著者
市原 慎介 吉田 進悟 小嶋 文 久保田 尚
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1165-67_I_1172, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,住宅街の狭幅員生活道路におけるハンプ設置の有効性の検証を目的とし,複数のハンプを短区間で連続設置することによる効果について検証した.社会実験の結果,短い間隔でハンプを連続設置することで,対象道路を走行する自動車の通過速度が著しく抑制され,道路全体の安全性・快適性の向上を図ることができた.従来影響が心配されてきたハンプ設置に伴う振動・騒音の発生に関しても,本実験のハンプ設置方法によって周辺環境に影響を及ぼさない程度に十分抑制されることが確認できた.また,対象道路の周辺住民の多くは住宅街におけるハンプの設置に関して高い評価をしており,本実験を通し,ハンプの短区間連続設置による交通静穏化に関する有効性を強く確認することができた.
著者
内田 和成
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.6-17, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
9

レッドブルが真似から生まれたり,Skypeより後発のZOOMがオンライン会議システムの勝者になったのを見れば分かるように斬新なアイデアを繰り出せばビジネスの成功者になれるわけではない。また宅急便やセコムの機械警備のように経営者のひらめきから生まれたビジネスは多い。つまり直感である。本稿ではビジネスモデル形成における直感(右脳)の役割と方法論を語っている。例えば現象から物事の本質を見抜いたり,ビジネスのヒントを見いだす方法である。一方でイノベーションにとって重要なことは作り上げたビジネスモデルを通じて顧客や社会の行動変容を起こすことであり,それが達成できないイノベーションは持続的なビジネスモデルとは言えない。
著者
Tomotaka Sasada Amartuvshin Chunag
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
ISIJ International (ISSN:09151559)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1017-1023, 2014-05-15 (Released:2014-06-12)
参考文献数
11
被引用文献数
3 15

The first archeological evidence in Mongolia of an iron-smelting site has been discovered at Khustyn Bulag. This site belongs to the Xiongnu age (209BCE-155CE). The Xiongnu was the first Nomadic Empire in east Eurasia. Our excavation area was quite small but contained many interesting structures (smelting furnaces, calciners or roasters of iron ore, and slag disposal pits) and artifacts (a few pieces of pottery of Xiongnu age, many clay tuyeres and slag, stone hammers and stone anvil). We could categorize the furnaces into three types, but all of them had slag pits. In addition, several clay tuyeres were used at each furnace. These characteristics of iron smelting are related not to China but to South Siberia. We also performed metallurgical and mineralogical analyses on the slag, clarified the processes of direct steel-making, roasting of iron ore (Magnetite), and found the iron mine that supplied ore to the site. We consider our research results sufficient to undertake a comparative study on Eurasia scale. This iron-smelting technology was introduced into ancient Mongolia from the West through the Steppe-Taiga area and was adjusted and locally developed (or originally), even though iron production was in conflict with the traditional nomadic life-style of the ancient Mongolians. We will continue our research, to clarify the interesting process that led nomadic society to produce political system and establish a nomadic state.
著者
杉尾 邦江
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.45-48, 1994-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
20

イギリスの福祉国家としての近代的国家機構の創出に深く係わったベンサムは、政治, 経済, 社会, 法改革を先導したのみならず, 功利の原理「最大幸福原理」やパノプチコンのアイデア等によってイギリスの公園運動を刺激し, 公園の成立に大きな影響を与えた。またベンサムの間接的立法論で提案された犯罪予防の政策は公園原理の萌芽とみることができ, 更には, パノプチコンの構想はラウドンの多目的グリーンベルトに影響を与えたと考えられる。
著者
粳間 剛 仙道 ますみ
出版者
三輪書店
雑誌
地域リハビリテーション (ISSN:18805523)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.952-959, 2017-11-15

私は整形外科ナース1年目*のあいか. 今日も私の職人技が炸裂しますよ!
著者
香川 雅信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-3, 2014-07-26

サブカルチャーとしての 「妖怪文化」 は 18 世紀後半の都市で生み出されたが、それはある大きな 「誤解」 に基づくものであった。その 「誤解」 は、現在においても繰り返されている。"Yokai culture" as a subculture is produced in cities in the latter half of 18th century, which is based on a great misinterpretation. This misinterpretation is repeated even now.
著者
小谷 瑛輔
出版者
将棋と文学研究会
雑誌
将棋と文学スタディーズ
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-45, 2023

『新思潮』派は、芥川龍之介、菊池寛、久米正雄を輩出したことによって、大正文学の特に重要なエコールと見なされてきた。彼らのような若き文学グループは、えてして「創作への灼熱の気」を共有し、「互いに刺激し合」った「友情」に焦点が当てられがちである。それも誤りというわけではないのだが、このように顕彰の物語として消費されてしまう題材においては、「友情」の物語に昇華しにくい不一致を連想させるものは見落とされることになりやすい。しかし、彼らを一人一人独自の矛盾や問題を持ち、それと結び付いた固有の文学性を示した作家として認めるのであれば、むしろ一致し得なかった点や葛藤こそが重要である。実はその一端が、第四次『新思潮』が出発点において掲げ、文壇から受け入れられた主張において、既に示されていた。そしてその争点は、三人の作家が活躍した期間全体を通して問題であり続けた。
著者
飯島 祐介
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.551-565, 2008-12-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
19

本稿の目的は,スカーフ論争(Kopftuchstreit)の分析を通して,揺れ動く現代ドイツの規範的自己理解の一端を浮かび上がらせることにある.ドイツのスカーフ論争は,公的学校において教師が授業時にスカーフを着用することを禁止すべきか否かを焦点に,2003年9月の連邦憲法裁判所判決を契機に,広く公共において展開されることになった.論争は,禁止を求める陣営とそれに反対する陣営という単純な対立を超えた多様な立場へと分裂している.しかし同時に,ドイツは宗教的・世界観的に中立的な国家であり,自由と民主主義を基本価値に統合された社会であるとする自己理解が,その共通の地平となっている.この理解はナチズムの克服を背景とした歴史的なものであるが,論争ではその内実が問い直されている.ここに論争は,ドイツの「戦後社会」の揺らぎを映し出すことになっている.論争の帰趨はなお定かでない.しかし,その行方が少なくともドイツにとって瑣末な問題でありえないことは,現時点において確言することができる.
著者
川島 眞 橋本 晋 大橋 実可子 常深 祐一郎 海老原 全
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.356-365, 2017 (Released:2018-06-15)
参考文献数
10

目的:ヘパリン類似物質フォーム(以下,フォーム)の皮脂欠乏症患者における有効性および安全性を確認するため,ヘパリン類似物質ソフト軟膏(ヒルドイド®ソフト軟膏0.3%,以下,ソフト軟膏)からフォームへの切り替えを想定した試験デザインで,有効性および安全性を評価するとともに両製剤の使用感を調査した。方法:非対照,非盲検,多施設共同で,皮脂欠乏症患者にソフト軟膏を2週間塗布した後フォームを2週間塗布した。有効性は,ソフト軟膏の塗布終了時の治療効果がフォームに切り替えた後も維持されたか否かで総合的に判定した。また,皮膚所見スコアの経時推移も確認した。安全性は有害事象および臨床検査値で確認し,試験薬の使用感は患者アンケートで調査した。結果:60例が試験に組み入れられ,全例が試験薬を投与され試験を完了した。ソフト軟膏を2週間塗布した後の治療効果は,フォームへ切り替えた後もデータ欠測の1例を除き全例で維持された。皮膚所見スコアは経時的に改善した。フォーム切り替え後に有害事象の発現割合は増加せず,臨床検査値への影響もなかった。患者アンケートでは,フォームは展延性に優れ,べたつきの少ない製剤であることが示唆された。結論:フォームの有効性が確認され,安全性に問題はみられなかった。患者アンケートでは,塗り広げやすくべたつきの少ない保湿剤を求める患者にとってフォームが新たな剤形選択の一つとなる可能性が示唆された。(皮膚の科学,16: 356-365, 2017)
著者
長谷川 雅弘
出版者
日本アニメーション学会
雑誌
アニメーション研究 (ISSN:1347300X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-46, 2023-01-31 (Released:2023-02-11)
参考文献数
9

アニメのビジネスは1960年代から拡大を続けてきたが、その根幹となるアニメ制作費の決定プロセスは明らかではない。本稿では制作会社に所属するプロデューサー3名へのヒアリングによって、制作費の決定プロセスを、その算出方法と交渉内容と共に明らかにするものである。