著者
塩出 浩和
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.85-97, 2017-01-31 (Released:2017-03-24)
参考文献数
9

In Macau, on the 25th of May in 2014, more than 10,000 citizens marched in protest against government’s proposal to pay hefty amounts of retirement benefits to high-rank government officials. There were also citizens who supported the government’s proposal, about 1,000, marched through same route on the same day. Two hundred sixty police officers were dispatched. Despite the size of this political protest in the small Special Administrative Region, no violence took place. Between the night of 27th and the morning of 28th, 5,000 citizens sat-in surrounding the Legislative Committee Building. On the 29th, the government of Macau has submitted to the action of its citizens and withdrew its proposal. The movement was lead by non-communist labour union, anti-communist political parties and individual journalists. It was organized by SNS such as facebook. Why do this kind of non-violence movements succeed in Macau? One important factor is that the population at large in Macau forms a sort of ‘Intimate Sphere’ where people have little antagonistic or hostile feeling towards one another. Historically speaking, the police force of Macau has been reluctant to use physical power to control on-the-street political movements unless the movements are related to constitutional or ‘core interest of the nation’ matters. The court’s decision to support citizens’ freedom to express political opinions in public in 2013 has helped to reconfirm this tendency of police not to engage in political issues. In this small special administrative region, most of the community members have friends or relatives in both sides of political groups or in the police force. This sentiment inherently makes it difficult for political disputes escalate to physical violence. The representative system of Macau is not yet completely institutionalized. However, the several informal ways of soliciting public opinions are effective in this small administrative region. This can be taken as an example or experimental case of future democratization of entire China.
著者
石井 慎一郎 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-16, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

スクリューホームムーブメントの特性を明らかにするため,非荷重位での膝関節伸展運動をPoint Cluster法を用いた三次元動作解析により計測した。対象は20~65歳までの健常成人30名とした。その結果,19人の被験者は膝関節の伸展運動中に脛骨が外旋し,5人の被験者は終末伸展付近から脛骨が内旋し,6人の被験者は伸展運動中に脛骨が内旋していた。終末伸展付近から脛骨が内旋する被験者は女性が多く,全ての被験者がLaxity Test陽性という身体的特徴を有していた。また,膝関節伸展運動中の脛骨前方変位量も大きいという特徴も認められた。伸展運動中に脛骨が内旋する被験者は,40~60歳代の年齢の高い被験者であった。スクリューホームムーブメントは,靭帯の緊張や加齢変化によって影響を受けることが明らかとなった。

2 0 0 0 存在の風景

著者
松井 吉康
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-68, 2002

Da Parmenides zuallererst die Frage, ob <i>ist</i> oder <i>nicht ist</i>, stellt, diskutieren viele Forscher die Frage, was denn das Subjekt dieses Seins sei. Diese Fragestellung ist bei Parmenides aber völlig irreführend, da für ihn das Sein überhaupt kein Subjekt akzeptiert. Das Sein ist für ihn nur das Nicht-Nichts. Kein bestimmtes Ding kann also Subjekt des Seins werden, weil es nie ganz nichts wird, auch wenn es allein verschwindet. Parmenideisches Denken konzentriert sich also nur auf dieses Sein, das kein Subjekt akzeptiert, und die Frage, was in Wahrheit ist, stellt er überhaupt nicht. Dies ist die Ebene, von der aus Parmenides die Landschaft des Seins vernimmt. Es gibt weder ein Werden noch ein Vergehen. Alles ist jetzt zugleich in einem. Und weil im Denken das Nichts steckt, kann diese Landschaft nur durch das Denken, das Licht des Nichts, bestrahlt werden. Deshalb gehören Sein und Denken zusammen.
著者
山崎 憲 山崎 力
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.260-265, 2005-03-15

バイオインフォマティクスは,当初は主としてアミノ酸配列やDNA塩基配列情報をその研究対象としてきたが,最近では,遺伝子多型(SNPs)情報に基づくテーラーメード医療(オーダーメード医療とも呼ばれる)や遺伝子発現,分子間相互作用等の細胞レベルへとその対象を急速に拡大しつつある.これらの研究により,個々の患者の特性に応じた,遺伝子治療を含めた疾患関連遺伝子の同定や薬剤による最小の副作用にとどめる診断・治療方法の確立に寄与することが期待されている.
著者
野村 晴夫
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.99-113, 2008 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
1
著者
豊岡 公徳 若崎 眞由美 宮 彩子 佐藤 繭子
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.7-12, 2020-04-30 (Released:2020-05-09)
参考文献数
14

植物研究分野において走査電子顕微鏡(SEM)は,葉や根など器官の表面の微細構造観察によく用いられてきた.近年,SEMの電子銃や検出器などの技術革新により,生物試料を包埋した樹脂切片をスライドガラスなどの平板上に載せ,反射電子検出器を用いてSEMで観察することで,透過電子顕微鏡法(TEM)と遜色ない切片電顕像を撮影できるようになった.これにより,TEMよりも厚い樹脂切片を用いて,広域に渡り容易に撮像することができる.本稿では,厚い切片でも高感度で帯電せずに撮像できるYAG(Yttrium Aluminum Garnet)-反射電子検出器を搭載した電界放出型SEMによる撮像条件の検討と,その応用として,植物試料の広域にわたる微細構造解析,連続切片を用いた3次元再構築解析,光-電子相関顕微鏡解析により得られた結果について報告する.
著者
小林 昭夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

南海トラフ沿いでは長期的スロースリップイベント(SSE)や短期的SSEなどのスロー地震が発生しており、その分布や規模、発生頻度などを把握することは、プレート境界の特性の時空間変化に関する理解をもたらすことが期待される。特に長期的SSEの発生領域は将来の巨大地震に関連する固着域に隣接しており、短期的SSEと比較して規模も大きい。SSEの分布や発生頻度、規模などの情報は地震発生シミュレーションの再現対象にもなっており、より現実に近いモデルを構築する上でもSSEの詳細な把握は重要である。GEONETのF3解座標値を用い、各点についてアンテナ交換などによるオフセット、地震によるオフセット、年周・半年周成分、直線トレンドの補正を行った。アンテナ交換などに伴うオフセットは、国土地理院による値(corrf3o.dat)を用いた。地震によるオフセットは、地震をはさむ前後10日間の平均値の差から求めた。非定常変位が小さく、2011年東北地震の余効変動が続いているため、2017年6月から半年間の変位から前年同期間の変位を差し引いた。余効変動はこの1年間であまり変化がないため打ち消され、前年の変動とは異なる非定常変動のみが抽出される。その結果、志摩半島に5mm程度の南東向きの動きが見られた。なお同様に処理した2017年前半には志摩半島に動きは見られない。志摩半島の北西にあたる丹後半島付近との基線長を見ると、志摩半島の志摩、南伊勢など数点には2017年後半から伸びが見られる。志摩半島数点の周囲の点と丹後半島付近との基線長には特に傾向の変化は見られないため、2017年後半からの基線長の伸びは志摩半島側の非定常変位によると考えられる。変化は一時的なオフセットや短期的SSEによるものではなく、複数点に見られていることから、原因として長期的SSEが考えられる。2017年6月から半年間の変位(前年同時期除去)を用いて大域的探査法により矩形変動源を推定したところ、志摩半島に断層が推定され、すべりの規模はMw6.0相当であった。すべり領域の中心の深さはプレート等深線25km付近にあり、南海トラフ沿いの他の長期的SSEと同程度の深さである。まだ長期的SSEとしては小規模であるが、志摩半島での発生とするとGNSSの観測開始以来初めてであり、今後の推移に注目したい。本調査には国土地理院GEONETの座標値およびオフセット値を使用させていただきました。 上図:若狭湾付近と志摩半島との基線長変化(トレンド、年周補正、11日移動平均)下図:2017年6~12月の変位から2016年6~12月の変位を差し引いた水平変位(赤)とその値をもとに大域的探査法により推定した矩形断層による理論変位(黒)
著者
田中 宏昌 関雅 樹 阿部 英彦 野辺 武 稲葉 紀昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.105-116, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
6

The paper deals with the pin-connected railway truss bridges, which were used for as longas 114 years across Daiyagawa River. The authors present their brief history, structuralfeatures, and deterioration of structural parts which was caused by such a long service, especially wearing of pins and holes in eye bars. Also the restoration works for preservationis described.
著者
吉川 智
出版者
国士舘大学日本政教研究所
雑誌
政教研紀要 (ISSN:09167420)
巻号頁・発行日
vol.26, 2004-03
著者
髙橋 一揮 藤沢 拓也 佐藤 光 菊地 優太 鈴木 沙斗美 松本 栞 沖 侑大郎 石川 朗 藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0578, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】足踏み運動は,麻痺の改善や歩行能力改善など運動の中に多く取り入れられている。しかし,その運動強度に関して詳細な検討はなされていない。そのため,本研究では1分間当たりの足踏み回数(以下,ステップピッチ)と上肢支持の有無を変数として運動強度を中心に呼吸循環応答を検討することとした。【方法】対象者は健常若年成人女性13名であった。測定は運動負荷試験と足踏み運動とし,それぞれ別日に実施した。運動負荷試験は自転車エルゴメータを用いたramp負荷試験(10W/min)とした。一方,足踏み運動は股関節屈曲角度を45度と設定して算出した高さに紐を張り,対象者には紐に軽く触れるまで脚を上げるよう指示し,鏡を使用してフィードバックを促した。足踏み試験の設定条件はステップピッチ60・90・120(以下,P60・P90・p120)の3条件と上肢支持(手すり)の有無の2条件の計6条件としてランダムにて実施した。なお,ステップピッチはメトロノームを用いてコントロールし,上肢支持の手すりは大転子の高さとした。測定プロトコールは各条件の足踏み運動を3分間,休憩3分間を繰り返した。データは酸素摂取量を中心に呼吸循環パラメータを呼気ガス分析装置にて測定し,各条件終了直前の30秒間を平均化して代表値とした。統計処理は,R(3.2.1)を使用し,呼吸循環パラメータに関して上肢支持の有無による2要因について2元配置分散分析を,host-poc testとしてHolm法を用い,有意水準は5%未満とした。【結果】運動負荷試験の結果,平均最高酸素摂取量は23.3±3.4mi/kg/min,平均ATは12.2±2.1ml/kg/minであり,比較的低体力層であった。足踏み運動の結果では,酸素摂取量にてステップピッチと上肢支持の有無には有意な主効果が認められたが,交互作用は認められなかった。多重比較では,P60・P90・P120間にいずれも有意差が認められ,P60では上肢支持無が有に対して有意に高値を示した。他の呼吸循環パラメータも類似傾向を示した。また,各条件におけるMETsと%ATでは上肢支持の有無による違いは小さく,P60(約2.5METs/約75%),P90(約3.0METs/約85%),P120(約3.5METs/約100%)であった。また,歩行率から算出した健常者の相対的平均歩行速度でのMETsと比較したところ,いずれのステップピッチにおいても足踏み試験が低値であった。【結論】本研究は対象が若年成人女性であったが,体力は60歳男性に相当していた。この対象者において,ステップピッチが増加することにより有意に呼吸循環応答が増大したが歩行に比して低負荷であったこと,ならびに,おおよそATレベルまで運動として容易に実施できる可能性を示した。よって,ステップピッチを変数とすることで合目的であり運動耐容能改善の方法となりうることを示唆した。