates in the Crito, one of the earlier dialogues of Plato, in order to remove misunderstandings about the Socratic attitude towards the city-state and the law. This attempt will at the same time clarify the substantial principle which is constantly held by Socrates throughout his life and death. From ancient times, it has been frequently considered that Socrates in the Crito puts the law of the city-state into the position of the absolute standard of ethical judgment. A series of discussions on this problem has recently again arisen from the papers of R. Martin("Socr. on Disob. to the Law", Rev. of Metaph., 24/1970, 21-38)and of A. D. Woozley("Socr. on Disob. the Law", G. Vlastos ed., Philos. of Socr., 1971, 299-318). Many of the writers debate it on the assumption that the central point of the assertion here stated by Socrates lies in the 'Destruction of the City' argument(so named by G. Young, whose paper in Phronesis 19/1974 is also referred to particularly in my paper) , whether they agree with or reject it. But, the author thinks, when we read the Crito following carefully the essential structure of the argument which is, as is explicitly stated at 48E-49E, already systematically methodised, and that in the same way as is formalised in the Phaedo, then it will become obvious that the 'Destruction of the City' argument is only a showy but untrue one, while Socrates' substantial assertion is stated duly with the 'hypothetical' procedure based exactly on the αρχαι(49D-E). The true reason for his refusal to escape is, accordingly, not because his escape might bring destruction of the law and then of the city-state, but just because it is not compatible with the αρχαι accepted by himself or, in other words, not compatible with "the logos which upon reflection appears to me to be the best"(46B). In short: when said in response to the subtitle to this dialogue, περι πρακτεου, it is asserted here by Socrates that we should make our conduct conform to the judgment of the logos, and not in obedience to the law.
著者
岩切 勝彦 川見 典之 田中 由理子 佐野 弘仁 星原 芳雄 野村 務 松谷 毅 萩原 信敏 宮下 正夫 坂本 長逸
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.710-721, 2012 (Released:2012-05-28)
参考文献数
26

アカラシアは下部食道括約筋(LES)の弛緩不全および食道体部の蠕動障害により,嚥下障害をきたす1次性食道運動障害の代表的疾患である.アカラシアの確定診断は食道内圧検査により行われるが内視鏡検査も有用である.LES弛緩不全を認めない場合には,下部食道を深吸気時に観察すると柵状血管の下端を含めた全体像が観察されるが,アカラシア患者では深吸気時にも柵状血管の全体像は観察されず,下部食道の狭窄部に集中する全周性の襞像が観察される.アカラシアのバルーン拡張術は有効な治療法の1つである.拡張術において重要なことは拡張時のバルーンの切れこみを消失させることであるが,切れこみは低圧な状態でも消失させることが可能であり,ゆっくりと低圧にて加圧することが重要である.最も使用される30mmバルーンでの当科における拡張術の治療成功率は約75%である.治療成功率に関連する因子は年齢であり,30歳未満の患者に対するバルーン拡張術の成功例はないが,30~40歳未満の患者での治療成功率は約60%,40歳以上では約85%である.
著者
鈴木 和真 牛田 啓太
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.119-120, 2018-03-13

長時間の PC 作業では姿勢が固定され、疲れが出てくる。これに対してストレッチ運動を行うことが考えられる。筆者らは、PC の操作中にストレッチ運動を促し、ネットサーフィンなどの軽い PC 利用の操作をしながらストレッチができるシステムを提案している。PC による作業を一定時間続けるとストレッチを促すモードになり、そこではストレッチを行いつつ PC の操作ができる。ストレッチ運動を Kinect センサで認識して操作情報に変換している。
著者
右田雅裕 杉谷賢一 松葉龍一 中野裕司 喜多敏博 入口紀男 武藏泰雄 辻一隆 島本勝 木田健 宇佐川毅
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.14-22, 2007-09-14 (Released:2019-04-06)
参考文献数
10

熊本大学では,2004年度より2年生の約2/3に相当する約1100名を対象に,情報処理概論をe-Learning形式の科目として開講している.本稿では,同科目の学期末試験としてLMS(Learning Management System)を用いて実施された一斉オンラインテストについて報告する.本試験は,不正行為防止策として試験中のネットワークアクセス及びPC操作を限定した上で実施されたオンラインテストである.
著者
戸島 正剛 松隈 正樹
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.299-304, 2016 (Released:2017-05-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

We have been developing new Compressed Air Energy Storage System which is trademarked as ”CAB”. The CAB -Compressed Air Battery- is the machine type battery which is expected to be used for short-time load leveling in the grid-connected operation of wind-farm and mega-solar power generation, and for peak cutting of power demands for factories and buildings. By using screw type compressors and turbines, it can be possible to follow frequent load leveling against renewable energy compared with turbo and reciprocating machineries that have difficulties in part load operation or rapid change of speed. The features of CAB system, equipment configuration, system efficiency, and characteristics of charging/discharging are mainly introduced in this paper as clean power energy storage system used compressed air.
著者
石澤 哲郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.949-957, 2015-08-01 (Released:2017-08-01)

心身医学領域では自律神経失調症状をきたす患者を診察する機会が少なくない.近年,自律神経機能の正確かつ非侵襲的な測定手法として心拍変動(heart rate variability:HRV),血圧変動(blood pressure variability:BPV),圧受容体感受性(baroreflex sensitivity:BRS)が頻用されている.HRVとは心臓の拍動周期のゆらぎのうち自律神経入力のゆらぎをその主な起源とするものであり,BPVとは末梢の血管運動性交感神経活動や呼吸による機械的刺激などの影響による血圧のゆらぎのことである.そして迷走神経系を介した徐脈反応の大きさがBRSと定義される.周波数解析を用いてこれらを分析することで,心血管系自律神経機能を交感神経系と副交感神経系に区別して定量的に評価することが可能となる.また,非線形解析という手法を用いることで,自律神経機能の非線形的特性も評価することができる.本稿では神経性食欲不振症患者を対象とした研究結果を中心に,循環器系自律神経機能の定量的評価に関する最新の知見を紹介する.
著者
沼田 天 矢野 慎 長南 幸安
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.45-51, 2010-10-20

近年,環境問題やエネルギー問題などの地球規模の問題が課題となっている。それに伴い環境教育の重要性にも目を向けられてきている。持続可能な発展のため,科学技術の重要性と必要性への認識が高まってきた。新学習指導要領では,環境教育のより一層の充実が求められている。中学校第3学年「自然と人間」の分野は,中学校理科の中で最も環境教育と深く関わっている分野であり,環境教育のより一層の充実のためには,この分野の教材研究が必要不可欠である。本研究では,中学校理科で取り扱われやすい環境問題の中でも地球温暖化のメカニズムと温室効果ガスに焦点をあて,二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,ブタンの温室効果の検証実験を行い,その結果とそれぞれの温暖化係数(二酸化炭素:1,メタン:21,一酸化二窒素:310)との関係の考察を行った。また,それらの実験方法を授業に取り入れ生徒に考察,話し合いさせるような授業計画を開発することにより,環境教育の充実を図る。
著者
上西 良廣
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.127-142, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

本稿では,近年注目される「生物多様性保全型技術」を対象とし,効果的かつ効率的な普及方法を解明することを目的とした.新潟県佐渡市において普及活動が進められている「朱鷺と暮らす郷認証米」を対象事例とし,技術導入に関する試行段階と確認段階の意思決定,さらに中断,非導入の理由に注目して分析した.まず導入者と非導入者の特徴を比較した結果,居住集落や水稲経営面積,経営理念,シンボルとの関係性などに違いが見られることが明らかとなった.次に,導入動機の分析から,先行導入者は主にシンボルである生物への貢献や商品の差別化などの側面に価値を見出して技術を導入していた.また,中断者による中断理由を分析した結果,中断者をなるべく出さないようにするためには,トキ米の生産者を対象とした研修会を開催して栽培要件や栽培方法に関する情報を提供することや,高い精算金の実現などが有効であると考えられる.最後に,非導入理由の分析から,新規導入者を確保するにあたっては,トキ米の説明会を開催し,トキ米やエコファーマーの申請方法,さらには栽培要件に含まれる生き物調査の実施方法に関する情報を提供することが有効であると考えられる.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1922年03月29日, 1922-03-29

2 0 0 0 OA 第五高等学校

著者
熊本大学60年史編纂委員会
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学六十年史
巻号頁・発行日
vol.[3], pp.3-19, 2014-03-03
著者
服部 泰宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.4-17, 2012-09-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本論文は,「契約とは何か」という点をめぐる哲学や法学,社会学における議論を整理し,それをもとに,組織と個人の雇用契約に関わるこれまでの研究を捉えなおすことを目指す.具体的には,契約をめぐる哲学,法学,社会学の議論をもとに「自由主義的契約」と「関係主義的契約」という契約観の理念型を導出し,そこに雇用契約に関する2つの研究群──契約の経済学と心理的契約──をあてはめることで,こうした研究の特徴と偏りを明らかにする.