著者
佐藤 圭汰 小俣 純一 遠藤 達矢 三浦 拓也 岩渕 真澄 白土 修 伊藤 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0183, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに】肩こりは平成22年および25年の厚生労働省国民生活基礎調査において,男女ともに高い有訴率で,改善が急務とされる病態の一つである。その中でも,肩こり患者の僧帽筋の筋硬度は健常者と比較して有意に高値を示すという報告があり,理学療法介入による改善が期待できる一つの因子である。鎮痛効果を目的とした電気刺激療法は,一般的に経皮的神経電気刺激法(TENS)が用いられるが,今回はTENSと比較し皮膚抵抗が少ない高電圧電気刺激法(HVS)に着目した。HVSは鎮痛効果に加え,筋ポンプ作用による血液循環増大効果を持つことが報告されており,肩こり患者における僧帽筋の筋硬度を改善させる可能性がある。しかし,肩こり患者に対するHVSの効果は検討されていない。そこで本研究の目的は,肩こり患者に対するHVSの即時的効果と筋硬度に対する介入の意義を検証することである。【対象と方法】対象は同意を得た肩こりを有する成人女性15名(40.3±8.4歳,155.4±2.6cm,58.7±10.5kg)。HVSはPHYSIO ACTIVE HV(酒井医療社製)を用い,設定を周波数50Hz・パルス持続時間50μsecとして,対象者が不快に感じない電流強度で10分間実施した。筋硬度の測定は超音波画像診断装置Aixplorer(SuperSonic Imagine社製)を用いた。測定肢位は両上肢を体側につけた腹臥位として,僧帽筋上部線維の筋硬度を測定した。筋硬度はHVS前・直後・5分後,疼痛(VAS)はHVS前後に評価を実施した。統計的解析は治療前後の筋硬度変化に多重比較法,治療前後のVASに対応のあるt検定を用いた。有意水準は全て5%とした。【結果】僧帽筋の平均筋硬度はHVS前32.9±14.0kPa,直後30.0±11.2 kPa,5分後23.8±6.6 kPaで,HVS前・直後に比べて5分後に有意な低下を示した(p<0.05)。平均VASはHVS前52.6±22.8mm,HVS後31.8±21.3mmで,HVS前に比べHVS後に有意な低下を示した(p<0.01)。また,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与した者10名(66.7%)で,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者2名(13.3%)であった。【結論】結果からHVSは筋硬度を低下させる効果を有し,肩こり患者の疼痛を改善する方法のひとつとなり得ることが示された。疼痛改善に用いる筋収縮後の弛緩期を利用した動的ストレッチは,血流改善による筋痛の緩和が報告されている。土井らは動的ストレッチ効果の持続時間を検証し,血液量が増加し筋温が上昇していくことで筋硬度の低下,筋伸張性が向上すると述べ,介入前に比べ直後,10分後と有意に効果が向上することを報告した。今回,HVSにより筋収縮が繰り返され,動的ストレッチと類似した効果が得られたため,筋硬度の改善,疼痛改善につながったと考える。しかし,筋硬度の改善が疼痛の改善に寄与しない者もみられた。肩こりの原因は多岐に渡るため,筋硬度に対するアプローチはあくまで肩こり患者の疼痛を改善させる方法の一つと考え,実施することが重要と考える。
著者
水野 章二
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

里山を表示する制度的な用語は存在しなかったが、「後山」は中世初期から広くみられ、「向山」も史料・地名に多く確認できる、中世里山の一般的な表現であった。里山は交通・流通などの条件によっては、鎌倉期から開発が進んで酷使され、植生が貧弱な「野山」「無毛山」化する。里山は資源獲得だけでなく、牛馬放牧の場でもあったが、地形条件によっては屋敷林や平地林の形態をとり、水防・防風・防火などの多様な機能を果たした。
著者
千葉県史料研究財団編集
出版者
千葉県
巻号頁・発行日
1996
出版者
大阪府警察部
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1892
著者
Ayumi Hashimoto Kentaro Murakami Satomi Kobayashi Hitomi Suga Satoshi Sasaki the Three-generation Study of Women on Diets and Health Study Group
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20200030, (Released:2020-05-16)
参考文献数
34
被引用文献数
4

Background: The disparity of overall diet quality by personal educational attainment has been a public issue. However, it remains unknown which food groups contribute to the disparity. This cross-sectional study assesses which food groups explain associations between education and overall diet quality in Japanese women.Methods: A total of 3788 middle-aged (mean: 47.7 years) and 2188 older women (mean: 74.4 years), who lived in 47 prefectures in Japan, provided data on their education (low, middle, and high) and dietary intakes from a diet history questionnaire. A diet quality score (possible score 0-70) was calculated based on seven food components. Mean diet quality scores with adjustment for lifestyle and neighborhood variables were estimated by education, and Dunnett’s multiple comparison was conducted. Additionally, mean scores of each food component were estimated by education and compared using the same manner.Results: After adjustment for lifestyle and neighborhood variables, mean diet quality score of high or middle education was higher than low education for both generations. Middle-aged women with high and middle education had higher scores of ‘milk’, ‘snacks, confection, and beverages’, ‘fruits’, and ‘vegetable dishes’ than those with low education. Older women with high and middle education had higher scores of ‘sodium from seasonings’ and ‘fruits’ than those with low education.Conclusions: This study suggests that positive associations between education and diet quality are explained by different food groups in middle-aged and older Japanese women, which are independent of lifestyle and neighborhood variables.
著者
大沢 健夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.184-203, 2018-04-24 (Released:2020-04-25)
参考文献数
87
著者
中村 晃 神藤 貴昭 田口 真奈 西森 年寿 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.491-500, 2007-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究では, 大学教員初任者がもつ教育に対する不安について検討し, さらにこのような不安と同時に周囲からのサポートについても考慮し, これらがどのように仕事に対する満足感と関係するかを検討することを目的とした。そのため, まず教育不安尺度を作成し, 次に教育不安が周囲からのサポート, および職務満足感とどのような関係にあるかを質問紙により検討した。その結果, 教育不安尺度では因子分析により「教育方法に関する不安」「学生に関する不安」「教育システムに関する不安」の3因子が見出された。また教育不安と職場におけるサポート, および職務内容満足感との関係を検討した結果, 教育に関する不安が高い場合, 先輩教員のサポートが満足感を上げる要因になること, および教育システムに関する不安が高い場合, 同世代教員によるサポートが少ないと満足感が低くなることが示唆された。これらのことから, 特に不安の高い教員に対しては, 職場のサポートが仕事の満足感を上げるうえで重要であると考えられる。
著者
芳野 純 佐々木 祐介 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.495-499, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

[目的]回復期リハビリテーション病棟退院後患者のADLの変化の特徴と影響を与える関連因子を解明する。[対象]回復期リハビリテーション病棟より自宅退院した患者117名。[方法]退院後のADLに影響を与えると思われる因子,退院時および退院1ヵ月後のFIM運動項目を調査し,統計学的に分析した。[結果]退院時と比較すると退院1ヵ月後のFIM運動項目は有意に低下していた。各項目では,セルフケアが有意に低下しており,排泄コントロールは有意に向上していた。退院時のFIM運動項目が50~69点(半介助群)の患者および通所系サービス利用者が有意に低下していた。[結語]回復期リハビリテーション病棟退院患者は,退院1ヵ月後においてADLが低下する恐れがあり,低下を予防する必要性がある。
著者
加藤 正也 今高 城治 岡本 健太郎 谷 有希子 山口 岳史 荻野 恵 土岡 丘 加藤 広行 有阪 治 Masaya Kato George Imataka Kentaro Okamoto Yukiko Tani Takeshi Yamaguchi Kei Ogino Takashi Tuchioka Hiroyuki Kato Osamu Arisaka 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 小児科学 Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.173-176, 2014-07-25

症例1は6歳女児.インフルエンザ感染症初日に発熱しオセルタミビルを開始.第3病日,右下腹部に限局した圧痛が出現.腹部造影CTで糞石を認め急性虫垂炎と診断.保存的に加療し炎症反応と腹痛は改善した.症例2は5歳女児.第1病日に発熱と腹痛を認め,第3病日に鼻咽腔迅速検査でインフルエンザB型と診断しザナミビル吸入を開始.触診で右下腹部に反跳痛を認め,腹部単純CTで虫垂壁の肥厚と糞石を確認.急性虫垂炎の併発と診断し,第4病日に虫垂切除術を施行.切除虫垂に膿瘍を認め腹腔ドレーンを留置.第5病日に解熱し経過は順調であった.インフルエンザに伴う腹痛では感染に付随する腹痛と断定せず急性虫垂炎の可能性も考慮し腹部CTなどの画像検査を行うことが肝要である.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1933年03月15日, 1933-03-15
著者
是川 空 小谷 善行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1617-1624, 2012-06-15

本研究ではパズルの思考過程のモデル化の研究として,四川省と呼ばれる麻雀牌を利用したパズルの難易度推定を行う.これは四川省パズルの問題に対して,計算機によって算出された状態空間が持つ特徴量と,人間が実際に問題を解いているときの正答率や解答時間などの難易度に関わる項目との間にどのような相関があるかを測るものである.四川省パズルの持つ状態空間は解状態への経路を持つ状態と持たない状態の2つに分割することができる.解状態への経路を持つ局面をsolvable局面,持たない局面をunsolvable局面と定義し,問題から局面構造の特徴として平均可能手数,solvable局面とunsolvable局面の割合,平均unsolvable遷移パス割合,unsolvable局面空間の最長経路の4種類の特徴量を抽出した.それに対し人間のパズルを解く思考過程を得る方法として,Web上に四川省プログラムを設置しデータを収集した.収集されたデータから各問題に対する解答時間と正答率に対する難易度指標値を算出した.問題から得られた特徴と収集したデータから算出した難易度指標値の間の相関を測るため,回帰分析によって特徴から難易度指標値を推定する予測式を得た.この結果より平均解答時間を推定するには平均可能手数が大きく寄与していることが分かった.一方で正答率は平均可能手数に加え状態空間構造の特徴を回帰式に導入することで相関が向上した.
著者
後藤 範章
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.40-56, 2009-06-30 (Released:2010-08-01)
参考文献数
46
被引用文献数
2

本稿は,C. Knowlesらが提示した(Knowles and Sweetman eds. 2004)「ビジュアル・メソッドは社会学的想像力を活性化させる」との命題の妥当性を,筆者が16年前からゼミの学生と協働して取り組んでいる“写真で語る:「東京」の社会学”と題する研究プロジェクトと,その中から編み出された“集合的写真観察法”を通して検証するとともに,ビジュアル・メソッドのもつ豊かな可能性を描き出し,もって調査方法の視覚的再編成を促すことを目的とする.“集合的写真観察法”は,学生たちが撮影した「東京」や「東京人」に関する写真を素材として,次のように継起的に進行する3局面からなる.(1)写真“を”見ることによって感応力(センス・オブ・ワンダー)が高められ,「小さな物語素」が引き出される.(2)写真“で”見ることによって社会学的想像力が働き,「写真の背後に隠れているより大きな社会的世界」が想像イメージされ読み込まれる.(3)写真“で”語る(フィールドワークに裏打ちされたテクストを写真に寄生させる)ことによって意味が投錨され,それまで見えていなかった「社会のプロセスや構造」が視覚化(可視化)され知覚化(可知化)される.写真(画像イメージ)は,社会学の営みと人々の日常生活とを相互につなぎ合わせる「中継点アクセス・ポイント」であり,調査方法に加え教育や研究のあり方をも変革するポテンシャルを秘めている.
著者
松原 朗
出版者
中國詩文研究會
雑誌
中國詩文論叢 (ISSN:02874342)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.52-67, 2002-12-31
著者
岩永 竜一郎 村田 潤
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder ; PDD)児には感覚過敏が見られることが多い。とりわけ聴覚過敏は高頻度に見られ、それによって情動や行動の問題が生じやすい。そのため、それへの対応が急務であった。本研究の目的は、PDD児の聴覚過敏に対するノイズキャンセリング(NC)ヘッドフォンの行動の問題への使用効果について検証することであった。NCヘッドフォンは電気的に外来ノイズを打ち消す装置がついたヘッドフォンである。対象は研究への参加に同意が得られた4歳~16歳のPDD児17名(男児13名、女児4名)であった。まず、各対象の聴覚刺激に伴う問題行動に基づきゴール達成スケーリング(Goal Attainment Scaling ; GAS)スコアを設定した。そして、NCヘッドフォンを使用しないコントロール期間とNCヘッドフォン使用期間をそれぞれ2週間ずつ設けた。NCヘッドフォン使用期間は対象児が日常場面でいつでもNCヘッドフォンを装着することを許容した。それぞれの期間中に保護者にGASスコアをつけてもらった。そして、両期間でGASスコアについて比較した。その結果、聴覚刺激によって不快反応を起こすことが多かったPDD児は、NCヘッドフォン使用によってGASスコアが改善した(z=-2. 533, p=0. 011)。よって、NCヘッドフォンの使用は聴覚過敏のあるPDD児の刺激に伴う行動の改善に役立つことが明らかになった。聴覚過敏のあるPDD児のあるPDD児に対するノイズキャンセリングヘッドフォンの効果を示した研究はこれまでになかったが、本研究でその効果が実証されたため、これを多くの聴覚過敏があるPDD児に適用できると考える。